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第四章

別荘のガサ入れ 2

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それぞれの部屋をくまなく探したがやっぱり無い。

まさか本当に一弥の言う通り、自宅の庭に埋まってるって言わないよな。

本当にそうだったら敵わないなと思いながら階段を降りた。

「見付かりそうか?」
「あ、建輔さん。うーん、こっちも難しい。さっぱりだよ」
「そうか……。隠すとしたらとんでもない所だろうとは思うんだが……」
「ううーん」

おそらく一弥は、絶対にこの別荘にあるはずだと確信を持っていたのだろう。一向に見つからない天女像に苛立ったのか、乱暴に頭を掻いている。

「庭とかも見てみるか?」
「……ああ、うん。そうだね」

はっきり言って、何となく家の中よりも外の方が確率は低いと思っている。だけど隅から隅まで調べておかないと、別荘にないという現実を受け入れ難かったのだ。

二人して地面を注視し、土の色や違和感、掘り起こした跡がないかと必死で調べた。だけど、腰が痛くなるほど這いつくばって調べても、違和感のあるような場所は探すことは出来なかった。

「これはもう、自宅の庭説か。それとも……」
「それとも、何?」
「いや、ひろ美の必死さに追い付いていないのかなって」
「どういうこと?」
「んー、つまりな、本当に一弥の言う通り天女像を叩き壊していないのなら、ひろ美はそれこそ本当に必死で考えたと思うんだ。誰にも見つからないようにな」

「そう……か。ってことは――」

一弥は突然表情を変えて、すごい勢いで別荘の中へと入って行った。俺も慌てて後を追う。

「一弥、どうした?」
「建輔さんのさっきの言葉で思い付いた。俺らがこんな所にはないと思っていたところ! 俺はトイレをもう一回見るから、建輔さんは風呂場を探して!」

「お、おう」

確かに、他の部屋に比べて探す場所も少ないから、あまり熱心に調べもしなかったけど。

浴室の扉を開けて、「う~ん」と呻る。
この室内のどこに潜んでいると言うのだ。

とにかくもう一度悔いのないように調べようとスリッパを履きかけた時、「あったー!」と一弥の大声が聞こえて来た。
俺は履きかけたスリッパを放り投げ、一弥の許へと走った。

「見てよこれ、こんな所に!」

一弥が手にしていたのは、ポリ袋に入った天女像だ。水タンクの蓋が開いていて、その中に隠されていたことが分かった。

「考えもしなかったな、そんなトコ」
「……執念だよね」

愛する人の物だから壊したくない、だけど綺麗にしまっておく必要もない。
そこに、ひろ美の峯野さんに対する執着とも取れる愛憎が見え隠れするように思えた。
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