62 / 98
第四章
別荘のガサ入れ
しおりを挟む
著名な陶芸家の別荘なので、どんなに凄い調度品が並んでいるのかと思っていたが想像していた程ではなかった。もちろん家具等は、どう見ても高級品に違いはなかったが。
「もっとすごい壺とか置いてるかと思ったんだけどな」
「……でも、そこに飾られている大皿、うん十万とすると思うよ」
「え?」
「前にカイリがこれに似た物持っていて、高いんだぞって自慢してた」
……ああ、なるほどね。
「この部屋にはなさそうだな」
「まあ、そうだろうね。こんな目に付く処よりは……。建輔さん、俺2階見て来るからここ頼むね」
「ああ、わかった」
1階にはリビングに台所、ふろ場にトイレ、その他にたいして広くない部屋が3部屋あった。
家族にも見られたくない代物を隠すのだから、きっと想像もつかない所に押し込んでいるに違いない。
ひろ美は一応主婦なんだよな。そう考えたら、キッチンの戸棚とかもありか……?
台所に入り、上の戸棚を全部開けて確認し、下の戸棚も確認した。だが、そうたいして物は入っていなくて漁るまでもなかった。
一応隙間に押し込められていないかとも思い、冷蔵庫の後ろや棚の隙間とかも覗いてみた。
「無さそうだな……」
リビングをもう一度隅々まで確認した後、畳の部屋とフローリングの部屋にも入り、開けられる所はすべて開けて探した。
「無いな……」
あるとは思えないが、風呂場とトイレにも入り確認した。
2階はどうなんだろう?
「一弥ー」
「はあーい」
名前を呼びながら階段を上がり、一弥の声が聞こえて来た部屋に入った。
「見付かりそうか?」
「んー、難しいなあ」
「まだ探してない部屋は?」
「ここが最後だよ」
「そうか。じゃあおれも手伝う」
二人で本当に、それこそ隅から隅まで探したが天女像は一向に見付からなかった。
「ここには無いのかな?」
「どうなんだろう。そうは言っても別荘はここだけだし、他には考えられないんだよなー。そうじゃなければ、自宅の庭に埋めてるとか?」
「死体じゃないんだから……」
「彼女にとっては、同じようなもんだろ」
「お前な……」
一弥はスッと立ち上がって、歩き出そうとし動きを止めた。
「ねえ、建輔さん。も一回だけ探そう。今度は建輔さんが上で、俺が下探す。もしかしたらお互い、見落としてるところがあるかもしれないし」
「おう、分かった」
俺が頷くと、一弥はすごい勢いで階段を駆け降りて行った。
……気合い入ってんなあ。
まあ、気持ちが分からないわけでもないけど。
脳裏に浮かぶ、蹲ったまま動けなくなっていた峯野さんの姿。そして、諦めたいのに諦めたくない佐孝さんの悲しい思い。
「さてと、隅から隅まで探しますかね」
「もっとすごい壺とか置いてるかと思ったんだけどな」
「……でも、そこに飾られている大皿、うん十万とすると思うよ」
「え?」
「前にカイリがこれに似た物持っていて、高いんだぞって自慢してた」
……ああ、なるほどね。
「この部屋にはなさそうだな」
「まあ、そうだろうね。こんな目に付く処よりは……。建輔さん、俺2階見て来るからここ頼むね」
「ああ、わかった」
1階にはリビングに台所、ふろ場にトイレ、その他にたいして広くない部屋が3部屋あった。
家族にも見られたくない代物を隠すのだから、きっと想像もつかない所に押し込んでいるに違いない。
ひろ美は一応主婦なんだよな。そう考えたら、キッチンの戸棚とかもありか……?
台所に入り、上の戸棚を全部開けて確認し、下の戸棚も確認した。だが、そうたいして物は入っていなくて漁るまでもなかった。
一応隙間に押し込められていないかとも思い、冷蔵庫の後ろや棚の隙間とかも覗いてみた。
「無さそうだな……」
リビングをもう一度隅々まで確認した後、畳の部屋とフローリングの部屋にも入り、開けられる所はすべて開けて探した。
「無いな……」
あるとは思えないが、風呂場とトイレにも入り確認した。
2階はどうなんだろう?
「一弥ー」
「はあーい」
名前を呼びながら階段を上がり、一弥の声が聞こえて来た部屋に入った。
「見付かりそうか?」
「んー、難しいなあ」
「まだ探してない部屋は?」
「ここが最後だよ」
「そうか。じゃあおれも手伝う」
二人で本当に、それこそ隅から隅まで探したが天女像は一向に見付からなかった。
「ここには無いのかな?」
「どうなんだろう。そうは言っても別荘はここだけだし、他には考えられないんだよなー。そうじゃなければ、自宅の庭に埋めてるとか?」
「死体じゃないんだから……」
「彼女にとっては、同じようなもんだろ」
「お前な……」
一弥はスッと立ち上がって、歩き出そうとし動きを止めた。
「ねえ、建輔さん。も一回だけ探そう。今度は建輔さんが上で、俺が下探す。もしかしたらお互い、見落としてるところがあるかもしれないし」
「おう、分かった」
俺が頷くと、一弥はすごい勢いで階段を駆け降りて行った。
……気合い入ってんなあ。
まあ、気持ちが分からないわけでもないけど。
脳裏に浮かぶ、蹲ったまま動けなくなっていた峯野さんの姿。そして、諦めたいのに諦めたくない佐孝さんの悲しい思い。
「さてと、隅から隅まで探しますかね」
0
お気に入りに追加
63
あなたにおすすめの小説
祝福という名の厄介なモノがあるんですけど
野犬 猫兄
BL
魔導研究員のディルカには悩みがあった。
愛し愛される二人の証しとして、同じ場所に同じアザが発現するという『花祝紋』が独り身のディルカの身体にいつの間にか現れていたのだ。
それは女神の祝福とまでいわれるアザで、そんな大層なもの誰にも見せられるわけがない。
ディルカは、そんなアザがあるものだから、誰とも恋愛できずにいた。
イチャイチャ……イチャイチャしたいんですけど?!
□■
少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです!
完結しました。
応援していただきありがとうございます!
□■
第11回BL大賞では、ポイントを入れてくださった皆様、またお読みくださった皆様、どうもありがとうございましたm(__)m
婚約破棄されたら魔法使いが「王子の理想の僕」になる木の実をくれて、気付いたらざまぁしてた。
えっしゃー(エミリオ猫)
BL
僕は14年間の婚約者である王子に婚約破棄され、絶望で死にそうに泣いていた。
そうしたら突然現れた魔法使いが、「王子の理想の僕」になれる木の実をくれた。木の実を食べた僕は、大人しい少年から美少年と変化し、夜会へ出掛ける。
僕に愛をくれる?
俺の親友がモテ過ぎて困る
くるむ
BL
☆完結済みです☆
番外編として短い話を追加しました。
男子校なのに、当たり前のように毎日誰かに「好きだ」とか「付き合ってくれ」とか言われている俺の親友、結城陽翔(ゆうきはるひ)
中学の時も全く同じ状況で、女子からも男子からも追い掛け回されていたらしい。
一時は断るのも面倒くさくて、誰とも付き合っていなければそのままOKしていたらしいのだけど、それはそれでまた面倒くさくて仕方がなかったのだそうだ(ソリャソウダロ)
……と言う訳で、何を考えたのか陽翔の奴、俺に恋人のフリをしてくれと言う。
て、お前何考えてんの?
何しようとしてんの?
……てなわけで、俺は今日もこいつに振り回されています……。
美形策士×純情平凡♪
光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる