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第四章

募る愛情 3

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――愛おし過ぎて、胸が苦しい。


恋愛の経験が無いわけではない。今までだってちゃんと相手と向き合って、真剣に愛していたはずなんだ。
だけどこんなふうに、相手の気持ちに触れる度に胸が苦しく切なくなることなんてなかった。


昨夜は一度では済まなかった。一弥に請われるまま俺自身も制御出来なくて、結局は3度も抱いてしまった。

「疲れたよな……」

いつも俺より朝の早い一弥が、俺に抱きついたまますやすやと眠っている。
俺の方が朝は遅いから気が付かなかったけど、一緒に二人で寝る時はいつもこんな感じなんだろうか? 
……だとしたら、可愛過ぎるよな。

髪を撫で、肩や背中を温めるように撫でる。
しばらくそうやって一弥の感触を楽しんでいたら、彼の指がピクンと震えた。

「……建輔さん?」
「悪い、起こしちゃったな」

俺が謝ると、一弥はちらりと時間を確認した後またぎゅっと俺に抱きついてきた。そしてスリスリとおれの胸に頬を擦りつける。そして吐息まじりに答えた。

「いいよ。もう起きなきゃいけない時間だし」
「そ、そうか」

……拙いだろ。
そんな可愛い行動を取られたら、また熱がぶり返しちまう。

だけどこれから仕事だし、あれ以上一弥にあれこれする訳にはいかないし。

「……じゃあ起きるか。今日は俺が飯を作ってやるから、一弥はもう少しのんびりしていたらいい」
「え? 大丈夫だよ。俺が作るから、すぐ起きるよ」
「いいから、少しのんびりしてろ。……昨夜は無理させたから」

俺がそう言うと、一弥は一瞬きょとんとした表情をした。だけどそのあと俺の言う意味を理解したのか少しずつ表情を崩して、幸せそうに頷く。

ああ、いいな。一弥のその表情。
見ているこっちまで幸せになる。

ほっこりした気持ちのまま一弥の頭を撫でて、俺は暖かな布団から出て顔を洗いに向かった
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