拾ったのは、妖艶で獰猛な猫だった

くるむ

文字の大きさ
上 下
31 / 98
第三章

愛しい者 2

しおりを挟む
ぐっと腰を沈めた一弥が、俺のモノを中に導く。熱くて狭い入り口から包み込まれる感触に、吐息が漏れる。
恐ろしいほど気持ちは良いが、無理をしては一弥を傷つけてしまいそうだ。

「一、一弥……、無理、……するんじゃないっ」

理性のあるうちに制止しようとしているのに、一弥はさらに奥深く俺を受け入れようと腰を沈めていく。

「……いじょうぶ……。風呂で……、んっ……、準備してきた……から」

準備? 準備ってなんだ!?

「あ……っ」

気持ち……いい。熱く絡みつく粘膜が、キュッと心地よく締め付けてくる。

「建輔……さん」

熱に浮かされたような色っぽい声で俺の名を呼び、騎乗位の一弥が腰を揺らす。自分のいいところを狙っているかのような淫らな姿に、一弥を気遣う気持ちが吹っ飛んでしまった。
ガシガシと下から突き上げるように腰を動かす。俺の上の一弥は、声を上げながらのけ反りビクビクと震えた。

一弥の腰に足を絡ませ起き上がる。二人向き合う形になり、さらに腰を突き上げた。

「あっ……、ああっ! 建輔……、建輔さん……っ」

振り落とされないように俺にしがみつき、さらに奥まで入り込んだ俺をキュッときつく締め付ける。その気持ちの良さに煽られて、奥に進めた腰を回すと一弥はまた仰け反って俺の背中にしがみついた。

甘い声を引っ切り無しに上げる一弥に完璧に翻弄されて、俺は無我夢中で腰を動かしていた。




どうやらそのまま寝てしまったらしい。
気が付くと明るくなっていて、一弥の姿は無かった。

「夢だったのか……?」

ぼんやりとする頭でぼーっと昨夜のことを思い起こし、自分がパジャマを脱ぎ捨てたまま眠っていることに気が付き昨夜のことは夢では無かったのだと実感した。

「…………」

泣いてたな、あいつ。俺が好きだと告白したら……。
ちゃんと気持ちを伝えあって、恋人同士に……なったんだよな。

可愛くて色っぽくて……、いや、色っぽいなんてそんなレベルじゃないな。妖艶で……、それでいて純粋で……。
拙い。
昨夜のあれこれを思い出していると、また熱がぶり返しそうになる。俺は慌てて布団を捲ってパジャマを着て、寝室を出た。

「……あ、建輔さん……、おはよう。今起こしに行こうかと思ってたんだ」
「おはよう。……相変わらず早いな。……その、体の方は大丈夫なのか?」

最初のうちは確かに一弥を傷つけないようにとかいろいろ考えて気遣っていたつもりではいたんだが、その内一弥の色気に完璧に負けてしまってそんな気遣いも何もかも、俺の中から吹っ飛んでしまっていた。
夢中になって一弥を貪っていた自覚がある。

「建輔さん……」

トコトコと俺の傍に近寄って来た一弥が、俺のパジャマの袖をつかむ。
その何とも言えない幸せを噛みしめるような表情が、とんでもなく可愛かった。

「大丈夫だよ。建輔さん優しかったし、……それにすごくうれしかったから」
「そ……、そうか。じゃあ、その……、支度しないといけないだろ? しゃ、シャワー浴びてくるな」
「うん」

なんだこの俺のドギマギ感は。
……まるで中坊だな。これが初恋ってわけじゃあるまいし。

「…………」

こなれた感じに見えても、一弥の方が恋愛初心者なんじゃなかったか?
……見てくれに惑わされないように、俺の方がしっかり守ってあげなくては。


幸せそうに微笑む一弥を見て、俺は改めて心に誓った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

公爵家の五男坊はあきらめない

三矢由巳
BL
ローテンエルデ王国のレームブルック公爵の妾腹の五男グスタフは公爵領で領民と交流し、気ままに日々を過ごしていた。 生母と生き別れ、父に放任されて育った彼は誰にも期待なんかしない、将来のことはあきらめていると乳兄弟のエルンストに語っていた。 冬至の祭の夜に暴漢に襲われ二人の運命は急変する。 負傷し意識のないエルンストの枕元でグスタフは叫ぶ。 「俺はおまえなしでは生きていけないんだ」 都では次の王位をめぐる政争が繰り広げられていた。 知らぬ間に巻き込まれていたことを知るグスタフ。 生き延びるため、グスタフはエルンストとともに都へ向かう。 あきらめたら待つのは死のみ。

あと一度だけでもいいから君に会いたい

藤雪たすく
BL
異世界に転生し、冒険者ギルドの雑用係として働き始めてかれこれ10年ほど経つけれど……この世界のご飯は素材を生かしすぎている。 いまだ食事に馴染めず米が恋しすぎてしまった為、とある冒険者さんの事が気になって仕方がなくなってしまった。 もう一度あの人に会いたい。あと一度でもあの人と会いたい。 ※他サイト投稿済み作品を改題、修正したものになります

僕のユニークスキルはお菓子を出すことです

野鳥
BL
魔法のある世界で、異世界転生した主人公の唯一使えるユニークスキルがお菓子を出すことだった。 あれ?これって材料費なしでお菓子屋さん出来るのでは?? お菓子無双を夢見る主人公です。 ******** 小説は読み専なので、思い立った時にしか書けないです。 基本全ての小説は不定期に書いておりますので、ご了承くださいませー。 ショートショートじゃ終わらないので短編に切り替えます……こんなはずじゃ…( `ᾥ´ )クッ 本編完結しました〜

異世界転移で、俺と僕とのほっこり溺愛スローライフ~間に挟まる・もふもふ神の言うこと聞いて珍道中~

兎森りんこ
BL
主人公のアユムは料理や家事が好きな、地味な平凡男子だ。 そんな彼が突然、半年前に異世界に転移した。 そこで出逢った美青年エイシオに助けられ、同居生活をしている。 あまりにモテすぎ、トラブルばかりで、人間不信になっていたエイシオ。 自分に自信が全く無くて、自己肯定感の低いアユム。 エイシオは優しいアユムの料理や家事に癒やされ、アユムもエイシオの包容力で癒やされる。 お互いがかけがえのない存在になっていくが……ある日、エイシオが怪我をして!? 無自覚両片思いのほっこりBL。 前半~当て馬女の出現 後半~もふもふ神を連れたおもしろ珍道中とエイシオの実家話 予想できないクスッと笑える、ほっこりBLです。 サンドイッチ、じゃがいも、トマト、コーヒーなんでもでてきますので許せる方のみお読みください。 アユム視点、エイシオ視点と、交互に視点が変わります。 完結保証! このお話は、小説家になろう様、エブリスタ様でも掲載中です。 ※表紙絵はミドリ/緑虫様(@cklEIJx82utuuqd)からのいただきものです。

【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜

ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。 そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。 幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。 もう二度と同じ轍は踏まない。 そう決心したアリスの戦いが始まる。

今世はメシウマ召喚獣

片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。 最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。 ※女の子もゴリゴリ出てきます。 ※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。 ※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。 ※なるべくさくさく更新したい。

すべてはあなたを守るため

高菜あやめ
BL
【天然超絶美形な王太子×妾のフリした護衛】 Y国の次期国王セレスタン王太子殿下の妾になるため、はるばるX国からやってきたロキ。だが妾とは表向きの姿で、その正体はY国政府の依頼で派遣された『雇われ』護衛だ。戴冠式を一か月後に控え、殿下をあらゆる刺客から守りぬかなくてはならない。しかしこの任務、殿下に素性を知られないことが条件で、そのため武器も取り上げられ、丸腰で護衛をするとか無茶な注文をされる。ロキははたして殿下を守りぬけるのか……愛情深い王太子殿下とポンコツ護衛のほのぼの切ないラブコメディです

雪を溶かすように

春野ひつじ
BL
人間と獣人の争いが終わった。 和平の条件で人間の国へ人質としていった獣人国の第八王子、薫(ゆき)。そして、薫を助けた人間国の第一王子、悠(はる)。二人の距離は次第に近づいていくが、実は薫が人間国に行くことになったのには理由があった……。 溺愛・甘々です。 *物語の進み方がゆっくりです。エブリスタにも掲載しています

処理中です...