拾ったのは、妖艶で獰猛な猫だった

くるむ

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第三章

求めあう気持ち

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「一弥……!」

堪らなくなって一弥をグイッと引き寄せた。力いっぱい抱きしめて、一弥の柔らかな髪に顔をうずめる。
甘くて華奢で柔らかな生き物。だけどその心の中には、たくさんの傷や辛い記憶が埋まっている。
大事にしたい、壊したくない。
沸々と沸き上がるその気持ちは、俺の今の確かな思いだ。

「好きだ一弥。俺も……、お前のことが好きだよ」
「建輔さん……」

目にいっぱい溜めていた涙をボロボロと零して、一弥が噛みつくようなキスをした。切羽詰まったあふれ出す思いをそのままぶつけるかのように。

甘く舌を絡め、息が出来ないほどに深く貪られ煽られる。夢中になった一弥は、ついには俺の首裏に手を当ててさらに深いキスへとのめり込んでいった。

こ……、これは。この状態は……。
かなり不本意だが、俺、完璧に一弥にリードされてないか?

ちょっと待て、ちょっと待て……!

「一……、一弥」

何とか今の態勢を逆転させようと強引にキスを切り上げ、一弥の名前を呼んだ。目と目を合わせた一弥の表情は、完璧にスイッチが入った状態で欲情に満ち溢れていた。

「……逃げないから落ち着け」

手を伸ばして、一弥のシャツのボタンを外し始める。俺のその行為に一瞬一弥は目を見開いたが、すぐに嬉しそうに目を伏せた。
俺も一弥を欲しがっていることに気が付いて、やっと安心したらしい。
本当にこいつは……。先が思いやられるかもしれん。

だけどそれでも躊躇する気は無かった。どうやら自分でも気が付いてはいなかったのだが、俺の方もかなり切羽詰まっていたのかもしれない。

ボタンを一つ一つ外していくうちに露になる一弥の肌。滑らかできめ細かくて吸い付くような感触。
首筋に口付けると、声にならない吐息を漏らす。

――俺が恋人なんだ。

甘い吐息も、縋るような瞳も、全部全部俺が独占しても構わない、恋人同士なんだ。


気持ちが昂るままに一弥の肌を貪り、一弥の存在を確かめるようにその体中を掌で撫でまわす。

「建輔さん……、建輔さん……」

うわ言のように俺の名を呼ぶ一弥の声を聴きながら、一弥の肌を味わうように舌を這わせた。
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