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第二章
前原さんちでのお仕事
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「仕事、入ったの?」
「ああ。まだ未定だけど、今度の日曜日に……、と待て。返事が来たようだ」
メッセージを確認すると、やはりさっきの依頼主からだった。引っ越しの依頼内容による見積金額、そして支払い方法に対する了承と、午前十時から来て欲しいとのことが書かれていた。すぐに契約の締結とお礼の返事を送信する。
「正式に決まった。日曜は力仕事が入るけど……、一弥は細々としたのを運んでくれ」
「? 大丈夫だよ、俺。見た目より力あるし。ちゃんと戦力になってみせるから」
「……そうなのか?」
「うん、大丈夫だから当てにしてて。それより、そろそろお昼にしなくちゃ。散歩に行かなきゃ、だろ?」
「ああ、そうだったな」
もうとっくに十二時になっていた。
俺らはすぐに昼食を済ませ、前原さんの家へと向かった。
そしてその途中にある一軒家の郵便受けに、一弥が作ったチラシを一枚一枚投入していく。
「これ見て誰か依頼してくれたらいいね」
「そうだな」
まあ、実際にはチラシを見たからと言ってすぐに頼もうと思ってくれる人は少ないだろうが、それでも万が一の時に、そう言えば……と思い出してくれればそれでいい。そのためにも、もう2、3度チラシを入れてみるのもありかもしれない。
「ほら、見えて来た。前原さんの家だ」
インターホンを押すと、すぐに前原さんがリクとムムを連れて出て来た。
「こんにちは、前原さん。今日は新人が散歩に連れて行くことになりました。こちら、麻里一弥です」
「あ、……麻里一弥です。よろしくお願いします!」
人見知りとは言っていたけれど、ちゃんと挨拶が出来るのなら問題ない。ぺこりとお辞儀をする一弥に、前原さんも目を細めた。
「可愛い子が入ったのね。川口さんにはいつもお世話になって助かっているのよ。よろしくね」
「……は、はい」
「それでね、これがリクとムムなんだけど」
前原さんに呼ばれたリクとムムが、スッと前に出てきて俺の顔を見た。
散歩に連れていく俺のことを覚えているので、期待に満ち溢れた目で俺を見ている。
「一弥」
一弥を呼んで、リクたちの前にしゃがませた。
「リク、ムム。今日連れて行ってくれるのは、このお兄さんだよ。付き合ってやってくれな」
「……ええっと、よろしく。リク、ムム」
目と目を合わせてゆっくりと手を差し出す一弥に、リクがその手に鼻を擦りつけた。その様子を見たムムも、安心したように一弥に寄っていく。
「可愛いな……」
ポツリと零れた言葉に、前原さんも安心したように微笑んだ。
「それじゃあ、麻里さん、よろしくお願いしますね」
「はい、じゃあ行ってきます」
リードを渡された一弥が、ぺこりとお辞儀をして門から出て行った。
その横顔は少し緊張しているようにも見えたが、それよりも何よりも任されたことの充実感を感じているような表情だった。
「ああ。まだ未定だけど、今度の日曜日に……、と待て。返事が来たようだ」
メッセージを確認すると、やはりさっきの依頼主からだった。引っ越しの依頼内容による見積金額、そして支払い方法に対する了承と、午前十時から来て欲しいとのことが書かれていた。すぐに契約の締結とお礼の返事を送信する。
「正式に決まった。日曜は力仕事が入るけど……、一弥は細々としたのを運んでくれ」
「? 大丈夫だよ、俺。見た目より力あるし。ちゃんと戦力になってみせるから」
「……そうなのか?」
「うん、大丈夫だから当てにしてて。それより、そろそろお昼にしなくちゃ。散歩に行かなきゃ、だろ?」
「ああ、そうだったな」
もうとっくに十二時になっていた。
俺らはすぐに昼食を済ませ、前原さんの家へと向かった。
そしてその途中にある一軒家の郵便受けに、一弥が作ったチラシを一枚一枚投入していく。
「これ見て誰か依頼してくれたらいいね」
「そうだな」
まあ、実際にはチラシを見たからと言ってすぐに頼もうと思ってくれる人は少ないだろうが、それでも万が一の時に、そう言えば……と思い出してくれればそれでいい。そのためにも、もう2、3度チラシを入れてみるのもありかもしれない。
「ほら、見えて来た。前原さんの家だ」
インターホンを押すと、すぐに前原さんがリクとムムを連れて出て来た。
「こんにちは、前原さん。今日は新人が散歩に連れて行くことになりました。こちら、麻里一弥です」
「あ、……麻里一弥です。よろしくお願いします!」
人見知りとは言っていたけれど、ちゃんと挨拶が出来るのなら問題ない。ぺこりとお辞儀をする一弥に、前原さんも目を細めた。
「可愛い子が入ったのね。川口さんにはいつもお世話になって助かっているのよ。よろしくね」
「……は、はい」
「それでね、これがリクとムムなんだけど」
前原さんに呼ばれたリクとムムが、スッと前に出てきて俺の顔を見た。
散歩に連れていく俺のことを覚えているので、期待に満ち溢れた目で俺を見ている。
「一弥」
一弥を呼んで、リクたちの前にしゃがませた。
「リク、ムム。今日連れて行ってくれるのは、このお兄さんだよ。付き合ってやってくれな」
「……ええっと、よろしく。リク、ムム」
目と目を合わせてゆっくりと手を差し出す一弥に、リクがその手に鼻を擦りつけた。その様子を見たムムも、安心したように一弥に寄っていく。
「可愛いな……」
ポツリと零れた言葉に、前原さんも安心したように微笑んだ。
「それじゃあ、麻里さん、よろしくお願いしますね」
「はい、じゃあ行ってきます」
リードを渡された一弥が、ぺこりとお辞儀をして門から出て行った。
その横顔は少し緊張しているようにも見えたが、それよりも何よりも任されたことの充実感を感じているような表情だった。
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