俺の親友がモテ過ぎて困る

くるむ

文字の大きさ
上 下
29 / 30
☆番外編☆ 俺が可愛すぎて困る!? なんだそれ!

1

しおりを挟む
陽翔が元サヤに納まった。
今までとは違ってマジで本命らしい。

……そんな噂があっという間に学校中に広がった。

おかげで俺はみんなの興味の的となり、陽翔本人を特に意識していなかった人までもが俺を見にわざわざ教室に押しかけるという珍事が起こっている。おかげで休み時間中の廊下は、見知らぬヤローたちでいっぱいに溢れかえっていた。


「……凄い人だね」
「由羽人、向こう見んな」

廊下に向いていた俺の顔を、陽翔がグイッと引き戻す。
おかげで陽翔の綺麗な顔を間近で見てしまい、じわじわと頬が熱くなってきた。

「あ~、もうホント由羽人可愛いっ。こんなかわいい由羽人をあいつらなんかに見せたくないよ」
「か……、可愛いって。綺麗で可愛いのは陽翔だろ? 俺なんて地味で平凡だからそこらに埋もれて目立たないよ」
「はあ!? 何言ってんのお前! 本気で言ってる?」

さも呆れてびっくりしたと言わんばかりに、陽翔が大げさに目を剥いた。

……呆れたのはこっちだよ。

ヤレヤレと言った感じで小さくため息を吐くと、陽翔も俺と同じような表情をしていた。

「蒼空、蒼空からも何か言ってやってよ。由羽人ったら自分がどんだけ可愛いのかてんで理解してないんだから」

眉を下げて困ったように蒼空に訴える陽翔に、蒼空は苦笑いを返した。

「俺に言わせりゃ、どっちもどっちだ。大体、由羽人を可愛くしてるのはお前だろ? 由羽人は陽翔に照れて赤くなってるんだから。これ以上可愛くしたくないんなら、もうちょっと離れてやれば?」

「はああ!? なんで俺が由羽人から離れなきゃなんないんだよ! 由羽人みたいに可愛い奴を放っておいたらどこのオオカミに目を付けられるかわかんねーだろ!?」

「そーじゃなくて! パーソナルスペース! もう少し、15cmくらい離れてやれって言ってんの!」

「……え?」

蒼空の言葉に陽翔は一瞬キョトンとし、俺と蒼空とを交互に見る。
そして自分と俺との距離を確認するように視線を動かした。

「……近いか?」
「近いだろ」

蒼空に相槌を打つように、俺もコクコクと頷く。

「近い……か?」
なおも不満そうに、顎に手をやり俺との距離を測り続ける。もちろん一向に離れる気配はない。

「じゃあ想像してみ? お前、由羽人以外の奴と今の距離でいつづけられる?」
「まさか! 冗談だろっ」

即座に否定し、陽翔はアッと言う顔をした。
……して、その後に俺の顔を情けない表情で見た。そして上目遣いで小首を傾げる。


「由羽人は、……俺ともっと離れたいの?」


ズキューーーーーーーン!!

バクバクバクバクバクバクバクバク……


久しぶりの陽翔の至近距離での銃弾に、俺の顔が沸騰したように熱くなった。
もちろん心臓は壊れんばかりの勢いだ。


な、なんてあざとい奴だ……!
可愛すぎる……!!


バクバク煩く鳴り続ける心臓にあたふたしている俺を、陽翔が「く~っ」って顔をしてギュムーッと俺を抱き寄せた。


「あー、もう! 可愛すぎる! 由羽人のこと、どっかに隠してしまいたい。ほんっと、好きだ!」

感極まるような言葉と一緒に、俺の耳辺りに頬を擦り付ける。
されるがままにオロオロする俺を、蒼空がヤレヤレと言った顔で見ていた。



だけどこの一連の状況が、俺の身に新たな問題を投げかけることになろうとは、俺ら3人、誰一人として予想だにしていなかった。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

彼はオレを推しているらしい

まと
BL
クラスのイケメン男子が、なぜか平凡男子のオレに視線を向けてくる。 どうせ絶対に嫌われているのだと思っていたんだけど...? きっかけは突然の雨。 ほのぼのした世界観が書きたくて。 4話で完結です(執筆済み) 需要がありそうでしたら続編も書いていこうかなと思っておいます(*^^*) もし良ければコメントお待ちしております。 ⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます

猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」 「いや、するわけないだろ!」 相川優也(25) 主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。 碧スバル(21) 指名ナンバーワンの美形ホスト。博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。 「僕の方がぜってー綺麗なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ」 「スバル、お前なにいってんの……?」 冗談? 本気? 二人の結末は? 美形病みホスと平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。

前世から俺の事好きだという犬系イケメンに迫られた結果

はかまる
BL
突然好きですと告白してきた年下の美形の後輩。話を聞くと前世から好きだったと話され「????」状態の平凡男子高校生がなんだかんだと丸め込まれていく話。

逃げるが勝ち

うりぼう
BL
美形強面×眼鏡地味 ひょんなことがきっかけで知り合った二人。 全力で追いかける強面春日と全力で逃げる地味眼鏡秋吉の攻防。

ガラス玉のように

イケのタコ
BL
クール美形×平凡 成績共に運動神経も平凡と、そつなくのびのびと暮らしていたスズ。そんな中突然、親の転勤が決まる。 親と一緒に外国に行くのか、それとも知人宅にで生活するのかを、どっちかを選択する事になったスズ。 とりあえず、お試しで一週間だけ知人宅にお邪魔する事になった。 圧倒されるような日本家屋に驚きつつ、なぜか知人宅には学校一番イケメンとらいわれる有名な三船がいた。 スズは三船とは会話をしたことがなく、気まずいながらも挨拶をする。しかし三船の方は傲慢な態度を取り印象は最悪。 ここで暮らして行けるのか。悩んでいると母の友人であり知人の、義宗に「三船は不器用だから長めに見てやって」と気長に判断してほしいと言われる。 三船に嫌われていては判断するもないと思うがとスズは思う。それでも優しい義宗が言った通りに気長がに気楽にしようと心がける。 しかし、スズが待ち受けているのは日常ではなく波乱。 三船との衝突。そして、この家の秘密と真実に立ち向かうことになるスズだった。

チョコは告白じゃありませんでした

佐倉真稀
BL
俺は片桐哲哉。大学生で20歳の恋人いない歴が年齢の男だ。寂しくバレンタインデ―にチョコの販売をしていた俺は売れ残りのチョコを買った。たまたま知り合ったイケメンにそのチョコをプレゼントして…。 残念美人と残念イケメンの恋の話。 他サイトにも掲載。

俺に告白すると本命と結ばれる伝説がある。

はかまる
BL
恋愛成就率100%のプロの当て馬主人公が拗らせストーカーに好かれていたけど気づけない話

処理中です...