俺の親友がモテ過ぎて困る

くるむ

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親友兼恋人♪

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ドキドキする。
真剣に、射貫くように俺を見る陽翔の目に、さっきからドキドキが止まらない。止まらないどころかその音はますます大きくなってきて、まるで心臓が口から飛び出しそうな勢いだ。


「由羽人、俺のこと好きって言ったよな。あれ、本心だよな?」
「……うん」

じっと俺を見つめる陽翔から目を逸らすことが出来なくて、俺も陽翔の目を見ながらコクンと頷き返事をした。
そんな俺に、陽翔の表情も緩んでくる。


「俺も……、由羽人のことが好きだよ。俺は、……由羽人と友達になってすぐに好きになってた」
「え?」

驚いて聞き返すと、陽翔が笑う。

「やっぱ気が付いて無かったか。俺が抱き着いたり甘えたりするのって、由羽人だけだっただろ? あれは由羽人のことが好きだったから、単にくっ付きたいだけだったんだ」

「…………」

余りの驚きにポカーンとする。
そんな俺に苦笑した後、陽翔が言葉を続けた。

「由羽人のこと好きになって、今まで自分がしてきたことに心底後悔した。後悔したと同時に、どうせなら過去の俺を利用して由羽人を手に入れたいって思ったんだ」

「……そんな、そんなことしなくても直に言ってくれれば……」
「OKしてた? あの時の由羽人は、俺のこと親友としてしか見てなかっただろ」

「あ……、そう……かも」

今から思えば好きだったんだって分かるけど、当時の俺は親友だと思い込んでいて、多分自分の気持ちに知らないうちに蓋をしていた。

「勢いに任せて由羽人に気持ちを伝えても、きっと却下されてギクシャクするようになるだけだって思ったんだよ」


そっか。
陽翔の俺へのの依頼は、陽翔の必死の告白だったんだ。
だから俺がキスを止めようって言った時、あんなに傷ついた顔をしたんだな。



「好きだよ、陽翔。陽翔は俺の大事な親友で、俺の大切な恋人だ」

「由羽人……、俺も、俺も大好き!」


飛びつくように俺を抱きしめる陽翔をキュッと抱きしめ返す。




綺麗で色っぽくてみんなから追い掛け回されていた俺の親友は、親友の関係はそのままに、俺だけの、俺1人だけの恋人へと変化したのだ。




☆☆☆☆☆☆☆☆


「陽翔―」

現在朝の7時40分。
帰りだけじゃなく、朝も一緒に登校したいという陽翔のたっての願いから、俺は学校に行く途中に少し寄り道をして陽翔を迎えに行くことになった。

ガチャリと玄関が開いて、中から綺麗な女の人が出て来た。

「もしかして由羽人君? ごめんなさいね、わざわざ寄ってもらって」
「あ……、い、いえ……」

もしかしなくてもこの人って陽翔のお母さん?
スッゲー美人!!

「こら!! 陽翔! 早く為さい! 待たせるんじゃないわよ!」

綺麗な顔とは似つかない、ドスの利いた声で陽翔を呼ぶお母さん。
いろんな意味でドキドキしていたら、奥の方からドカドカと足音が近づいてきた。

「待たせてゴメン!」
「ほんとよ、もう! あんまり待たせるようだったら、これからは由羽人君に先に行ってもらうわよ!」
「余計なこと言うなよ!」
 
文句を言いながらも、陽翔が靴を履いて玄関を飛び出した。

「行ってらっしゃい、陽翔、由羽人君!」
「おう」
「あ、……い、行ってきます」

綺麗なお母さんにニッコリと手を振りながら言われて、頬が熱くなった。

イイナ―、陽翔は。
あんな綺麗なお母さんが居て。


ギュムッ。

「イテ!」
突然横から手が伸びてきて、陽翔が俺のほっぺをツネっていた。
涙目になって陽翔を睨もうと顔を見ると、陽翔は既に拗ねた表情だ。

「あんなババアより、俺の方がいいだろ!」
「…………」

絶句した。
もしかしてマジで嫉妬してんの?


こんなに綺麗で色っぽい陽翔が、自分の母親にまで嫉妬している。

そう思ったらおかしくて、……そしてすごく愛しい。


「陽翔」

「……なんだよ」


「陽翔のことがもの凄く好き。大好き」

宣言するようにそう言うと、陽翔の顔が一瞬ポカンとした。

ポカンとして、綺麗で明るい笑顔へと変化していった。



「俺も、大好き」



このモテ過ぎる困った俺の親友は、きっと俺の隣に居続けてくれる。
俺の大切な、親友兼恋人として――




おしまい♪


陽翔「恋人兼親友だぞ?」
由羽人「あ、うん。そだね///」
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