俺の親友がモテ過ぎて困る

くるむ

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意味深な言葉

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「こら、陽翔!」

俺らの所にやって来た蒼空が、ぽかりと陽翔の頭を叩く。

「いくら付き合っているからって、いい加減開放してやれ。由羽人の耳……、どころか首まで真っ赤だぞ?」
「え?」

蒼空に指摘されて陽翔が俺の顔を見ようと体を離した。
きっと真っ赤っかだろう俺の顔を見て、陽翔が一瞬目を見開いた。……見開いて、その表情は苦笑したような楽しんでいるような、何とも言えない複雑な表情に変化していった。

「ごめん由羽人。……由羽人がシャイなのは分かってるんだけど……」

そう言いながら陽翔が俺の唇をゆっくりと撫でる。
その撫で方が凄く意味深で色っぽくて、俺の心臓がまた激しく動き出した。

「は、はる……陽翔」


ボカッ!

「って……!」

「いい加減にしろ! そろそろ教室に入るぞ!」
「蒼空ぁ」

少し強く叩かれたんだろう。陽翔が頭を撫でながら、涙目で蒼空を見上げた。
蒼空はそれに『しょーが無いなぁ』と言う顔をして、スッと俺らに顔を寄せた。

「過剰演技は後々タタるぞ?」

ボソッと小さく囁くように話す蒼空。
さらに意味深に真顔になる蒼空の表情に、クッと何かが俺の奥に刺さった。
陽翔は陽翔でピクンと片眉を上げ、一瞬その表情を固める。


「さ、そろそろ教室入ろうぜ! 俺ら、みんなの注目の的になってるし」

さっきの蒼空とはうって違う明るく大きな声で蒼空が言った。そして俺らの両肩をポンと叩く。


「……おう」

蒼空に言われて陽翔がおとなしく俺から離れて教室へと歩き始めた。俺も倣って後に続いて気が付いたんだけど、本当に俺らは注目の的だったらしい。クラスのほとんどが廊下の方に顔を向けていた。

「後でな」
「あ、うん」

自分の席に向かいながら、陽翔が俺の肩をポンと叩いた。そして自分の席へと向かっていく。
蒼空も片手を上げて合図をして、陽翔同様自分の席へと歩いて行った。


席に着いてチラリと陽翔を盗み見てみると、朝に弱い陽翔らしく背もたれに凭れかかりながら欠伸をかみ殺している。
蒼空も蒼空で通常通りだ。席に着いた彼は、教科書を出して授業の準備をしている。そしてついでに教科書まで開き始めた。


余りにも普段通りの友人たちに肩透かしを食らったような気分になる。
その姿はまるでさっきの廊下での意味深なやり取りなんて、もう忘れてしまっているかのようだ。



俺はまだ、俺1人がまださっきの意味深すぎる蒼空の発言を、どう受け止めたらいいのか分からずに悩んでいた。
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