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恋をしていた
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「よー、由羽人。陽翔ー」
廊下の向こうから、大きく手を振りながら蒼空が登校してきた。
「蒼空だ!」
遅いよ蒼空ー!
俺の精神安定剤!
陽翔と偽装恋愛をし始めてから、俺の精神状態は乱高下している。
陽翔は偽装工作とばかりに他のみんなにイチャイチャしているところを見せつけようと画策するものだから、されてる俺はフリでの行為だと分かっているのに、それでもドキドキすることを止められない。
……これって、マジで不味い気がするんだよな……。
とにかく!
俺が拙いことにならないうちに、早く精神状態を戻さねばと蒼空に向かって早く来いと手招きをした。
……んだけど、なぜだか急に俺を抱きしめていた陽翔の腕の力が強くなった。
「陽翔?」
抱きしめられて腕の中に顔が埋まったせいで声がくぐもる。
「……お前さー」
耳元で吹き込むように囁かれ、ぞくりと背筋を何かが駆け上がった。
ピクン!
み、耳!!
耳に柔らかいものが……っ
うわあああ~陽翔ぃ!!!
み、耳に唇くっつけんなぁ!!!
叫ぶに叫べず俺は心の中で喚きながら体を強張らせ、陽翔の腕をギュウッと掴む。
だけど俺の心の声に気が付くはずもない陽翔は、さらに吐息交じりの声で俺を非難した。
「……お前、誰の恋人だと思ってんだよ……?まさか、蒼空のこと俺より好きだって……言わないよな?」
は、はああっ!?
んなわけないじゃん!
蒼空に同じことされても、こんなドキドキなんてするわけないだろ!
俺は……!
……え?
俺……?
拙いと思ってなるべく深く考えては駄目だと思っていたことが、俺の心の奥深くからムクリと顔を上げ始めた。
俺の中で一番大事で、……そして何よりも、振り回されてもどんなことがあっても守りたいと思っていたこの俺の親友に、俺はそれだけではない別の思いを抱いていたことにうっかり気付いてしまった。
俺は、きっと知らないうちに、
陽翔への思いが溢れださないようにと、心に蓋をしていたんだ。
俺は本当は、ずっと前から陽翔に恋をしていた――
廊下の向こうから、大きく手を振りながら蒼空が登校してきた。
「蒼空だ!」
遅いよ蒼空ー!
俺の精神安定剤!
陽翔と偽装恋愛をし始めてから、俺の精神状態は乱高下している。
陽翔は偽装工作とばかりに他のみんなにイチャイチャしているところを見せつけようと画策するものだから、されてる俺はフリでの行為だと分かっているのに、それでもドキドキすることを止められない。
……これって、マジで不味い気がするんだよな……。
とにかく!
俺が拙いことにならないうちに、早く精神状態を戻さねばと蒼空に向かって早く来いと手招きをした。
……んだけど、なぜだか急に俺を抱きしめていた陽翔の腕の力が強くなった。
「陽翔?」
抱きしめられて腕の中に顔が埋まったせいで声がくぐもる。
「……お前さー」
耳元で吹き込むように囁かれ、ぞくりと背筋を何かが駆け上がった。
ピクン!
み、耳!!
耳に柔らかいものが……っ
うわあああ~陽翔ぃ!!!
み、耳に唇くっつけんなぁ!!!
叫ぶに叫べず俺は心の中で喚きながら体を強張らせ、陽翔の腕をギュウッと掴む。
だけど俺の心の声に気が付くはずもない陽翔は、さらに吐息交じりの声で俺を非難した。
「……お前、誰の恋人だと思ってんだよ……?まさか、蒼空のこと俺より好きだって……言わないよな?」
は、はああっ!?
んなわけないじゃん!
蒼空に同じことされても、こんなドキドキなんてするわけないだろ!
俺は……!
……え?
俺……?
拙いと思ってなるべく深く考えては駄目だと思っていたことが、俺の心の奥深くからムクリと顔を上げ始めた。
俺の中で一番大事で、……そして何よりも、振り回されてもどんなことがあっても守りたいと思っていたこの俺の親友に、俺はそれだけではない別の思いを抱いていたことにうっかり気付いてしまった。
俺は、きっと知らないうちに、
陽翔への思いが溢れださないようにと、心に蓋をしていたんだ。
俺は本当は、ずっと前から陽翔に恋をしていた――
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