俺の親友がモテ過ぎて困る

くるむ

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絶対、絶対守るから! でも怖い……

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そして翌朝の登校時、いつも途中で合流する蒼空とは今日は会えなくて、俺は1人で登校した。
一瞬、蒼空が学校を休むのか?とも思ったが、こういうことは稀だけどあるから多分そう心配することも無いだろうと思い直した。

ただ、俺が陽翔と付き合っているという情報が飛び交っているせいか、学校に近づくにつれて殺気に満ちた視線がグサグサと俺を貫いてくる。

「はあ……」

のろのろと教室まで向かっていると、ドカドカと足音が近づいてくる。

「おい!」

後ろから呼ぶ声がしたので振り返った。……振り返って後悔した。
だってさ……。

眉間にしわを寄せ、目を吊り上げた他のクラスの奴らが数人俺を睨みつけてるんだぞ。
その迫力と言ったら……。

「お前だろ。苺谷由羽人ってのは」
「……そうだけど」

ちょっと、……いやかなりビビりはしてるけど、飲まれないようにと拳を握る。

「お前つい最近まで陽翔の友人だった奴だよな。恋愛っぽい雰囲気も何も無かったのに、何で急に恋人になんてなってんだよ」

「いや、だってそれは……」
「ああ? なんだよ、はっきり言えよ」

陽翔が心配していたことが現実になっている。
もしもここで、俺が陽翔の為に恋人のフリをしているなんてことがバレでもしたら、陽翔が余計嫌な目に合ってしまうかもしれない。
どんなことがあっても、それだけはバレては駄目だ。

「し、しょうがないだろっ。片思いだって諦めてたし、……それに、陽翔に俺の気持ちがバレたら傍にもいられなくなるんじゃないかって思ってたから、顔に出ないようにって俺も必死だったんだよ」

バレちゃだめだ、バレちゃだめだってその思いで必死で言葉を紡ぐ。おかげで、俺の心臓は恐ろしいくらいの早鐘を打っている。

「……っ!」

いきなり肩を掴まれて壁に押し付けられた。

「ふざけたこと言ってんじゃねーぞ、てめえ。俺らが必死に陽翔と近づこうとしている間も、お前はそんな姑息な思いで陽翔の傍に居たのかよ」
「し、しょうがないだろぉ……」

「なんだとおっ!!」

うわー、何で怒るんだよ、しかも姑息ってなんだよ!?
俺は俺で必死なんだ!!

目の前の男の顔が、恐ろしいくらい怖い顔になる。握る拳もプルプルと震え、今にも殴りたいのを我慢していると言った風情だ。

うあー!
何でこんな時に蒼空がいないんだよー!
助けて蒼空―!!




「俺の恋人に、なにいちゃもん付けてんの?」


――え?

陽翔?

さっきまで俺に怒りをぶつけていたこいつらも、陽翔の突然の登場に、固まりザワザワし始めた。


怒りのオーラを身にまといながら俺の所に歩いてきた陽翔が、スッと手を伸ばして俺の顎を取った。

え?と思う間もなく、俺の視界は陽翔のドアップに塞がれていた。
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