俺の親友がモテ過ぎて困る

くるむ

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見られてる……

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「じゃあ、蒼空に頼まれたお茶を買って戻ろうか」
「あ、そうだよ。早く戻らなきゃ!」

ん?

くいっと引っ張られる感覚に我に返った。

うわわ、さっきから陽翔と手を繋いだままになってる。

「行こう」
「あ、あの陽翔」

俺は繋がれた手と陽翔の顔を交互に見ながら、暗に手を放してくれと訴える。一瞬怪訝な顔をした後、俺の言いたいことに気が付いた陽翔が意地悪そうに微笑んだ。

「ダーメ。こっからもうは始まってんだから。いちいち付き合ってるって俺らから言いふらさなくても、手を繋いで歩いてたって噂が広まれば、自然と俺が由羽人と付き合い始めたって知れ渡るだろ」

「…………」

「それとも、肩でも抱いて歩く?」
「手つなぎでお願いします!」

間、髪を容れずに切り返した俺に陽翔が片眉を上げた。だけどすぐに苦笑するように微笑んで、俺を引っ張り自販機のある売店近くへと歩き始めた。


……見てる。
ジロジロ見られてるよ陽翔……。

ペットボトルを片手に2つ持ち、俺の手を握る左手。
楽しそうにゆらゆら繋いだ手を揺らしながら歩く陽翔に、通り過ぎていくみんながギョッとしたように繋がれた手をガン見していく。
そしてその目を俺や陽翔の顔に移動するものだから、俺の顔は恥ずかしさのあまり火が出てるんじゃないかと勘違いするほど熱くなってきた。

「可愛いなあ、由羽人」
「…………」

「真っ赤な顔が、すごく可愛い」
「……っ、陽翔っ!」

誰のせいだ、誰の!

余りにも恥ずかしくて陽翔をギッと睨んだのに、目が合った陽翔はとても楽しそうな顔をする。
何で頼まれた俺の方がこんなに恥ずかしい思いをしないといけないんだ!?

……理不尽感は半端ないけど、俺はジロジロ見られることに耐えられなくて、陽翔に引っ張られる形で教室に着くまで下を向いて歩き続けた。
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