俺の親友がモテ過ぎて困る

くるむ

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プロローグ 前編

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由羽人ユウトー、蒼空ソラ。お前らやっぱ早いなー」
陽翔ハルヒ、おはよう。早いね今日は」
「あ、ホントだ。珍しい」

怠そうな表情で俺らに近づいてくる陽翔。
こんなダレた表情でも、朝日を浴びた陽翔の姿は無駄にキラキラ輝いている。
女の子なら誰でも……、いや、陽翔の場合は男女構わず誰でもがその綺麗な容姿に目が行くだろう。

だけど陽翔の凄いところはその容姿だけじゃない。……うまく言えないけど、表情がどことなく色っぽくて、友達の俺でさえドキドキさせられることが度々あるんだ。

「うん。ばばあにいつまで寝てんだ!って蹴飛ばされた」
「うわ、マジか。あの綺麗なお母さんがそんなことするのか」

俺と蒼空は登校時間がほぼ同じなので、途中で自然に合流して一緒に登校している。
陽翔は朝に弱いので、たいていは遅刻ギリギリに駆け込んでくる。この時間に登校してくるのは初めてじゃないのかな?

「あ~、マジダリい。由羽人~、おんぶしてー」

そう言いながら、陽翔が俺の背後から抱き着いてきた。

陽翔は結構スキンシップ好きで、友達に対してのこういうスキンシップは当たり前だと感じているらしい。
高校に入って初めて友達になった時、急に抱き着かれたときはかなり戸惑ったけれど、「友達なら普通だと思ってた。由羽人が嫌ならやめるけど……」と、まるで叱られた子犬みたいな表情で言われたときは俺の方が何か悪いことをしてしまったような気になっちゃって、あれからはこういうスキンシップも陽翔の友情表現だと思って受け止めようと心掛けている。

「ちょっと、陽翔。重いだろぉ」

俺に引きずられるように歩いてはいるのだろうけど、ほぼ全面的に体重を預けられているせいで歩きにくい。
文句を言うと、さらにギュウッと抱き着いてきた。

「陽翔ってば、聞いてんの?」

呆れながら文句をさらに言うと、隣の蒼空が忍び笑いを始めた。

「ホントになあ。陽翔、由羽人に甘えすぎだろ」
「なんでだよ。いいだろ? 俺ら親友なんだから」
「……悪くは無いけど、もうちょっと自分で歩けないの?」
「眠い……」

俺が重い、重いと文句を言った成果か、陽翔も体重を預ける加減を考えて歩き始めた。
傍から見たらきっと変な感じなんだろうけど、止める気のなさそうな陽翔に観念して、俺はそのまま陽翔を引きずりながら歩き続けた。

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