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9巻
9-2
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「あら、タクマ。もう用事は終わったの?」
「ああ。後はヒュラたちが決める事だしな。俺たちは見守るだけさ」
ヒュラたちはお弁当を作ってもらった時に夕夏に精霊の事を伝えていたので、夕夏も大体の事情は察していた。
「そうね。何でもやってあげる歳じゃないでしょうから、それで良いんじゃない? 私たちは、彼らが道を間違えないように注意するだけで良いと思うわ」
夕夏はそう言うとタクマからユキを受け取り、そのまま出掛けていった。
その後、食事を済ませたタクマは執務室に向かった。
「さて、コラル様にも言われたが、そろそろ自分の結婚式の事もしないとな。まあ、式自体は周りがやってくれているから、俺は手の出しようがないんだよな……さて、どうするか」
タクマが自分にできる事を考え始めようとすると、ノックの音がした。
入ってきたのはアークスで、その表情はなぜか硬かった。
「タクマ様。ヒュラたちから本格的な戦闘訓練を受けたいと言われたのですが……良いのですか?」
「ヒュラたちがやりたいなら良いと思うぞ。本格的な戦闘訓練をやるからといって、戦闘職に就くわけではないし」
「ええ。それは彼らの希望を聞いたので分かります。ただ、戦闘訓練は人を傷つける危険があります。その辺はどうお考えなのでしょうか?」
アークスは厳しい表情でタクマに尋ねた。彼はヒュラたちの変化に、少し戸惑っているようだった。
「落ち着け、アークス。お前らしくもない。あの子たちは敵を倒すために戦闘訓練するわけじゃない。精霊を守るために戦闘技術が必要だから、今以上の訓練を受けたいと言っているんじゃないか?」
まだ子供とはいえ、行動範囲が広がった彼らはいつトラブルに遭うか分からない。守られるだけでは嫌だと思うのは悪い事ではないと、タクマはアークスに説明した。
「それは……そうかもしれません」
アークスは徐々に冷静さを取り戻していった。
「……ヒュラたちは家族と精霊を守りたいと言っていましたね。確かに誰かを守るためには、力が必要です。そうですか……守るためならば、道を間違える事はないでしょう。分かりました。あの子たちの覚悟を見たうえで、私の持つすべてを彼らに叩き込む事にしましょう」
アークスの表情は執務室に来た時とは違い、晴れ晴れとしていた。
◇ ◇ ◇
しばらくして、庭で大きな声が響く。
タクマが窓から見てみると、アークスが動きやすい格好で立っており、ヒュラたちと模擬戦をしていた。
剣を構えるヒュラたちに対し、アークスはいっさい武装していない。
模擬戦自体はよくやっているが、アークスの雰囲気はいつもと違う。彼はヒュラたちに誰かを守る事の厳しさを分からせるつもりなのだ。
ヒュラたちもそれを感じ取り、真剣な表情をしている。
「いつでもいいですから、かかってきなさい。あなたたちの覚悟を見せてもらいます」
アークスがそう言うと、ヒュラたちは向かっていった。
ヒュラがアークスの正面に立ち、他の子たちがアークスの死角に移動する。アークスは子供たちの位置を目で追うだけで動かない。
しかし、ヒュラたちは攻撃を仕掛けられなかった。
アークスに隙がなく、飛び込む事ができないのだ。
「どうしました? 来ないと訓練になりませんよ。まあ、今回は力の差を分かってもらうだけですので、こちらからいきましょう」
そう言った瞬間、アークスはヒュラに足払いをする。アークスの動きにヒュラは何もできずに地面に転がされた。
そこからは一方的な展開だった。
アークスは何度も立ってくる子供たちを転ばせ続けた。
「まだ撫でた程度ですよ? あなたたちの覚悟はそんなものですか? それでは大切な人を守るなど到底できませんよ」
アークスは厳しい言葉をヒュラたちにぶつける。
ヒュラたちは歯を食いしばって立ち上がり続けた。
それから十五分後。
アークスの足元には疲れ果てて動けなくなったヒュラたちが転がっていた。ヒュラたちはアークスに手も足も出なかった。
「良いでしょう……戦闘訓練に耐える最低限の根性はあるようです。明日から本格的な訓練を始めます」
アークスはそう言うと踵を返して自宅へ歩きだし、タクマの方に目を向けて頭を下げた。
タクマがヒュラたちの所へ向かう。
そして彼らを回復させながら尋ねる。
「どうだった? アークスは強かったか?」
ヒュラたちは生まれて初めて、徹底的に打ちのめされる経験をした。そうして自分たちが目指したものがどれだけの高みにあるかを知った。
「強かった……それに怖かった」
アークスが怖かっただけではない、力を持つ事の恐ろしさを彼らは理解したのだ。
「怖かったか……確かに怖いだろうな。力は使い方を間違えれば暴力になる。だが、精霊たちや家族を守るためには必要だ。だったら、その力をしっかりと使えるように勉強しなきゃな」
タクマは優しく語りかけた。
ヒュラたちは顔を上げて頷く。
「うん! ちゃんと力の使い方を勉強する! しっかりと強くなって、今度は僕たちがお父さんたちを守るんだ!」
ヒュラの言葉に、タクマは笑みを浮かべた。
「そうか……俺も守ってくれるのか。お前たちが俺を守れるくらいに強くなるのを、楽しみに待っているよ」
そう言ってタクマは、ヒュラたちの頭を優しく撫でる。
「さあ、そろそろ動けるようになっただろう? 家に帰ろう」
タクマは五人を立たせると、一緒に自宅へ戻っていくのだった。
3 突然の来訪者
昼を少し過ぎた頃。
タクマが執務室にいると、遠話のカードが光る。
「タクマ殿。コラルだ。今からこちらへ来られないか? エルフの件から数日経って、少しは休めただろう? そろそろ打ち合わせをしたいのだ」
コラルは結婚式について話したいらしい。
「分かりました。すぐに行かせてもらいます。夕夏も一緒の方が良いですか?」
式の事なら夕夏も一緒の方が良いだろうとタクマは考えたが、コラルはタクマだけで良いと言う。
タクマは訝しげに思いながらも、コラルの邸宅へ向かう事にした。
空間跳躍でコラルの邸に跳ぶと、使用人が待ち構えていた。いつもよりも彼らの雰囲気はピリピリしている。
「タクマ様。応接室にコラル様がお待ちです。それと……打ち合わせに同席するお方がいらっしゃいます」
使用人の言い回しで、タクマはピンと来た。
タクマは深いため息をつく。
「お方……ねぇ……まさかとは思うけど……」
タクマが思いついた人の名前を口に出そうとすると、使用人は慌ててタクマに移動を促す。
「あ、あの、とにかくお待ちですから行きましょう!」
応接室に到着する。
コラルの向かいには、呑気にお茶を飲む王様、パミルの姿があった。
「おお! タクマ殿! 相変わらず大暴れしているようだな!」
まるで自分の家にいるかのようにリラックスしているパミルに、タクマは呆れた視線を向けながら話しかける。
「俺は今日、結婚式の打ち合わせをするためにここへ来たのですが……なぜパミル様が?」
疲れた表情のコラルが説明しようとしたが、パミルが口を挟む。
「うむ! タクマ殿の結婚式には、我ら王家も出席させてもらうからな! それを伝えようと思って来たのだ」
タクマはコラルに向かって言う。
「……えーと、コラル様。パミル様は王という立場上、俺の結婚式に出るのは無理だと考えていたのですが、大丈夫なのでしょうか? 凄まじく厄介事の匂いがしますが……」
パミルにも聞こえていたはずだが、パミルはどこ吹く風でお茶を飲んでいる。
コラルはこめかみを押さえながら言う。
「大丈夫なわけがなかろう。王がこうして王都を離れているのも表に出せん事だし、結婚式に出るなど、国の安全を考えても許可できん。だが、何を言っても聞かんのだ……」
コラルは深くため息をつくと、さらに続けた。
「結論から言えば、すでに出席する事になっておる。それで式当日は、パミル様を始めとした王家に連なる方々には魔道具で変装してもらう。これは参加するなら絶対にやってもらう事だ。だが、何があるか分からないので、さらに対策をせねばならん」
それからコラルは、その対策案について詳しく話し始めた。
せっかくやるならトーラン全体を安全にしたいとの事で、トーラン旧市街にあるダンジョンコアを使い、トーラン全体に結界をかけるという大掛かりなものだった。
「これなら結婚式の時だけではなく、今後さらに町を安全にする事ができる。タクマ殿の使う結界はいろいろ仕掛けられそうなので、できれば頼みたいのだ」
タクマはため息交じりに返答する。
「なるほど。それは面白そうですが……できるかどうかは実際に確認してみないと分からないですね」
「ああ、それは後で報告をくれれば良い。今日は君の結婚式の日程を話したうえでこの話をしたかったのだがな……まさか、王が突撃してくるとは……」
疲れた顔をしたコラルはそう言ってパミルに冷たい視線を向けるが、パミルは涼しい顔でお茶を啜っていた。
しかし、そんな呑気な時間も終わりとなる。
パミルの背後から、ある男が現れたからだ。
男はパミルの真後ろに立つと、パミルの頭に向かって固めた拳を振り下ろす。
ゴン!
鈍い音が鳴り響き、パミルは悶絶した。
「良いご身分ですな……私の許可も得ずにトーランに跳ぶとは」
パミルに拳骨を浴びせたのは、宰相のザインだ。
怒りに身を震わせたザインはいったん落ち着いてからコラルたちの方へ顔を向けると、そのまま頭を深く下げた。
「コラル・イスル侯爵、タクマ殿。ご迷惑をおかけしたようで申し訳ない」
「いえ。あなたが悪いわけではないのですから、謝罪はその辺で……」
コラルは慌ててそう応えると、タクマに向かって言う。
「タクマ殿。我々は王と話さなければならない事があるので、今日のところは戻ってもらって良いだろうか。私から呼んだのに本当に申し訳ない」
コラルはこれから王に説教をするようだ。
タクマは反論する事なく、辞去する事にした。パミルはタクマに助けてほしそうな顔をしていたが、タクマは華麗にスルーして邸宅の外に出た。
◇ ◇ ◇
「さて、パミル王の登場で、打ち合わせがなくなってしまったな……」
タクマは家には帰らず、トーランの町に向かう事にした。
トーランの町には相変わらず活気があり、様々な声が響いている。町をブラブラしていると、向かいからユキを抱いた夕夏が歩いてきた。
「タクマ、どうしたの?」
「ああ……コラル様の所で式の打ち合わせをする予定だったんだが、予想外の人が来てしまってな。結局、やる事がなくなったんだ」
タクマがそう話すと、夕夏は何か思いついたように口にする。
「ねえ、時間があるなら結婚の挨拶をしに行かない? 私にはこの時代に知り合いはいないからいいけど、あなたは違うでしょ? 挨拶回りをして式に招待したら、喜んでもらえるんじゃないかしら」
「挨拶回りか……まあ、招待するといっても、この町以外だとメルトに知り合いがいるくらいだけどな。一応結婚式には来てもらうつもりだから、正式に報告しておくか」
すると、夕夏はすぐに行動に移そうとする。
「だったら今すぐ行きましょう! 待ってて。戻って話をしてくるから」
夕夏はユキをタクマに預けると、走っていってしまった。きっと、一緒に行動していた同じ日本人のミカに話しに行ったのだろう。彼女たちは最近、式の衣装作りのために奔走しているのだ。
「まったく……忙しないな。でも夕夏の言う通り、正式に報告したうえで式に招待した方が良いだろうな」
「あうー?」
タクマはユキをあやして夕夏を待った。すると十分もしないうちに戻ってきた。
「お待たせ。じゃあ、さっそく行きましょう」
「ああ、ここで跳ぶわけにもいかないから、いったん町を出よう」
タクマたちはトーランの町を出て人気のない林に入って空間跳躍で跳んだ。そして、メルトの近くに着くと、そのまま歩いて町に入る。
4 挨拶回り
メルトは元門番のカイルを迎えに来て以来だが、タクマはひどく懐かしく感じた。
道中、彼は夕夏に、ヴェルドミールに来て初めてたどり着いた町がメルトだと説明する。さらに、ここであった事件について細かく話した。
「……そうなの。そんな事があったのね。でも、その女の子は大丈夫なのかしら?」
事件とは、タクマがこの町の宿「止まり木亭」の看板娘、アンリに迷惑をかけてしまったというものだ。
当時粗暴だったタクマは、宿で暴れた悪漢を一方的に痛めつけ、結果としてアンリを始めとした多くの人を怯えさせてしまったのだ。
タクマは夕夏に向かって言う。
「身体の傷は治してあげたが、心の傷は分からないな。当時はすぐに町を出てしまったから」
「……じゃあ、後で顔を出してみましょ。お世話になったのなら会っておかなくちゃね」
しばらくして教会に到着した。
教会の入り口では、シスターのシエルが掃除をしている。
「あら、タクマさんじゃないですか! お元気でしたか?」
出会ったばかりの時と変わらない優しい笑みで、タクマを迎えるシエル。彼女はすぐに夕夏とユキの存在に気がついた。
「タクマさん、その女性とお子さんは……」
「彼女は俺の妻になる夕夏と言います。この子はユキ。俺たちが引き取りました」
タクマが紹介すると、夕夏とユキがそれぞれ言う。
「初めまして、夕夏です。シエルさんですね。彼がとてもお世話になったと伺っています」
「あうあうあー!」
すると、シエルは嬉しそうな表情を浮かべる。
「タクマさん、このヴェルドミールで伴侶を見つけたのですね!」
その後、タクマたちは教会の応接室へ通された。お茶を用意してくれたシエルに、タクマはさっそく切りだす。
「実は、俺たちの結婚式に来ていただけないかと思いまして……」
式に招待したい旨を伝えると、シエルはすぐに応じてくれた。
こうして用事はあっさり終わったのだが、シエルはタクマの今の生活が気になっているようだったので、その後しばらく雑談するのだった。
「それじゃあ、式の日取りが決まったら知らせに来ますね」
「ええ。待っていますよ。タクマさん、夕夏さん、本当におめでとう」
笑顔のシエルに見送られたタクマたちは、その足で止まり木亭に向かった。
しかし、タクマの足取りは重い。どうやらあまり良い別れができていなかったのを気に病んでいるらしい。
夕夏がタクマを叱りつけるように言う。
「もう! 今さら気にしてどうするのよ? たとえ許してもらえなくても、謝る事は必要でしょ!?」
夕夏はタクマの手をグイグイと引っ張っていった。
◇ ◇ ◇
あっという間に止まり木亭に到着する。
そこはタクマが以前来た時のままだった。大きいわけではないが、清潔感のある良い宿だ。タクマはその外観を見てしんみりしてしまった。
宿の前で立ち止まっていると、中から一人の女の子が出てくる。そしてタクマに気がつき、花が咲いたような笑顔で走り寄る。
「タクマさん! タクマさんじゃないですか!」
宿の看板娘のアンリだ。
タクマは慌てて口を開く。
「げ、元気だったか? ……あの時は逃げるように出ていってしまってすまなかった。それと俺のせいで……」
タクマがいきなり謝ると、アンリは首を横に振る。
そして一瞬口ごもってから告げる。
「……もういいんです。確かにあの事件の後は人が怖くなりました。だけど、タクマさんのせいじゃありません。それよりも助けてくれたお礼を言えなくて、私悲しかったんですから」
それからアンリは事件後の事を話した。
人前に出る事さえできなくなった彼女。しかし、タクマが町から出ていく手続きをしたという男性からタクマの様子を聞き、次第に明るさを取り戻していったという。
「そうか。俺の事を気にしてくれてありがとう。俺もずっと気がかりだったんだ。だが、あんな別れ方をしたものだから近寄りづらくてな」
タクマは照れくさそうに言う。
アンリは彼の後ろに夕夏とユキがいる事に気づいた。
「あれ? そちらの女性と赤ちゃんは?」
「ああ。今日はあの時の謝罪とは別に、大事な話があって来たんだ。スミスさんとカナンさんがいるなら一緒に聞いてほしいんだが……」
それだけ聞いてピンと来たアンリは、宿の中に向かって大声を上げる。
「お父さんお母さん、来て! タクマさんが来ているの!」
すぐにアンリの父親のスミスと母親のカナンが出てくる。二人はタクマの顔を見るやいなや涙を流した。
スミスが涙声で、タクマに告げる。
「タクマさん! あの時は本当に申し訳なかった! 君は何も悪くないのに、私たちは恐怖を感じてしまって……ずっと謝りたかったんだ。本当にすまん!」
スミスはひざまずいたが、タクマは慌てて立たせる。
「いえ、謝るのは俺の方です。あの時俺は力の使い方を制御できなくて……そのせいであなたたちにご迷惑を……こちらこそすみませんでした」
タクマは改めて当時の事を謝罪した。
続いて彼は今日訪れた理由を話す。
「実は俺も伴侶を得まして……謝罪と一緒に結婚の挨拶に伺ったんです」
タクマに促されるように夕夏が言う。
「初めまして。タクマさんの妻になる夕夏です。その節は彼がご迷惑をおかけしたようで……私からも謝罪をさせてください。本当にすみませんでした」
深々と頭を下げる夕夏に、三人は恐縮してしまうのだった。
その後、タクマたちは宿の中へ案内された。
入ってすぐにあったのは、かつてタクマとヴァイスが食事をした食堂だった。タクマはとても懐かしく感じる。
「どうしたの? やっぱり懐かしい?」
尋ねてきた夕夏に、タクマは返答する。
「ああ、そう感じるよ。ヴェルドミールに来てから初めて泊まった場所だしな」
全員が席に着くと、スミスが口を開いた。
「タクマさんが結婚か……君はとても強かったが、どこか脆そうな感じがしていた。だが、今はそれがない。きっと伴侶を得て変わったんだろうな」
タクマが首を横に振って言う。
「それだけじゃないんです。俺にはたくさんの家族ができたんです。夕夏と、他の家族たちが俺を変えてくれたんですよ」
それからタクマは家族の事を話していった。
異世界に来たばかりの時の彼しか知らなかった三人はとても驚いていた。人を遠ざけがちだったタクマが、孤児や行き場所のない者たちを引き取っているとは想像できなかったのだ。
スミスがタクマに抱かれたユキに視線を向ける。
「ああ。後はヒュラたちが決める事だしな。俺たちは見守るだけさ」
ヒュラたちはお弁当を作ってもらった時に夕夏に精霊の事を伝えていたので、夕夏も大体の事情は察していた。
「そうね。何でもやってあげる歳じゃないでしょうから、それで良いんじゃない? 私たちは、彼らが道を間違えないように注意するだけで良いと思うわ」
夕夏はそう言うとタクマからユキを受け取り、そのまま出掛けていった。
その後、食事を済ませたタクマは執務室に向かった。
「さて、コラル様にも言われたが、そろそろ自分の結婚式の事もしないとな。まあ、式自体は周りがやってくれているから、俺は手の出しようがないんだよな……さて、どうするか」
タクマが自分にできる事を考え始めようとすると、ノックの音がした。
入ってきたのはアークスで、その表情はなぜか硬かった。
「タクマ様。ヒュラたちから本格的な戦闘訓練を受けたいと言われたのですが……良いのですか?」
「ヒュラたちがやりたいなら良いと思うぞ。本格的な戦闘訓練をやるからといって、戦闘職に就くわけではないし」
「ええ。それは彼らの希望を聞いたので分かります。ただ、戦闘訓練は人を傷つける危険があります。その辺はどうお考えなのでしょうか?」
アークスは厳しい表情でタクマに尋ねた。彼はヒュラたちの変化に、少し戸惑っているようだった。
「落ち着け、アークス。お前らしくもない。あの子たちは敵を倒すために戦闘訓練するわけじゃない。精霊を守るために戦闘技術が必要だから、今以上の訓練を受けたいと言っているんじゃないか?」
まだ子供とはいえ、行動範囲が広がった彼らはいつトラブルに遭うか分からない。守られるだけでは嫌だと思うのは悪い事ではないと、タクマはアークスに説明した。
「それは……そうかもしれません」
アークスは徐々に冷静さを取り戻していった。
「……ヒュラたちは家族と精霊を守りたいと言っていましたね。確かに誰かを守るためには、力が必要です。そうですか……守るためならば、道を間違える事はないでしょう。分かりました。あの子たちの覚悟を見たうえで、私の持つすべてを彼らに叩き込む事にしましょう」
アークスの表情は執務室に来た時とは違い、晴れ晴れとしていた。
◇ ◇ ◇
しばらくして、庭で大きな声が響く。
タクマが窓から見てみると、アークスが動きやすい格好で立っており、ヒュラたちと模擬戦をしていた。
剣を構えるヒュラたちに対し、アークスはいっさい武装していない。
模擬戦自体はよくやっているが、アークスの雰囲気はいつもと違う。彼はヒュラたちに誰かを守る事の厳しさを分からせるつもりなのだ。
ヒュラたちもそれを感じ取り、真剣な表情をしている。
「いつでもいいですから、かかってきなさい。あなたたちの覚悟を見せてもらいます」
アークスがそう言うと、ヒュラたちは向かっていった。
ヒュラがアークスの正面に立ち、他の子たちがアークスの死角に移動する。アークスは子供たちの位置を目で追うだけで動かない。
しかし、ヒュラたちは攻撃を仕掛けられなかった。
アークスに隙がなく、飛び込む事ができないのだ。
「どうしました? 来ないと訓練になりませんよ。まあ、今回は力の差を分かってもらうだけですので、こちらからいきましょう」
そう言った瞬間、アークスはヒュラに足払いをする。アークスの動きにヒュラは何もできずに地面に転がされた。
そこからは一方的な展開だった。
アークスは何度も立ってくる子供たちを転ばせ続けた。
「まだ撫でた程度ですよ? あなたたちの覚悟はそんなものですか? それでは大切な人を守るなど到底できませんよ」
アークスは厳しい言葉をヒュラたちにぶつける。
ヒュラたちは歯を食いしばって立ち上がり続けた。
それから十五分後。
アークスの足元には疲れ果てて動けなくなったヒュラたちが転がっていた。ヒュラたちはアークスに手も足も出なかった。
「良いでしょう……戦闘訓練に耐える最低限の根性はあるようです。明日から本格的な訓練を始めます」
アークスはそう言うと踵を返して自宅へ歩きだし、タクマの方に目を向けて頭を下げた。
タクマがヒュラたちの所へ向かう。
そして彼らを回復させながら尋ねる。
「どうだった? アークスは強かったか?」
ヒュラたちは生まれて初めて、徹底的に打ちのめされる経験をした。そうして自分たちが目指したものがどれだけの高みにあるかを知った。
「強かった……それに怖かった」
アークスが怖かっただけではない、力を持つ事の恐ろしさを彼らは理解したのだ。
「怖かったか……確かに怖いだろうな。力は使い方を間違えれば暴力になる。だが、精霊たちや家族を守るためには必要だ。だったら、その力をしっかりと使えるように勉強しなきゃな」
タクマは優しく語りかけた。
ヒュラたちは顔を上げて頷く。
「うん! ちゃんと力の使い方を勉強する! しっかりと強くなって、今度は僕たちがお父さんたちを守るんだ!」
ヒュラの言葉に、タクマは笑みを浮かべた。
「そうか……俺も守ってくれるのか。お前たちが俺を守れるくらいに強くなるのを、楽しみに待っているよ」
そう言ってタクマは、ヒュラたちの頭を優しく撫でる。
「さあ、そろそろ動けるようになっただろう? 家に帰ろう」
タクマは五人を立たせると、一緒に自宅へ戻っていくのだった。
3 突然の来訪者
昼を少し過ぎた頃。
タクマが執務室にいると、遠話のカードが光る。
「タクマ殿。コラルだ。今からこちらへ来られないか? エルフの件から数日経って、少しは休めただろう? そろそろ打ち合わせをしたいのだ」
コラルは結婚式について話したいらしい。
「分かりました。すぐに行かせてもらいます。夕夏も一緒の方が良いですか?」
式の事なら夕夏も一緒の方が良いだろうとタクマは考えたが、コラルはタクマだけで良いと言う。
タクマは訝しげに思いながらも、コラルの邸宅へ向かう事にした。
空間跳躍でコラルの邸に跳ぶと、使用人が待ち構えていた。いつもよりも彼らの雰囲気はピリピリしている。
「タクマ様。応接室にコラル様がお待ちです。それと……打ち合わせに同席するお方がいらっしゃいます」
使用人の言い回しで、タクマはピンと来た。
タクマは深いため息をつく。
「お方……ねぇ……まさかとは思うけど……」
タクマが思いついた人の名前を口に出そうとすると、使用人は慌ててタクマに移動を促す。
「あ、あの、とにかくお待ちですから行きましょう!」
応接室に到着する。
コラルの向かいには、呑気にお茶を飲む王様、パミルの姿があった。
「おお! タクマ殿! 相変わらず大暴れしているようだな!」
まるで自分の家にいるかのようにリラックスしているパミルに、タクマは呆れた視線を向けながら話しかける。
「俺は今日、結婚式の打ち合わせをするためにここへ来たのですが……なぜパミル様が?」
疲れた表情のコラルが説明しようとしたが、パミルが口を挟む。
「うむ! タクマ殿の結婚式には、我ら王家も出席させてもらうからな! それを伝えようと思って来たのだ」
タクマはコラルに向かって言う。
「……えーと、コラル様。パミル様は王という立場上、俺の結婚式に出るのは無理だと考えていたのですが、大丈夫なのでしょうか? 凄まじく厄介事の匂いがしますが……」
パミルにも聞こえていたはずだが、パミルはどこ吹く風でお茶を飲んでいる。
コラルはこめかみを押さえながら言う。
「大丈夫なわけがなかろう。王がこうして王都を離れているのも表に出せん事だし、結婚式に出るなど、国の安全を考えても許可できん。だが、何を言っても聞かんのだ……」
コラルは深くため息をつくと、さらに続けた。
「結論から言えば、すでに出席する事になっておる。それで式当日は、パミル様を始めとした王家に連なる方々には魔道具で変装してもらう。これは参加するなら絶対にやってもらう事だ。だが、何があるか分からないので、さらに対策をせねばならん」
それからコラルは、その対策案について詳しく話し始めた。
せっかくやるならトーラン全体を安全にしたいとの事で、トーラン旧市街にあるダンジョンコアを使い、トーラン全体に結界をかけるという大掛かりなものだった。
「これなら結婚式の時だけではなく、今後さらに町を安全にする事ができる。タクマ殿の使う結界はいろいろ仕掛けられそうなので、できれば頼みたいのだ」
タクマはため息交じりに返答する。
「なるほど。それは面白そうですが……できるかどうかは実際に確認してみないと分からないですね」
「ああ、それは後で報告をくれれば良い。今日は君の結婚式の日程を話したうえでこの話をしたかったのだがな……まさか、王が突撃してくるとは……」
疲れた顔をしたコラルはそう言ってパミルに冷たい視線を向けるが、パミルは涼しい顔でお茶を啜っていた。
しかし、そんな呑気な時間も終わりとなる。
パミルの背後から、ある男が現れたからだ。
男はパミルの真後ろに立つと、パミルの頭に向かって固めた拳を振り下ろす。
ゴン!
鈍い音が鳴り響き、パミルは悶絶した。
「良いご身分ですな……私の許可も得ずにトーランに跳ぶとは」
パミルに拳骨を浴びせたのは、宰相のザインだ。
怒りに身を震わせたザインはいったん落ち着いてからコラルたちの方へ顔を向けると、そのまま頭を深く下げた。
「コラル・イスル侯爵、タクマ殿。ご迷惑をおかけしたようで申し訳ない」
「いえ。あなたが悪いわけではないのですから、謝罪はその辺で……」
コラルは慌ててそう応えると、タクマに向かって言う。
「タクマ殿。我々は王と話さなければならない事があるので、今日のところは戻ってもらって良いだろうか。私から呼んだのに本当に申し訳ない」
コラルはこれから王に説教をするようだ。
タクマは反論する事なく、辞去する事にした。パミルはタクマに助けてほしそうな顔をしていたが、タクマは華麗にスルーして邸宅の外に出た。
◇ ◇ ◇
「さて、パミル王の登場で、打ち合わせがなくなってしまったな……」
タクマは家には帰らず、トーランの町に向かう事にした。
トーランの町には相変わらず活気があり、様々な声が響いている。町をブラブラしていると、向かいからユキを抱いた夕夏が歩いてきた。
「タクマ、どうしたの?」
「ああ……コラル様の所で式の打ち合わせをする予定だったんだが、予想外の人が来てしまってな。結局、やる事がなくなったんだ」
タクマがそう話すと、夕夏は何か思いついたように口にする。
「ねえ、時間があるなら結婚の挨拶をしに行かない? 私にはこの時代に知り合いはいないからいいけど、あなたは違うでしょ? 挨拶回りをして式に招待したら、喜んでもらえるんじゃないかしら」
「挨拶回りか……まあ、招待するといっても、この町以外だとメルトに知り合いがいるくらいだけどな。一応結婚式には来てもらうつもりだから、正式に報告しておくか」
すると、夕夏はすぐに行動に移そうとする。
「だったら今すぐ行きましょう! 待ってて。戻って話をしてくるから」
夕夏はユキをタクマに預けると、走っていってしまった。きっと、一緒に行動していた同じ日本人のミカに話しに行ったのだろう。彼女たちは最近、式の衣装作りのために奔走しているのだ。
「まったく……忙しないな。でも夕夏の言う通り、正式に報告したうえで式に招待した方が良いだろうな」
「あうー?」
タクマはユキをあやして夕夏を待った。すると十分もしないうちに戻ってきた。
「お待たせ。じゃあ、さっそく行きましょう」
「ああ、ここで跳ぶわけにもいかないから、いったん町を出よう」
タクマたちはトーランの町を出て人気のない林に入って空間跳躍で跳んだ。そして、メルトの近くに着くと、そのまま歩いて町に入る。
4 挨拶回り
メルトは元門番のカイルを迎えに来て以来だが、タクマはひどく懐かしく感じた。
道中、彼は夕夏に、ヴェルドミールに来て初めてたどり着いた町がメルトだと説明する。さらに、ここであった事件について細かく話した。
「……そうなの。そんな事があったのね。でも、その女の子は大丈夫なのかしら?」
事件とは、タクマがこの町の宿「止まり木亭」の看板娘、アンリに迷惑をかけてしまったというものだ。
当時粗暴だったタクマは、宿で暴れた悪漢を一方的に痛めつけ、結果としてアンリを始めとした多くの人を怯えさせてしまったのだ。
タクマは夕夏に向かって言う。
「身体の傷は治してあげたが、心の傷は分からないな。当時はすぐに町を出てしまったから」
「……じゃあ、後で顔を出してみましょ。お世話になったのなら会っておかなくちゃね」
しばらくして教会に到着した。
教会の入り口では、シスターのシエルが掃除をしている。
「あら、タクマさんじゃないですか! お元気でしたか?」
出会ったばかりの時と変わらない優しい笑みで、タクマを迎えるシエル。彼女はすぐに夕夏とユキの存在に気がついた。
「タクマさん、その女性とお子さんは……」
「彼女は俺の妻になる夕夏と言います。この子はユキ。俺たちが引き取りました」
タクマが紹介すると、夕夏とユキがそれぞれ言う。
「初めまして、夕夏です。シエルさんですね。彼がとてもお世話になったと伺っています」
「あうあうあー!」
すると、シエルは嬉しそうな表情を浮かべる。
「タクマさん、このヴェルドミールで伴侶を見つけたのですね!」
その後、タクマたちは教会の応接室へ通された。お茶を用意してくれたシエルに、タクマはさっそく切りだす。
「実は、俺たちの結婚式に来ていただけないかと思いまして……」
式に招待したい旨を伝えると、シエルはすぐに応じてくれた。
こうして用事はあっさり終わったのだが、シエルはタクマの今の生活が気になっているようだったので、その後しばらく雑談するのだった。
「それじゃあ、式の日取りが決まったら知らせに来ますね」
「ええ。待っていますよ。タクマさん、夕夏さん、本当におめでとう」
笑顔のシエルに見送られたタクマたちは、その足で止まり木亭に向かった。
しかし、タクマの足取りは重い。どうやらあまり良い別れができていなかったのを気に病んでいるらしい。
夕夏がタクマを叱りつけるように言う。
「もう! 今さら気にしてどうするのよ? たとえ許してもらえなくても、謝る事は必要でしょ!?」
夕夏はタクマの手をグイグイと引っ張っていった。
◇ ◇ ◇
あっという間に止まり木亭に到着する。
そこはタクマが以前来た時のままだった。大きいわけではないが、清潔感のある良い宿だ。タクマはその外観を見てしんみりしてしまった。
宿の前で立ち止まっていると、中から一人の女の子が出てくる。そしてタクマに気がつき、花が咲いたような笑顔で走り寄る。
「タクマさん! タクマさんじゃないですか!」
宿の看板娘のアンリだ。
タクマは慌てて口を開く。
「げ、元気だったか? ……あの時は逃げるように出ていってしまってすまなかった。それと俺のせいで……」
タクマがいきなり謝ると、アンリは首を横に振る。
そして一瞬口ごもってから告げる。
「……もういいんです。確かにあの事件の後は人が怖くなりました。だけど、タクマさんのせいじゃありません。それよりも助けてくれたお礼を言えなくて、私悲しかったんですから」
それからアンリは事件後の事を話した。
人前に出る事さえできなくなった彼女。しかし、タクマが町から出ていく手続きをしたという男性からタクマの様子を聞き、次第に明るさを取り戻していったという。
「そうか。俺の事を気にしてくれてありがとう。俺もずっと気がかりだったんだ。だが、あんな別れ方をしたものだから近寄りづらくてな」
タクマは照れくさそうに言う。
アンリは彼の後ろに夕夏とユキがいる事に気づいた。
「あれ? そちらの女性と赤ちゃんは?」
「ああ。今日はあの時の謝罪とは別に、大事な話があって来たんだ。スミスさんとカナンさんがいるなら一緒に聞いてほしいんだが……」
それだけ聞いてピンと来たアンリは、宿の中に向かって大声を上げる。
「お父さんお母さん、来て! タクマさんが来ているの!」
すぐにアンリの父親のスミスと母親のカナンが出てくる。二人はタクマの顔を見るやいなや涙を流した。
スミスが涙声で、タクマに告げる。
「タクマさん! あの時は本当に申し訳なかった! 君は何も悪くないのに、私たちは恐怖を感じてしまって……ずっと謝りたかったんだ。本当にすまん!」
スミスはひざまずいたが、タクマは慌てて立たせる。
「いえ、謝るのは俺の方です。あの時俺は力の使い方を制御できなくて……そのせいであなたたちにご迷惑を……こちらこそすみませんでした」
タクマは改めて当時の事を謝罪した。
続いて彼は今日訪れた理由を話す。
「実は俺も伴侶を得まして……謝罪と一緒に結婚の挨拶に伺ったんです」
タクマに促されるように夕夏が言う。
「初めまして。タクマさんの妻になる夕夏です。その節は彼がご迷惑をおかけしたようで……私からも謝罪をさせてください。本当にすみませんでした」
深々と頭を下げる夕夏に、三人は恐縮してしまうのだった。
その後、タクマたちは宿の中へ案内された。
入ってすぐにあったのは、かつてタクマとヴァイスが食事をした食堂だった。タクマはとても懐かしく感じる。
「どうしたの? やっぱり懐かしい?」
尋ねてきた夕夏に、タクマは返答する。
「ああ、そう感じるよ。ヴェルドミールに来てから初めて泊まった場所だしな」
全員が席に着くと、スミスが口を開いた。
「タクマさんが結婚か……君はとても強かったが、どこか脆そうな感じがしていた。だが、今はそれがない。きっと伴侶を得て変わったんだろうな」
タクマが首を横に振って言う。
「それだけじゃないんです。俺にはたくさんの家族ができたんです。夕夏と、他の家族たちが俺を変えてくれたんですよ」
それからタクマは家族の事を話していった。
異世界に来たばかりの時の彼しか知らなかった三人はとても驚いていた。人を遠ざけがちだったタクマが、孤児や行き場所のない者たちを引き取っているとは想像できなかったのだ。
スミスがタクマに抱かれたユキに視線を向ける。
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