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第一章
8話
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あの後で赤髪からネチネチとまた言われた。
「番様、あまり我儘を言わないでくださいませ」だの「陛下はお忙しいのですよ」だのと、それにアイカがさりげなく苦言を呈せば、「甘やかさないでください」などと、今度はアイカがネチネチと言われた。
毎日憂鬱ではあったが、それでも少しづつアイカにこの世界について聞いて、こちらの世界でもあまり常識は変わらないとわかった。
相変わらず周りの態度は悪くなる一方だが。
その原因が「番だからと言って甘やかさなくていい」と言ったあの男にあるのだが。
そもそも17歳にいきなり求婚って…。友人と遊ぶだけで楽しい私にはまだ恋愛なんて考えられなかったし、興味もなかった。
……いや、気分が悪くなることを考えるのはやめよう。考えたくないことを考えるよりも、今できることを考えるしかない。
そう思ってアイカから聞いた話を頭でもう一度整理していく。
この国は大国らしく、様々な国と繋がっているらしい。だからこそ逃げたとしても、ここの周辺の国では容易に見つかってまた攫われるだけだとアイカが教えてくれた。
この国からあまり干渉できない国、同じくらい大国の国に逃げるのがいいのだと。
中でもおすすめは魔法が栄える国『ロスト』がおすすめだと聞いた。
ロストは人族が治める国で、魔法に詳しい国のようだった。
また、冒険者ギルドというものがあり、そこでは他国から逃げてきた難民などを保護して貰えるらしい。もちろん犯罪を犯してないことが前提だが。
魔導書が貸出できる図書館もあるらしい。
他にも魔法の実力を認められれば平民でも王宮に仕えることが出来るのだと。
まぁそこまでは私には関係の無いことだけれど、逃げても拐われず、保護も受けられる、なにより魔法陣について知りたい私にはピッタリの場所だった。
…でも、私、魔法使えないのよね…。
そう。問題はそこだった。
魔法が使えないからと国に入れて貰えない訳では無いらしいが、やはり魔法を少しでも使えればそれだけで生活は楽になるのだとアイカは言っていた。
以前アイカにどうやって魔法を使うのかを聞けば体にある魔力を使うのだと彼女はいっていた。
人族は幼い頃に魔力鑑定を受けるらしい。この世界では魔力のないものは絶対いないらしく、力で解決する竜族ですら魔力があるという。
だが、異世界から来た私は違う。魔法など使ったこともないし、魔力なんて馴染みもない。きっと魔法は使えないだろう。
そうなると魔法陣も使えないはずだ。
だからこそ私は魔法を使える者の協力者が欲しい。
今回来る魔法使いが私にとって吉と出るか凶と出るかは分からない。
それでも、今までされてきたことを話せば少なからず同情は誘えるだろう。
我ながらずるい手ではあるが実際自分のやられた事は酷いものなのだからと頭の中で言い訳する。
赤髪がいうにはその魔法使いは人族で、既婚者の平民男性らしい。平民や男性ということについて赤髪と陛下は苦い顔をしていたみたいだが、女性の魔法使いはこの国には来たくない者が多いらしく、断られたからこそ既婚者だというその人に頼むというのが最終手段だったそうだ。
なぜ、女性が来たくないのか理由を聞けば、ここでも番という制度のせいらしかった。
番認定されると女性はあまり外には出して貰えなくなるらしく、魔法使いは縛られることを嫌うため、番にはなりたくない。という理由らしい。
その時点で竜族とは考えが合わないみたいではあったが、すくなくとも私には親近感のわく話だった。
魔法使いは1週間に2回だけくる。その間に魔法についてもしり、帰るための希望を見つけなければならない。
──どうか、まともな人でありますように。
そんな事を願いながら魔法使いが来るのを待つ日々が続いた。
「番様、あまり我儘を言わないでくださいませ」だの「陛下はお忙しいのですよ」だのと、それにアイカがさりげなく苦言を呈せば、「甘やかさないでください」などと、今度はアイカがネチネチと言われた。
毎日憂鬱ではあったが、それでも少しづつアイカにこの世界について聞いて、こちらの世界でもあまり常識は変わらないとわかった。
相変わらず周りの態度は悪くなる一方だが。
その原因が「番だからと言って甘やかさなくていい」と言ったあの男にあるのだが。
そもそも17歳にいきなり求婚って…。友人と遊ぶだけで楽しい私にはまだ恋愛なんて考えられなかったし、興味もなかった。
……いや、気分が悪くなることを考えるのはやめよう。考えたくないことを考えるよりも、今できることを考えるしかない。
そう思ってアイカから聞いた話を頭でもう一度整理していく。
この国は大国らしく、様々な国と繋がっているらしい。だからこそ逃げたとしても、ここの周辺の国では容易に見つかってまた攫われるだけだとアイカが教えてくれた。
この国からあまり干渉できない国、同じくらい大国の国に逃げるのがいいのだと。
中でもおすすめは魔法が栄える国『ロスト』がおすすめだと聞いた。
ロストは人族が治める国で、魔法に詳しい国のようだった。
また、冒険者ギルドというものがあり、そこでは他国から逃げてきた難民などを保護して貰えるらしい。もちろん犯罪を犯してないことが前提だが。
魔導書が貸出できる図書館もあるらしい。
他にも魔法の実力を認められれば平民でも王宮に仕えることが出来るのだと。
まぁそこまでは私には関係の無いことだけれど、逃げても拐われず、保護も受けられる、なにより魔法陣について知りたい私にはピッタリの場所だった。
…でも、私、魔法使えないのよね…。
そう。問題はそこだった。
魔法が使えないからと国に入れて貰えない訳では無いらしいが、やはり魔法を少しでも使えればそれだけで生活は楽になるのだとアイカは言っていた。
以前アイカにどうやって魔法を使うのかを聞けば体にある魔力を使うのだと彼女はいっていた。
人族は幼い頃に魔力鑑定を受けるらしい。この世界では魔力のないものは絶対いないらしく、力で解決する竜族ですら魔力があるという。
だが、異世界から来た私は違う。魔法など使ったこともないし、魔力なんて馴染みもない。きっと魔法は使えないだろう。
そうなると魔法陣も使えないはずだ。
だからこそ私は魔法を使える者の協力者が欲しい。
今回来る魔法使いが私にとって吉と出るか凶と出るかは分からない。
それでも、今までされてきたことを話せば少なからず同情は誘えるだろう。
我ながらずるい手ではあるが実際自分のやられた事は酷いものなのだからと頭の中で言い訳する。
赤髪がいうにはその魔法使いは人族で、既婚者の平民男性らしい。平民や男性ということについて赤髪と陛下は苦い顔をしていたみたいだが、女性の魔法使いはこの国には来たくない者が多いらしく、断られたからこそ既婚者だというその人に頼むというのが最終手段だったそうだ。
なぜ、女性が来たくないのか理由を聞けば、ここでも番という制度のせいらしかった。
番認定されると女性はあまり外には出して貰えなくなるらしく、魔法使いは縛られることを嫌うため、番にはなりたくない。という理由らしい。
その時点で竜族とは考えが合わないみたいではあったが、すくなくとも私には親近感のわく話だった。
魔法使いは1週間に2回だけくる。その間に魔法についてもしり、帰るための希望を見つけなければならない。
──どうか、まともな人でありますように。
そんな事を願いながら魔法使いが来るのを待つ日々が続いた。
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