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第4章 魔法学校実技試験
第52話 魔王候補
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「おやおや、随分と時間がかかったじゃねえか。賢聖姫さまは、手強かったのかい?」
賢聖姫を倒してアオイ嬢の元に来ると、先に来ていたスコールが話しかけてくる。
『俺はお前より早く敵を倒して、だいぶ前からここに来てたけどな?』と、顔に書いている状態で。
本当にこういう生意気なところは、子供の頃からずっと変わらない。
「先代の賢聖姫より能力的には手強かったですが、時間がかかったのは、彼女の悩みの解消を手伝っていたのと、いろいろと仕込んでおきたかったからですよ」
賢聖姫ユーリ嬢は、ある意味では勇者パーティーの中で一番厄介な存在だ。
その知識も厄介だが、一番厄介なのは、賢聖姫という聖女として、国の神事に関わり、同時に政治関連にもっていることだ。
その気になれば、現国王を動かすことができるだろう。
それはつまり、彼女に魔王組の正体がバレると、王国騎士団が出撃してくるということ。
(しかも厄介なことに、ユーリ嬢は『マオ』がレムリア嬢であること気づいているようですからね)
カンで気づいたのか、純粋にマオとレムリアの両方を『気に入りすぎている』だけなのか分からないが、これは確実だろう。
証拠がないから今は泳がされているようだが、彼女が本気になれば、レムリア嬢の尻尾をすぐに捕み、そのまま魔王組の正体もバレる。
まあ、レムリア嬢は子供でも簡単に騙せそう……もとい、純粋な子なので、ユーリ嬢が相手じゃなくて、やられそうだが。
「いろいろとヒントを置いてきましたし、挑発を交えつつ、悩みの答えを教えるという恩を売っておきました。プライドの高い彼女は、しばらくはレムリア嬢と『マオ』ではなく、私のことを嗅ぎまわってくれるでしょう」
矛先が私ならば、いきなり証拠をつかませるようなことない。
魔王組の正体はそうそうバレないだろう。
挑発もしておいたし、魔王組はしばらく『主の正体はバレてるけど、謎の集団』として活動できる。
(まあ、証拠なんてつかまずに強制連行をされたらお終いですが……何かない限り、少なくとも勇者パーティーの面々は、レムリア嬢を本気で捕えようなんて、思わないんでしょうねぇ)
敵である勇者たち全員から、何かしらの形で気に入られている。
特に、ユーリ嬢、トール君、そしてエミル嬢はもう完全に誑されている。
本当に、我が主ながら恐ろしい人徳だ。
(まあ、そこは私も人の事は言えないか)
そんなことを思いつつ、思考を切り替えようとした瞬間、ガギィィィンン! という凄まじい音が、連続して鳴り響く。
どうやら、アオイ嬢とロナードが戦っているようだ。
「状況を簡単に伝えるぞ。ひとつ、ロナードに聞くことがあるから手出し無用、ふたつ、単独でレムリアを助けに行くのは禁止、みっつ、指示を出したらその通りに動け、だそうだ」
「この状況をどこまでロナードが知っているかの確認しつつ、単独行動の禁止と、もしものときのために動けるようにしておけ、と。なるほど、完璧な指示ですね」
気になるとしたら、アオイ嬢とロナードの会話がここまで聞こえないこと。
結界を避けて、なんとか話を聞くこともできるが……。
(やめておきますか。アオイ嬢を敵に回すのは、魔王と戦えと言われるより恐ろしい)
そんなことを思いながら、轟音が響くふたりの戦いを遠目で眺めることにした。
///////////////////////////////////////////////
「……本当に恐ろしいな、君は」
私のマジックテンペストを、聖騎士の技である聖煌殻……光をまとった盾や鎧、全身を覆う光のバリアーのようなもの防ぎながら、話してくるロナード。
(……どっちがよ)
マジックテンペストは、自由に動かすことができる、凝縮して球状にしたマジックアローを無数に放つ、私のオリジナル魔法。
この魔法は、相手の死角から攻撃を撃ち込むだけではない。
タイミングをずらして攻撃や、意識誘導に利用してからの魔導銃による攻撃もできる。
だが、ロナードはその攻撃を全て防いでいる。
「この多才な攻撃だけでもわかる。君は本物の天才だ。魔力を持っていたら、この世界の女王になれる器だと思っていたけど、僕の予想は間違っていなかったな」
……やはりこの男、私とアオイのことを知っている。
だけど、どこまで知っているかまでは分からない状況で、向こうのペースに合わせて回答するのは危険だ。
「ふふっ、どう対応していいか悩んでいるようだね。では、先に認めておこうか」
そんな私の状況を察したのか、向こうから語りだす。
「僕は、レムリア・ルーゼンシュタインと、姫川葵が入れ替わっているのを知っている。そして、姫川葵が地球という異世界の少女であることも、もうひとりのレムリアであることも」
……本当に厄介だ、この男は。
この世界や、私たち……『ヤミヒカ』について知っているかについては、話題にも出してこない。
「さて、これを前提に、君が僕に聞きたいことは? 無理やりにでも聞きたいことがあるから、君たち3人が揃って、絶対的に僕が不利な状況になるまで、戦いを引き延ばしていたんだろう?」
「……今回の件について、貴方が知っていることを全部教えなさい」
本来ならば、この男の目的を聞くのが一番なのだが、今はアオイの安全が最優先。
そう思って、私はロナードに質問をぶつける。
「今回の件で僕がやったことだけど、魔王の武具を手に入れたそうにしている君たちと、もうひとりの魔王の力をやどす者に、魔王の武具が今日現れることを教えた、以上だよ」
「もうひとり……?」
「魔王の力を持っているのは、レムリア様や僕だけじゃないってことさ」
「……魔王候補ってことかしら?」
「それ、いい呼び名だね。僕もこれからそう呼ぼうかな」
それ名案、と言いたげな顔をするロナード。
本当に憎たらしい。
「後は……僕は、魔王の武具には興味がないこと、そして今回の黒幕については喋る気がないというのと、ここで僕と本気でやりあってたら、時間切れになる可能性が高い。それぐらいかな」
3人がかりでも、すぐにはやられない。
その結果、アオイがどうにかなる、ということか。
「そう、ありがとう」
「お役に立てたようでなによりだよ、『レムリア』」
そう言いながら、地球で言うイケメンスマイルをかましてくるロナード。
「さて、他の勇者パーティーに、魔王組の君にやられたっていう証拠がほしい。適当に痛めつけてくれるかい?」
「……ええ、分かったわ」
その言葉を聞き、私は古代魔法である、魔力増大の魔法陣を展開する。
ひとつ……ふたつ……みっつ……10を超える魔法陣を。
「……えっと、適当にって言ったつもりなんだけど?」
「何も間違ってないわ。適当っていうのは、雑にということ」
そして、その魔法陣に向けて、魔力を込めた2丁の魔導銃を構える。
「加減とか考えずに、ただ雑に……」
限界ギリギリまで魔力を宿し、光る魔導銃。
「……ぶっ飛ばしてあげるわ!」
そして、私は魔導銃を放つ。
ふたつの魔弾はひとつになって巨大化し、魔法陣を通過する度にさらに大きくなっていく。
「……本当に恐ろしい人だよ、君は」
その言葉とともに、建物よりも大きい魔弾はロナードを飲み込み、そのまま校庭を抉り取りながら直進していき……
――ズガァァアアアン!
凄まじい轟音とともに爆発した。
校庭には、レムリアのアポカリプスよりも巨大なクレータができており、その中心にはおそらく全ての力を防御に回して、ギリギリ生き残れたロナードがいた。
「……貴方なら、どうせそれでも死なないでしょ」
ロナードを見ながら、改めて校庭の中心を見る。
おそらくアオイも、あそこに向かっている。
「魔王候補、か」
そして、先ほどの会話で自分が名付けた、魔王候補について思い出す。
この存在がいるのは分かっていた。
だが、幽鎧帝と一緒に行動しているとは。
「……ということは、幽鎧帝かその魔王候補、もしくはその両方が、私たちの顔見知りということね」
ロナードの言っていることが本当なら、ロナードはあくまで魔王の武具が出現することを教えただけで、魔王組のことは教えていないということになる。
だけど今回、連中はレムリアだけじゃなく、私たちにも同時に仕掛けてきた。
これはつまり、敵は私たちのことを知っているということだ。
「可能性はいくつかあるけど、今は絞り切れないわね」
そう考えながら、ヴラムたちと合流するために歩き出す。
敵は大体分かった。
ならば、私がやるべきことはひとつだ。
「……今助けるから、待ってなさい、アオイ」
賢聖姫を倒してアオイ嬢の元に来ると、先に来ていたスコールが話しかけてくる。
『俺はお前より早く敵を倒して、だいぶ前からここに来てたけどな?』と、顔に書いている状態で。
本当にこういう生意気なところは、子供の頃からずっと変わらない。
「先代の賢聖姫より能力的には手強かったですが、時間がかかったのは、彼女の悩みの解消を手伝っていたのと、いろいろと仕込んでおきたかったからですよ」
賢聖姫ユーリ嬢は、ある意味では勇者パーティーの中で一番厄介な存在だ。
その知識も厄介だが、一番厄介なのは、賢聖姫という聖女として、国の神事に関わり、同時に政治関連にもっていることだ。
その気になれば、現国王を動かすことができるだろう。
それはつまり、彼女に魔王組の正体がバレると、王国騎士団が出撃してくるということ。
(しかも厄介なことに、ユーリ嬢は『マオ』がレムリア嬢であること気づいているようですからね)
カンで気づいたのか、純粋にマオとレムリアの両方を『気に入りすぎている』だけなのか分からないが、これは確実だろう。
証拠がないから今は泳がされているようだが、彼女が本気になれば、レムリア嬢の尻尾をすぐに捕み、そのまま魔王組の正体もバレる。
まあ、レムリア嬢は子供でも簡単に騙せそう……もとい、純粋な子なので、ユーリ嬢が相手じゃなくて、やられそうだが。
「いろいろとヒントを置いてきましたし、挑発を交えつつ、悩みの答えを教えるという恩を売っておきました。プライドの高い彼女は、しばらくはレムリア嬢と『マオ』ではなく、私のことを嗅ぎまわってくれるでしょう」
矛先が私ならば、いきなり証拠をつかませるようなことない。
魔王組の正体はそうそうバレないだろう。
挑発もしておいたし、魔王組はしばらく『主の正体はバレてるけど、謎の集団』として活動できる。
(まあ、証拠なんてつかまずに強制連行をされたらお終いですが……何かない限り、少なくとも勇者パーティーの面々は、レムリア嬢を本気で捕えようなんて、思わないんでしょうねぇ)
敵である勇者たち全員から、何かしらの形で気に入られている。
特に、ユーリ嬢、トール君、そしてエミル嬢はもう完全に誑されている。
本当に、我が主ながら恐ろしい人徳だ。
(まあ、そこは私も人の事は言えないか)
そんなことを思いつつ、思考を切り替えようとした瞬間、ガギィィィンン! という凄まじい音が、連続して鳴り響く。
どうやら、アオイ嬢とロナードが戦っているようだ。
「状況を簡単に伝えるぞ。ひとつ、ロナードに聞くことがあるから手出し無用、ふたつ、単独でレムリアを助けに行くのは禁止、みっつ、指示を出したらその通りに動け、だそうだ」
「この状況をどこまでロナードが知っているかの確認しつつ、単独行動の禁止と、もしものときのために動けるようにしておけ、と。なるほど、完璧な指示ですね」
気になるとしたら、アオイ嬢とロナードの会話がここまで聞こえないこと。
結界を避けて、なんとか話を聞くこともできるが……。
(やめておきますか。アオイ嬢を敵に回すのは、魔王と戦えと言われるより恐ろしい)
そんなことを思いながら、轟音が響くふたりの戦いを遠目で眺めることにした。
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「……本当に恐ろしいな、君は」
私のマジックテンペストを、聖騎士の技である聖煌殻……光をまとった盾や鎧、全身を覆う光のバリアーのようなもの防ぎながら、話してくるロナード。
(……どっちがよ)
マジックテンペストは、自由に動かすことができる、凝縮して球状にしたマジックアローを無数に放つ、私のオリジナル魔法。
この魔法は、相手の死角から攻撃を撃ち込むだけではない。
タイミングをずらして攻撃や、意識誘導に利用してからの魔導銃による攻撃もできる。
だが、ロナードはその攻撃を全て防いでいる。
「この多才な攻撃だけでもわかる。君は本物の天才だ。魔力を持っていたら、この世界の女王になれる器だと思っていたけど、僕の予想は間違っていなかったな」
……やはりこの男、私とアオイのことを知っている。
だけど、どこまで知っているかまでは分からない状況で、向こうのペースに合わせて回答するのは危険だ。
「ふふっ、どう対応していいか悩んでいるようだね。では、先に認めておこうか」
そんな私の状況を察したのか、向こうから語りだす。
「僕は、レムリア・ルーゼンシュタインと、姫川葵が入れ替わっているのを知っている。そして、姫川葵が地球という異世界の少女であることも、もうひとりのレムリアであることも」
……本当に厄介だ、この男は。
この世界や、私たち……『ヤミヒカ』について知っているかについては、話題にも出してこない。
「さて、これを前提に、君が僕に聞きたいことは? 無理やりにでも聞きたいことがあるから、君たち3人が揃って、絶対的に僕が不利な状況になるまで、戦いを引き延ばしていたんだろう?」
「……今回の件について、貴方が知っていることを全部教えなさい」
本来ならば、この男の目的を聞くのが一番なのだが、今はアオイの安全が最優先。
そう思って、私はロナードに質問をぶつける。
「今回の件で僕がやったことだけど、魔王の武具を手に入れたそうにしている君たちと、もうひとりの魔王の力をやどす者に、魔王の武具が今日現れることを教えた、以上だよ」
「もうひとり……?」
「魔王の力を持っているのは、レムリア様や僕だけじゃないってことさ」
「……魔王候補ってことかしら?」
「それ、いい呼び名だね。僕もこれからそう呼ぼうかな」
それ名案、と言いたげな顔をするロナード。
本当に憎たらしい。
「後は……僕は、魔王の武具には興味がないこと、そして今回の黒幕については喋る気がないというのと、ここで僕と本気でやりあってたら、時間切れになる可能性が高い。それぐらいかな」
3人がかりでも、すぐにはやられない。
その結果、アオイがどうにかなる、ということか。
「そう、ありがとう」
「お役に立てたようでなによりだよ、『レムリア』」
そう言いながら、地球で言うイケメンスマイルをかましてくるロナード。
「さて、他の勇者パーティーに、魔王組の君にやられたっていう証拠がほしい。適当に痛めつけてくれるかい?」
「……ええ、分かったわ」
その言葉を聞き、私は古代魔法である、魔力増大の魔法陣を展開する。
ひとつ……ふたつ……みっつ……10を超える魔法陣を。
「……えっと、適当にって言ったつもりなんだけど?」
「何も間違ってないわ。適当っていうのは、雑にということ」
そして、その魔法陣に向けて、魔力を込めた2丁の魔導銃を構える。
「加減とか考えずに、ただ雑に……」
限界ギリギリまで魔力を宿し、光る魔導銃。
「……ぶっ飛ばしてあげるわ!」
そして、私は魔導銃を放つ。
ふたつの魔弾はひとつになって巨大化し、魔法陣を通過する度にさらに大きくなっていく。
「……本当に恐ろしい人だよ、君は」
その言葉とともに、建物よりも大きい魔弾はロナードを飲み込み、そのまま校庭を抉り取りながら直進していき……
――ズガァァアアアン!
凄まじい轟音とともに爆発した。
校庭には、レムリアのアポカリプスよりも巨大なクレータができており、その中心にはおそらく全ての力を防御に回して、ギリギリ生き残れたロナードがいた。
「……貴方なら、どうせそれでも死なないでしょ」
ロナードを見ながら、改めて校庭の中心を見る。
おそらくアオイも、あそこに向かっている。
「魔王候補、か」
そして、先ほどの会話で自分が名付けた、魔王候補について思い出す。
この存在がいるのは分かっていた。
だが、幽鎧帝と一緒に行動しているとは。
「……ということは、幽鎧帝かその魔王候補、もしくはその両方が、私たちの顔見知りということね」
ロナードの言っていることが本当なら、ロナードはあくまで魔王の武具が出現することを教えただけで、魔王組のことは教えていないということになる。
だけど今回、連中はレムリアだけじゃなく、私たちにも同時に仕掛けてきた。
これはつまり、敵は私たちのことを知っているということだ。
「可能性はいくつかあるけど、今は絞り切れないわね」
そう考えながら、ヴラムたちと合流するために歩き出す。
敵は大体分かった。
ならば、私がやるべきことはひとつだ。
「……今助けるから、待ってなさい、アオイ」
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