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第4章 魔法学校実技試験
第49話 魔狼帝VS聖闘士
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(……なんだ、こいつ?)
トールと戦い始めてから数分。
スコールは心の中で呟く。
(強い……いや、技量で圧倒されているわけじゃねえ。だが、弱いわけではねえ)
スコールは、レムリアがマオと名乗り、トールの師匠をしていたときに、一度戦っている。
結果はスコールの圧勝であり、はっきり言って勝負になっていなかった。
(このままじゃ……)
そんなこともあり、スコールも楽勝だと思っていた。
だが、状況はスコールの考えとは違っていた。
アオイが、スコールのために用意した日本刀は、あと何回か打ちあったら折れかねいほど傷んでおり、有利な間合いも取られている。
この完全な劣勢の状況を前に――
(……負けるな)
スコールは、レムリアとの戦いですら感じなかった、負ける恐怖を感じていた。
/////////////////
――ガイィィィンン!
あのガキの槍の形になった闘気剣を刀で受け流すたびに、まるで刀の悲鳴のような音が鳴り響く。
(……本当に厄介だな、この武器!)
闘気剣は、魔力を超圧縮した武器であり、超上級攻撃魔法の破壊力を振り回しているようなものだ。
そのため、魔力に強いといわれるミスリルで作られた武具だろうと破壊される。
だからこそ、本来は武器で受けるのは論外なのだが、そうは言っていられない。
「たりゃぁぁあああ~!」
なぜなら、相手はその圧倒的な体力で、絶え間なく攻撃をし続けてくるからだ。
(技術を体力で補う……言葉にするのは簡単だが、ここまでできる体力馬鹿がいるとはな)
相手の動きは、はっきりいって槍術でもなんでもない。
槍の基礎である突きを、連打しているだけなのだが、おそらく重さの概念がない軽い闘気剣かつ、その筋力によって槍の速度は達人の領域に達している。
しかもそれを、尽きない体力でやり続けているのだから、もはや槍の『結界』だ。
「……調子に乗るんじゃねえ!」
正面からは無理、そう判断して横側面から攻撃をしかけるが……
「……くっ!?」
放った居合は、闘気剣……いや、体全体をカバーできる、巨大な闘気の盾に防がれる。
「甘ぇぜ!」
トールは盾で刀を抑えつつ、もう片方の手に、密着に近い接近戦では刀よりも圧倒的に有利な、闘気の短剣を出して迎撃してくる。
「……くそっ!」
なんとか接近できたが、武器も、間合いも、状況も完全に不利なので離れる。
だが、それでも不利な間合いは変わらない。
「それで逃げたつもりかよ!」
そしてまた、闘気の槍を出してまた突きの結界をはってくるが、距離があるのもあり、なんとか攻撃をかわす。
(……やっぱり、どの技術も大したことはねえ)
ひたすら槍を突き、居合による神速の剣撃は、最初から見るつもりはなく全身をカバーする盾で防ぎ、密着してからの攻防は刀よりも有利な短剣で迎撃。
言ってしまえば、武術の基礎をひたすら忠実にこなしているだけであり、別の相手が同じ方法をとったとしてもただのザコだ。
だが、底知れない体力と、闘気剣を持つこいつは違う。
特に闘気剣は、武器と防具の重さが皆無とか、圧倒的な破壊力とかいろいろあるが、何よりも、状況に応じて好きな武器に変えられるというのは、はっきり言って『人の常識外』だ。
常に自分にとって、不利な武器と防具で襲ってくるなど、戦士からすれば恐怖でしかない。
(……なんつうか、師匠ってのは選ぶべきだわな)
こんな戦い方、この世界の人間には思いつかないだろう。
この世界で武術を学びたいとなったら、大体、剣か槍から初めて、そこから自分の得意な武器を探す。
あらゆる武術の基礎だけを学んで、自分の戦いの嗅覚と身体能力だけで戦う……こんな戦い方する奴は、ひとりしか知らない。
(本当にあの馬鹿は、余計なことを敵に教えやがって)
なんとか槍を回避しつつ、自分の刀を見る。
よくて、あと3回は闘気剣を受けられる、といったところか。
状況ははっきり言って最悪だ。
槍の結界は、はっきり言って居合の天敵。
格闘戦はあの巨大な盾がある限り厳しいし、組み突きは短剣相手には自殺行為。
ならば、別の戦い方をするしかない。
「……さーて、いっちょ覚悟決めるか!」
そう言いながら、槍すら届かない距離まで後ろに飛び、刀を納める。
「それで逃げたつもりかよ!」
トールが闘気の短剣を投擲し、スコールの頬を掠める。
頬から流れる血……だが、スコールは動かない。
「な、なんのつもりだ?」
通常の居合の構えよりも、やや前傾姿勢に。
そして、より強く刀を握る。
「誇っていいぜ、ガキ……いや、聖闘士トール。実戦で俺にこいつを使わせたのは、お前が初めてだ」
「……くっ!」
スコールの放つ圧倒的な覇気に危険を感じ取ったトールが、両手に闘気の盾を出す。
先程と同じラージシールであり、完全に全身を覆った今のトールを倒すには、それこそエミルの精霊の矢ぐらいしかないだろう。
だが、スコールはそれでも刀を構える。
「大地を切り裂く風よりも鋭く、闇を裂く光よりも速く……」
己が技に集中し、目を瞑りながら呟く。
「永久に燃える炎を……神が与えし土石を……世界を覆う深淵を……その全てを断ち切る」
ただ目の前の敵に、そしてこれから放つ一撃のために、全てを集中させる。
「……神速抜刀!」
そして目を開き、魔力、力、技、その全てを『体という鞘』から抜く。
もう1万回以上繰り返してきた、居合と共に。
「虚空刃・神薙ぎ!」
////////////////////
必殺技の名前、マジでムズイですね…
トールと戦い始めてから数分。
スコールは心の中で呟く。
(強い……いや、技量で圧倒されているわけじゃねえ。だが、弱いわけではねえ)
スコールは、レムリアがマオと名乗り、トールの師匠をしていたときに、一度戦っている。
結果はスコールの圧勝であり、はっきり言って勝負になっていなかった。
(このままじゃ……)
そんなこともあり、スコールも楽勝だと思っていた。
だが、状況はスコールの考えとは違っていた。
アオイが、スコールのために用意した日本刀は、あと何回か打ちあったら折れかねいほど傷んでおり、有利な間合いも取られている。
この完全な劣勢の状況を前に――
(……負けるな)
スコールは、レムリアとの戦いですら感じなかった、負ける恐怖を感じていた。
/////////////////
――ガイィィィンン!
あのガキの槍の形になった闘気剣を刀で受け流すたびに、まるで刀の悲鳴のような音が鳴り響く。
(……本当に厄介だな、この武器!)
闘気剣は、魔力を超圧縮した武器であり、超上級攻撃魔法の破壊力を振り回しているようなものだ。
そのため、魔力に強いといわれるミスリルで作られた武具だろうと破壊される。
だからこそ、本来は武器で受けるのは論外なのだが、そうは言っていられない。
「たりゃぁぁあああ~!」
なぜなら、相手はその圧倒的な体力で、絶え間なく攻撃をし続けてくるからだ。
(技術を体力で補う……言葉にするのは簡単だが、ここまでできる体力馬鹿がいるとはな)
相手の動きは、はっきりいって槍術でもなんでもない。
槍の基礎である突きを、連打しているだけなのだが、おそらく重さの概念がない軽い闘気剣かつ、その筋力によって槍の速度は達人の領域に達している。
しかもそれを、尽きない体力でやり続けているのだから、もはや槍の『結界』だ。
「……調子に乗るんじゃねえ!」
正面からは無理、そう判断して横側面から攻撃をしかけるが……
「……くっ!?」
放った居合は、闘気剣……いや、体全体をカバーできる、巨大な闘気の盾に防がれる。
「甘ぇぜ!」
トールは盾で刀を抑えつつ、もう片方の手に、密着に近い接近戦では刀よりも圧倒的に有利な、闘気の短剣を出して迎撃してくる。
「……くそっ!」
なんとか接近できたが、武器も、間合いも、状況も完全に不利なので離れる。
だが、それでも不利な間合いは変わらない。
「それで逃げたつもりかよ!」
そしてまた、闘気の槍を出してまた突きの結界をはってくるが、距離があるのもあり、なんとか攻撃をかわす。
(……やっぱり、どの技術も大したことはねえ)
ひたすら槍を突き、居合による神速の剣撃は、最初から見るつもりはなく全身をカバーする盾で防ぎ、密着してからの攻防は刀よりも有利な短剣で迎撃。
言ってしまえば、武術の基礎をひたすら忠実にこなしているだけであり、別の相手が同じ方法をとったとしてもただのザコだ。
だが、底知れない体力と、闘気剣を持つこいつは違う。
特に闘気剣は、武器と防具の重さが皆無とか、圧倒的な破壊力とかいろいろあるが、何よりも、状況に応じて好きな武器に変えられるというのは、はっきり言って『人の常識外』だ。
常に自分にとって、不利な武器と防具で襲ってくるなど、戦士からすれば恐怖でしかない。
(……なんつうか、師匠ってのは選ぶべきだわな)
こんな戦い方、この世界の人間には思いつかないだろう。
この世界で武術を学びたいとなったら、大体、剣か槍から初めて、そこから自分の得意な武器を探す。
あらゆる武術の基礎だけを学んで、自分の戦いの嗅覚と身体能力だけで戦う……こんな戦い方する奴は、ひとりしか知らない。
(本当にあの馬鹿は、余計なことを敵に教えやがって)
なんとか槍を回避しつつ、自分の刀を見る。
よくて、あと3回は闘気剣を受けられる、といったところか。
状況ははっきり言って最悪だ。
槍の結界は、はっきり言って居合の天敵。
格闘戦はあの巨大な盾がある限り厳しいし、組み突きは短剣相手には自殺行為。
ならば、別の戦い方をするしかない。
「……さーて、いっちょ覚悟決めるか!」
そう言いながら、槍すら届かない距離まで後ろに飛び、刀を納める。
「それで逃げたつもりかよ!」
トールが闘気の短剣を投擲し、スコールの頬を掠める。
頬から流れる血……だが、スコールは動かない。
「な、なんのつもりだ?」
通常の居合の構えよりも、やや前傾姿勢に。
そして、より強く刀を握る。
「誇っていいぜ、ガキ……いや、聖闘士トール。実戦で俺にこいつを使わせたのは、お前が初めてだ」
「……くっ!」
スコールの放つ圧倒的な覇気に危険を感じ取ったトールが、両手に闘気の盾を出す。
先程と同じラージシールであり、完全に全身を覆った今のトールを倒すには、それこそエミルの精霊の矢ぐらいしかないだろう。
だが、スコールはそれでも刀を構える。
「大地を切り裂く風よりも鋭く、闇を裂く光よりも速く……」
己が技に集中し、目を瞑りながら呟く。
「永久に燃える炎を……神が与えし土石を……世界を覆う深淵を……その全てを断ち切る」
ただ目の前の敵に、そしてこれから放つ一撃のために、全てを集中させる。
「……神速抜刀!」
そして目を開き、魔力、力、技、その全てを『体という鞘』から抜く。
もう1万回以上繰り返してきた、居合と共に。
「虚空刃・神薙ぎ!」
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必殺技の名前、マジでムズイですね…
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