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第3章 勇者パーティー
第23話 悩める聖闘士
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「……どうしたものか」
そんなことを呟きながら、思いっきりぶっ飛ばしてしまったトールくんを、ヤサクニによる魔王モード(仮名称)の形態でしか使えない、治癒魔法っぽいので治療する。
ちなみに、何故使えるかさっぱり分からない。
私の使えるよく分からない魔法は今、筋力向上のパワーアップとか速度向上のクイックなどの、いわゆる自己バフなのだが、これに治癒魔法が追加されたことになる。
(ていうか、今使ってるこれも、効果が治癒ってだけで、全然見た目違うんだよね)
この世界の治癒魔法は、光というか魔力というか、そういうものが相手を優しく包む感じになり、体が再生していく感じだ。
だけど私の治癒魔法は、相手の周辺に魔法陣みたいなものを作り、そこから傷が無くなっていく感じに癒えていくし、魔力消費が本気のアポカリプスに匹敵する。
もう本当に意味不明だ。
「く……うぅ……」
「あ、大丈夫ですか?」
私の膝の上で目を覚ますトールくん。
ちなみに、怪我人を地べたに寝かせるのは忍びなかったのと、治癒魔法がかけやすいので、私はトールくんを膝の上で介抱している。
あくまで医療行為であり、推しキャラであるトールくんを甘やかしたいとずっと思っていたとかではない!
「こ、ここは……」
「大丈夫……あっ」
今は魔王モードだから容姿が違うとはいえ、声と喋り方が一緒だったら私がレムリアだとバレる可能性がある。
なんか魔王っぽい喋り方でもしようか。
魔王っぽい喋り方……魔王っぽい……
「聖闘士といえど、吾輩の前では無力のようですな」
よし、なんかそれっぽい!
「お前は……さっきの魔王! 俺に何をした!」
そう言いながら、立ち上がりつつ私から離れる……が、そのままよろけて地面に膝を付く。
「あ、まだ治ってないから無理しないほうがいいですぞ」
「うるせえ! お前を倒せば、オレは……オレは!」
そう言いながら、闘気剣を前に構えて突進してくる。
さすがにそれは、避けて投げてくれと言っているようなものだ。
「……なっ!」
アポカリプスを使うまでもなく、剣を持つ手を抑えつつ、引込返で後ろに投げる。
勢いがあるので痛そうに見えるが、投げる側が相手の体をコントロールするので、でんぐり返ししているに等しく、ダメージも下手すれば足払いよりも少ない。
まあ弱点があるとしたら、ダメージを低く投げた場合、投げた後に武器を持った相手の方が、圧倒的有利なことだ。
(あ、想像よりずっとやばいかも……)
……冷静になるとかなりやばい。
本気で倒すつもりがなかったので、寝技に持ち込まなかったのがまずかった。
普通の相手なら、このまま起き上がりと同時に斬ってきたところでアポカリプスを使えば余裕で防げるのだが、相手は攻撃力だけなら最強レベルの聖闘士であり、闘気剣だ。
(とにかく、アポカリプスで防御を……!)
体勢を整えつつ、アポカリプスによる絶対防御を展開するが……
「…………」
何故かトールくんは、倒れたまま動かない。
(まずい……打ち所が悪かったかな……?)
「あ、あの~……」
「……でだよ」
「え……」
「……なんで勝てねえんだよ! ロナードにも! 勇者にも! あの変な女にも!」
涙を流しながら叫ぶトールくん。
「勇者より強くなってやるって、必死になって訓練した! 闘気剣だって覚えた! 周りの奴らが遊んでいるときも、家族と一緒にすごしているときも、ひとりでずっと鍛練してきた! なのに! なんで勝てねえんだよ!」
「……」
とめどなく涙が流れ落ちるトールくんを見て、なんともいえない気持ちになる。
「……殺せよ。オレはもう疲れた」
もはや起き上がる気力もなく、自暴自棄になったトールくんに私は……
「吾輩が、トールくんの師匠になってあげる!」
「…………は?」
……自分でも驚くようなセリフを口にしていた。
///////////////////////////
読みやすい文章になるように、短く書く練習中…難しい(´;ω;`)
あ、1~閑話もちょっと短くしてみました。
他のもちょっと手直しする予定ですb
そんなことを呟きながら、思いっきりぶっ飛ばしてしまったトールくんを、ヤサクニによる魔王モード(仮名称)の形態でしか使えない、治癒魔法っぽいので治療する。
ちなみに、何故使えるかさっぱり分からない。
私の使えるよく分からない魔法は今、筋力向上のパワーアップとか速度向上のクイックなどの、いわゆる自己バフなのだが、これに治癒魔法が追加されたことになる。
(ていうか、今使ってるこれも、効果が治癒ってだけで、全然見た目違うんだよね)
この世界の治癒魔法は、光というか魔力というか、そういうものが相手を優しく包む感じになり、体が再生していく感じだ。
だけど私の治癒魔法は、相手の周辺に魔法陣みたいなものを作り、そこから傷が無くなっていく感じに癒えていくし、魔力消費が本気のアポカリプスに匹敵する。
もう本当に意味不明だ。
「く……うぅ……」
「あ、大丈夫ですか?」
私の膝の上で目を覚ますトールくん。
ちなみに、怪我人を地べたに寝かせるのは忍びなかったのと、治癒魔法がかけやすいので、私はトールくんを膝の上で介抱している。
あくまで医療行為であり、推しキャラであるトールくんを甘やかしたいとずっと思っていたとかではない!
「こ、ここは……」
「大丈夫……あっ」
今は魔王モードだから容姿が違うとはいえ、声と喋り方が一緒だったら私がレムリアだとバレる可能性がある。
なんか魔王っぽい喋り方でもしようか。
魔王っぽい喋り方……魔王っぽい……
「聖闘士といえど、吾輩の前では無力のようですな」
よし、なんかそれっぽい!
「お前は……さっきの魔王! 俺に何をした!」
そう言いながら、立ち上がりつつ私から離れる……が、そのままよろけて地面に膝を付く。
「あ、まだ治ってないから無理しないほうがいいですぞ」
「うるせえ! お前を倒せば、オレは……オレは!」
そう言いながら、闘気剣を前に構えて突進してくる。
さすがにそれは、避けて投げてくれと言っているようなものだ。
「……なっ!」
アポカリプスを使うまでもなく、剣を持つ手を抑えつつ、引込返で後ろに投げる。
勢いがあるので痛そうに見えるが、投げる側が相手の体をコントロールするので、でんぐり返ししているに等しく、ダメージも下手すれば足払いよりも少ない。
まあ弱点があるとしたら、ダメージを低く投げた場合、投げた後に武器を持った相手の方が、圧倒的有利なことだ。
(あ、想像よりずっとやばいかも……)
……冷静になるとかなりやばい。
本気で倒すつもりがなかったので、寝技に持ち込まなかったのがまずかった。
普通の相手なら、このまま起き上がりと同時に斬ってきたところでアポカリプスを使えば余裕で防げるのだが、相手は攻撃力だけなら最強レベルの聖闘士であり、闘気剣だ。
(とにかく、アポカリプスで防御を……!)
体勢を整えつつ、アポカリプスによる絶対防御を展開するが……
「…………」
何故かトールくんは、倒れたまま動かない。
(まずい……打ち所が悪かったかな……?)
「あ、あの~……」
「……でだよ」
「え……」
「……なんで勝てねえんだよ! ロナードにも! 勇者にも! あの変な女にも!」
涙を流しながら叫ぶトールくん。
「勇者より強くなってやるって、必死になって訓練した! 闘気剣だって覚えた! 周りの奴らが遊んでいるときも、家族と一緒にすごしているときも、ひとりでずっと鍛練してきた! なのに! なんで勝てねえんだよ!」
「……」
とめどなく涙が流れ落ちるトールくんを見て、なんともいえない気持ちになる。
「……殺せよ。オレはもう疲れた」
もはや起き上がる気力もなく、自暴自棄になったトールくんに私は……
「吾輩が、トールくんの師匠になってあげる!」
「…………は?」
……自分でも驚くようなセリフを口にしていた。
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読みやすい文章になるように、短く書く練習中…難しい(´;ω;`)
あ、1~閑話もちょっと短くしてみました。
他のもちょっと手直しする予定ですb
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