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前編
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王都から遠く離れたのどかな港町。
シェリーは孤児だ。生後間もなく小さな孤児院の前で捨てられ、そこで育てられた。
シェリーには同じ年の幼馴染みがいた。小柄で女の子みたいに可愛いらしい顔をした男の子のリピアだ。リピアもまたシェリーと同様、幼い頃に親に捨てられ同じ孤児院で育てられた。
身体が弱くすぐに寝込んでしまうリピアの看病をシェリーは率先して甲斐甲斐しく行い、実の弟のように可愛がっていた。
具合が悪いのに大丈夫だと言い張り無理をしがちなリピアに対し、嘘はつくなとシェリーは口が酸っぱくなるほど注意した。
華奢で弱々しいリピアは、街の子供達からからかわれる事が多かった。虫が大の苦手である事から、ふざけて虫を投げつけられる事もあった。その度シェリーが庇って助けてあげていた。リピアをひとりにしないよう、リピアの隣にはいつもシェリーがいた。
「シェリーちゃん……。いつもごめんね。僕なんかのために……。本当は他のお友達と遊びたいでしょ?」
「何言ってるの?リピアは大切な家族だから。私の大切な弟……、って同い年だけどね。私の方が先に孤児院に居るから……やっぱり私がお姉さんでしょ?」
12歳の時、リピアに引き取り手が現れた。慈善活動に熱心で裕福な家柄の、王都に居を構える老夫婦だった。
港町に観光で訪れた夫妻なのだが、たまたま通りがかった孤児院に慰問で訪れて寄付金を施してくれた。その際に病弱で儚い風貌のリピアが目に留まり、放ってはおけなかったようだ。
別れを惜しむシェリーとリピアであったが、幼いふたりにはどうする事も出来ない。リピアは王都で暮らす事になり、涙ながらに別れを告げた。
「シェリーちゃん……、僕、行きたくないよ」
「何言ってるの?あんなに優しそうなお父さんとお母さんが出来るのよ?……リピアなら絶対幸せになれるよ」
「……僕、必ずシェリーちゃんを迎えに行く。シェリーちゃんの事、お嫁さんとして迎えに行くからね。それまで待ってて。約束だよ」
「ふふ、分かった。約束よ。おばあちゃんになるまでに迎えに来てね?」
──それから6年の歳月が流れた。
18になったシェリーは、孤児院の職員として、そのまま住み込みで働いていた。
街の同年代の子達からは、孤児院出身という事実だけで同情や冷ややかな視線を向けられる事が多かったが、辛いとは思わなかった。
小さく貧しい孤児院での生活は決して楽ではない。けれど、園長は気さくでおおらかだし、他の職員も心根が優しい。何より子供達が可愛い。
現在、乳児がひとりと幼児が3名しかいないが、どの子も自分の子供のように接しては愛情深く世話をしていた。
自分の一生は、ここで平穏無事に過ごして終えるのかもしれない。それも悪くない。
子供達の笑顔を眺めていると、彼の可愛らしい笑顔が重なる。
──リピアは元気かしら?寝込んだりしてないかしら?幸せに暮らしているのかしら?
ある晴れた日の午後。子供達のお昼寝時間を見計らって、いつものように中庭で園長と先輩職員のノーラと3人で談笑しながら洗濯物の取り込みをしていると、後方から声がした。
「──シェリー!!」
「……え?」
名前を呼ばれた気がして振り向くと、ひとりの青年が立っていた。
背が高く、柔らかな髪をなびかせた整った顔立ちの青年だ。細身だけれど筋肉質で、逞しい。着ているものはひと目で上等なものだと分かる。
どこかの裕福な町人か、あるいは貴族か。王都の方から港町に観光か静養にでも来たのだろうか。このような小さな孤児院に立ち寄るなんて、貴族の気まぐれな慰問なのかもしれない。
そんな事を考えていると、見目麗しい青年が口を開いた。
「シェリー。迎えに来たよ」
シェリーと一緒に作業をしていた園長とノーラは彼に釘付けだ。
「……あら?どこかで見た事があるような?」
「ちょっと、シェリー!あの男前は誰よ!?シェリーの名前呼んでたわよ!?」
「え、いや、知らないよ……。あんな上流階級の知り合いいるわけないじゃない」
ざわつきが収まらない中、渦中の青年が言葉を続けた。
「シェリー、僕の事、忘れてしまったの……?リピアだよ」
「えぇ?!リピア?!リピアって……あのリピア?」
「うん、あのリピアだよ」
シェリーは6年前の記憶を辿った。
──私より小さくて、病弱で、儚げなリピア。ベッドで寝込んでしまったら、ふわふわの髪を撫でてあげるとにっこり微笑んでスヤスヤと気持ち良さそうに寝入っていたリピア。可愛い可愛い、弟みたいなリピア。
青年をくまなく見ると、なるほど確かに、整った顔立ちはリピアの面影がある。女の子みたいな愛らしい顔つきが、中性的でハンサムな顔つきへと成長している。背はシェリーよりも頭ひとつぶんは高い。
「迎えって……、リピアには新しいお父さんとお母さんがいるじゃない。それに突然言われても……。私は今、ここの職員として働いているんだよ」
「……義父さんは去年病気で亡くなったんだ。義母さんもそれから後を追うように老衰で亡くなって。使用人はいたけど、僕ひとりきりだし……。用立てて田舎に帰ってもらったんだ。……シェリー、僕のところに来て?ふたりで暮らそう?次の職員なら僕がちゃんと適任者を見つけて斡旋するから大丈夫」
「ご両親の事はご愁傷様……。でも、一緒に住むとかそんな事言われても……」
遮るようにリピアは言葉を重ねた。
「僕、騎士になったんだよ。シェリーを守る事が出来るように、強くなったんだ!色々忙しかったんだけど、ようやくまとまった休みを貰えて……、やっとシェリーの事迎えに来れたんだ。……遅くなって本当にごめん」
「騎士?!そっか……リピア、頑張ったんだね。身体も丈夫になったのね?……ふふ、こんなに大きくなったんだものね。びっくりしちゃった」
突如、甲高く騒がしい声が響いた。
「ねぇ!!そこの男前は誰なのよ!?」
ハンナだ。ハンナはこの地域の有力者の子女であり、この街一番の美人と評判の娘。シェリーと同い年だった。
幼い頃は病弱なリピアの事をよく馬鹿にしていた。そして現在に至るまで孤児院育ちのシェリーに対し蔑むような態度を取ってきている。
孤児院の近くにある教会にたまたま来ていたところ、騒ぎを聞きつけてやって来たようだ。取り巻きの女子数名も引き連れている。
園長が簡単に事の経緯を説明すると、ハンナははしゃぎだした。
「嘘ー!?えー!?リピアなの!?凄ぉい!こんなに格好良くなって!確か王都のお金持ちの家に引き取られたのよね?……あ!私はハンナよ。覚えてるでしょ!?」
ハンナはリピアの元へと駆け出し、身体中にベタベタと触れた。
「わぁ、凄い筋肉!さすが騎士様ね、素敵!」
リピアはハンナの事は一切見向きもせずに手を払い除けて、何事も無かったかのように隣のシェリーに話し掛ける。
「少し歩いた所に宿を取ってるんだ。明日まで泊まってるから。時間が空いたら部屋まで来れない?送り迎えはもちろん僕が責任を持ってするから!ふたりきりで話したいんだ……。だめかな?」
「……ええと」
「シェリー、今日はもう仕事はいいから。今から行って来ていいわよ。ゆっくり話してきなさい。……リピア、立派になったわね。おかえりなさい」
「園長、ただいま。ありがとう」
──落ち着いたところで話せばきっと理解してくれるだろう。独りきりになって寂しいから、昔の事を思い出して私の所へ訪ねて来たのかもしれない。
そう解釈し、気を利かせてくれた園長の言葉に甘えてリピアの泊まる宿へと同行しようかと思ったシェリーであったが、何故かハンナの猫撫で声が聞こえた。
「行く行く~!楽しみぃ!……シェリーは邪魔!」
ハンナがシェリーの身体を押してリピアから遠ざけようとしてきた。──瞬間、庇うようにシェリーの身体に抱き着いたリピアが、怯えた声を出した。
「シェリー、そこ!見て……!あそこにいるの、てんとう虫かな?怖い……」
突然抱き着かれたシェリーは驚きつつも、リピアの言う方向に視線を落とした。
草むらに、てんとう虫がいた。
「虫が苦手なのは大きくなっても変わらないのね。そんなんでよく騎士が務まるわね?ふふ……いいわよ。こっちに飛んでこないように離れたとこに移動させてきてあげる。ちょっと待っててね。離してくれる?」
「うん、ありがとう」
シェリーをそっと離し、その場を去ったのを見届けたリピアは、近くを飛んでいた羽虫を思い切り掴んだ。
そして躊躇なくハンナの顔に投げつけた。
「きゃっ!!」
「お前、僕のシェリーちゃんを傷付けたらどうなるか分かってんだろうな?」
「え?は?……えっ?あの……」
「うるさい。話し掛けるな。僕とシェリーちゃんのラブラブタイム邪魔したら許さないからな。次、話し掛けたらヘビ投げつけるぞ」
あまりの豹変ぶりに、ハンナ及び取り囲んでいた女性陣、ノーラ、そして園長が引き気味になっていたところ、シェリーが戻ってきた。
「お待たせー。てんとう虫どかしてきたよ」
リピアは正面からシェリーに抱き着いた。
「ありがとう、シェリー!やっぱりシェリーは優しいね」
「んっ、もうっ、苦しいよ……っ!今はリピアの方が大きいんだから、そんなに強く抱き着かないでよ」
「……シェリーもとっても大きくなったね?」
「そう?そんなに背は高くないと思うけどな?」
頬を染めてシェリーに抱き着いて離さないリピアを、周囲の全女性はドン引きしながら5歩くらい遠ざかり、唖然と眺めていた。
シェリーは孤児だ。生後間もなく小さな孤児院の前で捨てられ、そこで育てられた。
シェリーには同じ年の幼馴染みがいた。小柄で女の子みたいに可愛いらしい顔をした男の子のリピアだ。リピアもまたシェリーと同様、幼い頃に親に捨てられ同じ孤児院で育てられた。
身体が弱くすぐに寝込んでしまうリピアの看病をシェリーは率先して甲斐甲斐しく行い、実の弟のように可愛がっていた。
具合が悪いのに大丈夫だと言い張り無理をしがちなリピアに対し、嘘はつくなとシェリーは口が酸っぱくなるほど注意した。
華奢で弱々しいリピアは、街の子供達からからかわれる事が多かった。虫が大の苦手である事から、ふざけて虫を投げつけられる事もあった。その度シェリーが庇って助けてあげていた。リピアをひとりにしないよう、リピアの隣にはいつもシェリーがいた。
「シェリーちゃん……。いつもごめんね。僕なんかのために……。本当は他のお友達と遊びたいでしょ?」
「何言ってるの?リピアは大切な家族だから。私の大切な弟……、って同い年だけどね。私の方が先に孤児院に居るから……やっぱり私がお姉さんでしょ?」
12歳の時、リピアに引き取り手が現れた。慈善活動に熱心で裕福な家柄の、王都に居を構える老夫婦だった。
港町に観光で訪れた夫妻なのだが、たまたま通りがかった孤児院に慰問で訪れて寄付金を施してくれた。その際に病弱で儚い風貌のリピアが目に留まり、放ってはおけなかったようだ。
別れを惜しむシェリーとリピアであったが、幼いふたりにはどうする事も出来ない。リピアは王都で暮らす事になり、涙ながらに別れを告げた。
「シェリーちゃん……、僕、行きたくないよ」
「何言ってるの?あんなに優しそうなお父さんとお母さんが出来るのよ?……リピアなら絶対幸せになれるよ」
「……僕、必ずシェリーちゃんを迎えに行く。シェリーちゃんの事、お嫁さんとして迎えに行くからね。それまで待ってて。約束だよ」
「ふふ、分かった。約束よ。おばあちゃんになるまでに迎えに来てね?」
──それから6年の歳月が流れた。
18になったシェリーは、孤児院の職員として、そのまま住み込みで働いていた。
街の同年代の子達からは、孤児院出身という事実だけで同情や冷ややかな視線を向けられる事が多かったが、辛いとは思わなかった。
小さく貧しい孤児院での生活は決して楽ではない。けれど、園長は気さくでおおらかだし、他の職員も心根が優しい。何より子供達が可愛い。
現在、乳児がひとりと幼児が3名しかいないが、どの子も自分の子供のように接しては愛情深く世話をしていた。
自分の一生は、ここで平穏無事に過ごして終えるのかもしれない。それも悪くない。
子供達の笑顔を眺めていると、彼の可愛らしい笑顔が重なる。
──リピアは元気かしら?寝込んだりしてないかしら?幸せに暮らしているのかしら?
ある晴れた日の午後。子供達のお昼寝時間を見計らって、いつものように中庭で園長と先輩職員のノーラと3人で談笑しながら洗濯物の取り込みをしていると、後方から声がした。
「──シェリー!!」
「……え?」
名前を呼ばれた気がして振り向くと、ひとりの青年が立っていた。
背が高く、柔らかな髪をなびかせた整った顔立ちの青年だ。細身だけれど筋肉質で、逞しい。着ているものはひと目で上等なものだと分かる。
どこかの裕福な町人か、あるいは貴族か。王都の方から港町に観光か静養にでも来たのだろうか。このような小さな孤児院に立ち寄るなんて、貴族の気まぐれな慰問なのかもしれない。
そんな事を考えていると、見目麗しい青年が口を開いた。
「シェリー。迎えに来たよ」
シェリーと一緒に作業をしていた園長とノーラは彼に釘付けだ。
「……あら?どこかで見た事があるような?」
「ちょっと、シェリー!あの男前は誰よ!?シェリーの名前呼んでたわよ!?」
「え、いや、知らないよ……。あんな上流階級の知り合いいるわけないじゃない」
ざわつきが収まらない中、渦中の青年が言葉を続けた。
「シェリー、僕の事、忘れてしまったの……?リピアだよ」
「えぇ?!リピア?!リピアって……あのリピア?」
「うん、あのリピアだよ」
シェリーは6年前の記憶を辿った。
──私より小さくて、病弱で、儚げなリピア。ベッドで寝込んでしまったら、ふわふわの髪を撫でてあげるとにっこり微笑んでスヤスヤと気持ち良さそうに寝入っていたリピア。可愛い可愛い、弟みたいなリピア。
青年をくまなく見ると、なるほど確かに、整った顔立ちはリピアの面影がある。女の子みたいな愛らしい顔つきが、中性的でハンサムな顔つきへと成長している。背はシェリーよりも頭ひとつぶんは高い。
「迎えって……、リピアには新しいお父さんとお母さんがいるじゃない。それに突然言われても……。私は今、ここの職員として働いているんだよ」
「……義父さんは去年病気で亡くなったんだ。義母さんもそれから後を追うように老衰で亡くなって。使用人はいたけど、僕ひとりきりだし……。用立てて田舎に帰ってもらったんだ。……シェリー、僕のところに来て?ふたりで暮らそう?次の職員なら僕がちゃんと適任者を見つけて斡旋するから大丈夫」
「ご両親の事はご愁傷様……。でも、一緒に住むとかそんな事言われても……」
遮るようにリピアは言葉を重ねた。
「僕、騎士になったんだよ。シェリーを守る事が出来るように、強くなったんだ!色々忙しかったんだけど、ようやくまとまった休みを貰えて……、やっとシェリーの事迎えに来れたんだ。……遅くなって本当にごめん」
「騎士?!そっか……リピア、頑張ったんだね。身体も丈夫になったのね?……ふふ、こんなに大きくなったんだものね。びっくりしちゃった」
突如、甲高く騒がしい声が響いた。
「ねぇ!!そこの男前は誰なのよ!?」
ハンナだ。ハンナはこの地域の有力者の子女であり、この街一番の美人と評判の娘。シェリーと同い年だった。
幼い頃は病弱なリピアの事をよく馬鹿にしていた。そして現在に至るまで孤児院育ちのシェリーに対し蔑むような態度を取ってきている。
孤児院の近くにある教会にたまたま来ていたところ、騒ぎを聞きつけてやって来たようだ。取り巻きの女子数名も引き連れている。
園長が簡単に事の経緯を説明すると、ハンナははしゃぎだした。
「嘘ー!?えー!?リピアなの!?凄ぉい!こんなに格好良くなって!確か王都のお金持ちの家に引き取られたのよね?……あ!私はハンナよ。覚えてるでしょ!?」
ハンナはリピアの元へと駆け出し、身体中にベタベタと触れた。
「わぁ、凄い筋肉!さすが騎士様ね、素敵!」
リピアはハンナの事は一切見向きもせずに手を払い除けて、何事も無かったかのように隣のシェリーに話し掛ける。
「少し歩いた所に宿を取ってるんだ。明日まで泊まってるから。時間が空いたら部屋まで来れない?送り迎えはもちろん僕が責任を持ってするから!ふたりきりで話したいんだ……。だめかな?」
「……ええと」
「シェリー、今日はもう仕事はいいから。今から行って来ていいわよ。ゆっくり話してきなさい。……リピア、立派になったわね。おかえりなさい」
「園長、ただいま。ありがとう」
──落ち着いたところで話せばきっと理解してくれるだろう。独りきりになって寂しいから、昔の事を思い出して私の所へ訪ねて来たのかもしれない。
そう解釈し、気を利かせてくれた園長の言葉に甘えてリピアの泊まる宿へと同行しようかと思ったシェリーであったが、何故かハンナの猫撫で声が聞こえた。
「行く行く~!楽しみぃ!……シェリーは邪魔!」
ハンナがシェリーの身体を押してリピアから遠ざけようとしてきた。──瞬間、庇うようにシェリーの身体に抱き着いたリピアが、怯えた声を出した。
「シェリー、そこ!見て……!あそこにいるの、てんとう虫かな?怖い……」
突然抱き着かれたシェリーは驚きつつも、リピアの言う方向に視線を落とした。
草むらに、てんとう虫がいた。
「虫が苦手なのは大きくなっても変わらないのね。そんなんでよく騎士が務まるわね?ふふ……いいわよ。こっちに飛んでこないように離れたとこに移動させてきてあげる。ちょっと待っててね。離してくれる?」
「うん、ありがとう」
シェリーをそっと離し、その場を去ったのを見届けたリピアは、近くを飛んでいた羽虫を思い切り掴んだ。
そして躊躇なくハンナの顔に投げつけた。
「きゃっ!!」
「お前、僕のシェリーちゃんを傷付けたらどうなるか分かってんだろうな?」
「え?は?……えっ?あの……」
「うるさい。話し掛けるな。僕とシェリーちゃんのラブラブタイム邪魔したら許さないからな。次、話し掛けたらヘビ投げつけるぞ」
あまりの豹変ぶりに、ハンナ及び取り囲んでいた女性陣、ノーラ、そして園長が引き気味になっていたところ、シェリーが戻ってきた。
「お待たせー。てんとう虫どかしてきたよ」
リピアは正面からシェリーに抱き着いた。
「ありがとう、シェリー!やっぱりシェリーは優しいね」
「んっ、もうっ、苦しいよ……っ!今はリピアの方が大きいんだから、そんなに強く抱き着かないでよ」
「……シェリーもとっても大きくなったね?」
「そう?そんなに背は高くないと思うけどな?」
頬を染めてシェリーに抱き着いて離さないリピアを、周囲の全女性はドン引きしながら5歩くらい遠ざかり、唖然と眺めていた。
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