【R-18】猫の恩返しという名の呪いをかけられて誰得なラッキースケベと闘っています！【完結】

本編

８話 呪いがついに……

※ギャグ全振り回


　もうそろそろ寝ようかな、とベッドでゴロゴロしていたら、窓辺に猫が現れた。

「青春してるかにゃー？」
「ぎゃっ！……スコ猫！！いい加減にしてよ！突然部屋に現れるのやめてくれない？」
「メイコは僕の命の恩人だにゃ。スコティーヌ・フォ・ルドーの名にゃにかけて、メイコには幸せになってもらわないと困るのにゃ」

　そういえばそんな大層なお名前だったね、スコ猫ちゃん。やっぱり猫のお貴族様とか？

「それで、ニカイドウくんとは最近どうにゃ？上手くいってるのかにゃ？」

　近所のおばさんみたいなノリで女子高生の恋愛事情聞くのやめてよね！

「まぁ、そもそもあんたが原因だし、言っちゃうけどさ。……二階堂くんって変態みたいで。私の事好きとか愛してるとか言うわりに、キスしてくれた事ないのよね。身体目当てなのかな、って……胸もアソコも触られてさえいないんだけどねっ！ん？……あ！やっぱりあんたの呪いのせい？！二階堂くんに変態になる呪いかけたでしょ！！」
「にゃ！！失礼にゃ！！」
「どうだか～？」

　変態猫やろうを横目で見る。

「メイコはニカイドウくんのコト本当はどう思ってるにゃ？思ってるコト、ちゃんと伝えたのかにゃ？心の中で思ってるだけじゃ気持ちは伝わらないんだにゃ～」

　猫に正論かまされた！



「ここにいたか、スコティーヌ」

　誰？！また窓辺？！

「スコティーヌよ、貴様ともあろう者が、恩人に満足な祝福も与えられぬとは……。新興勢力として台頭してきたルドー家もやはり力不足だったか。四大キャッツの面汚しよ……」
「に"ゃっ！お前は！アメリ・キャーン・ショトヘ！！」

　短毛で白と灰と黒のマーブル柄の毛、アーモンド型のぱっちりお目々の猫が窓辺に現れた。

　ここにきて新キャラ(猫)来ちゃう～？！

　普通、登場するならクールな3年のイケメン先輩とか生徒会長とか、あと可愛いイケショタの1年が出てくるもんじゃないの？何のための花の高校2年生なのよ！

　あとこの猫、絶対アメリカンなんちゃらでしょ！口調だけならどこぞのスコ猫より貴族っぽいわね。

　どうやら四大キャッツの面汚しであるらしいスコ猫は、悔しげに呟く。

「くぅ～、僕だって、僕だって……っ」
「ルドー家の潜在能力の高さは認めている。しかしその病弱さをどうにかしなければ、恩返しの一つも果たせぬぞ」
「……にゃぅぅ」

　折れた耳が更にへにゃりと垂れ下がる。見た目だけなら抜群に可愛いのよね、この変態猫。

「お主、名は？」

　……私？！またしても猫に名を問われてしまった！やはり私の感動青春物語の相手は猫しかいないのか。

「私の、名前は、マノ、メイコ、です」
　慎重に答えたら、何かたどたどしくなった。

「メイコか。よし、ここで会ったのも何かの縁。私が力になってやろう」

　え！猫の手はいらない！

「結構です。あと、あなた、何で突然私の部屋に現れたんですか？」

　貴族風を吹かすお猫様に一応敬語を使う。

「ふぅ、強情な娘だな。手が焼ける」

　だから猫の手はいらないっての！





＊
　押し問答の末、アメ猫に負けた。このまま居座られて猫に恋愛論を説かれたり恋のサポートされるとか嫌過ぎる。

　ちなみに、スコ猫は身体が弱くてよく色んな所で倒れ込んでいるらしい。最近姿を見かけないスコ猫が気になり探し回っていたとの事。私がスコ猫を見付けた時道端でぐったりしていたのはそういう事情だったようだ。

「メイコよ。今からお主にかけられた祝福を解除する」
「え！！呪いを解いてくれるの！？」

　そういう事なら早く言ってよ～！

「呪いではない。祝福だ。……スコティーヌとの会話を聞いていたが、お主はニカイドウとやらとしっかり向き合った方が良い。スコティーヌの言う事も一理ある。しかし余計な仕掛けがあっては話すのも大変だろう」

　そんなワケで呪いを解いてくれる事になった！アメリ様、ありがとう！！

　マーブル模様のハンサム猫ちゃんが私に近付く。サラサラの毛が神々しい。

　ベッドに腰掛けている私の足元まで来て、後ろ足を片方上げ、そして思いっきりオシッコした。

　シャーーーッッッ

　はぁぁぁーーー？！？！

「ちょ、おかしいでしょ！何であなたまでオシッコかけるのよ！！」

　足元がまんべんなくオシッコまみれである。あっ、毛布にひっかかってる～っ！！

「祝福を解除したのだ」

　スッキリした表情で答えるアメリ様……いや、ただのアメ猫。本当に呪いが消えたのか甚はなはだ疑わしい。

　そしてやっぱり臭いっ！