【R-18】嫁ぎ相手は氷の鬼畜王子と聞いていたのですが……?【完結】

千紘コウ

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3.初夜②

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「……ブランシュ?どうした?」
「後はご自身で続きをしてくださいませ」

 興奮冷めやらないままのフェリクス様の頬は赤らんだままだが、私の言葉が理解できないのか、眉をひそめて聞き返してきた。

「それはどういう意味だ?」
「そのままの意味ですわ。後はご自身で慰めてください」

 澄ました王子様がひとりで一生懸命快楽を追求している姿が見てみたい。情けなくて泣き出したりしてくれないかしら。

 しばし逡巡しているようだったけれど、フェリクス様は大人しくご自身のものに手を運び、ゆっくりと扱き出した。

 そそり勃った熱の塊は、はち切れそうに大きい。私に見られることに抵抗があるのか、始めこそ遠慮がちに扱いていたものの、徐々に手付きが素早く滑らかなものへと変わっていった。普段はこうやってご自身を慰めているのねと思うと何だかとても興奮してしまう。

 私と視線が合わないように瞼をぎゅっと閉じて感じている姿は、とても可愛らしい。先から溢れる透明な汁を手のひらで先端に塗り込んで必死で快感を得ている様は、とても淫らで憐れだ。王子様がするような行為とは思えない。

「もう……出る……っ」

 限界を迎えそうになったフェリクス様の手を握った。上り詰めた欲が出せなくなった彼は戸惑っている。

「とても可愛らしいお姿でしたわ。ご褒美をさしあげないといけませんね」
「褒美……?」
「フェリクス様、手はお腹の上に置いてください。しばらくそのままですよ」

 私のお願いに素直に従ったのを見届けると、お腹に付きそうなくらい滾った熱に触れてみた。驚くくらい硬い。少し怖かったけれど、彼にはそんな心の内は見せないように根元を軽く握った。

「私がフェリクス様を良くしてさしあげますわ」

 先ほどフェリクス様がご自身で慰めていた動きを真似しながら、大きく硬いそれをゆっくりと上下に扱いていった。

 お腹の筋肉みたいにとっても硬い。ぬるぬるした汁が先から溢れてくるから扱きやすくて何だか面白くなってきた。

 気を良くした私は扱く速度を更に速めていった。

「……限界だ、もう、出したい……っ」
「もっと頑張ってくださいませ」
「いや、しかし……っ、……くっ……」

 手のひらの中で苦しそうに射精を待ち侘びているものが、時折ピクピクと動いている。

 フェリクス様の反応を見ながら手加減することなく感度の良さそうな先端の括れた部分をきゅうきゅうに指や手のひらで締め付けて、捻りを入れながら刺激し続けた。
  
「あ、ああ……っ!」

 突然、大きな喘ぎを出しながら、フェリクス様の身体がぶるりと震えた。
 同時に、べっとりとした白濁が大量に私の手のひらを汚した。

「堪え性がありませんのね、フェリクス様は」

 汚れた手をシーツで拭き取りつつ彼の顔を上から覗き込むと、紅潮したお顔をふいっと逸らしてしまった。

 わかってないわ、この王子。そこは羞恥に耐えながら、私の足元に這いつくばって足を舐めても良いかお伺いを立てる場面でしょ。乙女みたいな反応をするだなんて論外。

「フェリクス様、私の瞳に見つめられながら弄ばれたいのでしょう?何で逸らしてしまいますの?」 
「……すまない、こんな羞恥を覚えたのは生まれて初めてで、自分でも戸惑っている。……私の求めていた女性とこうやって夜を共に過ごせることができているのは……嬉しい」
「まぁ、フェリクス様ったら」

 これはこれで良いのかもしれない。内面は可愛らしい王子様をいじめるのも一興ね。

 そんな乙女な王子様がお伺いを立ててきた。

「お願いだ。君と結ばれたい。抱かせてほしい」

 一応初夜だし行為は済ませないといけないわね。軽く頷くと、フェリクス様の口元がほんの少しだけ微笑んだように見えた。

 身を起こしたフェリクス様が私の身体に触れると、ゆっくりとネグリジェを剥いでいった。

 私がフェリクス様の身体を弄った倍以上の時間をかけて入念に前戯を施された。私が何度も達したのを見届けた彼は、そこからは驚くほど優しく抱いてきた。

「ブランシュ……ッ、愛してる」

 言い聞かせるように何度も愛の言葉と唇を私に落としてくるフェリクス様。触れ合う唇は温かくて、何だか本当に愛されているような感覚に陥りそう。

 鍛え抜かれた身体で抱き締められるのだけは少しだけ苦しかったけれど、破瓜の痛みなんてどこかに飛んでいってしまうほどの快楽を与えてくれた。

「……っ、奥に出すぞ」
「は……い……っ、あっ、あぁっ」

 一際深く腰を打ち付けてきたフェリクス様の動きが止まり、中で果てたのがわかった。

 気をってぐったりとしている私に蕩けるような甘い声を落としてきた。

「これから毎晩君を愛するから、ゆっくり休んでくれ。……幸せな家庭をつくろう」

 どんな表情で言っているのかは見えない。少しだけ胸がざわついた。
 




「……あ、あの、ブランシュ様っ、大丈夫……ですか?お怪我は、ありませんか?」

 翌日、遅めの起床をして寝室と隣り合った自室に戻ると、専属の侍女が部屋に入ってきた。私の姿を見るやいなや、第一声がそれだ。

 何なのかしらこの子は?不思議に思いながらどういうことかと尋ねると、周りに誰も人がいないのを確認するかようにキョロキョロと見回し、恐る恐る口を開いた。私の部屋なのに誰もいるわけがないじゃない。

「殿下は、気に入った者を徹底的に蹂躙する性の方なのです……。実際にいたぶる場面を見た者はいないのですが……」
「おかしな話ね。見たことがないのになぜ殿下が非道なことをしているとわかるのかしら?」

 突然何を言い出すのかと思ったら、くだらないわね。私も母国ではこんな妄言の類まで噂されているのかしら。そんなことを思いながら話の続きを催促した。

「凍てつくようなあの瞳の殿下に目をつけられたが最後……。部屋に招かれて、必ずその後は消息不明となるのです。室内やベッドには血こそ付いて無いものの、毎度酷い有様だとか……。ですから、陰では“氷の鬼畜王子”などとの二つ名がついているのですが、隣国にはその話は伝わっていないようですね。だって、ご存知でしたら例え王家からの命であってもこんな縁談を引き受けるわけがありません!修道女になってでも逃げますもの!」

 “氷の鬼畜王子”の由来までは耳にしたことがなかった。まぁ、何て酷いこと。何が酷いって、そんなくだらない作り話を信じている従者が存在していることがだ。

「私は怖いのです。2年前から殿下はブランシュ様にずっとご執心のようでしたから。その間は誰も犠牲者が出なかったのですが、だからこそ一体ブランシュ様はどのような目に遭わされてしまうのだろうと……っ。徹底的に嬲られてしまうのではと……っ」

 ガクガクと全身を震わせる様は、水浴びをした後の子猫のようだわ。私は彼女に優しく話しかけた。

「大丈夫よ。殿下は閨ではとても可愛らしい方なのよ。……ふふ、この話はここだけの秘密よ?」
「……そうなのですか?さすがの殿下もご執心のブランシュ様のことは大事にされているのですね」

 閨での出来事を思い出す。あのフェリクス様が鬼畜だなんてと笑ってしまう。私の言葉に安堵したのか、震えが少し止まった彼女は頼りなく微笑んだ。

 翌日、彼女の姿はなくなり、私専属の侍女は別の侍女になっていた。

 え?


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