27 / 66
入学式の後
しおりを挟む「おい!シルヴィア!ベランダで何してるんだよ!体が冷えるぞ!」
そう言ってきたのは侯爵家の三男のオスカー・ブライスだ。
彼はルイスの親友だ。
学園生活では彼も一緒に4人で楽しんでた仲だった。
彼はちょっと言葉遣いが荒いとこがある。
なんでも小さい頃よく平民と絡んでたとか。
貴族としてはあるまじき行為だけど、前世の記憶がある私からしたら親しみやすい人だ。
「ええ、ごめんなさい。今入ろうと思ったとこよ。」
「ん?なんか顔色悪いぞ?大丈夫か?」
「大丈夫よ。さぁ早く中に入りましょう。」
「っちょ。押さなくてもいいだろ…!?」
「…」
彼も気付いてしまった。ルイス達が密会してることを…
「…中に入るぞ。」
「え、ええ」
オスカーと私は会場の中に入った。
________________
「はい…」
私達が会場の隅っこに到着した時、オスカーは私にハンカチを渡してくれた。
「涙の跡がある。これで拭いてろ。」
「え、ええ。ありがとう。」
私は渡されたハンカチで涙を拭いた。
「新しいハンカチを贈り返すわ。」
「いいよ。いらん。男として泣いてる女が居たら心配するのは当たり前だ。もしそれが知り合いなら余計な。」
「あら、嫌だわ。私は恩をちゃんと返す人よ。お礼をさせてちょうだい。」
「ふ、そうだったな。じゃあ楽しみにしとく。」
「ええ。そうして。」
「…」
「…」
話が続くこと無く、2人は無言になってしまった。
(やっぱり話さないといけないのかしら…。オスカーは頑固だから、話逸らしても意味ないわね…)
「何か飲み物持ってくる。」
「え、いえ、大丈夫よ。要らないわ。」
「いや!持ってくる。」
そう言ったオスカーはさっさと飲み物が置かれてるテーブルに行った。
(ちょっとでも落ち着かせる為に持ってきてくれるのかしら?)
「はい。飲み物」
「え、ええ。ありがとう。」
オスカーは飲み物をくれた。
私達は淡々と飲み物を飲んでた。ちょうど飲み物を飲み終わった時、オスカーが話を切り出した。
「で、どうするんだ?」
「え?」
「ルイスの事だよ。まさか噂は本当とはな。」
「…」
「復讐でもするのか?」
「え…」
復讐なんて考えても見なかった。
これから私はどう生きようかで頭がいっぱいだった。
(自分のことしか考えられないなんて… 私って薄情ね。)
「いいえ、しないわ。」
「は!? 悔しくないのかよ!」
「あら、オスカー。あなた一応ルイスの親友でしょ?ルイスの身を案じないの?」
「それとこれは違うだろ!この件は完全にルイスが悪い。」
「復讐はしないわ。だって意味ないもの。」
そう。復讐は意味ない。復讐はただ行き場のない気持ちを何かに当たって気を晴らす行為。ただの八つ当たりで、自己満足だ。時間の無駄に過ぎない。
「でもちゃんと責任は取らせるわ。」
「ほう。」
「心配してくれてありがとう。」
「!? べ、別にこんぐらい大したことねぇよ。俺ら友達だろ?」
「ふふ、そうね。」
(オスカーと喋ってたらしょんぼりしてた気持ちが薄れてきたわ。)
そう思いながら会場を見渡した。会場は私とは反して煌びやかで賑やかだった。
「あ、あのさ「オスカー、私、ルイスと婚約破棄しようと思うの。」」
「へ?」
「私とルイスは政略結婚だけど、信用できないパートナーと一生一緒に生きれるとは思わないの。」
そう貴族の結婚は信頼で成り立ってる。だって信頼出来ない人と事業なんて出来ないでしょ?
「だから私、パーティの途中だけど帰ろうと思うの。」
そう私の未来の為に決断しないと。その為に色々準備が必要ね。
「…ああ。それがいい。だが、何かする前に休めよ。顔色が悪いぞ。」
「あら、レディに対して失礼よ。」
「準備万端の時に戦った方がいいだろ。お前の為に言ってるんだ。」
「別に戦いに行くんじゃないのよ。話し合いをするのよ。」
「それは余計に頭を使いそうだな。やっぱり休息は今のお前には必要だな。」
「ふふ。そうね。」
オスカーは心配性ね。まだ友人は捨てたもんじゃないわね。
「…シルヴィア、忘れるなよ。」
「ん?何をかしら?」
「俺は何があってもお前の味方だ。」
「…。ふふ。その口説き文句は好きな人に言うべきよ。」
「!? い、いや、俺は別にく、口説く為に言ったわ、わけじゃない!」
(ふふ。でもありがとうオスカー。今の私にとってその言葉は救いだわ。本当に感謝するわ。ありがとう。)
「じゃあ、行ってきます。」
「おう、頑張れ。」
そして私はパーティ会場から出た。
そう言ってきたのは侯爵家の三男のオスカー・ブライスだ。
彼はルイスの親友だ。
学園生活では彼も一緒に4人で楽しんでた仲だった。
彼はちょっと言葉遣いが荒いとこがある。
なんでも小さい頃よく平民と絡んでたとか。
貴族としてはあるまじき行為だけど、前世の記憶がある私からしたら親しみやすい人だ。
「ええ、ごめんなさい。今入ろうと思ったとこよ。」
「ん?なんか顔色悪いぞ?大丈夫か?」
「大丈夫よ。さぁ早く中に入りましょう。」
「っちょ。押さなくてもいいだろ…!?」
「…」
彼も気付いてしまった。ルイス達が密会してることを…
「…中に入るぞ。」
「え、ええ」
オスカーと私は会場の中に入った。
________________
「はい…」
私達が会場の隅っこに到着した時、オスカーは私にハンカチを渡してくれた。
「涙の跡がある。これで拭いてろ。」
「え、ええ。ありがとう。」
私は渡されたハンカチで涙を拭いた。
「新しいハンカチを贈り返すわ。」
「いいよ。いらん。男として泣いてる女が居たら心配するのは当たり前だ。もしそれが知り合いなら余計な。」
「あら、嫌だわ。私は恩をちゃんと返す人よ。お礼をさせてちょうだい。」
「ふ、そうだったな。じゃあ楽しみにしとく。」
「ええ。そうして。」
「…」
「…」
話が続くこと無く、2人は無言になってしまった。
(やっぱり話さないといけないのかしら…。オスカーは頑固だから、話逸らしても意味ないわね…)
「何か飲み物持ってくる。」
「え、いえ、大丈夫よ。要らないわ。」
「いや!持ってくる。」
そう言ったオスカーはさっさと飲み物が置かれてるテーブルに行った。
(ちょっとでも落ち着かせる為に持ってきてくれるのかしら?)
「はい。飲み物」
「え、ええ。ありがとう。」
オスカーは飲み物をくれた。
私達は淡々と飲み物を飲んでた。ちょうど飲み物を飲み終わった時、オスカーが話を切り出した。
「で、どうするんだ?」
「え?」
「ルイスの事だよ。まさか噂は本当とはな。」
「…」
「復讐でもするのか?」
「え…」
復讐なんて考えても見なかった。
これから私はどう生きようかで頭がいっぱいだった。
(自分のことしか考えられないなんて… 私って薄情ね。)
「いいえ、しないわ。」
「は!? 悔しくないのかよ!」
「あら、オスカー。あなた一応ルイスの親友でしょ?ルイスの身を案じないの?」
「それとこれは違うだろ!この件は完全にルイスが悪い。」
「復讐はしないわ。だって意味ないもの。」
そう。復讐は意味ない。復讐はただ行き場のない気持ちを何かに当たって気を晴らす行為。ただの八つ当たりで、自己満足だ。時間の無駄に過ぎない。
「でもちゃんと責任は取らせるわ。」
「ほう。」
「心配してくれてありがとう。」
「!? べ、別にこんぐらい大したことねぇよ。俺ら友達だろ?」
「ふふ、そうね。」
(オスカーと喋ってたらしょんぼりしてた気持ちが薄れてきたわ。)
そう思いながら会場を見渡した。会場は私とは反して煌びやかで賑やかだった。
「あ、あのさ「オスカー、私、ルイスと婚約破棄しようと思うの。」」
「へ?」
「私とルイスは政略結婚だけど、信用できないパートナーと一生一緒に生きれるとは思わないの。」
そう貴族の結婚は信頼で成り立ってる。だって信頼出来ない人と事業なんて出来ないでしょ?
「だから私、パーティの途中だけど帰ろうと思うの。」
そう私の未来の為に決断しないと。その為に色々準備が必要ね。
「…ああ。それがいい。だが、何かする前に休めよ。顔色が悪いぞ。」
「あら、レディに対して失礼よ。」
「準備万端の時に戦った方がいいだろ。お前の為に言ってるんだ。」
「別に戦いに行くんじゃないのよ。話し合いをするのよ。」
「それは余計に頭を使いそうだな。やっぱり休息は今のお前には必要だな。」
「ふふ。そうね。」
オスカーは心配性ね。まだ友人は捨てたもんじゃないわね。
「…シルヴィア、忘れるなよ。」
「ん?何をかしら?」
「俺は何があってもお前の味方だ。」
「…。ふふ。その口説き文句は好きな人に言うべきよ。」
「!? い、いや、俺は別にく、口説く為に言ったわ、わけじゃない!」
(ふふ。でもありがとうオスカー。今の私にとってその言葉は救いだわ。本当に感謝するわ。ありがとう。)
「じゃあ、行ってきます。」
「おう、頑張れ。」
そして私はパーティ会場から出た。
28
お気に入りに追加
2,009
あなたにおすすめの小説

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜
青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ
孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。
そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。
これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。
小説家になろう様からの転載です!

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。
新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、


少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる