レーヌ・ルーヴと密約の王冠

若島まつ

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5 ルース - Louce -

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 ギエリ陥落から五日経った。
 この間、オルデン城とその敷地内に駐屯することとなったエマンシュナ軍を、オルデンの民は歓迎とまではいかないながらも、敬愛する領主直々の言いつけを守り、礼を持って彼らを迎えた。
 夜襲で痛めつけられたエマンシュナの兵士たちの中にはオルデンの領民に敵意を持つ者も少なくなかったが、戦勝者として驕り領民を攻撃したり略奪を行う者は一人もいなかった。
 オルフィニナが奇襲攻撃でもって知らしめたその戦闘力による牽制が効いているとも言えるが、それよりも寧ろルキウスが若年ながら血気盛んな兵たちをよく統率しているためだ。この若い王太子の才能と言っていい。
 ルキウスは五日間を殆どオルフィニナの執務室で過ごし、膨大な量の報告書や手続きに追われた。
 一方でオルフィニナは、領民を一軒一軒訪ねてここがエマンシュナの支配領になることを陳謝し、今まで敬意を持って仕えてくれたことへの感謝を伝え、信頼のおける人物を新たな領主とするようエマンシュナの王太子が計らってくれるから安心してほしいと説き、毎夜彼らの家で夜通し酒宴を開いて別れを惜しんだ。
 最後の日、オルフィニナは新たにオルデンを統治することになるエマンシュナ人のジルベール・ルノーという若者に領内を案内し、領民の代表者たちへの挨拶回りや農地や牧場の見学などに一日中連れ回し、最後にオルデン城で財政や他の行政に関係する諸事の引き継ぎを行った。
 これに同行したルキウスは、夜襲を受けた際に腕を斬って反撃した襲撃者と同じところを怪我している領民を見つけたが、黙殺した。オルフィニナの部隊の戦士が領民に紛れているだろうとは、なんとなく予想していたことだ。そもそも、臣下は戦争に関する一切の罪に問わないと言う約定があるから、ルキウスが領民を追及することはない。
 しかし、一見穏やかな田舎町で質素な暮らしを送る人々の中にあの狼が何頭も紛れていようとは、今でも信じられない思いだ。
 新しくオルデン総督となるルノーは敵国の前領主がこれほど協力的なことに驚いたが、最も驚いたのは、別のことだ。
「これ全部、あなたが取り仕切っていたんですか」
「そうだ」
 他に誰がやるのかとでも言い出しそうな調子だ。ルノーは驚きのあまり言葉を失った。彼の常識では、高貴な身分の若い女性は、通常これほどの政務を一人で行わない。経験豊富な政治家でさえ、大抵は助手や専門的な相談をする相手がいるものだ。
「ルノーは少し無愛想だけど、数字にも言語にも明るいし実直な男だから、信用できる」
 と、かつての学友でもあったこの田舎貴族の三男坊を自ら選んだルキウスが言った通り、オルフィニナから見ても道徳的で頭の回転が速く、かと言って王太子相手に萎縮しない肝の強さもある。なるほど信頼してよさそうだ。
「あとは領民の信頼を得てくれればそれでいい」
 馬上のオルフィニナが山道を登りながら穏やかに言った。
 本来であれば捕虜の移送は逃亡を防ぐために馬車で行いたいところだが、残念ながらルースへと向かう険しい山道では馬車は使えない。しかし、ルキウスにはオルフィニナが逃亡を図ることはないという確信がある。二人が交わした誓約もその根拠の一つだ。
「それが大変だろうね」
 ルキウスは寛いだ様子で笑った。
 この様子を不機嫌極まりないといった様子で後ろから眺めているのは、鹿毛のどっしりした馬に跨るクインだ。
 新たな領主の人選に満足したオルフィニナがルキウスに対して恩義を感じていると言うことにも、我慢ならなかった。が、口には出さない。クインは三歳の時から一つ年下のオルフィニナの兄として育ったが、それ以前に主君である彼女に仕える従者であり、騎士であり、今は勝者の恩赦により主君への追従を許された身だということを理解している。
 この一行のうち最も哀れなのは、それほど多くはない前オルデン女公の荷物を引く五頭の馬を険しい山道で監督しなければならないエマンシュナの兵士でも、悠然と歩く大きな白いオオカミの側で山道を進まなければならない兵士でもなく、静かに怒り狂うクインの隣で共に馬を進めなければならないバルタザルだったろう。
 ルキウスの所領となっているルースに入るまでは、木々の生い茂る山林を半日かけて越え、下山してから更に数時間、舗装の行き届いていない街道を東進し、牧草地やチューリップやマーガレットなどの花が栽培されている農地が広がる風景を越えた場所にある。
 ルース城は、なるほど対アミラの最前基地に相応しく、堂々たる佇まいだった。
 やや赤みのある白い石造りの円柱の塔が六本、王冠のような形の屋根を持つ中央の城郭を囲むように聳え、塔の壁に開けられたいくつもの窓から城に迫り来る敵を無数の矢で攻撃できるようになっており、城の周りには水の流れる堀に跳ね橋が架けられている。
 アミラ軍がこの要塞に迫ったことは五百年のうち七度あるが、いずれも攻略できずに終わった。
 オルフィニナが驚いたのは、そのいかにも実戦用のいかめしい外観に似合わず、城の内装が洗練されていることだ。
 城郭の一階は武器庫、兵舎、食糧庫、地下室に繋がっていて、周囲を囲う六棟全ての塔に通じており、有事の際に動きやすいよう壁が殆どなく、いかにも機能的だが、四方に設けられた階段を上ると、雰囲気がガラリと変わる。
 二階は貴族の居城らしく、床は青の天鵞絨張りで、壁にはアストル王家の紋章である黄金の獅子が描かれ、吹き抜けの天窓からよく陽光が差して、ピカピカに磨かれた調度品の数々を明るく照らしている。
 廊下を進む者を品定めするように高い台座から見下ろしているのは、大理石で彫刻された歴代の国王たちだ。環状に広がる廊下をぐるりと取り囲むように、そこに鎮座している。
 オルフィニナはちょうど通りかかった像を見上げた。目についたのは、比較的新しくてよく磨かれているからと言う以外に理由がある。
 他の王は獅子の紋章の王冠を被り、貂のマントを着け、大きな剣を佩いて権力の強さを象徴しているが、その王は王冠の周りに月桂樹を巻き、手にはオリーブの枝を持っている。そして、最も目を引くのは、唯一その隣に妃を伴っていることだ。王妃は王冠を被り、波打つ長い髪に月桂樹を巻き付け、神話の女神のように襞の美しい薄布の装束を纏って、慈愛に満ちた穏やかな表情を浮かべている。
 王の顔立ちはルキウスに似ていた。あと二十年ほど年を取ってもう少し髪を短くしたら、ルキウスがモデルだと言っても分からないだろう。
「曽祖父母だよ」
 ルキウスは像に気を取られているオルフィニナを振り返って言った。
「レオネ王とルミエッタ王妃か」
「そう。調和の象徴だ」
 調和の象徴――とルキウスが言ったのは、三代前の国王レオネが当時は千年もの敵国だったイノイルの王女を妻に迎え、二つの国の戦を終わらせたからだ。それも驚くべきことに政略結婚ではなく、二人が激しい恋に落ちた末の婚姻と和平だったという。まだ王太子だったレオネ王が深く愛する敵国の王女と結婚するために奔走し、イノイルとの和平が実現したことは、エマンシュナ国民の間では百年以上経った今も有名な話だ。そのため、歴代のエマンシュナ王の中でも、レオネ王は平和をもたらした王、愛を貫いた王として、ルミエッタ王妃と共に国民に愛され、特別に敬意を払われている。
「そんな人物と容姿が似ていると苦労しそうだ」
 オルフィニナがぽつりと呟いた。
 ルキウスは少し驚いたようにオルフィニナの顔を覗き込んだ。
「俺がレオネ王に似てると思う?」
「よく似ている。この像が正確なら」
「それは、光栄だ」
 ルキウスは嫣然と微笑んで言ったが、これは本心ではないとオルフィニナは直感した。

 オルフィニナに用意された寝室は、四階の最上階にある西側の居室だった。高貴な身分の女性の部屋としては広いとは言えないが、オルフィニナにとっては十分すぎるほどだ。なにしろ、オルデン城の執務室と比べれば、三倍以上の広さがある。寝室と比べるならば、多分四倍だ。
 内装は前時代的な織物のタペストリーではなく、イチジクやザクロなどの果実が描かれた淡いグリーンの壁紙で装飾され、部屋の奥にはアカンサス模様の浮き彫りが美しいつやつやした木製の天蓋つきのベッドと書き物机ビュロが置かれている。反対側の隅に置かれているやたらと大きなアーチ型の扉は、恐らくワードローブだろう。
「牢屋にでも入れられると思った?」
 驚いた様子のオルフィニナに向かって、ルキウスが愉快そうに訊ねた。
「捕虜だからな。エデンやクインと一緒に地下室にでも通されると思っていた」
 オルフィニナの後ろでクインが鼻で笑った。同じことを考えていたようだ。
「まさか」
 ルキウスの目から笑みが消えた。
「君は俺のものだ。他の男と一緒にするわけないじゃないか」
「…なるほど」
 オルフィニナは表情を変えずに言いながら、その身を守るようにグルグルと唸って足元に擦り寄ってきたエデンの頭を優しく撫で、背後で怒気を放ったクインに目配せした。「挑発に乗るな」と念を押しているのだ。クインは怒りの形相を隠そうともせず沈黙し、不服そうにオルフィニナを睨め付けた。その隣のバルタザルは、今にも泣き出しそうなほど不安な顔をしている。
「アドラーとエデンはバルタザルが下の階に案内する。君らは同じ部屋でいいだろ」
「エデンと同じ部屋はいいが、ニナと違う階は困る。そばで守るのが俺の役目だ」
 クインが言うと、ルキウスは口元からも笑みを消し、暗い目をした。魅力に溢れ見る者をうっとりさせるようないつもの顔とは全く違う、相手を凍り付かせるほど冷たい顔だった。
「アミラではどうか知らないけど、俺たちの習慣では主君と従者は同じ階に部屋を持たない。いかに主君を気安く呼ぶ間柄でも。それに俺は敵意のある人間を自分の寝室・・・・・の近くに置くほど楽天的じゃない」
 今度はクインが顔色を変えた。
「てめぇ、ふざけんじゃねえぞ!ニナを情婦にでもするつもりか!この――」
 語気荒く言って前に出ようとしたクインの腕をオルフィニナは掴んで止め、その頬を強かに平手で打った。
 クインは目を丸くしてオルフィニナを見たが、それよりも驚いたのはルキウスだ。
「分をわきまえろ、クイン・アドラー!」
 オルフィニナが激しい口調で叱った。
「自分が従うべき相手に敬意を払えないなら、今すぐ国へ帰りなさい」
 本気で怒っている。
 こういう時のオルフィニナの目は、実父のエギノルフ王よりもむしろ育ての親であるルッツに似ている。クインの嫌いな目だ。
「わたしがルキウス・アストルに降ったのは、ドレクセンとしての矜持ゆえ、自分の意志でしたことだ。お前がルキウス・アストルを侮辱した時、主人であるわたしをも貶めることになるということを忘れるな」
 クインは怒りの感情を排出するようにゆっくり大きく息を吐き、ルキウスに向かって頭を下げた。
「…無礼を致しました。ルキウス殿下」
「わたしからも詫びる。わたしの騎士が申し訳ないことをした。クインを伴うことを条件に加えたのはわたしだ。処罰があればその一切はわたしが受ける。寝室もあなたと同じ階で別に構わない」
 無表情で詫びたオルフィニナと怒りを必死で抑えるクインに向かって、ルキウスは鷹揚に微笑んで見せた。作り笑いだ。心底気分を害した時、生の感情とは正反対の表情をその元凶である相手に見せることが、ルキウスにとっては条件反射のようになっている。
「許そう、アドラー。麗しい君の女主人と、君の深い忠誠心に免じて」
 完璧に高貴な笑みを作りながら、ルキウスはなぜこんなにも不愉快なのかと内心で自問した。主君が臣下の非礼を叱責するのは当然のことだし、その罪を主人が我がものとすることも、理に適っている。にもかかわらず、ひどく理不尽な怒りが胸を占めた。なんだかものすごく胸糞悪い。
 不承不承バルタザルの案内でエデンと共にオルフィニナの寝室を後にするクインの背を見て、それに斬りかかる自分の姿が思い浮かんだ。
 攻撃的になってはいけない。と、自分に言い聞かせた。自制の訓練など、幼い頃から飽きるほどしてきたではないか。
「…血の気の多い男で申し訳ない。差し支えなければ兵士の訓練にでも参加させてやって欲しい。身体を動かせば少しは鬱憤も発散できるだろうから」
 オルフィニナが言うと、ルキウスは唇を穏やかに吊り上げながら、孔雀色の目を暗くした。
「差し支えない。なんならさっきバルタザルにそのまま剣を抜かせてもよかったな。その場で発散できた方が彼にとっても良かったんじゃないか」
 表情を消していたオルフィニナの目に、一瞬の動揺が浮かんだ。ルキウスの口調に微かな怒りが滲む。
「気付いていただろ。君が頬を打たなければ、バルタザルが彼に剣を抜いてた」
 事実だ。
 オルフィニナはクインがルキウスを罵倒しようとした瞬間のバルタザルの顔を見逃さなかった。それまで不安そうにしていたバルタザルの目が、主君を侮辱される気配を感じ取った瞬間に獲物を狩る鷹のような目をしたのだ。多分あのまま抜かせていたら、クインの片腕が飛ぶぐらいの惨事は起きていたかも知れない。気弱そうに見えて、侮れない男だ。
「彼は殺気を消すのが巧い」
 オルフィニナは感心したように言った。
「だから側に置いてる。骨の髄まで俺に忠実だしね」
「…怒っているな」
「そう見える?」
「見える」
 ルキウスは思わず笑みをこぼした。こんなふうにズケズケと隠した感情を指摘してくる人間は、この女くらいのものだ。
「…君はあの粗暴な騎士をずいぶん大事にしているね。自分を身代わりにするほど」
「クインは臣下である前に、わたしの家族だ。家族を守るのは当然のことだろう」
「気に入らないな」
 ルキウスは小さく吐き捨てた。
「臣下は臣下であるべきだ。君らは親密すぎる」
「わたしとクインの関係性を変えようとしても、それは条目に入っていないし、木を金に変えるのと同じくらい困難だよ」
 オルフィニナが毅然として言った。
「そうか」
 今度はルキウスは感情を隠そうとさえしなかった。笑みが完全に消えた後、みるみるうちに静かな怒りが美しい貌に広がり、オルフィニナの背筋を凍り付かせた。
「…処罰は君が受けるって言ったな」
 ルキウスは暗い目をして扉へ足を向け、内鍵を閉めて、あの獲物を狩るような足取りで書き物机の前に佇むオルフィニナの元へ歩み寄った。
 気付けばすぐ目の前に、美しい貌を怒りに歪めたルキウス・アストルが迫っていた。オルフィニナの背筋を冷たい汗が伝った。
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