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62 悪夢の後始末 - Je vais tout faire -
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イオネの診察にやって来た医師は、エゼキエリという中年の女性だった。
アルヴィーゼが処置した跡と寝室に置かれた薬湯を見たエゼキエリ医師は、ふむ、と小さく息をついた。感心したらしい。
「これを公爵が?」
「ええ。でもコルネールの使用人は概ね同じ手順を知っていると聞いたわ」
「素晴らしい。化膿止めの調合から毒消しの薬に至るまでこの水準とは、ルドヴァンは遥かに医学が進んでいますね」
診察の間、イオネは思いついたことを訊いてみた。
「たとえば、ルドヴァンの医術を他の地域にも広めるとしたら、どうしたら良いと思いますか」
「そうねぇ」
エゼキエリはイオネの脚の包帯を巻き直しながら言った。
「まずは大学です。大学の中の一つの学部ではなく、もっと大きな規模の、専門に学ぶ機関が必要です。もちろん実際に病院や中心的な研究機関として機能することは大前提として。あとは部門ごとの優秀な先生の確保。医師として腕が良いだけでなく、教育者として後進を育てられる人物が望ましいですね」
「なるほど。部門ごとって、例えば――」
「お喋りはお終いです、教授」
イオネはすぐに書き留めたくなるのを堪え、まぶたの下や扁桃腺を診るエゼキエリ医師のされるがままになった。
「また相談に乗ってもらってもいいかしら」
この短時間で、イオネはエゼキエリ医師がすっかり好きになってしまった。無駄な愛想も余計な会話もなく、必要なことを最短で済ませる手際が特に気に入った。
「体調が万全に戻ったら、考えましょう」
エゼキエリ医師に厳しい調子で言われ、イオネはぎくりとした。何かを始めるとそれにばかり没頭してしまう性格が見透かされている。
「まずは休養。たくさん水分をとって――勿論お酒じゃないですよ。身体の中をよく循環させること。数日はめまいに気をつけて。毒消しの飲み薬を加えておきますから、一日三回、全て無くなるまで飲んでください」
診察の後、イオネはすぐにアルヴィーゼを探して執務室へ赴いた。大学の構想を伝えたかったからだ。重々しい執務室の扉の向こうから、男たちの声が聞こえてくる。
「――今はこれで手を打て、アルヴィーゼ」
旅装のマルクが壁のように立ち、書状を手に暖炉のそばに佇むアルヴィーゼに向かって腕を組んでいる。
「人を殺していない限り、共和国の裁判で罪人の首が飛ぶ結論が出ることはない」
傍らに立つドミニクも、神妙な面持ちで顎を引いた。
「厳罰を下すとなると、イオネさまが詳細を訴え出る必要があります。矢面に立つのは、イオネさまもアルヴィーゼさまも望まれないでしょう」
アルヴィーゼは無言で書状を暖炉に放り込み、見る者をヒヤリとさせるような冷たい目でジリジリと灰になってゆく書状を見下ろした。
「ではカスピオ一族を根こそぎ潰す方が容易いな」
「だ、だめよそんなの」
イオネが慌てて割って入った。
「イオネ」
アルヴィーゼは扉から現れたイオネの姿を認めるや否や、足速に駆け寄って簡素な室内着の上に自分の上衣を羽織らせ、ヒョイと身体を担ぎ上げてソファへ運んだ。
「ここまでしなくても大丈夫よ」
「ダメだ。何故こんな薄着で出てくる。大人しくしていろ。診察は受けたんだろうな」
イオネはむぅ、と頬を膨らませて、ちょっと面白がるような目をしたマルクの挨拶を受けた。
「受けたわよ。いつの間にオトニエルさんまで呼びつけたの?」
「そろそろマルクと呼んでくれよ、イオネ。親友のためなら一晩馬で駆けることなんてどうってことないぜ。ちょうどアラス港で船遊びをしてたんだ」
「素敵ね、マルク。それで、今この人が焼いた書状は何?」
アルヴィーゼがギロリと睨め付けても、マルクは意に介さず続けた。
「カスピオ議員から息子の不始末を詫びる書状だよ。恩赦を求めてきた」
「あら、変ね。襲われたのはわたしなのに」
イオネの目が剣呑に光った。転ばされてもただでは起き上がらない女だ。アルヴィーゼは唇の左端を吊り上げた。
「あの男、離島へ追放されたのに現地の人を買収して戻ってきたって言っていたわよね」
アルヴィーゼは既にこれまでの経緯をイオネに伝えている。イオネはカスピオの異常性に心底怖気を感じたが、それよりも許しがたかったのは、違法な売買に手を染めている危険人物が神聖なる学堂に出入りし、学界に自分と同じ言語学者として名を連ねていたことだ。
「証拠を揃えて関係者を断罪するべきよ。権力にものを言わせて一族を潰すなんて、法治国家としてあってはならないわ。一族の中には今回の罪とは無関係の素晴らしい研究者だっているんだから」
イオネは身を乗り出してアルヴィーゼの腕にしがみついた。
大切な存在を傷付けられたアルヴィーゼがどこまで非道なことができてしまうか、イオネには何となく察しが付いている。法を越えることは容易い。今までもルドヴァン公爵アルヴィーゼ・コルネールは必要とあらばそうしてきただろう。実のところ、そんなことにそれほど意味は無い。
イオネが感じる恐怖はむしろ、アルヴィーゼが負うべきではない罪を生涯負い続け、その輝かしい人生に瑕疵をつくることだ。カスピオに対峙したときの殺人者のような目を、イオネは今でも身震いするほど生々しく覚えている。
「法を無視するようなことはしないで。必要ならわたしも証言するわ」
「その必要はない」
アルヴィーゼが強い口調で言った。
アルヴィーゼにしてみれば、イオネを公の場で「カスピオに襲われた女」にすることこそ有り得ない。今回の事件に関するアルヴィーゼの行動は全て、ジャシント・カスピオのみならず、彼が存在した痕跡まですっかり消し去るという目的に向かっている。
「全て俺がやる」
「でも――」
「まあまあ。心配するな、イオネ。ナヴァレのマルク・オトニエル中将が来た理由は何だと思う?」
マルクがニカッと笑った横で、ドミニクがひっそり胡乱げな顔をしたのを、イオネは見た。マルクが余計なことまで喋り過ぎないか不安に思っているのだろう。
「ちょっと前からジャシント・カスピオの余罪を調べてたんだよ。エマンシュナの海域で横行してる違法売買に関わってるから、その罪に関してはうちの管轄だ。協力者もだいたい目星は付いてるんだ。共和国議会との交渉が終わり次第、エマンシュナへ移送して裁くことになる。共和国で犯した罪に比べれば、ものすごい厳罰が下るぞ。時間はかかるだろうけど」
アルヴィーゼがムスッと口を引き結んだ。時間がかかるという点に納得がいかないのだ。
「…あなたたちに任せるわ。わたしもあんなことを掘り返さずに済むならその方がいい」
肩がぶるりと震える。拉致されたあの気味の悪い部屋の壁の色でさえ、二度と思い出したくない。恐怖に支配されずに正常な精神状態を保てているのは、アルヴィーゼが救い出してくれたからだ。
どちらかといえばその後の情交の激しさの方が記憶に鮮明に残っていることは、不謹慎とも言えるが幸いなことだった。
怖がっているのは、アルヴィーゼの方だ。
「でも、あくまで法に則って裁いて。コルネールの権力をこんなことで行使するのは割に合わないわ」
イオネが念を押すと、アルヴィーゼは唇を吊り上げて応え、イオネの身体を抱き上げた。
「当然だ。お前は心配しなくていい。もう休め」
執務室から出る前に、アルヴィーゼは二人に目配せした。法に則りエマンシュナで裁かれた後のジャシント・カスピオの身に起きることは、イオネが知ることはない。
「今日はここから出るな」
アルヴィーゼはイオネを寝台に横たえながら陰鬱に言った。
本当なら執務室にも来させたくなかった。屋敷を薄着で出歩いているのも誰にも見せたくないし、片時も離さず自分の目に届くところに置いておきたい。
しかし、アルヴィーゼには分かっている。この女が思い通りになるはずがない。
「お風呂に入りたいわ」
イオネが大人しく毛布に包まって、スミレ色の目を向けた。
「傷に障る」
「大丈夫よ。清潔にしておいた方がいいってエゼキエリ先生も仰っていたもの。あなたが薬を塗り直してくれるんでしょ?」
「まだ温めない方がいい。せめて明日まで待て」
「今がいいの。髪も洗いたいし…。お願い、アルヴィーゼ」
イオネがアルヴィーゼの手に触れ、しどけなく頬を擦り寄せた。
(分かってやっているのか)
だとしたら、とんだ小悪魔だ。
昨晩、毒のせいで朦朧としていたイオネを手荒に抱いたことも、それでも縋ってくるイオネに感情が昂ぶったことも、未だにアルヴィーゼの中では苛立ちの火種として燻っている。
アルヴィーゼが今この時どれほどの思いでいるのか、イオネは理解していないのだ。
「…いいだろう」
アルヴィーゼが暗い声で承諾すると、イオネは小さな勝利を勝ち取ったように顔を輝かせた。
「ただし、俺が洗う」
「えっ」
イオネが眉を寄せた。
「全て俺がやる」
ただで言いなりになると思ったら大間違いだ。
アルヴィーゼが処置した跡と寝室に置かれた薬湯を見たエゼキエリ医師は、ふむ、と小さく息をついた。感心したらしい。
「これを公爵が?」
「ええ。でもコルネールの使用人は概ね同じ手順を知っていると聞いたわ」
「素晴らしい。化膿止めの調合から毒消しの薬に至るまでこの水準とは、ルドヴァンは遥かに医学が進んでいますね」
診察の間、イオネは思いついたことを訊いてみた。
「たとえば、ルドヴァンの医術を他の地域にも広めるとしたら、どうしたら良いと思いますか」
「そうねぇ」
エゼキエリはイオネの脚の包帯を巻き直しながら言った。
「まずは大学です。大学の中の一つの学部ではなく、もっと大きな規模の、専門に学ぶ機関が必要です。もちろん実際に病院や中心的な研究機関として機能することは大前提として。あとは部門ごとの優秀な先生の確保。医師として腕が良いだけでなく、教育者として後進を育てられる人物が望ましいですね」
「なるほど。部門ごとって、例えば――」
「お喋りはお終いです、教授」
イオネはすぐに書き留めたくなるのを堪え、まぶたの下や扁桃腺を診るエゼキエリ医師のされるがままになった。
「また相談に乗ってもらってもいいかしら」
この短時間で、イオネはエゼキエリ医師がすっかり好きになってしまった。無駄な愛想も余計な会話もなく、必要なことを最短で済ませる手際が特に気に入った。
「体調が万全に戻ったら、考えましょう」
エゼキエリ医師に厳しい調子で言われ、イオネはぎくりとした。何かを始めるとそれにばかり没頭してしまう性格が見透かされている。
「まずは休養。たくさん水分をとって――勿論お酒じゃないですよ。身体の中をよく循環させること。数日はめまいに気をつけて。毒消しの飲み薬を加えておきますから、一日三回、全て無くなるまで飲んでください」
診察の後、イオネはすぐにアルヴィーゼを探して執務室へ赴いた。大学の構想を伝えたかったからだ。重々しい執務室の扉の向こうから、男たちの声が聞こえてくる。
「――今はこれで手を打て、アルヴィーゼ」
旅装のマルクが壁のように立ち、書状を手に暖炉のそばに佇むアルヴィーゼに向かって腕を組んでいる。
「人を殺していない限り、共和国の裁判で罪人の首が飛ぶ結論が出ることはない」
傍らに立つドミニクも、神妙な面持ちで顎を引いた。
「厳罰を下すとなると、イオネさまが詳細を訴え出る必要があります。矢面に立つのは、イオネさまもアルヴィーゼさまも望まれないでしょう」
アルヴィーゼは無言で書状を暖炉に放り込み、見る者をヒヤリとさせるような冷たい目でジリジリと灰になってゆく書状を見下ろした。
「ではカスピオ一族を根こそぎ潰す方が容易いな」
「だ、だめよそんなの」
イオネが慌てて割って入った。
「イオネ」
アルヴィーゼは扉から現れたイオネの姿を認めるや否や、足速に駆け寄って簡素な室内着の上に自分の上衣を羽織らせ、ヒョイと身体を担ぎ上げてソファへ運んだ。
「ここまでしなくても大丈夫よ」
「ダメだ。何故こんな薄着で出てくる。大人しくしていろ。診察は受けたんだろうな」
イオネはむぅ、と頬を膨らませて、ちょっと面白がるような目をしたマルクの挨拶を受けた。
「受けたわよ。いつの間にオトニエルさんまで呼びつけたの?」
「そろそろマルクと呼んでくれよ、イオネ。親友のためなら一晩馬で駆けることなんてどうってことないぜ。ちょうどアラス港で船遊びをしてたんだ」
「素敵ね、マルク。それで、今この人が焼いた書状は何?」
アルヴィーゼがギロリと睨め付けても、マルクは意に介さず続けた。
「カスピオ議員から息子の不始末を詫びる書状だよ。恩赦を求めてきた」
「あら、変ね。襲われたのはわたしなのに」
イオネの目が剣呑に光った。転ばされてもただでは起き上がらない女だ。アルヴィーゼは唇の左端を吊り上げた。
「あの男、離島へ追放されたのに現地の人を買収して戻ってきたって言っていたわよね」
アルヴィーゼは既にこれまでの経緯をイオネに伝えている。イオネはカスピオの異常性に心底怖気を感じたが、それよりも許しがたかったのは、違法な売買に手を染めている危険人物が神聖なる学堂に出入りし、学界に自分と同じ言語学者として名を連ねていたことだ。
「証拠を揃えて関係者を断罪するべきよ。権力にものを言わせて一族を潰すなんて、法治国家としてあってはならないわ。一族の中には今回の罪とは無関係の素晴らしい研究者だっているんだから」
イオネは身を乗り出してアルヴィーゼの腕にしがみついた。
大切な存在を傷付けられたアルヴィーゼがどこまで非道なことができてしまうか、イオネには何となく察しが付いている。法を越えることは容易い。今までもルドヴァン公爵アルヴィーゼ・コルネールは必要とあらばそうしてきただろう。実のところ、そんなことにそれほど意味は無い。
イオネが感じる恐怖はむしろ、アルヴィーゼが負うべきではない罪を生涯負い続け、その輝かしい人生に瑕疵をつくることだ。カスピオに対峙したときの殺人者のような目を、イオネは今でも身震いするほど生々しく覚えている。
「法を無視するようなことはしないで。必要ならわたしも証言するわ」
「その必要はない」
アルヴィーゼが強い口調で言った。
アルヴィーゼにしてみれば、イオネを公の場で「カスピオに襲われた女」にすることこそ有り得ない。今回の事件に関するアルヴィーゼの行動は全て、ジャシント・カスピオのみならず、彼が存在した痕跡まですっかり消し去るという目的に向かっている。
「全て俺がやる」
「でも――」
「まあまあ。心配するな、イオネ。ナヴァレのマルク・オトニエル中将が来た理由は何だと思う?」
マルクがニカッと笑った横で、ドミニクがひっそり胡乱げな顔をしたのを、イオネは見た。マルクが余計なことまで喋り過ぎないか不安に思っているのだろう。
「ちょっと前からジャシント・カスピオの余罪を調べてたんだよ。エマンシュナの海域で横行してる違法売買に関わってるから、その罪に関してはうちの管轄だ。協力者もだいたい目星は付いてるんだ。共和国議会との交渉が終わり次第、エマンシュナへ移送して裁くことになる。共和国で犯した罪に比べれば、ものすごい厳罰が下るぞ。時間はかかるだろうけど」
アルヴィーゼがムスッと口を引き結んだ。時間がかかるという点に納得がいかないのだ。
「…あなたたちに任せるわ。わたしもあんなことを掘り返さずに済むならその方がいい」
肩がぶるりと震える。拉致されたあの気味の悪い部屋の壁の色でさえ、二度と思い出したくない。恐怖に支配されずに正常な精神状態を保てているのは、アルヴィーゼが救い出してくれたからだ。
どちらかといえばその後の情交の激しさの方が記憶に鮮明に残っていることは、不謹慎とも言えるが幸いなことだった。
怖がっているのは、アルヴィーゼの方だ。
「でも、あくまで法に則って裁いて。コルネールの権力をこんなことで行使するのは割に合わないわ」
イオネが念を押すと、アルヴィーゼは唇を吊り上げて応え、イオネの身体を抱き上げた。
「当然だ。お前は心配しなくていい。もう休め」
執務室から出る前に、アルヴィーゼは二人に目配せした。法に則りエマンシュナで裁かれた後のジャシント・カスピオの身に起きることは、イオネが知ることはない。
「今日はここから出るな」
アルヴィーゼはイオネを寝台に横たえながら陰鬱に言った。
本当なら執務室にも来させたくなかった。屋敷を薄着で出歩いているのも誰にも見せたくないし、片時も離さず自分の目に届くところに置いておきたい。
しかし、アルヴィーゼには分かっている。この女が思い通りになるはずがない。
「お風呂に入りたいわ」
イオネが大人しく毛布に包まって、スミレ色の目を向けた。
「傷に障る」
「大丈夫よ。清潔にしておいた方がいいってエゼキエリ先生も仰っていたもの。あなたが薬を塗り直してくれるんでしょ?」
「まだ温めない方がいい。せめて明日まで待て」
「今がいいの。髪も洗いたいし…。お願い、アルヴィーゼ」
イオネがアルヴィーゼの手に触れ、しどけなく頬を擦り寄せた。
(分かってやっているのか)
だとしたら、とんだ小悪魔だ。
昨晩、毒のせいで朦朧としていたイオネを手荒に抱いたことも、それでも縋ってくるイオネに感情が昂ぶったことも、未だにアルヴィーゼの中では苛立ちの火種として燻っている。
アルヴィーゼが今この時どれほどの思いでいるのか、イオネは理解していないのだ。
「…いいだろう」
アルヴィーゼが暗い声で承諾すると、イオネは小さな勝利を勝ち取ったように顔を輝かせた。
「ただし、俺が洗う」
「えっ」
イオネが眉を寄せた。
「全て俺がやる」
ただで言いなりになると思ったら大間違いだ。
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