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30 家移りのすゝめ - un'offerta -
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イオネは輪舞曲を奏でている楽隊がしっとりしたワルツの演奏を始める前に、誰とも目を合わせないよう視線を下に向けたまま、いつもの三倍の速さで招待客の間を縫って大広間の出口を目指した。
ところが、ダンスに誘われたくないイオネの小さな計画はすぐに失敗した。よく磨かれた上等な革靴がイオネの爪先の前でぴたりと止まったのだ。
「お嬢さん、一曲ご一緒いただけませんか」
げんなりして声の主を見上げると、面白そうにニヤニヤするシルヴァンがいた。深海色の夜会服を纏い、ダークブロンドの髪をきちんと整えた姿は、どちらかというと童顔のこの青年をいつもより大人っぽく見せている。が、笑い方はいつもの通り、まるで少年だ。
「ハハ。そんな嫌そうな顔しなくても。まだダンスが嫌いなんだ?」
「嫌いよ。お嬢さんって呼ばれるのも」
「知ってる」
イオネは肩を怒らせてシルヴァンの悪戯を咎めるように言った。昨日といい今日といい、人を驚かせて楽しむ悪戯好きは十歳の子供のままだ。
「じゃあちょっと散歩しよう。中庭のバラが見頃なんだってさ」
イオネはこの提案に応じることにした。シルヴァンと一緒にいれば、ダンスの誘いは免れる。
「あなたもパヴロスおじさまに招待されていたのね」
イオネは差し出されたシルヴァンの手を取り、中庭へ下りる石段を踏んだ。屋外用のランプに照らされた庭園の花々が夜闇にきらきらと浮かび、艶やかな香りを夜気に放っている。
「トーレで商売をするからには、いろんなところに顔を売っておかないとね。パヴロスさんはうちに出資してくれてるんだ。あと、ラヴィニアさんも」
イオネは一瞬誰のことだったかと考えて、その人物を思い出した。会ったことのない伯母――伯父エリオス・クレテの妻だ。
「ああ、ちょっと待てよ。君の考えが分かるぞ」
シルヴァンが慌てたのは、あからさまにイオネの顔が暗くなったからだ。
「君がここにいることも別に僕からは言ってないし、君の事情を聞いたからって何も口出しする気はないよ。君がそういうの嫌いだってことはわかってる」
イオネは息をついて、回ってきた給仕から発泡性のワインを受け取った。
「…ありがとう。あなたの理解に助けられてるわ」
「でも多分、君がトーレにいるってもう知ってると思うよ。君たち注目されてるし。さっきもみんな君たちを見てた。君がひとりになってからもね。気付いてる?」
「気づかなかった」
イオネはそう口に出して初めて、アルヴィーゼといる時に周囲の視線が気にならなかったことに気付いた。自分がいかにアルヴィーゼのことばかりを意識しているか、突きつけられたようなものだ。
ぎゅ、と胸が痛くなった。よくない兆候だ。あんな放蕩者にこれ以上振り回されたくないのに、離れている時でさえ、気付けば頭の中に居座っている。
(なんて図々しいの)
だんだん腹が立ってきた。
(自分は友人と女遊びをしておきながら、わたしには「離れるな」ですって)
身勝手で、傲岸で、人をおもちゃにして楽しむ悪魔のような男だ。まったくもって悪質極まりない。
イオネはワインを一気に飲み干して、通りかかった給仕へグラスを返し、近くの長椅子に腰掛けた。
「…公爵とは、良好な関係?」
シルヴァンも隣に腰掛けた。
「それ、昨日も訊いたわよね」
「だって、気になるからさ」
「正直言って、良好とは言えないわ。あの人、難解なんだもの。勝手だし、偉そうだし、すごく図々しいし、一緒にいるとすごく疲れるの。すごく」
「ああ、それは災難だね」
シルヴァンの声色が暗くなったことに、イオネは気付かない。ただ、友人として心配してくれていることが嬉しかった。
「色々と気にかけてくれてありがとう。あなたは昔から変わらず友達思いよね」
イオネの唇が微笑を描くと、シルヴァンは眉尻を下げて、どこか困ったように笑った。
「そういうわけじゃないんだ。ただ…あー…まあ、いいか。今は…」
イオネには無論、シルヴァンの真意はわからない。
気になるのは、ヴィクトル老公の耳にこの件が入ってあれこれと世話を焼かれかねないことだ。老公の無条件の愛情は素直に嬉しく、愛おしくさえ思うが、自分のことは自分で解決したいイオネにとって、相手がどんな関係であろうと横から手を出されるのは我慢ならない。
「シルヴァン、このことは、ノンノ・ヴェッキオには――」
「ああ、そうそう。そうだ。ノンノと言えばさ」
シルヴァンはイオネの言葉を遮り、いつもより高い声で言った。
「十日後ぐらいにユルクスへ滞在する予定なんだ。でも今はユルクスで所有してる屋敷を管理する人がいないから、もしよかったら君に住み込みで管理してもらえたらちょうどいいと思ったんだけど、どうかな。別に公爵の屋敷で暮らしたくてそうしてるんじゃないんだろ?」
「当然でしょ」
と、反射的に口から出た。しかし、疑念がある。
「でも、もしわたしに気を使っているなら、気持ちはありがたいけど手出し無用よ」
「違うって。屋敷の管理を任せてた遠縁の親類が少し前に故郷へ帰っちゃって、色々と行き届かなくて困ってるんだよ。君ならよく知った仲だし、信頼できる。ノンノの滞在が終わるまででいいからさ。もちろん、仕事に支障のない範囲で。こっちでの仕事を一通り片付けたら僕も手伝いに行くし、君はその間に家を探せばいいだろ。それで――」
と、シルヴァンは悪戯っぽく唇を吊り上げた。
「ノンノを驚かせよう。ユルクスの屋敷に君と僕がいたらビックリして大喜びするぞ」
イオネは苦笑した。年老いた祖父をびっくりさせようとは、いかにも悪戯好きなシルヴァンらしい。
「悪くないわ」
屋敷の管理を信頼できる人間に任せたいというのは当然のことだし、確かに今の自分の状況を考えればこの上なくちょうどいい提案だ。
それに、ユルクスのフラヴァリ邸と言えば、公爵の屋敷よりも大学に近く、季節の花々が年中美しく咲く庭園がある。老公の滞在の準備のために屋敷を管理するのは大仕事だが、気心も知れているからそれほど難しい話ではない。
それなのに、喉の奥に鉛が詰まったような気分になるのはどういうことだろう。
(ソニアと、あの完璧な書庫との別れが惜しいのよ)
イオネは内心で自分をそう納得させた。それ以外に、理由なんてない。
「ええ、いいわ。ノンノのためだもの」
ちくちくと胸に刺さるものを無視して、イオネは顎を引いた。
「よかった」
シルヴァンは少年のように顔中で笑うと、長椅子からすっと立ち上がり、イオネに両手を差し出した。
「じゃあ、決まりだ」
イオネは可笑しくなってくすくすと笑い、シルヴァンの手に掴まった。その瞬間、勢いよく身体を引っぱり上げられて、気付いたときにはシルヴァンの腕の中にいた。
面食らって動けずにいるイオネが再び動く前に、シルヴァンがパッと手を離した。
「ごめん。嬉しくて、つい」
「もう」
イオネは渋面を作ったが、これほど楽しそうにされては、咎めるに咎められない。
「次はないわよ」
「なんだよ。かわいく手を繋いだ仲だろ」
「子供の時にね。もう大人なんだから、節度ある振る舞いをして」
「はいはい」
シルヴァンは両手を上げて指をヒラヒラとさせた。
アルヴィーゼが庭園に姿を現したのは、そういう折だった。
咲き乱れる花々をも枯らしてしまいそうなほどに、暗い怒りをその全身に帯びている。
「少し飲み過ぎたんじゃないか。シルヴァン・フラヴァリ」
余人なら震え上がるほどの怒気だ。常にアルヴィーゼの毒気に晒されているイオネでさえひやりとした程だった。これほど不機嫌な公爵は、初めて見る。
しかし、シルヴァンは特に怯んだ様子など微塵も見せず、人好きのする笑顔を見せた。
「いやぁ。僕、下戸なので一杯も飲んでないんですよ」
「そうか。ではそろそろわたしの教授を返してもらおう」
「ああ、もしかして仕事中でしたか?それはすみませんでした。ちょっとイオネに個人的なお願いがあったんです。ね、イオネ」
イオネは二人の異様な雰囲気に違和感を覚えたものの、アルヴィーゼの不機嫌の原因は自分が勝手に離れたからだと思う程度には呑気だった。
「ええ。じゃあまたユルクスで会いましょう」
イオネはシルヴァンに手を振って、アルヴィーゼに手を引かれるままその場を後にした。向かう先は、大広間とは逆方向だ。
「…ユルクスで?」
アルヴィーゼの背中がひどく不機嫌に言葉を発した。
イオネは顔を上げた。また喉に鉛が詰まったような気分になる。
不思議なことに、アルヴィーゼも同じ気分でいるような気がした。理由は分からない。考えるのも億劫だ。ワインの酔いが回ってきたせいで、頭がふわふわとしてきた。
「ユルクスの屋敷の管理を住み込みで任されたの。ノンノ・ヴェッキオの滞在が終わるまでね。ユルクスに戻ったら、荷物をまとめるわ」
イオネはびくりと身体を強張らせた。アルヴィーゼに強く手を掴まれたからだ。
「それで、ノンノ・ヴェッキオの滞在が終わったらどうするつもりだ」
「それまでに家を見つけるもの。安心して。またあなたの屋敷に厄介になるつもりはないわ」
「なるほど。ちょうどいい」
アルヴィーゼの緑色の目が悪魔の炎のように危うく光った。
ところが、ダンスに誘われたくないイオネの小さな計画はすぐに失敗した。よく磨かれた上等な革靴がイオネの爪先の前でぴたりと止まったのだ。
「お嬢さん、一曲ご一緒いただけませんか」
げんなりして声の主を見上げると、面白そうにニヤニヤするシルヴァンがいた。深海色の夜会服を纏い、ダークブロンドの髪をきちんと整えた姿は、どちらかというと童顔のこの青年をいつもより大人っぽく見せている。が、笑い方はいつもの通り、まるで少年だ。
「ハハ。そんな嫌そうな顔しなくても。まだダンスが嫌いなんだ?」
「嫌いよ。お嬢さんって呼ばれるのも」
「知ってる」
イオネは肩を怒らせてシルヴァンの悪戯を咎めるように言った。昨日といい今日といい、人を驚かせて楽しむ悪戯好きは十歳の子供のままだ。
「じゃあちょっと散歩しよう。中庭のバラが見頃なんだってさ」
イオネはこの提案に応じることにした。シルヴァンと一緒にいれば、ダンスの誘いは免れる。
「あなたもパヴロスおじさまに招待されていたのね」
イオネは差し出されたシルヴァンの手を取り、中庭へ下りる石段を踏んだ。屋外用のランプに照らされた庭園の花々が夜闇にきらきらと浮かび、艶やかな香りを夜気に放っている。
「トーレで商売をするからには、いろんなところに顔を売っておかないとね。パヴロスさんはうちに出資してくれてるんだ。あと、ラヴィニアさんも」
イオネは一瞬誰のことだったかと考えて、その人物を思い出した。会ったことのない伯母――伯父エリオス・クレテの妻だ。
「ああ、ちょっと待てよ。君の考えが分かるぞ」
シルヴァンが慌てたのは、あからさまにイオネの顔が暗くなったからだ。
「君がここにいることも別に僕からは言ってないし、君の事情を聞いたからって何も口出しする気はないよ。君がそういうの嫌いだってことはわかってる」
イオネは息をついて、回ってきた給仕から発泡性のワインを受け取った。
「…ありがとう。あなたの理解に助けられてるわ」
「でも多分、君がトーレにいるってもう知ってると思うよ。君たち注目されてるし。さっきもみんな君たちを見てた。君がひとりになってからもね。気付いてる?」
「気づかなかった」
イオネはそう口に出して初めて、アルヴィーゼといる時に周囲の視線が気にならなかったことに気付いた。自分がいかにアルヴィーゼのことばかりを意識しているか、突きつけられたようなものだ。
ぎゅ、と胸が痛くなった。よくない兆候だ。あんな放蕩者にこれ以上振り回されたくないのに、離れている時でさえ、気付けば頭の中に居座っている。
(なんて図々しいの)
だんだん腹が立ってきた。
(自分は友人と女遊びをしておきながら、わたしには「離れるな」ですって)
身勝手で、傲岸で、人をおもちゃにして楽しむ悪魔のような男だ。まったくもって悪質極まりない。
イオネはワインを一気に飲み干して、通りかかった給仕へグラスを返し、近くの長椅子に腰掛けた。
「…公爵とは、良好な関係?」
シルヴァンも隣に腰掛けた。
「それ、昨日も訊いたわよね」
「だって、気になるからさ」
「正直言って、良好とは言えないわ。あの人、難解なんだもの。勝手だし、偉そうだし、すごく図々しいし、一緒にいるとすごく疲れるの。すごく」
「ああ、それは災難だね」
シルヴァンの声色が暗くなったことに、イオネは気付かない。ただ、友人として心配してくれていることが嬉しかった。
「色々と気にかけてくれてありがとう。あなたは昔から変わらず友達思いよね」
イオネの唇が微笑を描くと、シルヴァンは眉尻を下げて、どこか困ったように笑った。
「そういうわけじゃないんだ。ただ…あー…まあ、いいか。今は…」
イオネには無論、シルヴァンの真意はわからない。
気になるのは、ヴィクトル老公の耳にこの件が入ってあれこれと世話を焼かれかねないことだ。老公の無条件の愛情は素直に嬉しく、愛おしくさえ思うが、自分のことは自分で解決したいイオネにとって、相手がどんな関係であろうと横から手を出されるのは我慢ならない。
「シルヴァン、このことは、ノンノ・ヴェッキオには――」
「ああ、そうそう。そうだ。ノンノと言えばさ」
シルヴァンはイオネの言葉を遮り、いつもより高い声で言った。
「十日後ぐらいにユルクスへ滞在する予定なんだ。でも今はユルクスで所有してる屋敷を管理する人がいないから、もしよかったら君に住み込みで管理してもらえたらちょうどいいと思ったんだけど、どうかな。別に公爵の屋敷で暮らしたくてそうしてるんじゃないんだろ?」
「当然でしょ」
と、反射的に口から出た。しかし、疑念がある。
「でも、もしわたしに気を使っているなら、気持ちはありがたいけど手出し無用よ」
「違うって。屋敷の管理を任せてた遠縁の親類が少し前に故郷へ帰っちゃって、色々と行き届かなくて困ってるんだよ。君ならよく知った仲だし、信頼できる。ノンノの滞在が終わるまででいいからさ。もちろん、仕事に支障のない範囲で。こっちでの仕事を一通り片付けたら僕も手伝いに行くし、君はその間に家を探せばいいだろ。それで――」
と、シルヴァンは悪戯っぽく唇を吊り上げた。
「ノンノを驚かせよう。ユルクスの屋敷に君と僕がいたらビックリして大喜びするぞ」
イオネは苦笑した。年老いた祖父をびっくりさせようとは、いかにも悪戯好きなシルヴァンらしい。
「悪くないわ」
屋敷の管理を信頼できる人間に任せたいというのは当然のことだし、確かに今の自分の状況を考えればこの上なくちょうどいい提案だ。
それに、ユルクスのフラヴァリ邸と言えば、公爵の屋敷よりも大学に近く、季節の花々が年中美しく咲く庭園がある。老公の滞在の準備のために屋敷を管理するのは大仕事だが、気心も知れているからそれほど難しい話ではない。
それなのに、喉の奥に鉛が詰まったような気分になるのはどういうことだろう。
(ソニアと、あの完璧な書庫との別れが惜しいのよ)
イオネは内心で自分をそう納得させた。それ以外に、理由なんてない。
「ええ、いいわ。ノンノのためだもの」
ちくちくと胸に刺さるものを無視して、イオネは顎を引いた。
「よかった」
シルヴァンは少年のように顔中で笑うと、長椅子からすっと立ち上がり、イオネに両手を差し出した。
「じゃあ、決まりだ」
イオネは可笑しくなってくすくすと笑い、シルヴァンの手に掴まった。その瞬間、勢いよく身体を引っぱり上げられて、気付いたときにはシルヴァンの腕の中にいた。
面食らって動けずにいるイオネが再び動く前に、シルヴァンがパッと手を離した。
「ごめん。嬉しくて、つい」
「もう」
イオネは渋面を作ったが、これほど楽しそうにされては、咎めるに咎められない。
「次はないわよ」
「なんだよ。かわいく手を繋いだ仲だろ」
「子供の時にね。もう大人なんだから、節度ある振る舞いをして」
「はいはい」
シルヴァンは両手を上げて指をヒラヒラとさせた。
アルヴィーゼが庭園に姿を現したのは、そういう折だった。
咲き乱れる花々をも枯らしてしまいそうなほどに、暗い怒りをその全身に帯びている。
「少し飲み過ぎたんじゃないか。シルヴァン・フラヴァリ」
余人なら震え上がるほどの怒気だ。常にアルヴィーゼの毒気に晒されているイオネでさえひやりとした程だった。これほど不機嫌な公爵は、初めて見る。
しかし、シルヴァンは特に怯んだ様子など微塵も見せず、人好きのする笑顔を見せた。
「いやぁ。僕、下戸なので一杯も飲んでないんですよ」
「そうか。ではそろそろわたしの教授を返してもらおう」
「ああ、もしかして仕事中でしたか?それはすみませんでした。ちょっとイオネに個人的なお願いがあったんです。ね、イオネ」
イオネは二人の異様な雰囲気に違和感を覚えたものの、アルヴィーゼの不機嫌の原因は自分が勝手に離れたからだと思う程度には呑気だった。
「ええ。じゃあまたユルクスで会いましょう」
イオネはシルヴァンに手を振って、アルヴィーゼに手を引かれるままその場を後にした。向かう先は、大広間とは逆方向だ。
「…ユルクスで?」
アルヴィーゼの背中がひどく不機嫌に言葉を発した。
イオネは顔を上げた。また喉に鉛が詰まったような気分になる。
不思議なことに、アルヴィーゼも同じ気分でいるような気がした。理由は分からない。考えるのも億劫だ。ワインの酔いが回ってきたせいで、頭がふわふわとしてきた。
「ユルクスの屋敷の管理を住み込みで任されたの。ノンノ・ヴェッキオの滞在が終わるまでね。ユルクスに戻ったら、荷物をまとめるわ」
イオネはびくりと身体を強張らせた。アルヴィーゼに強く手を掴まれたからだ。
「それで、ノンノ・ヴェッキオの滞在が終わったらどうするつもりだ」
「それまでに家を見つけるもの。安心して。またあなたの屋敷に厄介になるつもりはないわ」
「なるほど。ちょうどいい」
アルヴィーゼの緑色の目が悪魔の炎のように危うく光った。
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