獅子王と海の神殿の姫

若島まつ

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八十七、枷と翼 - les fardeaux et les ailes -

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 その夜、遅い入浴を終えたテオドリックは、既にベッドに入ったキセのもとへ赴いた。
 薄いレースの天蓋の内側で、乳香とラベンダーの香りの中、花鳥柄の布団がゆっくり上下している。波打つ黒髪が枕に流れ、伏せられた目蓋の下に黒い睫毛が長く伸び、その下に、涙の乾いた後が見える。
 テオドリックはベッドに腰掛けて目元に優しく触れた。
「…こんなことだろうと思った」
 セレンを下がらせた後、キセはテオドリックに対してちょっと不自然なほど明るく振る舞い、疲れたからと言ってさっさと寝室へ引き取ってしまっていた。
 自分よりもセレンやテオドリックがつらい思いをしているはずだから、自分が傷付いた素振りを見せてはいけない。――など、キセの考えそうなことだ。
 本当は、テオドリックも一人になりたかった。ミノイの――自分が殺した男の人生を知って冷静でいられるほど、あの事件のことを割り切れてはいない。いつもより寝室へ帰るのが遅くなったのは、そのせいで後の政務が手につかなかったからだ。そういう姿を、キセには見せたくなかった。
 だが、キセの涙の跡を見て後悔した。
 そばにいて、キセを抱きしめて一緒に泣けばよかった。
「ひとりで泣かせて悪かった」
 テオドリックはそう呟いてキセの前髪を指で分け、額にキスをした。
「…テオドリックが謝ることは、何もないです」
 キセが目を開けて静かに言った。
「起きていたのか」
「眠りが浅くて…」
 キセはのろのろと起き上がってテオドリックに笑いかけた。
「笑うな」
「どうしてですか」
「俺の前では無理する必要はない」
 おかしい。
 今日の涙はもう出し切ったと思ったのに、頭をテオドリックの大きな手に包まれた瞬間、またしても目の奥が痛いほどに熱くなった。
「…っ、う」
 キセは泣いた。
 テオドリックの温もりに包まれ、その寝衣の胸を濡らした。
「なあ。あんた、自分を責めてるだろ」
 キセの震える身体を抱き締めながら、テオドリックが言った。ちょっと咎めるような口調だ。
 キセはぎくりとした。その通りだ。自分さえいなければ――或いは男として生まれていたなら、ミノイは今も生きて、セレンと幸せに暮らしていたはずだ、と思っている。そんなことを考えても無益だと頭では理解していても、どうしても振り払うことができない。
「やめろよ」
 テオドリックはピシャリと言った。
「ミノイが追い詰められたのはあんたのせいじゃない。あんた、俺に言っただろ。起きてしまった悲劇は変えられない、俺が生き延びたことに感謝する、と。俺も同じだ。あんたが言った通りだ、キセ。不運も幸運も、全ての出来事が積み重なった結果、俺たちはここに――」
 テオドリックはキセの頬を両手で挟み、親指で涙を拭いた。新月の夜の星空のような瞳が自分だけを見ている。
「ここにいるんだ。そうだろ。俺は生かされ、あんたへ導かれた。それまで呪いのように思っていた自分の人生に、今は感謝してる。あんたに出逢えたからだ。大切なのは、これから俺たちが、どう報いるかだ。ミノイだけじゃない。戦でなくした命と、残された者と、これから生きる者に」
「はい…」
 目を開けていられない。
 涙が熱を焼き付けながら頬を伝い、顎に流れていく。その熱を打ち消すように、テオドリックの唇が雫の軌道をなぞった。
「立派だった。セレンの前では完璧な主君だった。偉かったな」
 テオドリックに頭を撫でられ、キセは余計に涙が止まらなくなった。
「そんなんじゃないんです。セレンにミノイお兄さまのことを告げたのは、セレンが生涯わたしに従ってこの国で生きていくために、知っておくべきだと思ったからです。でもそれは、わたしがこの国でセレンにそばにいて欲しいっていう、ただの、わたしのエゴです。正しかったのか分かりません。セレンにあんな顔をさせて、わたし、最低です。立派な主君なんかじゃ、ないです…」
 何があってもセレンが側を離れていかないことを、キセは知っている。どんなにキセのことで傷付いても、骨の髄まで染みついた忠誠心は揺るがない。セレンがキセを責めるようなこともない。それを理解した上で、セレンに告げたのだ。その時点で既に、セレンには乗り越える以外の選択肢はなかった。
「最低なんて言うな。セレンはそんなふうに思っていない。彼女なら乗り越えると信じたのなら、最後まで信じてやれよ」
 テオドリックはぽろぽろと溢れ落ちる涙を袖で拭ってやり、鼻の頭を真っ赤にして子供のようにしゃくり上げるキセを見つめた。キセが自分以外にこの顔を見せることは、きっともうないだろう。
 セレンへの告白は、けじめだったのだ。‘セレンの姫さま’としてではなく、‘生涯仕えるべき未来のエマンシュナ王妃’として、セレンに向き合うための。
「それに、セレンは傷付いたかも知れないが、愛する者の最期を知らなければよかったなんて、思わないはずだ」
 事実、セレンは最後キセとテオドリックに礼を告げた。ミノイの死を悲しみ悼むだけではなく、愛おしい思い出と共に歩む転機になったと言って笑った。
「何が正しいかなんて、誰にも分からない。俺たちの行く道に、多分、正しい答えはないんだ」
 テオドリックの声は、自分に言い聞かせているようでもある。
「あんたは善い主君だ、キセ。そして俺が人生で手に入れた最良のものだ。答えのない道も、俺はあんたとなら進んでいける。だから、自分を最低だなどと言って責めるな」
 不思議だ。
 テオドリックの声は、荒波に打たれてボロボロになっていた心の神殿に凪をもたらす。
 キセはテオドリックにぎゅうっと抱きついてその匂いを嗅ぎ、ネコが甘えるようにその首筋に頭を擦り寄せた。これもエゴだ。この瞬間は祈りも女神も存在しない。ただ、この温もりを感じていたい。テオドリックと触れ合っていたい。今はそれが唯一の救いだから。
「…朝まで一緒にいてくださいますか?」
「それは、弱っているところにつけ込んであんたを俺の自由にしていいってことか?」
「…っ、はい…」
 たった今キセの身体に起きた変化が、テオドリックにはわかる。柔らかな肌が熱を帯びて乳香のようなキセの匂いを強くする。
「…正直俺も、少し凹んでる。慰めてくれるか」
 誘惑するような声色なのに、哀しげな響きを持ってキセの耳を震わせた。
「はい」
(嬉しい…)
 テオドリックが弱いところを見せてくれるのが、キセには言葉にできないほど嬉しかった。テオドリックが、王女ではなく、神官でもなく、王太子妃でもなく、ただの生身のキセを求め、必要としている。
 キセの全てが自分のものだと確かめるように、テオドリックがキセの寝衣を暴き、その素肌に触れていく。
 大きな手が乳房を覆い、形のよい唇が隠微な弧を描いてその中心を啄むと、全身の神経が過敏になってキセの思考を支配する。キセは快楽の渦に呑まれる前にこれに抗い、テオドリックの手をそっと掴んで身体を起こした。
「あっ、あの…!わたしも…」
 ひどい顔をしている自覚がある。頭から湯気が出そうなほど顔が熱いし、恥ずかしくて目は開けていられないし、テオドリックの腕を掴む手のひらがじっとりと汗で湿っている。
「わたしも、触れてよいですか?」
 テオドリックは微動だにせず、言葉を発しない。
 沈黙に耐えかねてキセが目蓋を開くと、驚いたような、困ったような、ひどく複雑な表情のテオドリックと目が合った。興醒めさせてしまったかとひどく不安になったが、テオドリックの頬が照れたようにほんのり赤くなっているのを認めた瞬間、キセの中で衝動が起きた。
「キセ…」
 と、口を開いたテオドリックにキスをして、自分から舌を絡めながらシャツのボタンを外し、身体を覆っているものを丁寧に剥いで、精悍な胸に触れた。キセの細く柔らかい指が胸の中心に触れると、テオドリックはぴくりと反応した。
 もっと知りたい。
 テオドリックがどうしたら悦ぶのか、触れて確かめたい。
 キセは手のひらを胸からごつごつと硬い隆起のある腹へ、腰へと滑らせた。触れ合う唇の奥でテオドリックの吐息が熱くなり、もっと深く繋がりたいというように舌を奥へと潜り込ませてくる。
 肌を優しく包むようにキセが撫でる。テオドリックが心地よさそうに呻くと、キセはその場所を慈しむように繰り返し触れた。
「ん、キセ」
 テオドリックはズボンの隠しボタンを外し始めたキセの手をそっと握った。
「いやですか?」
 唇が触れる距離でキセが訊ねた。ちょっと不安そうだ。
 いやなはずがない。ただ、箍が外れそうになるのを堪えているのだ。
「いつもテオドリックがたくさんしてくださるので、今日はわたしもしたいです。どうしたら気持ちいいですか?」
(うっ)
 テオドリックはたじろいだ。
 キセの頬は紅潮して、瞳は蕩けたように潤んでいる。
「…触れてくれ」
 この先が恐ろしい。暴走して下劣なことをしてしまいそうだ。が、結局欲望に負けた。他の一切の記憶を忘れるほど頭をキセでいっぱいにしたいし、キセにもそうなって欲しい。
 キセは安堵してズボンのボタンを外し、苦しそうなほどに膨れたテオドリックのそれを解放して、手のひらに包んだ。恥ずかしい。顔が熱くなる。でも、手の中にあるテオドリックの方がよほど熱く感じる。不思議だ。これがいつも自分の中に入ってあれほどの充足感を与えていると思うと、手で触れているだけで腹の奥が疼いて落ち着かなくなる。
「――ッ」
 テオドリックは奥歯を噛んでこの刺激をやり過ごそうとした。慣れない様子で正しい場所を探すようにソロソロと手を上下に動かしているキセが、堪らなく可愛い。
 控えめに繰り返される小さな刺激が、ひどくもどかしい。それなのに、自分のものを触られて、未だかつてないほど興奮している。
 テオドリックはキセの顔を引き寄せて唇を塞ぎ、自分の手をキセの手に重ね、動かした。
「こうして」
「はい…」
 導かれるがままに触れると、手の中でテオドリックが大きくなった。キスの合間に吐く息が荒くなり、喉の奥で唸るのが聞こえる。
(もっと聞きたい…)
 キセが唇を離したとき、懊悩するように眉を寄せ、恍惚と瞳を暗くするテオドリックと目が合った。ドキドキと鼓動がうるさくなり、新たな衝動が起きる。
 この瞬間は、躊躇も羞恥も忘れた。
 暗がりの中でキセは身を屈めてテオドリックの脚の間に触れ、熱く立ち上がったそれを口に含んだ。
 奇妙な感覚だった。よく知っているはずなのに、触れる場所が違うだけで初めて触れたような気分になる。
「――ッ、キセ…」
 髪に触れるテオドリックの指が、頭上から聞こえる声が、快楽に乱れ、キセの全てを求めている。大変な作業だ。口を大きく開けていないと入り切らないし、たった今テオドリックが教えてくれた気持ち良いところに舌で触れるためには頭を上下させて位置を変えなければならない。どう頑張っても、唾液がこぼれてテオドリックを汚してしまう。これを防ぐために、キセはテオドリックの熱く脈打つものを含みながら吸ってみた。
「うっ…、あ!キセ、待て」
 テオドリックは呻いてキセの顎を掴み、身体を引いた。
 赤く腫れた唇が艶かしく濡れ、羞恥のためか頬は真っ赤に染まって、目はまるで熱に浮かされたようにとろんとしている。
「い、痛かったですか?」
 不安そうに問いかけたキセの濡れた唇を、テオドリックは塞いで綺麗にするように舐め、啄んで唇を離し、悪戯した子供を咎めるように鼻をキュッとつまんだ。ちょっと息が上がっている。
「よすぎてやばい。俺をこんなにして、覚悟しておけよ」
「えっ、あ…!」
 エメラルドグリーンの瞳がギラリと光った。キセの心臓が警鐘を鳴らすように跳ねた瞬間、テオドリックに強い力で身体を押さえつけられ、組み敷かれていた。
「んんっ!」
 胸に吸いつかれるのと同時に秘所に指を突き立てられ、キセは呻いた。然して解されてもいないのに、身体がそれをすんなりと受け入れている。
「ふ。悪い子だな、キセ。俺のを咥えただけでこんなに濡らすとは」
「す、すみませ…あっ」
 ぐり、と感じやすいところをテオドリックの指につつかれ、キセは小さく悲鳴を上げた。
 テオドリックの笑った後の吐息が胸の先端にかかる。それだけで、身体がびくびくと反応した。恥ずかしい。けれど、もっと欲しい。
「テオドリックが気持ち良さそうにしていたので、わたしも…」
「ああ、くそ」
 もう無理だ。
 テオドリックは唸りながらキセの腰を掴み、ひと息に奥まで挿し貫いた。
 キセが恍惚と悲鳴をあげ、熱く潤ったその内部にテオドリックを引き込んで行く。
「あっ、あ、テオドリック――!」
 快楽の火花が身体中に散り、テオドリックの熱と感応して炎になる。テオドリックの息遣いが、唇に、胸に、腰に触れる肌が、その身体全部がキセを愛おしむように全身を包む。
「愛してる。…愛してる、キセ…」
「――っ、はい。わたしも、あなたを愛しています」
 痛いほどの快楽と、獣のような肉欲と愛に満ちたこの瞬間は、全ての苦しみや重責から解放される、紛れもなくただの男と女になれる時間だ。ただの、テオドリックとキセになれる瞬間なのだ。
 キセはその律動に呼応してテオドリックをもっと深くまで求め、二人の身体の境界が融けてなくなった頃、全身を包むテオドリックの熱と身体のいちばん奥に感じる甘美な感覚に任せ、真っ白な絶頂に意識を委ねた。
 空が白んだ頃、身体の中で燻る甘やかな感覚にとろとろと意識を委ねながら、ふたりは抱き締め合って眠りについた。
 まどろみの中で、キセはこの夜を忘れないでいようと思った。
 いつか妃という自分の役割がどうしようもなく重い枷のように感じたとき、テオドリックがそばにいればそれはきっと翼になる。テオドリックが君主としての重責に苦しむとき、歓びを分け合えばそれも翼になる。
 運命の伴侶はそういうふうにできているのだと、心に刻まれたこの夜を。
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