獅子王と海の神殿の姫

若島まつ

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五十三、コルネールの気軽な集まり - la petite soirée -

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 コルネール邸は、以前キセが訪ねた時とは比べ物にならないほど美しく飾られていた。
 季節の花が壁面の花瓶へ等間隔に飾られ、花や木の実のガーランドやステンドグラスのランプなどが吊るされて、女性好みのロマンティックな空間に仕上がっている。如才ない社交家のガイウス・コルネールらしい演出だ。
 男性主体の集まりになると、特に上流階級の貴族が集まる場では政治色が濃くなる。‘気軽な集まり’としたからには、奥方や令嬢の楽しむ要素を多くしておく必要があると判断したのだろう。今回の狙いがヴェロニク・ルコント侯爵夫人と近づくためのものであるから、尚更だ。ガイウスは、それを招待客が最初に目にする門前やエントランスを華やかに飾ることで主張した。
 イサクと分かれた後で二人がエントランスに足を踏み入れると、数十名の賓客たちが一様に膝を折って頭を低くした。女性たちがうっとりとこちらを見つめてくるのは、美貌の王太子への視線であることは間違いない。
 仕立屋のマダム・ルナールやテレーズの言う通り、婦人たちはみな髪を結わずに、或いは部分的に結って髪を下ろし、白い花を飾っている。
 キセはなんだか気恥ずかしくなったが、マダムの言葉を思い出し、ピンと背を伸ばして、できるだけ胸を張った。
 奥から丈の長い銀灰色の夜会服に身を包んだ主人のガイウス・コルネールと、この夜会の女主人であるらしいライラック色のハイネックドレスに身を包んだ貴婦人が進み出て、臣下の礼として膝を折り、テオドリックとキセの右手に口付けをした。
「キセ・ルミエッタ姫、テオドリック王太子殿下」
 と、ガイウスはあえてキセを先に呼んだ。これも堅苦しさのない集まりであることの表現だ。
「我が屋敷までおみ足をお運びくださり光栄の限りです」
「こちらこそお招きありがとうございます、ガイウスさま」
 キセが先に挨拶を返し、ガイウスの意図に乗ったことを示した。
「今宵は輝くばかりだ、キセ」
 もう一度キセの手の甲に口付けするいとまもなく、にゅっと二人の間にテオドリックが手を伸ばしてきたので、ガイウスはやむなく王太子と握手を交わした。表情は晴れやかに微笑んでいるが、内心ではこの王太子の悋気を苦々しく思っている。
「コルネール公、実り多き一夜となることを期待している」
 テオドリックも隙のない王太子の笑顔を浮かべてガイウスの手を強く握りながら、こう言って圧力をかけた。ガイウスは唇を歪に吊り上げた。
「無論です、殿下」
 遠巻きには友好的に見える彼らの挨拶が済むとすぐにガイウスのパートナーの女性が進み出て、キセとテオドリックに恭しく膝を折った。
 女性はゆるく編んだ明るい栗色の髪を白いカーネーションで飾っている。ネコのような茶色の目にちょっと勝気な笑みを湛えているあたりが、なんとなくガイウス・コルネールの皮肉げな笑みを思い起こさせる。
「お目にかかれて光栄でございます、キセ姫殿下、テオドリック王太子殿下。ガイウスの妹のアニエス・コルネールと申します。どうぞ気安くお過ごしくださいませ。特にキセ殿下、今宵は女性たちにも楽しんでいただけるよういろいろな催しがございますので、どうぞお楽しみに」
 鈴の鳴るような声でアニエスが言った。貿易の要衝であるルドヴァン地方の貴婦人だけあって、その容姿と同じく、美しいマルス語だ。
「楽しみです!」
 キセがキラキラと顔を輝かせると、アニエスは目を細め、ふっくらした薔薇色の唇を控えめに吊り上げた。ただし、目は唇ほどには笑っていない。どこかキセを興味深げに観察しているようでもある。
 が、キセはこの不可解な視線に気付いていない。
 これがどういう感情であるのか、相手の僅かな表情を読み取る術に長けているテオドリックでも判別できなかった。美しい顔立ちをしているが、この女もその兄と同じく食わせ者であることは間違いないだろう。
(それにしても)
 と、テオドリックはアニエスの顔立ちをそれとなく眺めた。
 ――似ていない。
 髪の色やミステリアスな雰囲気には類似するものがあるが、容姿そのものには兄妹らしさをあまり感じない。
 そもそも、ガイウス・コルネールに妹がいたことも初耳だ。ガイウス・コルネールを信じ切ってよいものだろうか。
 テオドリックはガイウスとアニエスに今日の催しについて訊ねるキセの楽しそうな顔をチラリと見、小さく息を吐いた。
 いずれにせよ、この夜会でガイウスの出方を見定めなければならない。
 軽やかな楽団の演奏が始まり、最初のワインが給仕されると、夜会の主催者であるガイウスとアニエスが自ら一番の貴賓であるキセとテオドリックを大広間まで案内してシャンパンを給仕し、軽く膝を曲げて他の来客の挨拶回りへと戻っていった。
 大広間はエントランスと同じく壁一面に花が飾られ、キラキラと輝くシャンデリアの周囲の至る所にステンドグラスのフードがついた真鍮の燭台が置かれ、大広間を明るく照らしている。陸上貿易の盛んなルドヴァン領主の屋敷には、エマンシュナでは見かけないエキゾチックなデザインのものが多く、この空間がまるで遥か異国の豪邸のようでもあった。
 そこには既に大勢の貴賓がいて、軽快な調子のダンスに興じたり、給仕係が客に運んで回るささやかな食事を楽しんだりしている。
 彼らもまた、王太子とその婚約者の姿を認めると頭を低くしてお辞儀し、うっとりと視線を向けた。空気にピンク色の霞がかかるようだ。そしてキセの見るところ、その中に男性の視線も混ざっている。
(男性まで魅了するなんて、凄いです。さすがテオドリックです)
 頭が下がる思いだ。キセは隣に立つテオドリックに尊敬のまなざしを送った。
 テオドリックは何故か眉間に皺を寄せてちょっと不機嫌そうな顔を一瞬見せ、エスコートのために行儀良く組んでいた腕をそっと解き、その代わりにキセの腰に手を添えて自分の方へ引き寄せた。
 直に体温を感じる距離だ。キセは表情を変えないように努力したが、口元をむずむずさせるのを何人かに見られたかもしれない。
 大広間の賓客の中に、キセは兄の姿を見つけた。スクネは隣の薄紅色のドレスに身を包んだ小柄な貴婦人に合わせて身を屈め、穏やかな雰囲気で談笑している。
 一緒にいる貴婦人は、紹介されるまでもない。先日スクネとの婚約が承認されたばかりの、シダリーズ姫だ。
 シダリーズは可愛らしい顔立ちの女性で、他の貴婦人の例に漏れず、ふわふわのダークブロンドの髪を肩に下ろし、白い花を飾っていた。
 キセがスクネに向かって手を振ると、スクネはシダリーズに何事か耳打ちし、肘を曲げて婚約者と腕を組み、優雅な笑みを浮かべて近付いてきた。
 テオドリックはスクネと握手を交わし、従妹のシダリーズには弟妹とするような抱擁をした。
「互いに紹介は必要ないかな」
 テオドリックが言うと、「まあ」とシダリーズがちょっと笑いながら咎めた。笑うとふっくらした唇から白く小さな犬歯が覗き、その丸顔も相まってやや幼顔に見える。やはり美麗なアストル家の血だ。遠目でもその美しさがわかるが、近くで見ると、絵画の天使のように美しい。
「本当なら春の宴で知り合えたはずなのに、さっさと彼女を連れて帰っちゃったのは殿下じゃありませんか。ちゃんと紹介してくださいませんか?王太子殿下」
 シダリーズはくっきりと大きなハシバミ色の目を茶目っ気たっぷりにぎょろつかせ、キセに目くばせしながらテオドリックを詰った。
 キセはこの姫を好きになった。思わず笑い声をあげると、テオドリックが肩をすくめて苦笑した。
「キセ、従妹のシダリーズだ。シダリーズ、婚約者のキセ・ルミエッタ・シトー王女だ。もう手紙でやりとりしてるだろ」
 シダリーズは従兄の雑な紹介の仕方に不満そうな顔をして見せたが、どこかおかしそうにしている。
「その節は、可愛い贈り物をありがとうございました。シダリーズさま」
 キセがにっこり笑って言うと、シダリーズもふっくらした唇に弧を描かせ、可憐に笑った。今度は心からの笑顔だ。
「キセさまも、丁寧なお手紙とお返しの贈り物をありがとうございました。贈ってくださったイノイルのお茶がとても美味しくて、大事に少しずつ飲んでいるんですよ」
「よかったです!実家からまた送ってもらいますね」
「でも、わたしがイノイルに行く方が早いかもしれません」
 キセとシダリーズが顔を見合わせて笑い合った。なかなか同年代の家臣ではない女性と知り合う機会がないから、こういう出会いは嬉しい。
 テオドリックは可愛い婚約者と従妹が意気投合して楽しそうに話すのを穏やかに見守りながら、向かいに立つスクネの顔を注意深く見た。
 スクネは優しいまなざしで自身の婚約者となったシダリーズを眺めている。
 スクネとシダリーズの雰囲気は悪くない。互いに好意的だ。しかし――
(これでいいのか)
 と、テオドリックは思わざるを得ない。スクネがシダリーズに向けるまなざしは、妹のキセに向けるのと同じ類のものだ。
 が、テオドリックとしてはこの婚約を破談にさせるわけにはいかない。
 先日の評定は、案の定、紛糾した。
 テオドリックが事後報告としてキセとの婚約を発表してしまったことは、議会でも覆すことができない。既にイノイル国王の承認を得、エマンシュナ国王が否認していない以上は、彼らもテオドリックとキセの婚姻を認めざるを得ない。そもそも、他の王族と違って国王とその子供の結婚については、議会で評定にかける義務はないのだ。いつ頃、何故始まったものか定かでないが、それがエマンシュナの伝統的かつ習慣的な法になっている。
 それだけに、国王の姪であるシダリーズとイノイルの王太子の婚約は和平反対派にとっては阻止したい重大事だった。
 が、結局、王太子テオドリックと王弟ナタナエル・アストル、その他の賛成派の票に加えて、中立の姿勢を見せていた者たちが王家の意向に沿って賛成に転じたことで、正式に承認された。
 賛成派が増えた理由のひとつには、春の宴で王女の婚約者として紹介されて以来、スクネが様々な場所に顔を出し、王都周辺の貴族と交流を深めていたということがある。
 スクネは妹のキセと同じく、人に好かれる。が、その一方で権力者としての畏怖を感じさせもする。スクネは巧みにそれらを使い分け、‘敵国’の貴族たちを、主に若い世代から懐柔していた。テオドリックが嫉妬するほど、スクネは信奉者を増やすのが上手い。
 ますます敵にはしておけない。相手が姉でなくとも、シトー・アストレンヌ両家相互の婚姻関係は死守しなければならない。
「シダリーズ姫とのことだが」
 と、スクネが口を開いた。
「君の口添えがあったと聞いた。感謝する」
「口添えと言うほどのものではない。俺があなたについて語る前に、賛同者は皆あなたのことを知っていた。労が功を奏したな」
「労というほどのものではないさ」
 と、スクネがテオドリックの言葉を引用したので、テオドリックは苦笑した。
「実際、彼らと語らうのは楽しかった。それぞれの領地や今後の展望などについて話し合ったが、皆よく領民のことを考え、善き統治者であろうと努めている。よい国だよ。我々は良き友人になれると思う」
「そうだな」
 テオドリックはスクネの黒い瞳を見た。キセと同じように、その奥で揺るぎない信念が燃えている。
「ねえ、あなたのお兄さまって」
 シダリーズが静かな声色でキセにこっそり話しかけた。
「とっても紳士ですね。なんだか、型通りではなくて本当にわたしのことを思い遣ってくださる感じで…イノイルの王太子さまと聞いたときは驚きましたけど、本当に素敵な方」
 キセはぱあっと顔を輝かせた。自慢の兄を褒められるのは、自分のことを褒められるよりも嬉しい。
「はい!お兄さまはとっても優しいんです。弟たちが小さい頃はお忙しいなか時間を作ってよく一緒に泥だらけになって遊んでいましたし、家族で出かける時は誰よりも早く馬を降りてお母さまの手を取りに行かれますし、わたしが遠泳中に溺れた時なんかは、船の上から――」
「こら、キセ。その話はやめておきなさい」
 スクネが眉間に皺を寄せて苦々しげに言った。シダリーズとキセは顔を見合わせてくすくす笑った。
「君が遠泳中に溺れた話は初めて聞いたな」
 テオドリックは王太子の輝くような微笑みを貼り付けていつもより美しいマルス語で言い、キセの頬に血色が昇っていくのを機嫌よく眺めながらシャンパンに口をつけた。
「準備運動が足りなかったので、足が攣ってしまったんです。いつもはそんなことはないのですよ」
「キセ」
 兄が半ば笑いながら目をギョロリとさせたので、キセも笑いながら口を閉じた。
「おてんばなお姫さまの話は後でゆっくり聞く。二人の時に」
 テオドリックが上品な笑顔を浮かべながら、キセの耳元で低く囁いた。キセは頬を赤くしながら、くすくすと楽しそうに笑った。
 スクネは内心で苦笑した。テオドリックもまた、公私の使い分けが巧みだ。
 この四人は夜会での注目の的だった。
 二つの国の王太子と姫君が集まっているのだから当然だが、彼らはそれ以上のものを象徴している。即ち、和平と政変だ。
 相互の婚姻による和平の後、王府の中で何が起きるかは代々王家に追従してきた貴族たちには容易に想像できる。ここでの立ち回り方によっては、没落を招くだろうし、或いはこれまでよりも高い地位を手に入れることもできるだろう。
 が、今夜は誰も政治の話はしない。夜会の主人であるガイウス・コルネールの意向に背くような無粋な真似をすれば、自分と家の名を貶めることになるからだ。
 だから、二組の婚約者たちの周りには、貴族の婦人たちが夫や男性のパートナーを伴う形で恭しく控えめな挨拶と祝福を述べに来たのみだった。堅苦しい話はせず、みな自邸の庭で何の花が見頃だとか、城下で流行りの新しいお菓子が絶品だとか、ただの世間話をしていく。
(なるほど、良い機会だ)
 テオドリックは煌びやかな衣装を纏った貴族たちと親しげな挨拶を交わしながら、彼らの表情をつぶさに窺った。政治的な会話抜きで、彼らの心を探ることができる機会は貴重だ。
 そして、彼らのもとへ挨拶に訪れた招待客の中には、ヴェロニク・ルコント侯爵夫人の姿もあった。
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