獅子王と海の神殿の姫

若島まつ

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三十二、祝祭 - un soir avant la fête -

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 すっきりと晴れた風の温かい日、春の宴を翌日に控えた城下は大騒ぎだった。
 街中に花びらが蒔かれ、商人は往来に露店を出し、王都にある七つの広場には、どこから来たのか楽団が様々な楽器で春の曲を奏で、人々が春を祝って踊っている。それも伝統舞踊のエメネケットや、輪になって大勢で踊るもの、恋人たちのゆったりしたダンスなど、様々だ。
 夜には宴の開催を祝して花火が上がると言うから、ここのところ落ち込んでいたキセも見に行きたくてうずうずしている。
「僕なんかがお供でよろしいんですか?」
 と、ジャンが困惑気味に言った。ジャンはキセの温情で自分の首が繋がったと思っている。
「‘なんか’なんて、とんでもないです。わたしこそ、皆さんお忙しくされているなか何もお役に立てないのに、その上ジャンさんのお時間までいただいてしまって、何だか申し訳ないくらいです…」
 テオドリックは相変わらず休む間も無く賓客を迎える準備や政務に忙しくしているし、スクネも朝から何やら姿が見えない。おまけにテレーズは昨日宴の準備の手伝いのために王城へ赴いて腰をひどく痛めてしまった。
 せめてテレーズの代わりにアストレンヌ城へ手伝いに行きたいと申し出たが、さすがに許されなかった。宴の準備のために城内で働いていた女性が未来の王太子妃だと知られれば、示しがつかないと言うのだ。
「そんな!」
 ジャンはしょんぼりしてしまったキセに驚いて叫ぶように言い、あわあわと慌てふためいた。
「僕でよければ喜んでお供つかまつります。今日はこの前みたいに危険なことがあったら――いや、ないに越したことはないんですが、万が一あったらキセさまより先に気付きますから!安心してください!」
「はい」
 キセは微笑した。
「頼りにしています」
 ジャンはのぼせそうな気分でその顔を凝視した。身分が露見しては騒ぎになるから、深い緑色の華美でないドレスの上に胡桃色の外套を羽織っていていつもより地味な装いだが、それでもキセは天使のように可憐だった。
 何秒そのままでいたのかは定かではないが、しばらくするとジャンは不躾にもじろじろ見過ぎたことに気付き、ぼんやりとした頭をぶんぶんと振って一歩下がった。
 厩舎に趣いた後キセはトルノに乗り、ジャンはその手綱を引いて歩きながらお祭り騒ぎの城下を巡った。
 アストレンヌ中心地の大工の家で生まれ育ったジャンは街の歴史や穴場に詳しかった。
 気難しい主人のいる紙職人の店では特別な彩色方法で美しい柄を描いたマーブル紙や箱、革製品も手に入る。時間はかかるが、製本も請け負っているらしい。その上、活版印刷ではなく職人による美しいカリグラフィーの文字入れも行っているというから、キセはボロボロになってしまった祈祷書の表紙をこの店で作ってもらうことにした。
 その他、エマンシュナ国内の様々な産地からありとあらゆる種類の酒が集まる店、ある地域独特の手法で織られた織物の店、お伽噺の魔女を彷彿とさせる妖艶でミステリアスな雰囲気の女主人が客の好みや体調に合わせて茶や香りを楽しむためのハーブを調合してくれる店もあり、彼らは春の祝祭のために特別な商品を店に出したり、品物をいつもより安く売ったりしている。
 キセはそれらの店を興味深く眺めていくつか買い物をした後、ブリュアンジュ広場を通り掛かった。今日は以前と様子が違っていて、軽快な弦楽器の四重奏が流れるなか、中央の噴水の前に人だかりができている。馬を下りて近付いてみると、楽団の演奏に合わせて二十組ほどの男女がエメネケットを踊っていた。
 キセはすっかりエメネケットを気に入っていた。毎日練習をしていて、近頃では兄とどちらが早く足をもたつかせるか見応えのある勝負ができるほどになってきた。勝敗を決めるものではないとテレーズやイサクが呆れて言うが、速く踊れるようになると、ますます楽しくなる。
「殿下とご一緒でなくて、残念でしたね」
 ジャンが気を利かせて言った。なんとなく、キセが広場の集団を眺めながらテオドリックのことを思っているような気がしたのだ。
「お忙しいですから、仕方ありません」
 キセは今朝見たテオドリックの背中を思い出した。
 兄との朝食のために食堂へ向かう途中で、窓の外に王城へ向かうテオドリックの姿を見たのだ。彼との接触はと言えば、ここのところずっとこの調子だ。以前にも増して避けられているのは明白だった。
 きっとあの時、拒んだから――
 と、また頭がよくない考えを堂々巡りし始める前に、キセはふるふると首を振って自分を奮い立たせた。
「ジャンさん、踊りましょう」
 キセが誘うと、ジャンはひどく申し訳なさそうな顔で首を横に振った。
「身に余る光栄ですが、やめておきましょう」
「あ、そうですね。お仕事中なのに、すみません」
「いえ、そうではなく…」
 しゅんとしてしまったキセに、ジャンがしどろもどろになって言った。
「僕なんかが言うのも恐れ多くて、おかしく聞こえるかもしれませんが、その…殿下がお嫌かと思うので…僕は主君の意に背くことはできません」
 キセはジャンの言っている意味が分からず、小さく首を傾げた。
「どうしてテオドリックが嫌がるのですか?」
「まさかとは思いますが、お気付きではないのですか?」
 と、ジャンは口に出してからやってしまったと思った。またしても差し出口が過ぎた。が、もはや後の祭りだ。
「えっ…。何をですか?」
 そう尋ねたキセは、憐憫を誘うほど不安そうな顔をしている。主君の心の内を代弁するなどあまりに恐れ多いが、キセにこのような顔をさせたまま黙っていられるほどこの男は強い意志を持っていない。おまけに、婉曲な物言いができない質だった。
「…殿下は、嫉妬なさいます。キセさまが他の男と踊っていると」
 まずい。と、またしてもジャンは思った。キセがすっかり黙ってしまった。
(気に障ったかな…)
 やはり意志を強固にして黙っておいた方がよかったのかもしれない。
 ところが、キセはじわじわと顔を熱くして頬を真っ赤に染め、大きな真っ黒の瞳を潤ませた。ジャンはなんだか見てはいけないものを見た気がした。
「そ」
 キセの声が震えている。
「そ、それって…あの…」
 否。とキセは思い直した。この結婚が契約として必要なものであり、テオドリックがその範疇を出ることを望んでいないことは明白だ。
 しかし、ガイウスも同じようなことを言っていた。
 首に付けられた痕を見て、「嫉妬深い婚約者」だと言ったのだ。そう言えば、あの時テオドリックが急に気分を害したのは、イサクや兄たちとのエメネケットの練習について話した報告した後のことだった。次の日も。――
(ガイウスさまと一緒にいたから?)
 そう考えると、テオドリックの不可解な怒りの理由は全て辻褄が合う。
「…テオドリックは、わたしのことを――」
 どう思っているのでしょうか。と口に出す前に、ジャンが遮った。
「ぼぼ、僕はもう、これ以上は何も言いませんよ!今度こそクビになりますから!本当にもう、何も言いません」
 その慌てようがおかしくて、悪いと思いつつもキセはついくすくすと笑ってしまった。
「わかりました。わたしも黙ります」
「ああ、でも、これだけは言えます」
 と、ジャンは加えた。
「みんなあなたがとても好きです。テレーズさまも、イサクさまも、他のみんなも、僕も。ですから、ええと…」
 ジャンが顔を赤くしながら頭をガシガシ掻くのを、キセは目を大きくして見た。
「みんな味方です。キセさまが幸せにこの国で暮らすことを、みんな望んでます。あなたはこの国で、一人じゃありません」
 また差し出がましいことを言ったと思った。明らかに護衛の責務の範疇を超えている言動だ。しかし、ジャンは後悔しなかった。キセがまばゆいばかりの笑みを浮かべて礼を告げたからだ。
(天使――。いや、女神だ)
 ジャンは目が眩む思いでその美しい顔を見た。
 露店で昼食のパイを食べた後は、アストレンヌの街に点在する神殿を訪ねて回った。儀式や礼拝の目的がなくても、神殿には信徒以外にも多くの人々が訪れる。春の宴ではどの神殿もたくさんの花で彩られ、各神殿で造られる酒や作物の物産展が開かれるのだ。
 キセは、訪れた神殿では必ず神像の御前へ膝をつき、祈りを捧げた。様々な神々が信仰の対象となるマルス大陸では、神官が他の宗教の神殿でそこに祀られる神に祈りを捧げることは珍しくない。別の宗教の神官が他の神に捧げるための祈りの言葉もあるくらい、彼らは他の宗教に対して寛容だ。
 キセがこれを街中で繰り返した結果、すっかり日が暮れてしまった。
 キセはアストレンヌで最も大きく装飾の美しい鐘楼が聳えるソラヒオン・リュメウリア神殿を最後の巡礼の地に定め、灯火を持つ月の女神の像が見下ろす祭壇の前に膝をついた。周囲には蝋燭がいくつも灯され、他にも祈りを捧げに祭壇を訪れた幾人かの人々が長椅子に座り、指を組んで首を垂れている。
 しばらく経って夜祭りの始まりを告げる鐘が鳴り、他の来訪者が神殿を出て行っても、キセは祈り続けた。
 やがて祈りを終え顔を上げた時、隣に長い黒の外套を着てフードをかぶった男が胡座をかいて座っていた。キセは声も上げられないほど驚いたが、顔を見てもっと驚いた。
「テオドリック!」
 テオドリックは悪戯っぽく唇を吊り上げて人差し指を唇に当て、シィ、と合図をした。
「忍んで来た。デレクと呼べ」
 おかしい。
 キセはテオドリックから視線を外し、自分の手の甲を凝視した。
 顔を見ただけなのに、心臓がうるさい。身体が熱い。
「で、デレク、どうして…」
「時間を取ると約束しただろう」
「覚えていてくださったのですね」
 ここのところはずっと避けられていたしキセも自分から話しかけようとしなかったから、春の宴の前日に城下を案内するという約束は自然に流れたものだと思っていた。
 が、テオドリックは現れた。行き先も告げていないのに、探し出してくれた。
「当然だ」
 と得意気に言うテオドリックを、キセは見つめた。胸が苦しくなるほど嬉しかった。その気持ちを、キセはそのまま言葉にした。
「嬉しいです」
 キセの目から涙がこぼれた。テオドリックはこれほど美しい涙を知らない。
 本当は告解と懺悔に来たはずだった。が、キセの顔を見て気が変わった。もう少し、もう少しだけ、この春の陽のような暖かさに触れていたい。もう二度と触れられなくなる前に、もう一度だけ。
 テオドリックはジャンに馬と荷物を託して帰らせた後、キセの手を引いて神殿から連れ出し、夜祭りの中心となっているメルヴェル大広場へ赴いた。
 広場の中央には、星を模した大理石の高い台座があり、その上に精悍な筋骨の雄々しい太陽神と長い髪を軽やかに結い上げて薄絹に身を包んだ月の女神の白い像が背中合わせに佇んでいる。神々の周りには大きな篝火が焚かれ、夜闇の中、彼らがまるで生きているように見える。更にはその背後に壮麗なアストレンヌ城が聳え、城の壁に彫られた天体と獅子が祭りに集まった人々を見下ろしている。
 彼らも普段は家に帰る時間だが、祝祭の間は別だ。闇夜に火を灯し、太陽でいっぱいの季節の到来を祝い、酒を飲み、音楽を奏で、踊るのだ。
 メルヴェル大広場はアストレンヌで最大の広場だけあって、広い庭付きの豪邸が一軒建てられそうなほど広い。広場の周囲に食べ物や酒や花、土産物などを売る露店が立ち、射的やボウリングなどの遊興の店もある。
 テオドリックはこっそり軍に入隊していた時に知り合った男のバーで小さな瓶に入ったスパイス入りのワインを買った後、同じく軍にいた頃の顔馴染みの肉屋の主人に声をかけられ、露店で骨付きのローストチキンを買い、キセと分けた。その後も何人かの軍人らしき若者や商人に「デートか、デレク」などと声をかけられ、テオドリックはその度に王子らしからぬ口調で彼らをあしらった。
「お友達が多いのですね」
 キセは広場の隅の花壇の縁に腰掛け、隣でチキンを頬張るテオドリックをニコニコ眺めながら言った。
「‘デレク’にはな」
「どちらもあなたです」
「だが‘王太子’には、友人はできない」
 そう笑ったテオドリックが、キセにはひどく物悲しく見えた。
 その後、テオドリックが射的の露店で何だかよくわからない動物の置き物を当て、キセと二人でこれは犬か熊かと論争を繰り広げることになった。
 耳の形から言って犬だろうというキセの主張に対して、テオドリックは尻尾が短いのだからこれは熊だと主張したが、キセは尻尾が丸まっている可愛らしい姿を表現したのだと言って譲らなかった。
「よく見てみろ。熊に見えてくるだろ」
 テオドリックはちょっとムキになってキセの目の前に置き物を差し出し、キセは言われた通りじっと置き物を見つめた。
「うぅん…」
 正直、テオドリックの主張もわからなくもない。
「でもこれは犬です」
 キセがくそ真面目な顔でキッパリと言い放つと、テオドリックは弾けるように笑い出した。
「あんたは頑固だ」
「だって、こういう犬がいたらかわいくないですか?」
 と、キセも笑った。
 更に、キセは西南部のトールシュクという地域から民芸品を売りに来た行商の虹色のガラスのドームに目を止めた。手のひらほどの大きさのドームの中に、陶でできた小さな鳥が入っている。どうしたらこんな色のガラスができるのかと尋ねると、四角い顔の商人は「トールシュクに来てのお楽しみだ」と言った。きっと商人もよく分からないのだろうが、言葉の通り、いつかトールシュクへ行こうという気になった。
 夜祭りの最後のダンスはエメネケットと決まっている。この時も楽団の演奏に合わせて大勢の人々がくるくると立ち位置を変えながら男女で向き合い踊っていた。
「踊るか」
 ちょっとだけ緊張気味に差し出されたテオドリックの手を、キセは花が咲いたように笑って取った。
 大きな広場の中央には既にぶつかりそうなほど人が集まって輪を作っている。この人混みを半ば強引に抜けて真ん中に陣取り、キセと向かい合ってステップを踏み始めた。
「よ、よろしいのですか?もっと端っこでも…」
「俺が中心にいなくてどうする。王太子だぞ」
「わあ!テオドリック、聞こえます…!お忍びなのでしょう?」
 キセが慌ててテオドリックの口を両手で押さえた。
「はは」
 テオドリックは笑ってキセの手を握り、その甲にキスをして、頬を染めたキセの顔を機嫌よく眺めた。
「大丈夫だ。みんな音楽しか聴いていないさ。ほら、踊れ」
 キセはくすくす笑ってステップを踏み、テオドリックと手を合わせてくるりと立ち位置を入れ替わり、自分でも鼻歌を歌いながらスカートをふわりとさせて踊った。
 次に篝火に照らされるテオドリックの顔を見たとき、優しくこちらを見つめる緑色の瞳に宿るものが見えた気がした。その瞬間に心から溢れたものを、キセには抑えておくことができなかった。躍っていることを身体が忘れてしまったようだった。
 キセが突然バランスを崩したのを、テオドリックは抱き止めた。
「まだ十回目だぞ。上達したんじゃなかったのか?」
 テオドリックは揶揄うようににやりと笑ったが、すぐに表情を消した。キセの目を見た瞬間、何かが弾ける音がした。篝火の薪が弾ける音か、花火が始まったのか、あるいは空耳だったかもしれない。
 引き合った。という表現が適切かどうかは分からない。が、確かに強い引力が働いた。キセはテオドリックの胸に飛び込み、テオドリックはキセの身体を強く抱き寄せて腕の中に閉じ込めた。あとは風が吹いたら葉擦れが起きるほどの自然さで唇が重なった。輪を描いて踊る人々の中、二人の時だけが止まったようだった。
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