獅子王と海の神殿の姫

若島まつ

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二十三、獅子の国 - le pay du lion -

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 駐屯地を出発してからは、大きな街道を進んだ。街道と言っても、王都から軍港へ物資を運ぶために軍馬や荷車が通れるように最低限の整備をしただけの道で、大きな街の周辺などは煉瓦や石畳で舗装されているものの、その他の大部分は固い土が剥き出しになっていて、削り取られたような馬車の轍が田園風景の中に延々と続いている。周囲の人通りはまばらで、遠方の農地へ趣く途中の農夫の一家や行商などとすれ違ったが、イノイル軍に一部を占拠されてしまった軍港に近付く者は多くない。
 キセはイノイル風のドレスしか持っていないから、道中目立たないように長い外套を着ていた。馬に乗り降りする度に馬具に外套が引っ掛からないように外套の裾を直してやる役目は、全てテオドリックが担った。本来なら侍女や馬丁の役目であって王太子の役割ではないが、テオドリックはどうしてもそれを他の誰かに譲りたくなかった。
「仲がよろしいことだ」
 と、スクネがからかい半分にちょっと苦々しげな調子で後ろから声を掛けた。
「はい。夫婦ですから」
 キセが照れながらも精一杯の虚勢を張って言うと、スクネは肩を震わせて笑いだした。テオドリックも苦笑して、更に後方を追従してくる護衛兵たちには聞こえないくらいの声でキセに言った。
「兄上は俺たちが夫婦になっていないと気付いているぞ」
「えっ!?」
 キセは仰天して叫んだがすぐに口を閉じ、ごにょごにょとテオドリックに囁いた。
「ば、ばれてしまったのですか?」
「オシアスとして祈っただろ。兵士の前で」
「あっ…。そうでした。うっかりしていました」
 キセが赤くなった頬を隠すように両手で顔を覆い、後方の兄を振り返って困ったように眉尻を下げた。
「お兄さま、怒りましたか?」
 可愛い妹にこんな顔をされたのでは、多少なりとも腹が立ったなどと言えるはずもない。
「…お前にこんな強かな一面があったのかと、感心したよ。お前たちが寝ていようが寝ていまいが、父上は同じ判断をされただろうしな」
「寝…」
 キセはますます顔を赤くした。「寝た」という言葉がどういうことを指すのかは理解している。確かにあの夜、寝たと言えば寝たような気がするが、あの行為が一体何を指すのかよく分からないし、思い出すだけで恥ずかしい。
「…あれ・・は寝たうちに入らないぞ。一応言っておくが」
 テオドリックはキセにしか聞こえないほどの小声で教えてやった。兄の言葉で何を思ったか、手を取るように分かる。耳まで真っ赤だ。
 動揺したキセがぐらりとバランスを崩して鞍からずり落ちそうになったのを、テオドリックが素早く馬体を寄せてキセの腰を支えてやった。
 外套とドレスの下から伝わる柔らかい腰の感触が、塔で触れたキセの素肌を思い出させた。
 テオドリックはキセが慌てて座り直すとすぐに手を離し、愛馬エスペリスの腹をきゅっと踵で押して前方へ駆けた。

 松明を灯した一行は、夜闇の中、王都アストレンヌの城壁をくぐった。女性を含む七騎の団体はすんなり城壁を抜けるには目立つが、テオドリックが外套を捲って上衣の袖に付けられた王家の紋章を見せると、衛兵は少し意外そうな様子を見せつつも無言で背筋を伸ばして敬礼し、彼らを通した。人家の明かりは既にまばらになり、街の中心地の酒場から笑い声と灯りが漏れてくるのみで、人通りは少ない。暗い中で街並みがよく見えないのは残念だが、大きな川が付近を流れ、月が水面に反射して美しく波紋を描いている。
「お月さまの美しさはエマンシュナでも変わりませんね」
 と、キセは言った。長旅で疲れているはずなのに少しも疲労を見せず、いつものように笑っている。テオドリックはその顔から目が離せなくなる前に、ツイと視線を外した。
 暗闇の中いくつもの篝火に照らされて光そのもののように浮かび上がる壮麗なアストレンヌの王城を見て、キセは言葉を失った。当たり前のことだが、よく知っているオアリス城とも、オスタ教の神殿とも全く違う。
 中央の一番高い尖塔を囲むように四つの尖塔が聳え、その中央になだらかな三角屋根の壮麗な主郭が鎮座し、ファサードに施された天体や獅子の細密な彫刻が街を見下ろして、夜の王都に圧倒的な存在感を漂わせている。きっと太陽の下で見たら白く輝いて別の美しさがあるのだろうとキセは思った。
 一行はアストレンヌ城を通り越え、テオドリックの居城であるレグルス城に入った。篝火が多く焚かれ、衛兵も多い。居城と言うよりは要塞としての機能が主で、建物は円柱型の塔が城の四隅を囲い、中央には一際大きな円柱型の城の本丸部分があり、正面の壁には大きな二頭の獅子が向かい合って彫られている。その二頭の獅子が丁度篝火に照らされて影を踊らせ、見る者に闇の中に大きな獅子が現れたような錯覚をもたらす。優美で壮麗な印象のアストレンヌ城とは対照的で、雄々しく無骨な佇まいだ。
 帰ってきた主人と客人を真っ先に出迎えたのは、従者のイサク・マジノだった。
「テオドリック・レオネ王太子殿下、ご無事のお戻り、何よりです」
 イサクはそう言って恭しく礼をした後、この乳兄弟を固く抱擁した。テオドリックが自らキセの手を取り、腰に手を添えて下馬を手伝うのを内心で少々驚きつつ見守った。普段から女性の扱いには慣れているテオドリックだが、なんとなくいつもの彼と違う。
(なんだ?)
 と考え始めてすぐにわかった。表情だ。テオドリックのこんなに穏やかな表情を見たのは、子供の頃以来ではないだろうか。
 イサクは地に足を付けたキセの元に跪いてその手を取り、甲に口付けした。
「キセ・ルミエッタ王女殿下、今日よりこのイサク・マジノはあなたのしもべでもある。命を賭してお守りすると誓います」
「イサクさん、初めまして。キセです」
 キセは同じように膝をついて気軽に挨拶し、イサクの手をキュッと両手で握ってにっこりと微笑んだ。
「わたしたちこそ、命を賭けなければなりません。お力を貸してくださってありがとうございます。とても頼もしいです。でも、どうかお命はご自分のためにお使いになってください」
 イサクは驚きを表情に出さないように細心の注意を払いながら、無礼にならない程度に視線を上げて主人の妃になる女の顔を見た。
(予想と違う)
 何となくスズランを連想させる女性だ。と、イサクは思った。手の甲にキセの唇がそっと触れた瞬間、柄にもなく狼狽してしまった。自分よりも身分の高い人物――あまつさえ女性に、手に口付けされたことなどこれまでに一度も無かったからだ。
「あなたにも女神さまの祝福を」
 と、キセが微風のような声で言った。言葉を失って動けなくなってしまったイサクに向かって、テオドリックがわざとらしく咳払いをした。イサクはハッと我に返り、既に馬を下りたスクネやその従者たちとも礼儀正しい挨拶を交わし、彼らを城の中へ案内した。
 城のエントランスに全員が足を踏み入れた直後のことだ。
 テオドリックが無言で隣にやって来たかと思うと、イサクの手に自分の手袋を半ば強引に握らせた。イサクは怪訝に思いつつも素直にそれを受け取り、手を引っ込めようとしたところで、今までに見たことのない主人の奇妙な行動を目の当たりにした。テオドリックが自分の袖をイサクの手の甲に強く押し付け、擦り付けたのだ。キセの唇が触れた痕跡をイサクの手から完全に抹消しようとでもいうように。
「お前、それ本気か」
 イサクがテオドリックにだけ聞こえる程度の声で言うと、テオドリックがぎろりと睨み付けてきた。
「うるさい。黙って歩け」
 イサクは込み上げる笑いを必死に堪えた。

 キセには当面の間、イサクの母でありテオドリックの乳母でもあったテレーズ・マジノ夫人が世話係として付けられることになった。本来であれば王太子妃になる貴婦人の侍女は由緒正しい家柄の子女から然るべき人選を経て決められるべきものだが、今回はまだ内密に事を運ばなければならないために、事情を知っている者のうち最も信頼できる者が選ばれたのだった。
 ふくよかで陽気なテレーズは、大理石張りのエントランスへやや緊張気味に足を踏み入れたキセに膝を折って礼をするなりその豊かな胸にキセを抱き寄せて熱烈に歓迎した。オレンジ色の裾がふんわりと広がるエマンシュナ風のドレスが、この明るい人柄によく似合っている。
「女性のお世話が焼けるなんて何年ぶりかしら。本当に嬉しい限りですわ。誠心誠意お勤めいたしますわね」
「テレーズさん、不束者ですが、どうぞよろしくお願いします」
 キセも膝を折ってにっこりと笑った。テレーズは青い瞳をキラキラと輝かせて口を左右に大きく引き伸ばし、主君の愛らしい婚約者をもう一度抱擁した。
 スクネと従者には一番立派な客室が用意され、三名の護衛兵にもそれぞれに部屋が与えられた。
 キセがテレーズに案内されたのは、主郭の三階にある大きな寝室だ。廊下やエントランスは暗く渋みのある色使いで重厚な雰囲気だが、この寝室は違う。床は野原を想起させるグリーンの絨毯張りで、淡いミントグリーンの壁には白と金で蔦と花の文様が、天井には彩色された木の実を嘴に咥える小鳥や植物が幾何学模様のように描かれている。木漏れ日の射す森の中に迷い込んだような部屋だ。部屋の南側ではアーチ形の大きな窓が星空を映し、そこにヤグルマギクやユリやカーネーションなどの模様が色とりどりに描かれた織物のカーテンが掛けられていて、部屋の奥には同じく花の刺繍があしらわれた天蓋つきの白いベッドが設えられ、その柱には壁と同じような鳥や植物の彫刻が施されている。他にもワードローブ、本棚、ソファ、ビュローなどの調度品も揃いになっていて、どれも年代物のようだがよく手入れされていた。
「かわいいお部屋です!素敵です」
 キセは感激して両手を組み、テレーズに輝くような笑顔を向けた。
「気に入ったようでよかった」
 と、誰もいないはずの部屋の奥から聞こえてきたのは、テオドリックの声だ。キセが驚いて声の方を見ると、部屋の側面に備えられたアーチ型の扉の前にテオドリックが立っている。
「もう一つの主寝室と続き部屋になっている。かつてこの城に住んでいた夫妻の寝室だ」
「そ、そうなのですね…」
 キセは顔が熱くなるのを止められなかった。何となく目を合わせられない。
「安心しろ。同意も得ずに夜這いを仕掛けるような無作法はしないから」
「そ、そんなことは心配していません」
 テオドリックは真っ赤になったキセの顔を見てニヤリとした後、すぐに神妙な顔つきになった。
「兄君たちには下の階を用意したが、イサクの部屋は向かいにある。何かあったらすぐに守れる」
「はい」
 キセは頷いた。
 テオドリックは何だか意味ありげにニコニコしながら後ろに控えるテレーズに目配せして退出を促した。テレーズは優しく目を細めて膝を折り、キセの寝室を辞去した。
 テオドリックは部屋の中央に置かれたソファに腰を下ろし、ぽんぽんと隣を叩いてキセをそこに座らせた。
「キセ、あんたには俺の婚約者として共に行動してもらう必要がある。公的な場で愛し合う二人の姿を十分に知らしめ、然るべき場でイノイルの姫であることを公にする」
「今までの延長ですね」
「いや、もっとだ」
 緑色の瞳が憂鬱そうに光ってキセを見た。
「王太子の婚約者が得るものは、羨望と嫉妬だ。正式に妃にならない限りは、――いや、多分なったあとも、あんたを陥れようとする者たちの攻撃の的になる」
「はい、承知しています。認めてもらえるように頑張りましょう!」
 キセは真っ黒な目をきらきらと輝かせた。テオドリックは額に手を当てて息をついた。
「あー、いや、そうじゃない。…ああ、いや、認められるための努力が俺たちに必要なのは確かだが…俺が言いたいのは、十分身辺に用心しろということだ。あんたには確実に危険が及ぶ。だから、俺のそばを離れるな。必ず守る」
「ありがとうございます、テオドリック。ですが、お約束はできません」
「は?」
 テオドリックは目を丸くした。予想していた答えと違う。一方、キセは相変わらず穏やかに微笑んでいる。
「テオドリックにはテオドリックの、わたしにはわたしの役割があります。いつも王太子殿下を盾に隠れているようでは本当の妃にはなれませんし、認めてもらえないと思います。ですから、行動を別にすることもあると思います。もちろん、ご心配をおかけしないよう、最大限努力しますが…」
「それは無理だな。心配で堪らない。…一応言っておくが、あんたのことは信頼してるぞ」
 テオドリックはキセの萎れた表情を見て付け足した。
「だが護衛は付ける。一人にはなるな」
「はい。心配してくださって、ありがとうございます。わたしもあなたをお守りできるように頑張ります」
 キセがまた微笑むのを見て、テオドリックは眉間に皺を寄せた。
「笑うのはよせ」
「どうしてですか」
「不安なはずだろ。俺の前では隠すな」
「不安です。でも何となく、あなたと一緒なら大丈夫かなって思うんです。あなたがわたしを信じてくださるように、強くありたいです」
 キセが遠慮がちにテオドリックの手を握ると、テオドリックも握り返し、すぐに離した。キセは奇妙な喪失感を覚え、手を自分の膝に戻した。
「然るべき場と言ったが――」
 テオドリックは口を開いた。
「二週間後、アストレンヌ城で春の宴が開かれる。毎年恒例の行事で、国中の領主や有力者たちが集まる宴だ。イノイルの姫を王太子の婚約者として発表する場としては丁度いい。荒れるだろうが、あんたや兄上のことは必ず守る。兄上と俺の姉も引き合わせられるだろう。それから、前後の三日間は城下で祭りが開かれるから、王都のことをよく知る機会にもなる――」
 が、絶対に護衛を置いて出歩かないように。と戒めようとして、テオドリックは口を閉じた。キセの瞳が好奇心に満ちてきらきらと輝いている。
「お祭りですか!とても楽しみです!」
 それまで深刻な話をしようとしていたのに、テオドリックの唇が自然と吊り上がった。
「…前日なら少しだけ時間が取れるかもしれない。お忍びでよければ案内する」
「よいのですか?ありがとうございます!」
 顔中で嬉しさを表したキセが神を拝むように両手を組んだ。テオドリックはキセを抱き締めようと動いた腕を血を吐く思いで意思に抵抗して元に戻し、咳払いをした。
「危険がたくさんついて回るから、くれぐれもそのつもりでいろ」
「はい。周りによく気を付けますね」
 キセは気軽な調子で応えた。テオドリックはまた溜め息をついた。キセがことの重大さを本当に理解しているのか、時々分からなくなる。まるで自分の命がそれほど重要でないと思っているようにも感じられさえする。が、これ以上の議論は今は不要だ。守ればいい。キセの命を守るのは、夫たる自分の役目だ。
 テオドリックは立ち上がり、キセの頭をくしゃくしゃと撫でた。
「疲れただろう。風呂に入ってゆっくり休め」
「あなたも。テオドリック」
 キセはにっこりと笑って部屋の奥の扉から自室へ戻っていくテオドリックを見送った。
 テオドリックはすぐにキセの元へ引き返してその身体を抱き締め、口付けしたい衝動に駆られた。既に何度かしたことだ。身体がその感触を覚えてしまっている。それだけに、尚更抗いがたい。しかし耐えた。耐えるために奥歯をぎりぎりと噛み締めた。
 自室へ戻ったテオドリックを待っていたのは、どことなく愉快そうな笑みを浮かべて分厚いソファの肘掛けに腰掛けるイサクだった。ネリへ向けて発つ前、壁一面に貼られていた地図やメモは全て剥がされ、金色の蔦模様が施された深緑の壁紙が凡そ三年ぶりに部屋を覆っている。
「うるさい」
 テオドリックが不機嫌に言うと、ますますイサクの含み笑いが広がった。
「まだ何も言ってないぞ」
「顔が言ってる」
「へえ、何て?」
 テオドリックはニヤニヤ顔のイサクを睨めつけ、舌を打った。
「ああ、お前にとって彼女がただの計画の一部じゃないってことだな?本気で惚れたな」
「酒」
 テオドリックは鬱陶しそうに上衣を脱ぎ捨て、ドカッとソファの真ん中に座った。イサクは暗い色のキャビネットから酒瓶を取り出し、グラスにブランデーをなみなみと注いでテオドリックに渡した。
「見ていれば分かるぞ。今までどの女にもあんな顔をしなかった。その上、あんな幼稚な独占欲も」
 テオドリックは無言で酒を流し込み、イサクの言葉を聞き流そうとした。
「確かに、美人だよ。ちょっと顔立ちは幼いが、きれいな女性だ」
 ――きれい?それ以上だ。と、喉まで出かかって飲み込んだ。
「別に隠すことはないだろ。夫婦になるんだから、本気で惚れたっていいじゃないか。さっきから黙って、何故認めないんだ?」
「…認めたいさ」
 テオドリックが絞り出すような声で言った。
「だが彼女を傷付けることになる」
 イサクはうなだれるテオドリックを無言で見つめた。
「――俺が殺した」
 テオドリックは同胞がミノイを殺す現場に居合わせたのではなかった。
「俺がこの手で殺した。ミノイ王子を」
 オアリス城の回廊で見た肖像画のミノイは、テオドリックが泥の道で命を奪った男だったのだ。
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