獅子王と海の神殿の姫

若島まつ

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十四、愛と義務 - l’amour et le devoir -

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 カーテンの奥からこぼれる鈍い光を受けて、キセの白い頬が輝いている。窓の外で鳥が鳴くと、キセの薄いまぶたがぴくりと動き、黒く長い睫毛が震えた。
「ぅん…」
 小さく唸って寝返りを打ち、キセが安らかな寝顔をこちらを向けた。波打つ黒髪がハラリと落ちて顔を覆う。テオドリックは頬をそっと撫でるようにして髪を肩へ払い、毛布を胸の上まで掛け直してやった。昨夜から幾度その寝衣の下の肌に触れようと思ったか分からない。まるで拷問だ。自分から同じ部屋を用意させておいて滑稽も甚だしい。だが別の見方をすれば、自制心を保つ修行には丁度いい。これから何度も経験しなければならないだろうから。
 つややかな頬に触れると、まぶたがゆっくりと開き、魅惑的な大きな黒い瞳が朝の光を映した。どんなに高価な宝石もこの美しさには敵わない。
「おはようございます」
 まだ半ばまどろみながら、キセがその目に弧を描かせた。
 テオドリックの予想では、この後キセは白い頬を熟れたコケモモのように赤くして慌てふためき、多分ベッドの上に背を真っ直ぐにして座り直してからもう一度朝の挨拶を繰り返すことになる。
「おはよう」
 テオドリックは微笑んでキセの頬を撫でた。キセの反応は、概ねテオドリックの予想通りだった。顔を真っ赤にして一通り慌てふためいた後は、毛布をたぐり寄せて頭のてっぺんまで被ってしまった。
「…おはようございます」
 毛布の奥からもごもごとキセが言った。
「もう聞いた」
「はい。あの…」
 キセが毛布からそろりと両目を出した。その仕草がひどく可愛い。
「今日も、よろしくお願いします」
「婚約者におはようのキスをしてもいいか」
 テオドリックは毛布を引っ張ってキセの顎をつい、と持ち上げた。
「え…」
 やめておけばよかった、とテオドリックは密かに悔やんだが、もう遅い。重ねた唇がじわじわと温度を増し、二人を阻む毛布とその下の寝衣がひどく邪魔になった。キセがテオドリックの唇を控えめに啄んだ時、テオドリックは唇と身体を離した。多分、キセは昨日‘こういうこと’に慣れろと言ったことを受け止め、実践しているのだろうが、これ以上続けたら自制心が崩れる。
「勉強熱心なのは大いに結構だが、次にベッドの上でキスを返すときはその先どうなるか考えてからにしろよ」
 テオドリックは揶揄う意図などなく年長者として訓戒を垂れたつもりだったが、キセは顔を真っ赤にして再び毛布に潜り込み、しばらく出て来なくなった。
(恥ずかしい)
 キセは毛布の中で顔を覆った。
 まるで引力が働いているようだった。テオドリックのキスは、いつもそうだ。「勉強熱心」とテオドリックは言ったが、そうではない。その唇を何度か味わううちに、自然とそうなってしまう自分がいる。
(テオドリックはわたしが慣れるよう訓練をしてくださっているのに…)
 テオドリックの言動の目的は和平だ。自分もそうでなければならない。この計画に乗った以上、テオドリックの信頼を裏切るようなことは決してしてはいけない。
 ぎゅむ、と両側の頬をつねって喝を入れ、毛布を剥いでベッドの上に正座し、テオドリックに決然と向かい合った。
「はい!あの、気を引き締めていきます」
 テオドリックは「ふ」と小さく笑うと、キセの乱れた髪を手で梳き、直してやった。
「よろしく頼む、花嫁殿」
 強く打つ鼓動を耳の奥で感じながら、キセは疑問に思った。この人との触れ合いに慣れる日など、本当に来るのだろうか。髪に触れられるだけで、こんなにどきどきするのに。

 道中、テオドリックが考えた二人の馴れ初めにキセも意見しながら物語を作った。テオドリックの言う愛の物語というやつだ。
「戦で心を病んだ俺は、オスタ教に傾倒するようになる。よくある話だろう」
 キセは顔を曇らせた。
「…戦で傷付いたのですか?」
「過ぎたことだ。あんたが気に病む必要は無い」
「時間が過ぎても、苦しみは消えません」
「それは身に染みているさ。だからこそ真実味が出る。嘘を信じ込ませるには、真実を交ぜることだ」
 キセはそばへ駆け寄ってその手を包み、女神への祈りの言葉を唱えたくなった。この人はまだ苦しんでいる。が、生憎今は馬の上だ。
「お祈りの言葉をお教えします」
 キセは悲壮な思いで言った。祈りがこの傷付いた人を苦しみから少しでも救ってくれるといい。
「頼む」
 キセの意図に気付いているのかどうか、テオドリックはキセに向かって微笑み、続けた。
「――で、傷付いた俺は女神が生まれたというネリの地へ巡礼に来て、オシアス…あんたと恋に落ちる」
 馬に揺られるテオドリックの緑色の目がどこか燃えるような輝きを孕んでキセをまっすぐ見つめた。キセはどきりとしたが、それが顔に出ないように奥歯を噛んだ。
「それでは、オアリスへ行くまでにあといくつか神殿に立ち寄りましょう。オアリスへの道の途中にも歴史の古い神殿があります。これからは多少は人目についた方が都合が良いのですよね」
「いい考えだ。導いてくれるか?俺のオシアス」
「もちろんです」
「だが、宗教的な色は濃くないほうがいい。女神の祝福欲しさにオシアスを妻にしたように見えるのは、逆効果だ。純粋な恋物語の方が理解を得られる」
「…はい」
 キセは顔を赤くした。純粋な恋物語がどういうものか、よく知らない。十二で神殿へ来てからは経典や哲学書や歴史書ばかりが読み物だったし、それ以前はお伽話や恋愛小説よりも冒険の物語ばかり読んでいた。それに、まだ恋を知らない。
これ・・とは、違うものなのでしょうか)
 テオドリックの優しい笑顔や憂鬱そうな眉や情熱的な眼差しを見るたびに心臓が跳ね上がる現象は、何と呼べば良いのだろう。緊張と不安のせいと言えばそうかもしれない。ただ、それだけではない。しかし、テオドリックは本当の愛情を求めているわけではない。いつか本当に愛してしまったら、平和のためという前提が崩れてしまう。
 結婚相手を愛することは、普通なら当然であって喜ばしいことだ。しかし、自分たちの結婚は世間一般で言う普通の結婚ではない。政治とは遠い世界にいたキセも、政治と恋は相性が悪いと言うことを知っている。それだけに、テオドリックを敬愛こそすれ、恋だの愛だのという極めて利己的な感情を持つわけにはいかないと思っている。そんなことになれば、命懸けでキセを迎えに来たテオドリックを裏切ってしまうような気がするのだ。
「俺は――これもよくある話だ」
 テオドリックは更に続けた。
「美しく可憐なオシアスに一目惚れした。そして心優しく人々に寄り添う慈愛に満ちた彼女に心を奪われる。そして、激しく求めるようになる」
 これは真実ではない。それはキセには分かっている。それでも、跳ねる心臓も、くすぐったい気持ちも、どうにもならなかった。テオドリックの深いエメラルグリーンの瞳には、キセをそうさせる力が備わっている。
「あんたはどうだ」
 と訊ねられ、キセは「へっ」と頓狂な声を上げた。
「また聞いていなかったのか?」
 テオドリックは呆れたように言ったが、目は優しく弧を描いている。キセは尚更どぎまぎして手綱を握る手をもじもじさせた。
「俺のどこに魅力を感じる?」
「ええと…」
 キセの白い頬に血色が上っていくのを機嫌よく眺めたあと、「ああ」と、テオドリックはいかにも無念そうな表情を作って大仰に空を仰いだ。
「残念だな。俺にもっと魅力があれば…。あんたにもっと気に入ってもらえるように努力しなければならないな」
 サァッとキセの顔から血の気が引いた。そして案の定、あわあわと慌て始めた。
「ちっ、違います!テオドリックは素敵な方です!頑張り屋さんなところとか、もちろん、見た目も素晴らしく男前でいらっしゃいますけど、それ以上に、高潔で、ご自分より他の方を大切にされていて、ちょっと心配になるくらいで…」
 キセは口を閉じた。テオドリックが眉を寄せ、くつくつと笑いながらキセを愉快そうに眺めている。揶揄われたことに、キセはこのとき初めて気がついた。
「‘頑張り屋さん’?」
「…はい。あの、僭越でした。す――」
 テオドリックが目を大きく見開いたので、キセは言葉を飲み込んだ。が、すぐにテオドリックが吹き出したので、キセもおかしくなって笑い出した。

 この日の昼下がり、二人は低い山の中腹にある小さな神殿を訪れた。
 千年ほどの歴史のある神殿で、長らく苔の生えたボロボロの石が積まれてできただけの建物だったのを、キセの母親オミ・アリアが十八年前、オーレンに嫁いで間もない頃に建て直したものだ。内部に大切に安置されていた女神像も地元で名のある職人たちを雇って補修し、かつて傷だらけだった顔は、今ではすっかり白く輝いている。
 ここには、オシアスではなく男性の司祭が常駐している。キセやその母親とは旧知のククリという、頭髪の半分が白く初老をいくつか超えたくらいの男で、ネリ神殿のオシアスが王女であることを知っている数少ない者の一人だ。キセがオシアスになるための修行をしたのもこの神殿だったから、ククリは恩師であるとも言える。
 ククリ司祭は突然男と二人で現れたキセを見て仰天したが、二人の親密な雰囲気を見て何かを察したらしい。司祭は皺の多い目元に笑みをたたえ、二人を祭壇へ案内した。
「勝手はオシアスがお分かりでしょう」
 そう言って、ククリ司祭は奥へ入っていった。
 二人はいくつもの燭台に囲まれた女神像の前に膝をついた。キセは半分ほどの燭台に火を灯して神々の言語とされる古代の言葉で祈りを唱え、テオドリックにも一語ずつ教えてやった。キセが先に言い、テオドリックがその後に続いてたどたどしく真似る。
「お上手です」
「本気か?」
「もちろんです。わたしの初めての時はもっとひどかったですよ」
 キセは穏やかに微笑んで両手を組み、まぶたを閉じて何事か神々の言葉で祈り始めた。
 美しい。――と思った。横顔も、まぶたを伏せると目元に伸びる黒い睫毛も、血色の良い唇も、己が妻にしようと言う娘は輝きに満ちている。
 キセがテオドリックの視線を感じて隣を振り向き、首を傾げた。その仕草がひどく可愛らしかった。
 ――厄介だ。もっと魅力のない女であればこれほど自制心を必要としなくて済むものを。
「今の言葉は、何を祈った」
 と訊いてみた。
 その心の内にあるものまでを知りたいと思っている自分が、浅ましく思える。
「‘女神さま、お導きください’」
「そこは理解できた」
 キセはふふ、と喉で笑った。
「‘わたしたちの結婚が二つの国民に幸せをもたらしますように’、と」
「俺にも教えてくれ」
「では、一緒に」
 キセはテオドリックの首からシャツの中に仕舞われていた帆立の首飾りを引っ張り上げてテオドリックの手を取り、その中に帆立を収めて、もう一度祈りの言葉を言った。途中テオドリックが間違えると、その部分をゆっくりと繰り返し、最後にテオドリックの手に口付けをした。
「女神さまはお守りくださいます」
「…口付けはそこだけか?オシアス」
 テオドリックが静かに口を開いた。
 キセは顔を赤くした。
「そ、そのつもりです…」
 テオドリックは唇に弧を描かせてキセの顎を摘まみ、唇に羽が触れるようなキスをした。
「祭壇の前です…」
「もう女神の前で何度もしただろう」
「で、でも」
 その時、背後から咳払いが聞こえた。二人が振り返ると、ククリ司祭がゆったりと前で手を組んで立っている。
「仲睦まじいご様子で、結構なことですな」
 司祭は顔を真っ赤にして慌てはじめたキセに微笑み、テオドリックには品定めするような目をしながらも、礼儀正しく目礼した。
「念のためお聞きしておきますが、駆け落ちというやつではありますまいな」
 司祭の皺の多い目元が憂鬱そうに翳ったのを見て、キセは心が痛んだ。多分、この先何度も同じように真実ではないことを言わなければならない。
「そんなところです」
 テオドリックはあっさりと答えた。いつも家臣や国民に見せる、魅力的な貴公子の顔だ。
「それは由々しきこと」
 司祭は目を見開いた。
「ご心配はいりません。これからお父上の許しを得に行くところです」
「この方のお父上がどなたかご存知でしょうな?」
「ええ」
「肝の座ったお方でいらっしゃる」
 そう言って、司祭は複雑そうに笑った。教え子が愛を見つけて飛び立とうとするならば、背を押す準備はできている。が、彼女は敬虔なオシアスであり、何よりも王の娘だ。彼らが苦難の少ない道を進んで行ける可能性はない。
「ククリ司祭さま」
 キセが司祭の袖を取った。
「わたしたちを祝福してくださいますか?」
 司祭は穏やかに目を細めてちょっと悲しそうに微笑むと、二人の前方、祭壇の女神の正面に居住まいを正して膝をついた。この娘にお願い事をされて断れる人間が果たしてどれほどいるのだろう。司祭はキセの母親にも神官としての薫陶を授け、我が子のように慈しみ、キセにも同様の愛情を持っている。孫のような存在だ。
「あなたのお名前は?お若い方」
「テオドリック・レオネ・アストル」
 神々の言葉で祈りを唱えようと口を開いた司祭はそのまましばらく硬直した。やっとのことで後ろを振り返って二人の顔を見ると、キセはテオドリックに向かって朗らかに微笑し、テオドリックはそれに優しく笑い返している。
「…確かですかな」
「ええ。正式な名前はもっと長いが」
 ――由々しきことだ。ククリ司祭は手の震えを隠しきれなかった。キセはそれを見て申し訳なく不憫な気持ちになったが、もう決めたことだ。罪悪感を表情に出してはいけない。テオドリックが隣からそっとキセの手を握ってきた。顔を見ると、その緑色の目が「大丈夫だ」と言っている。キセはちょっと安堵して、小さく頷いた。
 女神の祭壇で二十分ほどの祈りを捧げ、最後に立ち上がったククリ司祭は、テオドリックの方に歩み寄ってその手を力強く握り、「頼みましたよ」と言った。
 更にキセにもまるで悪戯した子供を叱るような目つきでちょっとだけ凄んで見せた。
「ずるい子たちだ。わたしを共犯にしてしまった」
 キセは星をちりばめた新月の夜のような瞳を涙で潤ませ、司祭の手を取ってその甲に口付けした。
「ありがとうございます、ククリ司祭さま」
 礼を告げたキセは涙をこぼさず、キラキラと輝くような笑顔を見せた。
「しっかりおやりなさい」
 キセの肩をぽんぽんと叩いた後、司祭はテオドリックにだけ聞こえるように囁いた。
「わたしはあれを千里の微笑みと呼んでいます。あの笑顔のためなら誰もが千里をも駆けてしまう」
 テオドリックは声を上げて笑った。
「罪深い才能だ」
 だが、理解できる。
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