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一、月下の邂逅 - Clair de Lune -
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キセは首を傾げた。
事態の異常さにしては、よくよく暢気なことだと我ながら思う。が、目の前の青年が口にした耳慣れない言葉がどうやら自分の名前であるらしいと認識したのは、この青年に腕を掴まれてからだ。
青年の髪は月光を受けて銀色に輝き、そのさらさらとした前髪の奥で鈍い光を帯びた瞳が、射るようにこちらを見つめている。
(きれいな色…)
不完全な月の明かりだけでは相手の虹彩の色など、ろくに見えるはずもない。しかし、キセにとっては本当の目の色が何であろうと関係なかった。胸のうちに秘めたものが目に映り、それが美しく光彩を放っているのだ。
それだけではない。背はすらりと高く、鼻梁は高くまっすぐに通り、何かを深く憂えるような眉の下の穏やかなカーブを描く目蓋の奥には、その意志の強さを象徴するように瞳が輝いている。その佇まいからは高貴さが窺えるが、一方でやや薄い唇は武人のように引き締まっている。典雅さと無骨さが不思議に調和してその男の中に存在しているようだった。誰もが振り返らずにはいられないほどの容貌だ。
キセは、十七年の人生でこれほど美しい造形を与えられた男性を見たことがない。
まるで月神のよう。
――などとぼんやり考えた。いや、本当に月の神なのかもしれない。しかしよく考えたら月の神は女性のはずだから、目の前の人物が月神なら女神が男装していることになる。キセは男の貌を観察するようにひたと見つめ続けた。自分が薄衣の装束で海に浸かり、何のために何をしていたかなど、とうに頭にない。今はこの人物が本物の青年であるのか推理することで精一杯だった。目の前の顔はどうやら本当に男だと認識すると、次に胸へと視線を下ろした。
(ない…)
何故かほっとしたような、がっかりしたような、複雑な気分だ。これほどの美貌であれば女神が男装していたとしてもそれほど驚かなかっただろうが、少なくともこの人物は女神ではない。
「‘リュミエット’」
と、その男がもう一度その名を呼んだ。絹の上を滑るような声。――どこか胸をざわつかせるような訛りを含んだ発音だ。
「月の言葉では、わたしの名前はそのように言うのですか」
この時キセは初めて声を発した。
男の目が開き、すぐに眉が低い位置に沈んだ。まるで理解不能な言語を初めて聞いたときのようだ。
キセは恥ずかしくなった。馬鹿なことを言った、と思った。冷静な頭で考えて発した言葉ではなく、今のはまるで、うわごとだ。
(だって…)
キセはそろりと視線を上げ、男の美しい顔を見た。これが既に現実ではないような感じがする。
何とか現実感を取り戻そうと男の顔を見つめていると、形の良い眉が動き、眉間に谷を作った。キセは目を伏せた。
「あ、すみません…」
「なぜ謝る」
「何か、お気を悪くされたのかと」
男は長い睫毛を伏した。是とも否とも取れる。
「話を聞いていたか」
静かな声色で問われ、キセは顔が熱くなった。そう言えば何か言っていたような気がする。
「あ、あの…」
聞いていなかった。と言うより、目の前に突然現れた人物が生身の人間かどうかを考えるので頭をいっぱいにしていたから、言葉がキセの耳の中で意味を持つに至らなかったのだ。
男は苛立ったように短く息を吐き、キセの腕を強く引いた。
身体が近付くと、汐の香りに混じって丁子のような匂いがした。腕を掴む手の自分よりも少し高い温度を肌で感じ、キセは奇妙な閉塞感を覚えた。同時に、目の前の男がきめ細かくつやつやした織物の上衣を着ていることに気付いた。絹糸で施された見事な植物の刺繍、細密な彫りのある金ボタン。――庶民どころか富裕層でさえ手に入れられないほどの見事な生地だ。
「俺はテオドリック・レオネ・アストル――」
男は名乗った。
「エマンシュナ王の嫡男だ」
キセは言葉を失った。エマンシュナ王国はこのイノイル王国が千年の昔から戦を繰り返している相手だ。ここ数年で情勢が悪化し、互いの領土の一部や国境付近などで度々起こる紛争が激化している。
そんな人物が、王の娘とはいえ王都を遠く離れ小さな神殿でひねもす祈りを捧げながらひっそりと暮らしているような小娘に、命の危険を冒してまで、しかもたった一人で会いに来る理由は一体何なのだろうか。その上、キセが五年前からこの場所で暮らしていることを知るのは、家族とそのごく一部の側近だけだ。どのようにして敵国の王太子がその情報を手に入れたのかさえ、皆目見当もつかない。
しかし、不思議と恐怖は感じない。相手が一人だからでも、海を泳いで近くの離島まで逃げて行ける程度には泳ぎを得意としているからでもなく、もっと単純なことだ。ただ、善良な人だと思ったのだ。それほど多くはない人生経験の中でも、こういう類の直感はいつも正しいと、キセは信じている。
「キセです」
初めまして、とキセが朗らかに名乗ると、テオドリックと名乗った青年は怪訝そうな顔でこちらを見た。
「あ、そうでした」
失念していた。テオドリックが呼んだのはもう一つの名前だ。
「キセ・ルミエッタ・シトーです。…テオドリック殿下」
腕を掴まれていてお辞儀ができないので、キセは代わりに片膝だけ曲げようとし、そこでうっかり膝まで浸かった足を打ち付けてきた波に取られてしまった。
テオドリックが反射的に掴んでいた腕を引き上げると、顔まで海に濡れてしまったキセは目を丸くし、髪からぽたぽたと雫を落としながら口元をわなわなと震わせた。
「おい――」
テオドリックが口を開くと同時に、キセが吹き出した。
「ふっふふ、ああ、すみません。ふふ…」
キセは呆れ顔を隠そうともしないテオドリックに対しては悪いと思いつつも、なんだかこの事態がおかしくなってしまった。あるいは混乱しているからとも言えるが、こうなれば、もうどうしようもない。笑いがおさまるまでまともに口もきけなくなった。キセは掴まれていない方の手で腹を押さえ、できる限り声を押し殺して笑った。
「腕を掴んでくださっていたおかげで頭のてっぺんまで濡らさずに済みました」
と、キセは腹のひくひくがようやくおさまってきた頃に礼を告げた。テオドリックは珍奇な小動物でも遠巻きに見るような目でキセを見つめ、やがて苦り切った様子で口を開いた。
「…本当に聞いていなかったようだな」
この不機嫌な声に、キセはハッと我に返った。腕を引いて助けてもらったのに笑い出したのはあまりにも失礼だったのではないか。と、急に不安が襲ってきた。
「す、すみません。ここにお客さまがいらっしゃったのは初めてなので…――あ!」
しまった!と思った。キセはテオドリックが現れるまで自分が何をしていたか、この時ようやく思い出した。
「うっかりしていました。ここは儀式のための神域で、神官のわたししか立ち入ることはできないのです。ああ、大変です。禁を破ってしまいました」
「俺は神など恐れない。戒律など、人間が勝手に作ったものだろう」
慌てふためくキセに対して、テオドリックの声色は冷静そのものだ。冷淡とも言える。
ところがキセは特に傷付くでも気分を害するでもなく、ちょっと小首を傾げてテオドリックの言葉を頭の中で反芻し、眉を開いた。
「なるほど…。それも道理ですね」
テオドリックは相変わらず得体の知れないものを観察するような目でキセを見つめ続けているが、キセは伸びやかな声で言葉を続けた。
「ですが、わたしのお務めは戒律を守ると言うだけではないのですよ。みんなが大切にしているものを神官のわたしが守っているのです。オスイアの女神様がわたしたちをお守りくださるように」
キセは柔らかく微笑んで言った。月の光が波打つ黒髪を照らし、汐に濡れた肌を白金色に輝かせた。瞳は新月の夜のように黒い。
「御用向きは後ほど浜辺の東屋で伺います。すみませんが、儀式を終えるまで――」
「あんたを俺の妻にする」
テオドリックの言葉がキセの言葉を遮った。
「用向きはそれだ」
キセの漆黒の瞳が凍りつき、時が止まったように身体が動かなくなった。
事態の異常さにしては、よくよく暢気なことだと我ながら思う。が、目の前の青年が口にした耳慣れない言葉がどうやら自分の名前であるらしいと認識したのは、この青年に腕を掴まれてからだ。
青年の髪は月光を受けて銀色に輝き、そのさらさらとした前髪の奥で鈍い光を帯びた瞳が、射るようにこちらを見つめている。
(きれいな色…)
不完全な月の明かりだけでは相手の虹彩の色など、ろくに見えるはずもない。しかし、キセにとっては本当の目の色が何であろうと関係なかった。胸のうちに秘めたものが目に映り、それが美しく光彩を放っているのだ。
それだけではない。背はすらりと高く、鼻梁は高くまっすぐに通り、何かを深く憂えるような眉の下の穏やかなカーブを描く目蓋の奥には、その意志の強さを象徴するように瞳が輝いている。その佇まいからは高貴さが窺えるが、一方でやや薄い唇は武人のように引き締まっている。典雅さと無骨さが不思議に調和してその男の中に存在しているようだった。誰もが振り返らずにはいられないほどの容貌だ。
キセは、十七年の人生でこれほど美しい造形を与えられた男性を見たことがない。
まるで月神のよう。
――などとぼんやり考えた。いや、本当に月の神なのかもしれない。しかしよく考えたら月の神は女性のはずだから、目の前の人物が月神なら女神が男装していることになる。キセは男の貌を観察するようにひたと見つめ続けた。自分が薄衣の装束で海に浸かり、何のために何をしていたかなど、とうに頭にない。今はこの人物が本物の青年であるのか推理することで精一杯だった。目の前の顔はどうやら本当に男だと認識すると、次に胸へと視線を下ろした。
(ない…)
何故かほっとしたような、がっかりしたような、複雑な気分だ。これほどの美貌であれば女神が男装していたとしてもそれほど驚かなかっただろうが、少なくともこの人物は女神ではない。
「‘リュミエット’」
と、その男がもう一度その名を呼んだ。絹の上を滑るような声。――どこか胸をざわつかせるような訛りを含んだ発音だ。
「月の言葉では、わたしの名前はそのように言うのですか」
この時キセは初めて声を発した。
男の目が開き、すぐに眉が低い位置に沈んだ。まるで理解不能な言語を初めて聞いたときのようだ。
キセは恥ずかしくなった。馬鹿なことを言った、と思った。冷静な頭で考えて発した言葉ではなく、今のはまるで、うわごとだ。
(だって…)
キセはそろりと視線を上げ、男の美しい顔を見た。これが既に現実ではないような感じがする。
何とか現実感を取り戻そうと男の顔を見つめていると、形の良い眉が動き、眉間に谷を作った。キセは目を伏せた。
「あ、すみません…」
「なぜ謝る」
「何か、お気を悪くされたのかと」
男は長い睫毛を伏した。是とも否とも取れる。
「話を聞いていたか」
静かな声色で問われ、キセは顔が熱くなった。そう言えば何か言っていたような気がする。
「あ、あの…」
聞いていなかった。と言うより、目の前に突然現れた人物が生身の人間かどうかを考えるので頭をいっぱいにしていたから、言葉がキセの耳の中で意味を持つに至らなかったのだ。
男は苛立ったように短く息を吐き、キセの腕を強く引いた。
身体が近付くと、汐の香りに混じって丁子のような匂いがした。腕を掴む手の自分よりも少し高い温度を肌で感じ、キセは奇妙な閉塞感を覚えた。同時に、目の前の男がきめ細かくつやつやした織物の上衣を着ていることに気付いた。絹糸で施された見事な植物の刺繍、細密な彫りのある金ボタン。――庶民どころか富裕層でさえ手に入れられないほどの見事な生地だ。
「俺はテオドリック・レオネ・アストル――」
男は名乗った。
「エマンシュナ王の嫡男だ」
キセは言葉を失った。エマンシュナ王国はこのイノイル王国が千年の昔から戦を繰り返している相手だ。ここ数年で情勢が悪化し、互いの領土の一部や国境付近などで度々起こる紛争が激化している。
そんな人物が、王の娘とはいえ王都を遠く離れ小さな神殿でひねもす祈りを捧げながらひっそりと暮らしているような小娘に、命の危険を冒してまで、しかもたった一人で会いに来る理由は一体何なのだろうか。その上、キセが五年前からこの場所で暮らしていることを知るのは、家族とそのごく一部の側近だけだ。どのようにして敵国の王太子がその情報を手に入れたのかさえ、皆目見当もつかない。
しかし、不思議と恐怖は感じない。相手が一人だからでも、海を泳いで近くの離島まで逃げて行ける程度には泳ぎを得意としているからでもなく、もっと単純なことだ。ただ、善良な人だと思ったのだ。それほど多くはない人生経験の中でも、こういう類の直感はいつも正しいと、キセは信じている。
「キセです」
初めまして、とキセが朗らかに名乗ると、テオドリックと名乗った青年は怪訝そうな顔でこちらを見た。
「あ、そうでした」
失念していた。テオドリックが呼んだのはもう一つの名前だ。
「キセ・ルミエッタ・シトーです。…テオドリック殿下」
腕を掴まれていてお辞儀ができないので、キセは代わりに片膝だけ曲げようとし、そこでうっかり膝まで浸かった足を打ち付けてきた波に取られてしまった。
テオドリックが反射的に掴んでいた腕を引き上げると、顔まで海に濡れてしまったキセは目を丸くし、髪からぽたぽたと雫を落としながら口元をわなわなと震わせた。
「おい――」
テオドリックが口を開くと同時に、キセが吹き出した。
「ふっふふ、ああ、すみません。ふふ…」
キセは呆れ顔を隠そうともしないテオドリックに対しては悪いと思いつつも、なんだかこの事態がおかしくなってしまった。あるいは混乱しているからとも言えるが、こうなれば、もうどうしようもない。笑いがおさまるまでまともに口もきけなくなった。キセは掴まれていない方の手で腹を押さえ、できる限り声を押し殺して笑った。
「腕を掴んでくださっていたおかげで頭のてっぺんまで濡らさずに済みました」
と、キセは腹のひくひくがようやくおさまってきた頃に礼を告げた。テオドリックは珍奇な小動物でも遠巻きに見るような目でキセを見つめ、やがて苦り切った様子で口を開いた。
「…本当に聞いていなかったようだな」
この不機嫌な声に、キセはハッと我に返った。腕を引いて助けてもらったのに笑い出したのはあまりにも失礼だったのではないか。と、急に不安が襲ってきた。
「す、すみません。ここにお客さまがいらっしゃったのは初めてなので…――あ!」
しまった!と思った。キセはテオドリックが現れるまで自分が何をしていたか、この時ようやく思い出した。
「うっかりしていました。ここは儀式のための神域で、神官のわたししか立ち入ることはできないのです。ああ、大変です。禁を破ってしまいました」
「俺は神など恐れない。戒律など、人間が勝手に作ったものだろう」
慌てふためくキセに対して、テオドリックの声色は冷静そのものだ。冷淡とも言える。
ところがキセは特に傷付くでも気分を害するでもなく、ちょっと小首を傾げてテオドリックの言葉を頭の中で反芻し、眉を開いた。
「なるほど…。それも道理ですね」
テオドリックは相変わらず得体の知れないものを観察するような目でキセを見つめ続けているが、キセは伸びやかな声で言葉を続けた。
「ですが、わたしのお務めは戒律を守ると言うだけではないのですよ。みんなが大切にしているものを神官のわたしが守っているのです。オスイアの女神様がわたしたちをお守りくださるように」
キセは柔らかく微笑んで言った。月の光が波打つ黒髪を照らし、汐に濡れた肌を白金色に輝かせた。瞳は新月の夜のように黒い。
「御用向きは後ほど浜辺の東屋で伺います。すみませんが、儀式を終えるまで――」
「あんたを俺の妻にする」
テオドリックの言葉がキセの言葉を遮った。
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