それって食べ物ですか？いいえ飲み物です。

13章

238 旅の目的

ウラボン　視点

「にいちゃん達は冒険者だろ？あれに対処出来ないと死ぬぞ？」

あんたみたいな化け物が早々にいてたまるか！

そう突っ込みたかったが言葉に出なかった。
仲間達も同じようだった。

「テンション下げてしまったな。そういえば、にいちゃんなんであんな所に居たんだ？」

「…俺らは魔獣の森で最近発見されたダンジョンの調査を依頼された。」

「知識族領からわざわざ？まぁ、大方ダンジョンの所有権獲得の為の派遣だろ。」

ダンジョンは踏破者の持ち主となる。
それはダンジョンコアが踏破者に与えられるからだ。
ダンジョンコアはダンジョンの心臓であり、好きに改造出来る魔導具だ。

それは簡単に宝物だけのダンジョンなど、冒険者に有利なダンジョンに改造出来るということだ。

知識族領でもダンジョンは存在したが、原因不明の崩壊でほぼ存在しない。
その為、魔族領でもいいから確保したいのだ。

「しかし、最近魔獣の森に発見されたダンジョンなんてあったか？あそこは討伐獣や聖獣様がいるから入るのは俺でも容易ではないぞ！」

「討伐獣？」

知識族領では聞いた事ない言葉だ。

「討伐獣を知らないのか？魔獣の森に住むS級の魔獣だぞ？」

「S級！？そんな奴がいるのかよ！」

「ああ、今は減っているようだが有名どころがまだ何体かいるようだ。俺もあまり近寄りたくはないな。」

まじかよ！あの狸じじい、とんでもない依頼出しやがったな！！

「余りにも事前準備が出来てねぇなぁ…にいちゃん達悪い事は言わねー…村に着いたら、ギルドで過度な難易度で依頼で達成不可能という理由で解除申請しな。」

「俺達には無理って言いたいのかよ！」

流石に頭に来ておっさんを怒鳴り散らした。
だが…

「にいちゃん達…冒険者を舐めてるだろ。」ギロッ！

先程の黒刀竜葬と違う威圧が俺達を襲った。