それって食べ物ですか？いいえ飲み物です。

13章

234 強者のオーラ

ウラボン　視点

フード付きのコートを着た人物がこっちに声を掛けてきた。

「おう、にいちゃん達ボロボロじゃねぇか！！近くの村まで送ってやるぞ？」

フードの人物はフードを取ると中からキツネの獣人の顔を出した。

「ま、魔族！？」

ラウラの言葉に反応して、俺達はボロボロの身体で剣を構えた。
今の状況では何をされるかわからないからだ。

「なんだ？知識族か？おい！にいちゃん達どうした？俺から馬車を奪うか？」

俺はそれもいいかもと思った。
相手は魔族だ。
知識族領に戻れば罪にはならない。
見た所、行商人のようだし奪えば足に出来る。

「冗談のつもりだったがやりかねんな…」カチッ！
ブオオオオ…

「なっ！？」

キツネの獣人は刀のような武器を手に取り構えた。
その気迫は俺達が震えるほどデカく、まさに強者のモノだった。
対峙してはいけない相手だと、この時は後悔した。

シャクシャクシャクシャク…

何の音かと目を向けると二足歩行のトカゲがリンゴを呑気に食べていた。

こんな緊迫した状態で寛ぐな！！

ぐゅるるるる…

緊迫した空気の中でラウラのお腹が鳴ってしまった。

「あっ！？すいません…」かぁ…

ラウラは顔を真っ赤にしていた。

「ぷははは…にいちゃん達面白いなぁ！！」

先程までの押し潰されそうな気迫が消えキツネの獣人は腹を抱えて笑い出した。

「にいちゃん達も武器を下ろしな！戦える雰囲気じゃないだろ！」

確かにそんな空気ではもうなかった。

「全員武器を下ろせ。俺達では勝てない。」

「わかった…」

俺の言葉に全員が渋々と武器をしまった。