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2章

29 社会科見学パート1-1

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教育ママ カグリア視点

現在、森で魔物に囲まれながら教育中のカグリアよ。

ルナ、ティー、クリスがお出かけ中なので、あたしはリリスの面倒を見ている。

リリスはラブリーさんのお店に修行に行っている。あたしは冒険者をしているから、あたしよりルナの方がリリスといる時間が少ない。

なので今回は修行ではなく、お出かけすることにした。

リリスに裁縫の素材がどこで手に入るか、社会科見学として連れて来ている。

最初は牧場でモコモコシープという、羊型の魔物の毛刈りを体験させ、養蜘蛛場などの糸の工場を見学した。

次に裁縫の道具がどのように出来てるかを教えるために、鍛冶の神、レヴァンさんの鍛治工房でハサミを作る体験をさせた。

社会科見学はこれで終わる予定だった。

しかし、リリスが作ったハサミを見て思った。
これで魔物を倒せるんじゃない?

リリスのハサミは特殊で接続部を取り外し可能で剣としても使える。

なんでそんな形状なのかって?
魔物の毛皮を取る際、ハサミだと毛皮と肉の間に刃を入れづらいくナイフや剣を入れる。

逆にナイフや剣が通らない皮だとハサミを使う。

つまり、これ1本で素材採集が楽になるということだ。

もちろん、そう出来るように注文していたが、流石レヴァンさん良い仕事をする。
すぐに試すところを見てみたいと武神の血が高まる。

という訳で、リリスのハサミの試し切りと修行を兼ねて、魔獣の森のリリスでも相手出来そうな魔物がいそうな場所に来た。

「リアお母さん。ここで何するの?」

「リリス、ここでリリスが裁縫で使う素材を手に入れるために来たのよ。」

リリスは驚いていた。
そりゃ、何も言わず連れて来たからね。

「そ、素材ってまさか…」

ガサガサ!

早速、素材のお出ましかな?

ここに来るまでに餌をばら撒いて来たけど早かったね。

素材のために出て来てもらおう!
あたしは餌の木の実をポイって投げた。

「さぁ、リリス武器を構えなさい。」

「え!?ぶ、武器?」

リリスはキョロキョロと武器を探している。
いや、腰に着けてるでしょ。
テンパってるね。
仕方がない。

あたしはリリスの背後に回り、落ち着いてと言った後にリリスの両腕を掴み腰のハサミを抜き取った。

ふふっ!胸を当てられるって良いわね!
おっと、違う違う。

あたしはその体勢のままにハサミの接続部を外し、両手に持たせ構えさせた。
接続部は引っ掛けになっているのですぐに外れる。

「双剣の構えはこう!左手は体を守るように前に、すぐに突けるように引く、リリスの利き足は右だから、左足を前に出す。出来るだけ身体を剣に隠れるようにするのよ。」

「う、うん!」

そうこうしているうちに、音の主が出てきた。
ブラックフォックスか…
素材としては十分だけど、獲物としては歯ごたえがない。
リリスにはちょうどいいだろう。

「ほら、まずは相手を観察、次に戦うか逃げるかの判断よ。今回はあたしが補助するから戦うわよ。」

「はい…」

リリスは悩んでいる…
初めての戦闘だからね。
とはいえ、乗り切らないと成長はない。

「いい、敵は1匹とは限らないの。常に周りも警戒する。
つまり、周りの音がないか調べるのよ。」

「えーと…」

「こら!目を閉じない!
敵が目の前にいるのだから、目は敵に耳は周りに向けるのよ。」

「えー!難しくよ。」

「慣れよ。頑張りなさい!」

「うー…」

「どう周りに魔物はいる?」

「いないかな?」

残念…周りには大小様々な魔物が取り囲んでいる。
まぁ、耳で探る範囲にはいないので正解ではある。
早めに魔力感知を覚えさせないとね。

「半分正解ね。」

「半分?」

「あとで教えてあげるから、目は前、耳は周りよ。」

「わかった…」

リリスは肩に力が入っているわね。

「リリス、肩に力が入りすぎよ。もう少し抜きなさい。」

「どうやって?」

あー!わからないか!
えーと…敵の前だけどいいか。
ブラックフォックスは餌に夢中だ。
ん?あの餌そんなに夢中になる餌だっけ?

まぁ、いいわ。
こっちが先ね。

モミモミ

「ヒャッ!?お、お母さん!肩を揉まないでよ。」

「これで肩の力が抜けたわ。集中よ。」

「うー…はーい…」

これで良し、あたしがブラックフォックスに視線を戻すとブラックフォックスは一回り大っきくなっていた。

なぜ?

早めに決着を着けなければヤバイと思った。

「リリス、1、2、3の3で行くわよ。狙うのは首筋…つまり首の裏よ。いい?」

「わ、わかった。」

カウント開始。

1

2

3

ダッ!

あたしは中腰の姿勢のまま、リリスの両腕を持ち、少し浮かせた状態で移動した。
結構キツイわね。

ブラックフォックスは真正面から噛み付いて来たが左の剣で受け払い、右手の剣を返し打ち込んだ。

ドン!!

キャイー!?

ブラックフォックスは横たえた。

「死んじゃったの?」

リリスは顔色が悪くなっていた。








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