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グリムス編
再会 Ⅱ
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転生魔法を唱えられた後、俺は真っ白な世界にいた。
そして俺の生きた場面が部分ごとに壁に映し出されている。
生まれた時、アリシアと結婚した日、魔王城に行った日にアスレと再会した時。ゴモラ城の戦いの場面。
ある日、些細な事で言い合いになりアリシアが出て行った日の場面で俺は立ち止まった。
俺は冒険者として冒険をする。それが生業であったが家に居ない日が続きアリシアを独りにすることが多かった。
様々な場面の中で俺はアリシアが出て行った日の出来事を選択した。
「え……ここは……」
瞬きをすると、一瞬でアリシアと暮らしていた家の前に立っていた。
片手には革袋に入った鉱石と晩御飯に狩った鳥を握り、家の前で呆然としていた。
家の扉が開くとアリシアが出てきた。
家の前にいた俺に驚いた妻のアリシア。
「やっと帰ってきたの。おかえりなさい」
若い頃のアリシアだ。アリシアも冒険者でレベルは90。ユナリア国では長刀の美女として有名だった。
「家にずっと居てろって言ったから、ずっと待ってたんだからね」
家に入るとアリシアは抱き付きながら拗ねた。
「すまない」
俺はここでアリシアに冒険でも好きに行けばいいと言いケンカになってアリシアは家を飛び出した。
同じ失敗はしない。
「これは珍しい鉱石だ。それから晩御飯にと思って鳥を狩ってきた。それから……これからは家に居るよ。次からはアリシアも一緒に冒険しよう」
アリシアの目が潤み、更に強く抱き締められた。
「ありがとう。貴方でよかった。私の気持ちが分かってくれて嬉しい」
「新婚なのに冒険ばっかりで家に居なかったからな。本当にすまない」
「ご飯にしましょう。実は私も鳥を狩ってきたの」
「アリシアもか」
俺とアリシアは笑い合った。
料理を机に並べて食事を食べた。
「どんな冒険だったの?」
「今回は凄い旅だった。まず西の街ヴァラスティア近くのオーグルド族の村にアスレとペリシアという兄妹の子どもが居る事がわかった。それからヴァラスティアには同じパーティだったフィオナもいる」
「フィオナさんがいたの。それで兄妹は?オーグルド族は子どもを拐い食べるから危ないと聞いた事があるわ」
「フィオナと合流してこれから助けに行く」
「そうなの?今からなの?冒険の話は?」
アリシアは今行ってきた冒険の話を聞きたかったのに、今後の予定を言ったグリムスに首を傾げ混乱した。
しかしグリムスの顔はいつになく明るく希望に満ち溢れた顔をしている表情にアリシアも自然と微笑む。
「ガロンにロキにロンとロンの恋人のユナリア……助けられる人が大勢いる。俺は……」
「助けたい人も大勢いて、冒険に行きたいのね。」
「家に居ると言ったのに、すまない」
アリシアは俺の手を握った。
「私は貴方に付いていくわ。今度は絶対に離れない!」
「今度はって?アリシア……まさか!」
アリシアも前の記憶があるのか?
そう思った。
「まさか、何?半年も家に居なかったもの今度はついていくの」
「そういう事か」
俺とアリシアは食事を終え、就寝し、朝を迎えた。
剣と装備を身につけて、旅支度を終え2人で、これから待つ冒険に胸を膨らませて冒険者の俺と妻は一歩踏み出した。
完
そして俺の生きた場面が部分ごとに壁に映し出されている。
生まれた時、アリシアと結婚した日、魔王城に行った日にアスレと再会した時。ゴモラ城の戦いの場面。
ある日、些細な事で言い合いになりアリシアが出て行った日の場面で俺は立ち止まった。
俺は冒険者として冒険をする。それが生業であったが家に居ない日が続きアリシアを独りにすることが多かった。
様々な場面の中で俺はアリシアが出て行った日の出来事を選択した。
「え……ここは……」
瞬きをすると、一瞬でアリシアと暮らしていた家の前に立っていた。
片手には革袋に入った鉱石と晩御飯に狩った鳥を握り、家の前で呆然としていた。
家の扉が開くとアリシアが出てきた。
家の前にいた俺に驚いた妻のアリシア。
「やっと帰ってきたの。おかえりなさい」
若い頃のアリシアだ。アリシアも冒険者でレベルは90。ユナリア国では長刀の美女として有名だった。
「家にずっと居てろって言ったから、ずっと待ってたんだからね」
家に入るとアリシアは抱き付きながら拗ねた。
「すまない」
俺はここでアリシアに冒険でも好きに行けばいいと言いケンカになってアリシアは家を飛び出した。
同じ失敗はしない。
「これは珍しい鉱石だ。それから晩御飯にと思って鳥を狩ってきた。それから……これからは家に居るよ。次からはアリシアも一緒に冒険しよう」
アリシアの目が潤み、更に強く抱き締められた。
「ありがとう。貴方でよかった。私の気持ちが分かってくれて嬉しい」
「新婚なのに冒険ばっかりで家に居なかったからな。本当にすまない」
「ご飯にしましょう。実は私も鳥を狩ってきたの」
「アリシアもか」
俺とアリシアは笑い合った。
料理を机に並べて食事を食べた。
「どんな冒険だったの?」
「今回は凄い旅だった。まず西の街ヴァラスティア近くのオーグルド族の村にアスレとペリシアという兄妹の子どもが居る事がわかった。それからヴァラスティアには同じパーティだったフィオナもいる」
「フィオナさんがいたの。それで兄妹は?オーグルド族は子どもを拐い食べるから危ないと聞いた事があるわ」
「フィオナと合流してこれから助けに行く」
「そうなの?今からなの?冒険の話は?」
アリシアは今行ってきた冒険の話を聞きたかったのに、今後の予定を言ったグリムスに首を傾げ混乱した。
しかしグリムスの顔はいつになく明るく希望に満ち溢れた顔をしている表情にアリシアも自然と微笑む。
「ガロンにロキにロンとロンの恋人のユナリア……助けられる人が大勢いる。俺は……」
「助けたい人も大勢いて、冒険に行きたいのね。」
「家に居ると言ったのに、すまない」
アリシアは俺の手を握った。
「私は貴方に付いていくわ。今度は絶対に離れない!」
「今度はって?アリシア……まさか!」
アリシアも前の記憶があるのか?
そう思った。
「まさか、何?半年も家に居なかったもの今度はついていくの」
「そういう事か」
俺とアリシアは食事を終え、就寝し、朝を迎えた。
剣と装備を身につけて、旅支度を終え2人で、これから待つ冒険に胸を膨らませて冒険者の俺と妻は一歩踏み出した。
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