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ユナリア編
魔大戦の始まり Ⅳ
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「諦めるな」
ゴモラ城壁にいたオラルド帝国の将ファッジオは城壁の弓兵の肩を叩いた。
「ファッジオ様……。しかし相手は強者揃い」
「怖いのは分かる。しかし此処で諦めれば後ろにいる民や仲間はどうなる?」
「それは……」
口籠る兵士にファッジオは優しく微笑んだ。
「大丈夫だ。お前は強い。戦う意味を知って今ここに立っている」
「うぅー……ファッジオ様ー!」
温かい言葉に半泣きになりながら兵士は弓を構えた。
「いいか!まずは弓を放ち牽制し城壁に近づけるな!」
「「おう!」」
城壁にいた100人の弓兵が一斉に声を張り上げ応える。
「構えて!放てー!」
城壁の上から矢の雨が降り注ぐ。
アスレ達、黒い魔物はその場で矢の雨に打たれた。
「無傷」と小声で呟き、城壁の兵士に向けてニヤリと笑うアスレ。
「ファッジオ殿。矢が効きません!奴はまだ生きています」
「矢の攻撃は無効か。弓兵長!此処は任せた。町から湧いて出る黒い魔物達を狙って矢を放ち続けてくれ。足止めにはなる」
ファッジオは城壁の階段を駆け降りて兵士を集め馬小屋に急いだ。
「ファッジオ様、城壁の南門に集めた500の兵士が待機しています」
「よし、まずは兵200で城壁に近い5体の黒い魔物を叩く」
「はっ!」
馬に飛び乗るとファッジオは銀色に輝く全身を覆うプレートアーマーを着て兜を被った。兜の細いスリットの限られた視界から城壁の門が開くのが見えた。
最前列一番先頭で後続の兵士の士気を高める為にファッジオは咆哮を上げると後ろから自分の発した声の何倍もの大音声が背中を押した。
馬の腹を蹴って一気に加速するとランスを構えた。
城壁の外で待ち構えていたアスレに突進する。
この速度とランスの勢いならば、アスレは間違いなく串刺しになり吹き飛ぶ。後続の兵士の誰もがそう思った。
アスレと衝突した瞬間、衝撃でファッジオは宙に浮き投げ出され体は地面に叩き付けられ、すぐに起き上がり馬を見ると馬の首は明後日の方向を向いて倒れていた。
後続の兵士達は剣士オルテガや魔導師ラウスらを薙ぎ倒していったが、アスレだけは岩のように硬かった。
落ちたランスを拾いファッジオはアスレを突く。今度は何の抵抗も感じられないほど柔らかく、ランスはアスレの黒い液状の体を貫通した。
アスレは黒い手を伸ばしてファッジオのランスを意図も簡単に奪い、放り投げた。
武器を失ったファッジオ。そこに兵士が剣を投げた。ファッジオは剣を拾いアスレの体を真っ二つに斬った。
二つに分裂したアスレの体は再度結着して、すぐ元の姿に戻った。
次の瞬間、ファッジオは頭部に強い衝撃を受けた。
鉄製の兜は吹き飛び、衝撃を受けた方を見ると鉄槌のルドルフが鉄槌を振り回して暴れていた。
「油断した……」
地面に倒れたファッジオの意識が遠くなり、目の前の景色は暗転した。
漆黒の夜に篝火が灯され城壁が赤々としていた。
城の塔の中に一室でファッジオは目覚めた。
塔から外を眺めると異様に静かだった。
「ファッジオ様!お怪我の具合は?」
「頭が痛む」
「ご無理はなさらずに」
「他の兵達は無事か?」
「数名が落命しました」
「そうか……」
ファッジオは肩を落とした。
ゴモラ城壁にいたオラルド帝国の将ファッジオは城壁の弓兵の肩を叩いた。
「ファッジオ様……。しかし相手は強者揃い」
「怖いのは分かる。しかし此処で諦めれば後ろにいる民や仲間はどうなる?」
「それは……」
口籠る兵士にファッジオは優しく微笑んだ。
「大丈夫だ。お前は強い。戦う意味を知って今ここに立っている」
「うぅー……ファッジオ様ー!」
温かい言葉に半泣きになりながら兵士は弓を構えた。
「いいか!まずは弓を放ち牽制し城壁に近づけるな!」
「「おう!」」
城壁にいた100人の弓兵が一斉に声を張り上げ応える。
「構えて!放てー!」
城壁の上から矢の雨が降り注ぐ。
アスレ達、黒い魔物はその場で矢の雨に打たれた。
「無傷」と小声で呟き、城壁の兵士に向けてニヤリと笑うアスレ。
「ファッジオ殿。矢が効きません!奴はまだ生きています」
「矢の攻撃は無効か。弓兵長!此処は任せた。町から湧いて出る黒い魔物達を狙って矢を放ち続けてくれ。足止めにはなる」
ファッジオは城壁の階段を駆け降りて兵士を集め馬小屋に急いだ。
「ファッジオ様、城壁の南門に集めた500の兵士が待機しています」
「よし、まずは兵200で城壁に近い5体の黒い魔物を叩く」
「はっ!」
馬に飛び乗るとファッジオは銀色に輝く全身を覆うプレートアーマーを着て兜を被った。兜の細いスリットの限られた視界から城壁の門が開くのが見えた。
最前列一番先頭で後続の兵士の士気を高める為にファッジオは咆哮を上げると後ろから自分の発した声の何倍もの大音声が背中を押した。
馬の腹を蹴って一気に加速するとランスを構えた。
城壁の外で待ち構えていたアスレに突進する。
この速度とランスの勢いならば、アスレは間違いなく串刺しになり吹き飛ぶ。後続の兵士の誰もがそう思った。
アスレと衝突した瞬間、衝撃でファッジオは宙に浮き投げ出され体は地面に叩き付けられ、すぐに起き上がり馬を見ると馬の首は明後日の方向を向いて倒れていた。
後続の兵士達は剣士オルテガや魔導師ラウスらを薙ぎ倒していったが、アスレだけは岩のように硬かった。
落ちたランスを拾いファッジオはアスレを突く。今度は何の抵抗も感じられないほど柔らかく、ランスはアスレの黒い液状の体を貫通した。
アスレは黒い手を伸ばしてファッジオのランスを意図も簡単に奪い、放り投げた。
武器を失ったファッジオ。そこに兵士が剣を投げた。ファッジオは剣を拾いアスレの体を真っ二つに斬った。
二つに分裂したアスレの体は再度結着して、すぐ元の姿に戻った。
次の瞬間、ファッジオは頭部に強い衝撃を受けた。
鉄製の兜は吹き飛び、衝撃を受けた方を見ると鉄槌のルドルフが鉄槌を振り回して暴れていた。
「油断した……」
地面に倒れたファッジオの意識が遠くなり、目の前の景色は暗転した。
漆黒の夜に篝火が灯され城壁が赤々としていた。
城の塔の中に一室でファッジオは目覚めた。
塔から外を眺めると異様に静かだった。
「ファッジオ様!お怪我の具合は?」
「頭が痛む」
「ご無理はなさらずに」
「他の兵達は無事か?」
「数名が落命しました」
「そうか……」
ファッジオは肩を落とした。
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