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ユナリア編
魔大戦の始まり Ⅰ
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北西に位置するアシュ族の森を出発した光の聖騎士団は魔王国に侵攻する。
今は魔王国の領地だが、昔はヴェラニア皇国の領地だった。領地奪還戦が始まろうとしていた。
森を抜けて平原に出ると遠くにゴモラ山脈が見える。ゴモラ山脈の先は魔王国に降伏したオラルド帝国が広がっている。
山脈の麓に聳え立つ石造りの城。かつて対オラルド帝国の為に強固に建てられたゴモラ城であったが、魔王国とオラルド帝国の連合国に奪われた今となっては城の強固さにヴェラニア皇国軍は苦戦し、攻めるのに疎ましさを感じていた。
しかしゴモラ城を攻略できればゴモラ山脈を迂回せずにゴモラ山脈の麓からオラルド帝国に伸びる坑道を使い一直線に攻めることが出来る。
その先には東の大国ユランテルとで魔王・オラルド帝国連合国を挟撃し一気に形勢を逆転する可能性が広がる。
そこでゴモラ城奪還を各地を転戦して連勝を誇る光の聖騎士団にヴェラニア皇国は賭けた。
「酒が足りない!」
フィオナは前線の森の中の駐屯地を彷徨い唸っていた。
「隊長!やめてください!」
人のテントに勝手に入り兵士達を困らせているフィオナを兵士が止めに入るが力負けする。
「ひぃ!か、勝手に入らないでくださいよ!せめて入る時は一言言ってください!」
「何か見られてまずい物でもあるのかい?」
テントで寝ていた兵士の脇を通り、木箱の中を漁る。木箱の中から出てきた小さな瓶の中には透明な液体が入っていた。瓶の蓋を開くと中から刺激のある匂いが鼻を刺したがフィオナは満面の笑みになり懐に小瓶を入れた。
「ちょっと待って下さい!それは……」
「さ、酒だ……。この酒は軍律違反だ!」
「認められた酒で違反しない量です!」
ムスッしてフィオナは小瓶を兵士に返した。
「この戦いが終わったら一緒に飲みましょう。半分あげますから……」
「本当か!?」
「え、ええ」
と、先程まで話していた兵士はフィオナの近くで息絶えた。
駐屯地を空を覆う弓矢の嵐が駐屯地を襲ったのだ。
最初の奇襲以降、防御魔法で防いだが損害は余りにも大きかった。
1割の兵士が戦死、3割の兵士が負傷した。
「なぜこの場所がバレた!」
負傷した兵士が唸った。
防御系魔法で見つからないように森と同化するカモフラージュする魔法で駐屯地は隠れていたが、ピンポイントで攻撃された。内通者がいる疑いはすぐにロンに向けられた。
そしてもう1人。疑いの目はアスレにも向けられていた。
「兄を見た?」
「攻撃された少し前に森を抜けるアスレ団長を見ました」
「本当ですか?」
奇襲が止み、一旦前線を退いた聖騎士団。
フィオナにガロン、俺やペリシアは駐屯地から忽然と消えたアスレを見たという兵士の話を聞いていた。
「間違いないです」
「一刻も早く兄を見つけないと」
「奇襲の後ではなく、奇襲の前に消えたというのが腑に落ちない」
と言ってフィオナが目を瞑り考え込む。
「アスレって前から不思議なところあるよな。俺には理解出来ない行動をする」
ガロンがアスレについて語った。
「今は早く兄を見つけましょう」
ペリシアは心配で仕方なかった。
軍の立て直しはフィオナとガロンに任せて、俺とペリシアと兵士数名でアスレの捜索を始めた。
しかし見つける事が出来なかった。
捜索を開始して1ヶ月が過ぎた昼下がり、森を彷徨う1人の冒険者を保護した。保護した冒険者を駐屯地に連れ帰ると冒険者は語り始めた。
今は魔王国の領地だが、昔はヴェラニア皇国の領地だった。領地奪還戦が始まろうとしていた。
森を抜けて平原に出ると遠くにゴモラ山脈が見える。ゴモラ山脈の先は魔王国に降伏したオラルド帝国が広がっている。
山脈の麓に聳え立つ石造りの城。かつて対オラルド帝国の為に強固に建てられたゴモラ城であったが、魔王国とオラルド帝国の連合国に奪われた今となっては城の強固さにヴェラニア皇国軍は苦戦し、攻めるのに疎ましさを感じていた。
しかしゴモラ城を攻略できればゴモラ山脈を迂回せずにゴモラ山脈の麓からオラルド帝国に伸びる坑道を使い一直線に攻めることが出来る。
その先には東の大国ユランテルとで魔王・オラルド帝国連合国を挟撃し一気に形勢を逆転する可能性が広がる。
そこでゴモラ城奪還を各地を転戦して連勝を誇る光の聖騎士団にヴェラニア皇国は賭けた。
「酒が足りない!」
フィオナは前線の森の中の駐屯地を彷徨い唸っていた。
「隊長!やめてください!」
人のテントに勝手に入り兵士達を困らせているフィオナを兵士が止めに入るが力負けする。
「ひぃ!か、勝手に入らないでくださいよ!せめて入る時は一言言ってください!」
「何か見られてまずい物でもあるのかい?」
テントで寝ていた兵士の脇を通り、木箱の中を漁る。木箱の中から出てきた小さな瓶の中には透明な液体が入っていた。瓶の蓋を開くと中から刺激のある匂いが鼻を刺したがフィオナは満面の笑みになり懐に小瓶を入れた。
「ちょっと待って下さい!それは……」
「さ、酒だ……。この酒は軍律違反だ!」
「認められた酒で違反しない量です!」
ムスッしてフィオナは小瓶を兵士に返した。
「この戦いが終わったら一緒に飲みましょう。半分あげますから……」
「本当か!?」
「え、ええ」
と、先程まで話していた兵士はフィオナの近くで息絶えた。
駐屯地を空を覆う弓矢の嵐が駐屯地を襲ったのだ。
最初の奇襲以降、防御魔法で防いだが損害は余りにも大きかった。
1割の兵士が戦死、3割の兵士が負傷した。
「なぜこの場所がバレた!」
負傷した兵士が唸った。
防御系魔法で見つからないように森と同化するカモフラージュする魔法で駐屯地は隠れていたが、ピンポイントで攻撃された。内通者がいる疑いはすぐにロンに向けられた。
そしてもう1人。疑いの目はアスレにも向けられていた。
「兄を見た?」
「攻撃された少し前に森を抜けるアスレ団長を見ました」
「本当ですか?」
奇襲が止み、一旦前線を退いた聖騎士団。
フィオナにガロン、俺やペリシアは駐屯地から忽然と消えたアスレを見たという兵士の話を聞いていた。
「間違いないです」
「一刻も早く兄を見つけないと」
「奇襲の後ではなく、奇襲の前に消えたというのが腑に落ちない」
と言ってフィオナが目を瞑り考え込む。
「アスレって前から不思議なところあるよな。俺には理解出来ない行動をする」
ガロンがアスレについて語った。
「今は早く兄を見つけましょう」
ペリシアは心配で仕方なかった。
軍の立て直しはフィオナとガロンに任せて、俺とペリシアと兵士数名でアスレの捜索を始めた。
しかし見つける事が出来なかった。
捜索を開始して1ヶ月が過ぎた昼下がり、森を彷徨う1人の冒険者を保護した。保護した冒険者を駐屯地に連れ帰ると冒険者は語り始めた。
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