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ユナリア編
ヴェラニア皇国と森の民 Ⅰ
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午後になり暑さが増してきた。亜熱帯の気候でさほど暑さは感じないが砂漠が多いリュウベンバーグで育った俺には湿気が鬱陶しい。
森の中を歩くと木の上に建てられた木と大きな葉を組み合わせた小さな家が点在している。
「木の上に家か……」
「アシュ族は森の民と言われて木の上で生活している。僕も最初は驚いたよ。皆が森の民で戦士なんだ。君も戦士だった」
2人で森の湿地帯を歩くと小さな池があった。池の水を覗き込み初めてユナリアの顔を見た。
長い黒髪は後ろで縛り、額を露にしている。凛とした眉に遠くまで見通せそうな大きな目には鋭さが伺える。ぷっくりと膨らんだ小さな唇。
焼けた肌に細い手脚。
「可愛い」
「そう思うだろう?今のはユナリアじゃなくてグリムスの感想だろ?」
俺は思わず男目線で溢れてしまった言葉にロンは笑った。
「戦の最中に女を引っ掛けやがって」
ロンは苦笑いした。
池を後にして木の上の小屋に戻った。
ユナリアの自宅には弓と矢と小刀に毛皮が敷いてあるだけで他に何もない。
それからロンと話し夕食を食べて就寝した。
翌朝、悲鳴と煙の臭いで目覚めた。
「まずい!」
ロンは急いで小屋を降りた。俺も後を追う。
騎馬隊が森の中を駆け回り木を燃やしている。
「魔王の軍だ!ユナリアは小屋に戻って!」
ロンは騎馬隊の中にいた赤色の騎士の前で跪いた。
「隊長!どうかこの村は襲わないでくれ!」
「生きていたのかロン副隊長。数ヶ月見ない内に寝返ったか?即刻除隊!この男を始末しろ!」
跪いて懇願するロンに魔王軍の兵士は槍の穂先を向けた。
カン!
魔王軍の兵士の鉄の兜に矢が当たって弾かれた。
「ユナリアは手を出しては駄目だ!逃げろ!」
魔王軍の隊長は俺を睨んだ。
「女め!邪魔をしおって。先に女をやれ」
「「はっ!」」
騎馬が3体向かってくる。弓が下手な俺は迫ってくる騎馬から逃げて森の奥に走った。しかし、すぐに騎馬兵に距離を詰められる。
しばらくして、俺を追っていた騎馬隊が森の奥から全力で隊長の方に戻って行く。
なぜなら俺を追った騎馬隊の前方からヴェラニア皇国の旗印を掲げた無数の騎馬隊が現れ、引き返した。今度は魔王軍の騎馬隊が逃げる形になった。
俺はヴェラニア皇国の騎士に助けられた。馬の背に乗りロンの元に急ぐ。
「近くにいる茶髪の男を助けてくれ!」
俺を助けた騎士に頼むと「あいよ」と
怠そうに返事した。
騎士はランスで次々と魔王軍の兵士を蹴散らし魔王軍は壊滅。隊長も容易く倒した。
「ヴェラニアの皆さん、ありがとう。助かりました」
ロンが立ち上がろうとした時、ヴェラニアの兵士達はロンを取り囲み武器を構えた。
俺を助けた騎士が馬から降りてロンに近づく。
「魔王軍の第四騎兵部隊の副隊長ロン・ハルバード。拘束した後、我が国で処刑する命が下っている」
「待て!」
俺はロンと騎士の間に立った。
「ロンは魔王国の軍を離れて改心してこの村を守ろうと命懸けで魔王軍の隊長に懇願したんだ」
「わかったから娘は退いてくれ」
騎士は俺の肩を持ち、退けた。
力は強く、勢いで転けて地面に倒れる。
「ユナリア!」
「おっと。加減を間違えた。お前は下手に動かないでくれよ」
騎士の男はランスをロンに向ける。
ロンを助けようにも多勢に無勢。どうする事も出来ない……。
そう思った時、ヴェラニア皇国の騎士が密集する中から1人の男が現れた。
男が現れると空気が変わり、兵士達全員が頭を下げる。
騎士の男でさえ、先程とは態度が変わった。
男は俺の前に現れ手を差し伸べる。
「部下が手荒な真似をしてすまない。怪我はありませんか?」
俺は静かに立ち上がり男の顔を見つめて言った。
「アスレ……」
森の中を歩くと木の上に建てられた木と大きな葉を組み合わせた小さな家が点在している。
「木の上に家か……」
「アシュ族は森の民と言われて木の上で生活している。僕も最初は驚いたよ。皆が森の民で戦士なんだ。君も戦士だった」
2人で森の湿地帯を歩くと小さな池があった。池の水を覗き込み初めてユナリアの顔を見た。
長い黒髪は後ろで縛り、額を露にしている。凛とした眉に遠くまで見通せそうな大きな目には鋭さが伺える。ぷっくりと膨らんだ小さな唇。
焼けた肌に細い手脚。
「可愛い」
「そう思うだろう?今のはユナリアじゃなくてグリムスの感想だろ?」
俺は思わず男目線で溢れてしまった言葉にロンは笑った。
「戦の最中に女を引っ掛けやがって」
ロンは苦笑いした。
池を後にして木の上の小屋に戻った。
ユナリアの自宅には弓と矢と小刀に毛皮が敷いてあるだけで他に何もない。
それからロンと話し夕食を食べて就寝した。
翌朝、悲鳴と煙の臭いで目覚めた。
「まずい!」
ロンは急いで小屋を降りた。俺も後を追う。
騎馬隊が森の中を駆け回り木を燃やしている。
「魔王の軍だ!ユナリアは小屋に戻って!」
ロンは騎馬隊の中にいた赤色の騎士の前で跪いた。
「隊長!どうかこの村は襲わないでくれ!」
「生きていたのかロン副隊長。数ヶ月見ない内に寝返ったか?即刻除隊!この男を始末しろ!」
跪いて懇願するロンに魔王軍の兵士は槍の穂先を向けた。
カン!
魔王軍の兵士の鉄の兜に矢が当たって弾かれた。
「ユナリアは手を出しては駄目だ!逃げろ!」
魔王軍の隊長は俺を睨んだ。
「女め!邪魔をしおって。先に女をやれ」
「「はっ!」」
騎馬が3体向かってくる。弓が下手な俺は迫ってくる騎馬から逃げて森の奥に走った。しかし、すぐに騎馬兵に距離を詰められる。
しばらくして、俺を追っていた騎馬隊が森の奥から全力で隊長の方に戻って行く。
なぜなら俺を追った騎馬隊の前方からヴェラニア皇国の旗印を掲げた無数の騎馬隊が現れ、引き返した。今度は魔王軍の騎馬隊が逃げる形になった。
俺はヴェラニア皇国の騎士に助けられた。馬の背に乗りロンの元に急ぐ。
「近くにいる茶髪の男を助けてくれ!」
俺を助けた騎士に頼むと「あいよ」と
怠そうに返事した。
騎士はランスで次々と魔王軍の兵士を蹴散らし魔王軍は壊滅。隊長も容易く倒した。
「ヴェラニアの皆さん、ありがとう。助かりました」
ロンが立ち上がろうとした時、ヴェラニアの兵士達はロンを取り囲み武器を構えた。
俺を助けた騎士が馬から降りてロンに近づく。
「魔王軍の第四騎兵部隊の副隊長ロン・ハルバード。拘束した後、我が国で処刑する命が下っている」
「待て!」
俺はロンと騎士の間に立った。
「ロンは魔王国の軍を離れて改心してこの村を守ろうと命懸けで魔王軍の隊長に懇願したんだ」
「わかったから娘は退いてくれ」
騎士は俺の肩を持ち、退けた。
力は強く、勢いで転けて地面に倒れる。
「ユナリア!」
「おっと。加減を間違えた。お前は下手に動かないでくれよ」
騎士の男はランスをロンに向ける。
ロンを助けようにも多勢に無勢。どうする事も出来ない……。
そう思った時、ヴェラニア皇国の騎士が密集する中から1人の男が現れた。
男が現れると空気が変わり、兵士達全員が頭を下げる。
騎士の男でさえ、先程とは態度が変わった。
男は俺の前に現れ手を差し伸べる。
「部下が手荒な真似をしてすまない。怪我はありませんか?」
俺は静かに立ち上がり男の顔を見つめて言った。
「アスレ……」
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