妻が妊娠したが俺の子ではなかった冒険者の俺が転生してレベル1の村人になったから、人生やり直す

三毛猫

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アスレ編

大陸の国々

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大陸には四大国家と魔王が支配する国が存在する。
東にユランテル国。
西にヴェラニア皇国。
南にリュウベンバーグ国。
北にオラルド帝国。
そして最北に魔王の支配地の小さな国がある。
人々は魔王の国を魔王国や禁断の地と呼び、殆ど交易や交流はなかった。




「アスレ、今なんて言った?」

「魔王の国が西のヴェラニア皇国の水の街ヴァラスティアまで侵攻するはずがないと言った」

「今は北と東の西の一部は魔王国が支配している」

俺は耳を疑った。

「四大国家の均衡が保たれていたのはもう10年も昔の話だ」

ウンウンと頷くガロン。

「今は何年だ!?」

「暦は432年」

俺が妻を取り戻そうと魔王の城に行ったのは420年。
転生して12年も過ぎていた。

「北のオラルド帝国は魔王の国と内通して東部のユランテルを攻めたのが422年だったか、421年だったか……」

フィオナは思い出そうと手で頭を押さえた。

「リュウベンバーグは?」

「魔王の国の接触はなかったが、北と東西の国の難民が押し寄せたらしい」

故郷リュウベンバーグの無事を知り安堵した。しかし魔王が12年で大陸の一大国家を牛耳り、さらに大陸全土を掌握しようと各地に侵攻しているなど知らなかった。

「今、魔王国を束ねるのは魔王の子であるディアデル・アリシア・イベルマン2世。グリムス、お前の元妻の子だ」

安堵したのも束の間、俺は膝から崩れて地面に両手を着いた。

「お兄ちゃん大丈夫?」
ペリシアが俺の背中を撫でる。

「すまない。兄のアスレは転生前はグリムスという冒険者だった。結婚していた妻に逃げられた挙句、妻は魔王と契りを……。転生前の記憶と胸の痛みは転生しても尚、痛み続けている」

「言ってる事がよく分からないよ。ガロンは分かる?」

「んー?全く分からないけど、アスレが落ち込んでるのは見てて楽しいな」

「ガロンにはもう聞かない!」

ペリシアは意地悪なガロンにムスッとして頬を膨らませた。



幸い魔王軍は草原で引き返し、村まで来なかった。
村を出てヴァラスティアに戻りギルドに報告して初報酬を貰った。

銀貨2枚。
市場で食料を買い、余った銀貨1枚で予備の鉄の短剣と鋭い針が付いたグローブ、木のボーガンを買った。
フィオナとロキの武具はまた次回の報酬で買い足す。


久しぶりに冒険者らしい依頼を果たし魔物も多く討伐した。レベルが上がっているか気になりロキにレベル鑑定をお願いした結果、レベルに変化はなかった。

魔王討伐という夢はまだまだ先になりそうだと思った矢先、俺の意識は遠くなり目の前の景色は暗転した。
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