俺と彼女は入れ替わり

三毛猫

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俺は俺に惚れた?

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「はぁ!?えっと……なんでアヤミじゃなくてミズキになった?」

顔や体をペタペタ触ると確かにアヤミとは違う体形でミズキになったと実感する。
ミズキは俺と入れ替わった可能性が高い。
とにかく俺の……マサトの実家に行かないと。
なんせ今回は入れ替わりが病院スタートだからミズキの家も分からない。

俺はショルダーバッグからスマートフォンを取り出す。

「スマホのロック!ロック解除番号分からないよ」

ロックが掛かっていた。


何処の病院かも分からない。とにかく病院を出ないと!

俺は病院の廊下を進み入口まで行くと汗だくで肩を上下に揺らしゼェゼェ呼吸するマサトがいた。マサトは病院の入口のロータリーで自転車
から下りて、俺に近づく。


「ミズキ!いや、マサトか……ごめん。今度は俺、ミズキと入れ替わった」

「ハァ…ハァ……ちょっとテメェの……体……重いのよ……」

「ミズキ倒れたのか?なんで病院に?」

「会計は済んだの?」

「あっ……まだだ」

俺とミズキは病院に入るとミズキの指示通り動いて会計の所で名前とショルダーバッグの中から番号札渡した。

「番号でお呼びしますので、少々お待ち下さい」
会計には時間がかかる為、番号札を貰う。

会計前の椅子に俺とミズキは座った。

「大きな病院だ」

「県立の総合病院だから。なんでこのタイミングで、なんでミズキとテメェが入れ替わるの?」

「すまん。全く分かりません。倒れて運ばれたのか?」

「違う……病院はずっと通ってる」

「病気なのか?病名は?」

「言わない。通院してることは誰にも言わないで。特にあやちと口が軽い快斗には言わないで」

「教えてくれよ。入れ替わったから体の事とか知ってないと困るかもしれないから」

「変態!体のことなんて知る必要なんてない!早く元に戻して!テメェが現れたせいで、あやちともケンカするし、私とも入れ替わるし無茶苦茶だよ」
マサトは立ち上がって怒鳴った。

「病院内では静かにして下さい」

会計の係員に怒られた。

「すみません……」
肩を落として席に座るとマサトは俯く。


全部俺のせいか……。




会計を済ませ、病院を出た。直射日光が差す茹だる暑さに白いブラウスを着ていても汗が出る。マサトは俺が持っていたショルダーバッグから折り畳みの日傘を取り出して俺に日が当たらないよう傘を差してくれた。
それにマサトは自転車を押しながら車道側を歩く。


マサトの気遣いに、なぜか胸がキュンとした。
駄目だ!俺が俺に惚れてどうする!意味わからねぇ!


「あのー、一つ教えて。ミズキって何処に住んでる?」

「面倒だな。テメェで探せよ」と言いつつ家まで案内して、家の中の部屋の場所まで丁寧に教えてくれた。
それから、お互いのスマホ本体は交換した。

ミズキの家の前でマサトと別れて、俺はミズキ邸に足を入れた。
玄関の大きなドアを開く。

「ただいま」

「おかえりなさいませ」

広い玄関にはお祖父ちゃんらしき人物がスーツを着て俺に一礼して迎える。

誰?

奥からもう一人、お祖母ちゃんらしき人物が同じように一礼する。

誰?

「ミズキ様。お車で迎えの方よろしかったでしょうか?」

お車?迎え?

あれ?場所間違えた?

俺は一旦外に出てマサトに電話する。

「スーツのおじいちゃんと、おばあちゃんが丁寧に一礼して迎え入れてくれたけど……一旦外に出た。ここ本当にミズキの家?」

「そうだよ!祖父母じゃなくて執事さんと家政婦さん。さっさと入れ!」

ブチッ……ツー、ツー

電話切られた。

振り返ってよく見たら、大豪邸!
ミズキはお嬢様だった!


恐る恐る玄関を入り、直ぐに部屋に入ると家政婦さんが着替えを手伝ってくれる。
晩御飯も部屋に持ってきてくれる。
バランスの良い食事で、とても美味しい。
もー最高!ワンダフルライフだ!



と、思ったのも束の間。体が急に重くなり胸のあたりが苦しい。
過呼吸気味になり呼吸がしづらい。
夏なのに体温が低下して体が冷えるような感覚に襲われる。

「た、助けて……」

部屋を出て掠れた声を発する。
異変に気付いた家政婦さんが飛んできてくれた。

「お嬢様!薬を」

薬を飲み、家政婦と執事に抱えられベッドまで運ばれる。
しばらくすると胸と息苦しさは消えた。
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