8 / 13
俺は俺に惚れた?
しおりを挟む
「はぁ!?えっと……なんでアヤミじゃなくてミズキになった?」
顔や体をペタペタ触ると確かにアヤミとは違う体形でミズキになったと実感する。
ミズキは俺と入れ替わった可能性が高い。
とにかく俺の……マサトの実家に行かないと。
なんせ今回は入れ替わりが病院スタートだからミズキの家も分からない。
俺はショルダーバッグからスマートフォンを取り出す。
「スマホのロック!ロック解除番号分からないよ」
ロックが掛かっていた。
何処の病院かも分からない。とにかく病院を出ないと!
俺は病院の廊下を進み入口まで行くと汗だくで肩を上下に揺らしゼェゼェ呼吸するマサトがいた。マサトは病院の入口のロータリーで自転車
から下りて、俺に近づく。
「ミズキ!いや、マサトか……ごめん。今度は俺、ミズキと入れ替わった」
「ハァ…ハァ……ちょっとテメェの……体……重いのよ……」
「ミズキ倒れたのか?なんで病院に?」
「会計は済んだの?」
「あっ……まだだ」
俺とミズキは病院に入るとミズキの指示通り動いて会計の所で名前とショルダーバッグの中から番号札渡した。
「番号でお呼びしますので、少々お待ち下さい」
会計には時間がかかる為、番号札を貰う。
会計前の椅子に俺とミズキは座った。
「大きな病院だ」
「県立の総合病院だから。なんでこのタイミングで、なんでミズキとテメェが入れ替わるの?」
「すまん。全く分かりません。倒れて運ばれたのか?」
「違う……病院はずっと通ってる」
「病気なのか?病名は?」
「言わない。通院してることは誰にも言わないで。特にあやちと口が軽い快斗には言わないで」
「教えてくれよ。入れ替わったから体の事とか知ってないと困るかもしれないから」
「変態!体のことなんて知る必要なんてない!早く元に戻して!テメェが現れたせいで、あやちともケンカするし、私とも入れ替わるし無茶苦茶だよ」
マサトは立ち上がって怒鳴った。
「病院内では静かにして下さい」
会計の係員に怒られた。
「すみません……」
肩を落として席に座るとマサトは俯く。
全部俺のせいか……。
会計を済ませ、病院を出た。直射日光が差す茹だる暑さに白いブラウスを着ていても汗が出る。マサトは俺が持っていたショルダーバッグから折り畳みの日傘を取り出して俺に日が当たらないよう傘を差してくれた。
それにマサトは自転車を押しながら車道側を歩く。
マサトの気遣いに、なぜか胸がキュンとした。
駄目だ!俺が俺に惚れてどうする!意味わからねぇ!
「あのー、一つ教えて。ミズキって何処に住んでる?」
「面倒だな。テメェで探せよ」と言いつつ家まで案内して、家の中の部屋の場所まで丁寧に教えてくれた。
それから、お互いのスマホ本体は交換した。
ミズキの家の前でマサトと別れて、俺はミズキ邸に足を入れた。
玄関の大きなドアを開く。
「ただいま」
「おかえりなさいませ」
広い玄関にはお祖父ちゃんらしき人物がスーツを着て俺に一礼して迎える。
誰?
奥からもう一人、お祖母ちゃんらしき人物が同じように一礼する。
誰?
「ミズキ様。お車で迎えの方よろしかったでしょうか?」
お車?迎え?
あれ?場所間違えた?
俺は一旦外に出てマサトに電話する。
「スーツのおじいちゃんと、おばあちゃんが丁寧に一礼して迎え入れてくれたけど……一旦外に出た。ここ本当にミズキの家?」
「そうだよ!祖父母じゃなくて執事さんと家政婦さん。さっさと入れ!」
ブチッ……ツー、ツー
電話切られた。
振り返ってよく見たら、大豪邸!
ミズキはお嬢様だった!
恐る恐る玄関を入り、直ぐに部屋に入ると家政婦さんが着替えを手伝ってくれる。
晩御飯も部屋に持ってきてくれる。
バランスの良い食事で、とても美味しい。
もー最高!ワンダフルライフだ!
と、思ったのも束の間。体が急に重くなり胸のあたりが苦しい。
過呼吸気味になり呼吸がしづらい。
夏なのに体温が低下して体が冷えるような感覚に襲われる。
「た、助けて……」
部屋を出て掠れた声を発する。
異変に気付いた家政婦さんが飛んできてくれた。
「お嬢様!薬を」
薬を飲み、家政婦と執事に抱えられベッドまで運ばれる。
しばらくすると胸と息苦しさは消えた。
顔や体をペタペタ触ると確かにアヤミとは違う体形でミズキになったと実感する。
ミズキは俺と入れ替わった可能性が高い。
とにかく俺の……マサトの実家に行かないと。
なんせ今回は入れ替わりが病院スタートだからミズキの家も分からない。
俺はショルダーバッグからスマートフォンを取り出す。
「スマホのロック!ロック解除番号分からないよ」
ロックが掛かっていた。
何処の病院かも分からない。とにかく病院を出ないと!
俺は病院の廊下を進み入口まで行くと汗だくで肩を上下に揺らしゼェゼェ呼吸するマサトがいた。マサトは病院の入口のロータリーで自転車
から下りて、俺に近づく。
「ミズキ!いや、マサトか……ごめん。今度は俺、ミズキと入れ替わった」
「ハァ…ハァ……ちょっとテメェの……体……重いのよ……」
「ミズキ倒れたのか?なんで病院に?」
「会計は済んだの?」
「あっ……まだだ」
俺とミズキは病院に入るとミズキの指示通り動いて会計の所で名前とショルダーバッグの中から番号札渡した。
「番号でお呼びしますので、少々お待ち下さい」
会計には時間がかかる為、番号札を貰う。
会計前の椅子に俺とミズキは座った。
「大きな病院だ」
「県立の総合病院だから。なんでこのタイミングで、なんでミズキとテメェが入れ替わるの?」
「すまん。全く分かりません。倒れて運ばれたのか?」
「違う……病院はずっと通ってる」
「病気なのか?病名は?」
「言わない。通院してることは誰にも言わないで。特にあやちと口が軽い快斗には言わないで」
「教えてくれよ。入れ替わったから体の事とか知ってないと困るかもしれないから」
「変態!体のことなんて知る必要なんてない!早く元に戻して!テメェが現れたせいで、あやちともケンカするし、私とも入れ替わるし無茶苦茶だよ」
マサトは立ち上がって怒鳴った。
「病院内では静かにして下さい」
会計の係員に怒られた。
「すみません……」
肩を落として席に座るとマサトは俯く。
全部俺のせいか……。
会計を済ませ、病院を出た。直射日光が差す茹だる暑さに白いブラウスを着ていても汗が出る。マサトは俺が持っていたショルダーバッグから折り畳みの日傘を取り出して俺に日が当たらないよう傘を差してくれた。
それにマサトは自転車を押しながら車道側を歩く。
マサトの気遣いに、なぜか胸がキュンとした。
駄目だ!俺が俺に惚れてどうする!意味わからねぇ!
「あのー、一つ教えて。ミズキって何処に住んでる?」
「面倒だな。テメェで探せよ」と言いつつ家まで案内して、家の中の部屋の場所まで丁寧に教えてくれた。
それから、お互いのスマホ本体は交換した。
ミズキの家の前でマサトと別れて、俺はミズキ邸に足を入れた。
玄関の大きなドアを開く。
「ただいま」
「おかえりなさいませ」
広い玄関にはお祖父ちゃんらしき人物がスーツを着て俺に一礼して迎える。
誰?
奥からもう一人、お祖母ちゃんらしき人物が同じように一礼する。
誰?
「ミズキ様。お車で迎えの方よろしかったでしょうか?」
お車?迎え?
あれ?場所間違えた?
俺は一旦外に出てマサトに電話する。
「スーツのおじいちゃんと、おばあちゃんが丁寧に一礼して迎え入れてくれたけど……一旦外に出た。ここ本当にミズキの家?」
「そうだよ!祖父母じゃなくて執事さんと家政婦さん。さっさと入れ!」
ブチッ……ツー、ツー
電話切られた。
振り返ってよく見たら、大豪邸!
ミズキはお嬢様だった!
恐る恐る玄関を入り、直ぐに部屋に入ると家政婦さんが着替えを手伝ってくれる。
晩御飯も部屋に持ってきてくれる。
バランスの良い食事で、とても美味しい。
もー最高!ワンダフルライフだ!
と、思ったのも束の間。体が急に重くなり胸のあたりが苦しい。
過呼吸気味になり呼吸がしづらい。
夏なのに体温が低下して体が冷えるような感覚に襲われる。
「た、助けて……」
部屋を出て掠れた声を発する。
異変に気付いた家政婦さんが飛んできてくれた。
「お嬢様!薬を」
薬を飲み、家政婦と執事に抱えられベッドまで運ばれる。
しばらくすると胸と息苦しさは消えた。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』
コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ”
(全20話)の続編。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211
男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は?
そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。
格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

まずはお嫁さんからお願いします。
桜庭かなめ
恋愛
高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。
4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。
総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。
いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。
デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!
※特別編3が完結しました!(2024.8.29)
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想をお待ちしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる