1 / 13
俺は彼女に彼女は俺に
しおりを挟む信号が変わるのを待つ歩行者の群れ
この信号を渡りきるまでの一分足らずの間
私たちみんなの目的は同じ
「横断歩道を渡って向こう側へ行くこと」
ただそれだけの一致に喜びを覚えるのは
私の心が弱っているからか
その先は、人それぞれ
真っすぐ進む人
右へ行く人
左へ行く人
すぐに散り散りになる
散ったあと、またさっきの場所にできる
信号が変わるのを待つ歩行者の群れ
繰り返される光景
変わらない
けれどそこにいる「人間」は
変わり続ける
目も合わせない関係
けれどもしかしたら隣の人は
いつもネット上で話している
あの人かもね
人生はまるで交差点
一生、直接話すことがないであろう
人々の背中に
勝手に思いを重ねて
ファンになってみたり
勝手に裏切られたような
気分になってみたり
「なんとなく、貴方と私は
横断歩道を渡りきったあとも
一緒に、真っすぐ
この道を歩くんだと思っていたよ」
右へ向かい 遠くなる背中
何の関係もない
ただひととき一緒にいただけ
なのにチクリと刺さるものを感じて
変だね
数多く存在する
「終わってしまう淡い関係」
地球や宇宙から見れば
「クラスメイト」のままで終わった
あの人との関係も
ただひととき
信号が変わるのを一緒に待った
あの人との数十秒も
大差ないのかもね
百年、二年、三十秒
あの「ひととき」が流れている間に
手を繋げなかった
声をかけられなかった
「またね」とすら言えなかった
遠くなる背中
一緒に信号を待っていても
一緒に電車やバスに乗っていても
同じレストランで同じものを食べていても
この縁は、私の心に打ち消される
「所詮他人」
心が遠い
目も合わせられない
見るのは背中ばかり
そんな中時々
見ず知らずの人から声をかけられる
「どこから来たの?」
「いい天気だね」
私はドキッとして
こわばった顔で小さく言葉を返す
届いたかなぁ
もったいないことをしたな
私も「あっち」の人間になりたいのに
本音を言えば
誰彼構わず手を差し出して
握手を求めたい
言葉を交わしたい
でもどうしようもなく人が怖い
おかしいな
思いの交差点
幾度となく、繰り返した
また誰かと一緒に
信号が変わるのを待つ
「みんなどこに行くの?」
けど空を見上げて
そこに雨雲や太陽や星がいてくれて
時々
安心感や心地良さが沸き上がってくる
そうだ……
これから先、「私」や「誰か」が
真っすぐ進もうと
右へ行こうと
左へ行こうと
私たちは心の中で
唯一変わらない
同じ思いを持って
同じ道を歩んでいる
「自分らしく生きたい」と
だから他の何が違ったっていいや
時に肩がぶつかって
しかめっ面したり
されたりしても
おこがましいけど許してよね
心の中で同じ道を歩んでいるなら
きっとまたどこかで
必ず出会う
私たち、何度 肩並べただろう
何度同じ道を通って
違う行き先を選んだだろう
目も合わせず
記憶すらない
淡い関係
けど
どれだけたくさんの人と知り合ったって
言葉を交わしたって
多くの仲間や敵を作ったって
その数、きっとたかが知れている
地球の80%
回しているのは
回っているのは
目も合わせず
記憶すらない
「淡い関係」
「誰かが笑っていますように」
「誰かの願いが叶いますように」
「誰かが幸せでありますように」
一生出会わず
関わることもないかもしれない
どこかの「貴方」へ……
今日も思いが交差する
「袖触り合うも多生の縁」
この信号を渡りきるまでの一分足らずの間
私たちみんなの目的は同じ
「横断歩道を渡って向こう側へ行くこと」
ただそれだけの一致に喜びを覚えるのは
私の心が弱っているからか
その先は、人それぞれ
真っすぐ進む人
右へ行く人
左へ行く人
すぐに散り散りになる
散ったあと、またさっきの場所にできる
信号が変わるのを待つ歩行者の群れ
繰り返される光景
変わらない
けれどそこにいる「人間」は
変わり続ける
目も合わせない関係
けれどもしかしたら隣の人は
いつもネット上で話している
あの人かもね
人生はまるで交差点
一生、直接話すことがないであろう
人々の背中に
勝手に思いを重ねて
ファンになってみたり
勝手に裏切られたような
気分になってみたり
「なんとなく、貴方と私は
横断歩道を渡りきったあとも
一緒に、真っすぐ
この道を歩くんだと思っていたよ」
右へ向かい 遠くなる背中
何の関係もない
ただひととき一緒にいただけ
なのにチクリと刺さるものを感じて
変だね
数多く存在する
「終わってしまう淡い関係」
地球や宇宙から見れば
「クラスメイト」のままで終わった
あの人との関係も
ただひととき
信号が変わるのを一緒に待った
あの人との数十秒も
大差ないのかもね
百年、二年、三十秒
あの「ひととき」が流れている間に
手を繋げなかった
声をかけられなかった
「またね」とすら言えなかった
遠くなる背中
一緒に信号を待っていても
一緒に電車やバスに乗っていても
同じレストランで同じものを食べていても
この縁は、私の心に打ち消される
「所詮他人」
心が遠い
目も合わせられない
見るのは背中ばかり
そんな中時々
見ず知らずの人から声をかけられる
「どこから来たの?」
「いい天気だね」
私はドキッとして
こわばった顔で小さく言葉を返す
届いたかなぁ
もったいないことをしたな
私も「あっち」の人間になりたいのに
本音を言えば
誰彼構わず手を差し出して
握手を求めたい
言葉を交わしたい
でもどうしようもなく人が怖い
おかしいな
思いの交差点
幾度となく、繰り返した
また誰かと一緒に
信号が変わるのを待つ
「みんなどこに行くの?」
けど空を見上げて
そこに雨雲や太陽や星がいてくれて
時々
安心感や心地良さが沸き上がってくる
そうだ……
これから先、「私」や「誰か」が
真っすぐ進もうと
右へ行こうと
左へ行こうと
私たちは心の中で
唯一変わらない
同じ思いを持って
同じ道を歩んでいる
「自分らしく生きたい」と
だから他の何が違ったっていいや
時に肩がぶつかって
しかめっ面したり
されたりしても
おこがましいけど許してよね
心の中で同じ道を歩んでいるなら
きっとまたどこかで
必ず出会う
私たち、何度 肩並べただろう
何度同じ道を通って
違う行き先を選んだだろう
目も合わせず
記憶すらない
淡い関係
けど
どれだけたくさんの人と知り合ったって
言葉を交わしたって
多くの仲間や敵を作ったって
その数、きっとたかが知れている
地球の80%
回しているのは
回っているのは
目も合わせず
記憶すらない
「淡い関係」
「誰かが笑っていますように」
「誰かの願いが叶いますように」
「誰かが幸せでありますように」
一生出会わず
関わることもないかもしれない
どこかの「貴方」へ……
今日も思いが交差する
「袖触り合うも多生の縁」
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』
コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ”
(全20話)の続編。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211
男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は?
そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。
格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

まずはお嫁さんからお願いします。
桜庭かなめ
恋愛
高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。
4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。
総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。
いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。
デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!
※特別編3が完結しました!(2024.8.29)
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想をお待ちしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる