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恩人
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食堂から移動して私の部屋にニチカと朝ごはんを食べることにした。
ニチカと朝ごはんを食べると日本にいた頃の食事を思い出す。食パンをトーストして目玉焼きを乗せたニチカ特製目玉焼きトーストや回る寿司に焼肉食べ放題。あの頃が懐かしい。
「レリアさん、このお粥美味しい」
「ニチカ、私のことは此処ではレリアーナと呼んでほしいの」
「どうして?」
私は過去に罪人で見つかれば今も王国から追われてしまうかもしれないことを説明する。
「レリアーナさん、レリアーナさん・・・」
ニチカは口が滑ってレリアと呼ばないよう連呼して練習していた。
「レリアーナさん。私に手伝えることはありますか?」
「ニチカは体力と元の体つきに戻るまで、ゆっくりするといい」
「・・・はい」
ニチカは何か言いたそうだった。
「何でも思うことがあれば言ってほしい」
「孤児院に拾われて、孤児達は飢えていました。私は何も出来ず、貴重な食べ物を食べるだけの存在でした。だから働いて孤児院に食べ物を届けたい」
「ニチカの願いなら叶えよう」
私はニチカの手を取って誓った。
早速ダロを呼びウィーナの町の作物を買い占めてニチカがいた孤児院に送った。しかし、永続的に食糧を送るには資金と農産物を作る人材が必要になる。
そこで私は孤児院をウィーナに建て、ニチカがいた孤児院の孤児全員をウィーナの町に受け入れた。
「えっ!すごい!」とニチカは喜び孤児達と再会して抱き合い。嬉しそうだった。
それから孤児たちに畑の農産物作りを手伝ってもらい半年でニチカ商会の新しい商品『ウィーナ町特製焼き芋』が完成した。
これはアーマイン王国の芋と日本のサツマイモが非常によく似ているとニチカが言っていた。サツマイモは焼いたり蒸すと蜜が溢れて甘味が増す。
ニチカから調理法を学び、移動販売の焼き芋屋台を始める。アーマイン王国で焼き芋ブームが起こり、ウィーナはアーマイン王国で1番の芋産地となった。
そしてウィーナ町の鍛冶・農業が盛んになった理由を下がるためアーマイン王国の宰相リヒンベッケが視察に訪れた。
遂に私が恐れていた事態が起きた。
リヒンベッケはウィーナ町のニチカ商会を訪れ私の顔を見て驚いていた。
リヒンベッケと私の父は昔から親交がある。もちろん父に同行していた私とも何度も会っている。
「レリア嬢が何故、何故生きておられるのか・・・貴女は斬首された時に消えたはず」
消えた公爵令嬢。その不可解な出来事は国王と宰相など極少数の人しか知り得ない情報だった。リヒンベッケの眉は釣り上がり、目は見開き、唇は震えている。
「私は光に包まれて日本という国に行き、学び、また光に包まれてアーマイン国に戻ってきました」
「光?もしや国に伝わる精霊の光でしょうか。または伝説の聖女の光?そんな事はどうでも良いのです。罪人は捕えないと。国王陛下に報告します。レリア嬢を捕えなさい」
私はリヒンベッケの衛兵に捕まり、拘束された。
そこにニチカが職人を連れて現れた。
「レリアさんを離して!」
「そうだ!レリアーナさん、いやレリアさんを離せ!」
職人達は数人の衛兵と揉み合いになり、ウィーナの町人も宰相リヒンベッケと王国兵を取り囲む。
一方、アーマイン王の城にウィーナ町から逃げてきた兵士が駆け込んだ。
「王様大変です!ウィーナの町で反乱が起きました」
「なに!?」
ウィーナの出来事を聞いた王は軍を率いてウィーナに進軍した。
馬車に乗りウィーナの町に着いた国王。
職人と町人によってリヒンベッケと王国兵は拘束され一箇所に集められている。
そして私は職人と町人の集団の前に出て国王と王国軍と対峙した。
国王は口を開いた。
「レリア嬢、宰相リヒンベッケと王国兵を返していただきたい」
「宰相と王国兵の返還は条件があります」
「条件は不敬罪の撤回と私の無罪放免。ウィーナの町の人々の無罪」
「ウィーナの町人達の条件は飲もう。しかし不敬罪は撤回できない。ウィーナの町の発展に寄与したことは感心している」
パチパチパチパチ・・・
何処からか拍手が起きた。
その小さな拍手は国王が乗っていた馬車の中から聞こえてきた。
「凄いよレリア姉ちゃんは」
「アーバン!何処に隠れていたんだ!」
馬車から降りてきたのは国王の息子アーマイン・アーバン、8歳。
「アーバン!ここは子どもが出るような場所ではない!早く連れて帰れ」
国王は王国兵に命令するもアーバンは嫌がった。
「レリア姉ちゃんを虐めるな!」
「しかしアーバン。アーバンにレリアは失礼な態度をとった不敬罪は」
「あれは遊びだよ。それを父上は真に受けて大人気ない!父上なんて嫌いだ」
遊び?ではなかった。確かに当時の私はアーバンに「お茶を注いで」と私の使用人のように冷たく扱った。
「そんな・・・アーバン。わかった。レリアの不敬罪は取り消す」
「それから?」
アーバンは国王に詰め寄る。8歳というのに既に現国王よりも国王の風格がある。
「それから?・・・それからウィーナの町とアーマイン王国の産業発展に貢献したレリアとウィーナの町人、職人には褒美を与えよう。これでよいか?」
「うん!レリア姉ちゃんよかったね」
アーバンはパチパチパチパチと拍手しながら馬車に戻った。
私はほっと胸を撫で下ろした。
宰相リヒンベッケと王国兵を解放し、王国軍は城に帰って行った。
後日、大量の褒美がウィーナの町に届いた。
そして私の父は公爵から伯爵に降格し、異例な事にニチカと私には公爵の爵位が与えられ階級の親子逆転現象が起きた。
ニチカは商会の代表に就任し、ニチカ商会は支部が各地に幾つも出来た。
ニチカと朝ごはんを食べると日本にいた頃の食事を思い出す。食パンをトーストして目玉焼きを乗せたニチカ特製目玉焼きトーストや回る寿司に焼肉食べ放題。あの頃が懐かしい。
「レリアさん、このお粥美味しい」
「ニチカ、私のことは此処ではレリアーナと呼んでほしいの」
「どうして?」
私は過去に罪人で見つかれば今も王国から追われてしまうかもしれないことを説明する。
「レリアーナさん、レリアーナさん・・・」
ニチカは口が滑ってレリアと呼ばないよう連呼して練習していた。
「レリアーナさん。私に手伝えることはありますか?」
「ニチカは体力と元の体つきに戻るまで、ゆっくりするといい」
「・・・はい」
ニチカは何か言いたそうだった。
「何でも思うことがあれば言ってほしい」
「孤児院に拾われて、孤児達は飢えていました。私は何も出来ず、貴重な食べ物を食べるだけの存在でした。だから働いて孤児院に食べ物を届けたい」
「ニチカの願いなら叶えよう」
私はニチカの手を取って誓った。
早速ダロを呼びウィーナの町の作物を買い占めてニチカがいた孤児院に送った。しかし、永続的に食糧を送るには資金と農産物を作る人材が必要になる。
そこで私は孤児院をウィーナに建て、ニチカがいた孤児院の孤児全員をウィーナの町に受け入れた。
「えっ!すごい!」とニチカは喜び孤児達と再会して抱き合い。嬉しそうだった。
それから孤児たちに畑の農産物作りを手伝ってもらい半年でニチカ商会の新しい商品『ウィーナ町特製焼き芋』が完成した。
これはアーマイン王国の芋と日本のサツマイモが非常によく似ているとニチカが言っていた。サツマイモは焼いたり蒸すと蜜が溢れて甘味が増す。
ニチカから調理法を学び、移動販売の焼き芋屋台を始める。アーマイン王国で焼き芋ブームが起こり、ウィーナはアーマイン王国で1番の芋産地となった。
そしてウィーナ町の鍛冶・農業が盛んになった理由を下がるためアーマイン王国の宰相リヒンベッケが視察に訪れた。
遂に私が恐れていた事態が起きた。
リヒンベッケはウィーナ町のニチカ商会を訪れ私の顔を見て驚いていた。
リヒンベッケと私の父は昔から親交がある。もちろん父に同行していた私とも何度も会っている。
「レリア嬢が何故、何故生きておられるのか・・・貴女は斬首された時に消えたはず」
消えた公爵令嬢。その不可解な出来事は国王と宰相など極少数の人しか知り得ない情報だった。リヒンベッケの眉は釣り上がり、目は見開き、唇は震えている。
「私は光に包まれて日本という国に行き、学び、また光に包まれてアーマイン国に戻ってきました」
「光?もしや国に伝わる精霊の光でしょうか。または伝説の聖女の光?そんな事はどうでも良いのです。罪人は捕えないと。国王陛下に報告します。レリア嬢を捕えなさい」
私はリヒンベッケの衛兵に捕まり、拘束された。
そこにニチカが職人を連れて現れた。
「レリアさんを離して!」
「そうだ!レリアーナさん、いやレリアさんを離せ!」
職人達は数人の衛兵と揉み合いになり、ウィーナの町人も宰相リヒンベッケと王国兵を取り囲む。
一方、アーマイン王の城にウィーナ町から逃げてきた兵士が駆け込んだ。
「王様大変です!ウィーナの町で反乱が起きました」
「なに!?」
ウィーナの出来事を聞いた王は軍を率いてウィーナに進軍した。
馬車に乗りウィーナの町に着いた国王。
職人と町人によってリヒンベッケと王国兵は拘束され一箇所に集められている。
そして私は職人と町人の集団の前に出て国王と王国軍と対峙した。
国王は口を開いた。
「レリア嬢、宰相リヒンベッケと王国兵を返していただきたい」
「宰相と王国兵の返還は条件があります」
「条件は不敬罪の撤回と私の無罪放免。ウィーナの町の人々の無罪」
「ウィーナの町人達の条件は飲もう。しかし不敬罪は撤回できない。ウィーナの町の発展に寄与したことは感心している」
パチパチパチパチ・・・
何処からか拍手が起きた。
その小さな拍手は国王が乗っていた馬車の中から聞こえてきた。
「凄いよレリア姉ちゃんは」
「アーバン!何処に隠れていたんだ!」
馬車から降りてきたのは国王の息子アーマイン・アーバン、8歳。
「アーバン!ここは子どもが出るような場所ではない!早く連れて帰れ」
国王は王国兵に命令するもアーバンは嫌がった。
「レリア姉ちゃんを虐めるな!」
「しかしアーバン。アーバンにレリアは失礼な態度をとった不敬罪は」
「あれは遊びだよ。それを父上は真に受けて大人気ない!父上なんて嫌いだ」
遊び?ではなかった。確かに当時の私はアーバンに「お茶を注いで」と私の使用人のように冷たく扱った。
「そんな・・・アーバン。わかった。レリアの不敬罪は取り消す」
「それから?」
アーバンは国王に詰め寄る。8歳というのに既に現国王よりも国王の風格がある。
「それから?・・・それからウィーナの町とアーマイン王国の産業発展に貢献したレリアとウィーナの町人、職人には褒美を与えよう。これでよいか?」
「うん!レリア姉ちゃんよかったね」
アーバンはパチパチパチパチと拍手しながら馬車に戻った。
私はほっと胸を撫で下ろした。
宰相リヒンベッケと王国兵を解放し、王国軍は城に帰って行った。
後日、大量の褒美がウィーナの町に届いた。
そして私の父は公爵から伯爵に降格し、異例な事にニチカと私には公爵の爵位が与えられ階級の親子逆転現象が起きた。
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