異世界魔剣士タイムトラベラーは異世界転移を繰り返して最弱でしたが特殊能力が開花します

三毛猫

文字の大きさ
上 下
16 / 18

5回目の異世界

しおりを挟む
「どうだ!ここが異世界」
草原のど真ん中でシャーナは両手を仰ぎ陽の光を浴びている。その後ろで俺と翔吾は草むらに倒れていた。

シャーナが路地裏で偶然見つけた真っ黒な空間は読み通り異世界に通じていた。


「でもどうしてあんな路地裏で異世界に通じる空間を見つけられたんです?」

「それは酔い潰れて、壁をペチペチ叩いていたら真っ黒な空間が現れたわけだ」
シャーナは笑っているが、俺と翔吾は若干引きながら聞いていた。


周りを見渡すと、見覚えのあるオオウシ山脈があり後ろには森が広がっていた。

装備品も殆ど持ってきていない為、あるものといえば

シャーナのペティナイフ
翔吾の浮き輪とスマートフォン
俺のスマートフォン
ぐらいだ。

魔石も吸収していない状態且つ、ペティナイフでは俺は戦えない。翔吾の弱い魔法頼みで、シャーナの戦闘力は未知。魔物が出ないといいがと思っていると、森からゴブリンが5体も走ってきた。


「一旦、距離をとろう」

ゴブリンから走って逃げていると鎧を着た兵士の集団が森に向かって行進していた。

「全体、止まれー!」
馬に乗った先頭の男が大声で号令をかけると隊列は停止した。

「前方からゴブリン。逃げる人族を助けよ」

鎧を着た兵士が数人、俺たちの方へ走ってきた。俺と翔吾とシャーナとすれ違うと兵士数人はゴブリンを一刀両断して倒した。


「ありがとうございます。助かりました」

馬に乗った男に礼をする。
よく見ると馬に乗った男はリデニア国将軍ゲルバンだった。

「この者たちを捕えよ」

兵士が俺たちを囲む。

「ちょっと待ってください!ゲルバン将軍!勇者に認定された連司と翔吾です!」

「知っておる。10年前魔王討伐に出た5代目勇者一行。私が稽古した勇者の方々だ。しかし、貴殿らは魔王国で突如消え去り敵前逃亡したと報告を受けている罪人だ」

異世界から戻ってまた異世界に帰ってきたら消えて敵前逃亡した勇者一行という汚名を着せられていた。

「大人しく縛られてやろうじゃないか」
シャーナは両手を上げて敵意のないことを示した。
俺たちも仕方なくゲルバンに従い拘束された。


「演習予定は変更!引き上げるぞ!」

兵士一行に連れられて草原からリデニアの街に入った。
街の人々は俺たちに石を投げつけた。
国の恥。逃げた5代目勇者など罵詈雑言を浴びせられる。


リデニア城内の王の間で再び女帝リデニアと再会した。10年という歳月でリデニアは年老いていた。およそ70代ぐらいだろうか。
リデニアの隣には宰相アーヒュウッドと見たことがない男女が3人並んでいた。

「5代目勇者一行よ。魔王の右腕であるオルデカンを討伐したとの報告の後、敵前で消え去り逃亡し10年の月日を経て再び現れたのは何事か?」

俺は異世界転移と一度異世界を往復すると10年経過している事について説明したが誰一人納得していない様子だった。
そして女帝リデニアは骸になり、唯一リデニア国に送り返された神村先輩を城の敷地内の墓所に埋葬したことを俺たちに告げた。

「神村亜弥華は唯一5代目の勇者である」

「待ってください」
アーヒュウッドの隣にいたマントを着た男が手を挙げた。 

「僕たちは5代目勇者さん達を信じたいです。僕は5代目勇者さんみたいにマジックブレイカーではありませんが6代目勇者させてもらってます」

6代目勇者の男は顔は小顔で体つきは細く、一般の兵士より弱そうに見えた。


「6代目勇者の言葉を含めて審議する。今日は解散とする」

リデニアが宣言すると王の間から退出し俺と翔吾とシャーナは同じ牢屋に入れられた。


「亜弥華は埋葬されたか。一度でいいから墓参りに行きたいものだ」
しんみりするシャーナ。翔吾は頷いて聞いていた。

「世界の理を壊す秘薬があれば、墓を掘り返してでも絶対に蘇らせる。その為には早く誤解を解かないと」

「焦っても仕方ない」
シャーナは俺の焦りを諭す。


それから丸一日が経過した。
牢屋の見張りが牢の鍵を開け、俺たちは釈放された。

「リデニア様と6代目勇者様に感謝しろよ」と見張りの兵士に言われ城外へ出された。


「先輩これからどうします?」

「身支度を整えたら魔王国に入る」

俺は再度魔王討伐に向けて動き始めた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜 

八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。 第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。 大和型三隻は沈没した……、と思われた。 だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。 大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。 祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。 ※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています! 面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※ ※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

超文明日本

点P
ファンタジー
2030年の日本は、憲法改正により国防軍を保有していた。海軍は艦名を漢字表記に変更し、正規空母、原子力潜水艦を保有した。空軍はステルス爆撃機を保有。さらにアメリカからの要求で核兵器も保有していた。世界で1、2を争うほどの軍事力を有する。 そんな日本はある日、列島全域が突如として謎の光に包まれる。光が消えると他国と連絡が取れなくなっていた。 異世界転移ネタなんて何番煎じかわかりませんがとりあえず書きます。この話はフィクションです。実在の人物、団体、地名等とは一切関係ありません。

処理中です...