異世界魔剣士タイムトラベラーは異世界転移を繰り返して最弱でしたが特殊能力が開花します

三毛猫

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数多の敵を

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異世界滞在日数4日目。先輩は4日目で1人でライオンのような魔獣を黒焦げにするまで魔法が上達していた。

俺は少し早く剣を振れるようになるどころか、素振りの筋肉痛で腕を痛めて肩がバキバキに凝っていた。

「治癒魔法は生憎使えないの。ごめんね」

先輩は治癒以外の火・水・風・土の四属性を扱える。二属性持ちでも珍しい。四属性持ちとなると国内で数人に限られる。更に先輩は戦闘にも長けていた。火と水で蒸気を作り魔物の呼吸器を蒸気で襲い、咽せて動きを止めてから攻撃するスタイルを誰に教わる事もなくやってのけた。


「これなら、町を離れて魔物の多い生息域にも行けそうだ」
シュミルのパーティに神村先輩が加入した。

「あの・・・俺は」

「また荷物持ちをよろしく」
「新人よろしくなー」
「よ、よろしくお願いします」

次の日、前衛リネット、ザイアス。中衛シュミル、神村先輩。後方支援、荷物持ちレンジで町を離れた。

草原から森を抜けて地下迷宮の入り口も素通りする。ここからは未開の地だ。
森を抜けると草木もない乾燥した大地が広がっている荒野に出た。

「ここなら見通しも良い。魔物も数は多く生息している。頭上の飛行している魔獣には常に警戒を怠るなよ」

リネットが兜の面を下ろした。
ザイアスはナイフを構えた。
弓使いのシュミルは2本の矢を番えた。
神村先輩は杖を構えて魔力を貯める。
俺は周囲をキョロキョロと周辺警戒を始めた。

「来たぞ!」

正面からライオンみたいな魔獣が二体。スピードを上げて突撃してきた。

一体はリネットに向かって先に突撃。大きな盾を地面に突き刺し、正面から突撃に耐えた。勢いが弱まった瞬間「アヤカ!」とシュミルが叫ぶ。「はい!」ハキハキとした返事の先輩は杖の先から火弾を数発魔獣の顔に浴びせた。肉の焦げた臭いと共に魔獣は倒れた。

ザイアスに向かってきた魔獣は咆哮と共に突進。ザイアスは飛び上がり空中で体を捻りながら魔獣の突進を避けると同時に背中にナイフを刺した。その直後、シュミルが魔獣の横腹に番えた矢を放ち魔獣は息絶えた。

初めてと思えない先輩の連携プレーとチームワーク。

「カッコいい」
4人の姿に思わず声が漏れた。

「レンジは魔石やアイテムに触れないように。鞄わ広げて待機!」

「わかりました!」

鞄に大きな魔石を詰め込む。肩が重い。

「次はあのゴブリンの群れにしよう」

100メートルほど離れた場所にゴブリンがたむろしている。魔物の言語だろうか、ギーギーと唸りながら会話しているようにも見える。先程の戦闘の咆哮で周囲の魔物に存在を気付かれているが、ライオンみたいな魔獣が倒れ、強さからかなかなか向かってこない。
ゴブリンは襲うか、襲わないか相談をしているようにも見えた。

遂に痺れを切らし一体のゴブリンが棍棒をブンブン振り回して走ってきたのを合図に後ろから数体のゴブリンが続く。


先制攻撃したのは神村先輩だった。
地面に落ちている石ころを幾つも浮かして飛ばすと見事に命中。一瞬でゴブリンの足が止まる。

ゴブリンも馬鹿ではない。一旦引き返して木の盾を持ってくると構えて防御しながら走ってきた。


しかしシュミルの弓の前では木の板は易々と貫通した。
火弾と弓で十数体いたゴブリンは壊滅した。



その後も荒野の魔物たちを討伐して夕方には町に戻った。


「今日はたんまり稼げたな姉貴」

「あー久しぶりに沢山稼げた。やっぱし遠距離攻撃が出来るアヤカが増えたおかげだ」

「いえいえ、私はまだまだです」

「謙遜するなって」

「荷物、重かったでしょ?」
リネットが珍しく声をかけてくれた。それだけで心が救われた。

「大丈夫。全く重くない。ムッキムキだから」
本当は肩バキバキですごい重かったです。

「ありがとう荷物持ってくれて。戦いやすかった」

リネットさん天使です!と言いかけたその時、門の物見台の警鐘が鳴り響いた。
急いで門に行くと人だかりが出来ていた。

「どうした!?」
門兵にリネットが詰め寄る。

「魔王国軍が北の草原に現れた!数は一万余り」

「ミルクテの町は魔王国から遠く離れている。なぜこんな内陸にまで侵攻できた?ザイアス分かるか?」

「分からねぇ」

「とにかく逃げよう。相手は一万では刃が立たない」

北から侵攻に対して南門から逃げる。既に多くの冒険者が南門に集まっていた。

「門を開けろー!」
「逃げねーと。早く門を開いてくれ!」

口々に門兵に怒鳴る。

物見台にいた門兵が口を開いた。

「これはギオランド皇国、ギオランド陛下からの命令である。ミルクテの冒険者、町人、商人は魔王国軍に対抗せよ。よって北門、南門は閉じて魔王国軍に抵抗する」

「最悪だ。国はオレ達を見捨てやがった」

「姉貴、どうする?」

「あーもう、どうしたもんかね。世話になった町を見捨てる覚悟をしていたのが無理と分かった途端に全力で戦ってみたくなった。ザイアス、リネットは逃げていい。それにレンジもアヤカも」

「そんな」

「姉貴を見捨てて逃げる訳ねぇ!」

「ザイアス・・・」

「わ、私も戦います」

先輩は聞くまでもなく、杖を構えていた。
俺は何か出来ることをしよう。

全員の意思が固まった時、北門が爆発して吹き飛んだ。


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