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エルマ城

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エルマ城下の魔物の巣窟を出た魔物や魔獣達は陽の光が当たる森や広野、草原を自由に動いた。
一度、リーナが命令を出せば魔物達は集まり指示通り動く。

ゴブリンやオークはリーナの指示で魔の実を地中に植えた。
魔の実は数時間で芽が生えて数日で黒いツタが伸びる。ツタはエルマ城下、さらにはエルマ城を覆い黒く染める。
魔の実は周辺の木々を栄養として辺り一面の木を枯らした。

ツタが黒い魔の実をつけると魔物達はそれを食した。
黒い実を食べた魔物は強靭な肉体へと変わった。



山からエルマ城を見たゴモラ王国の兵士の間では黒いエルマ城を見て『黒城』と呼ぶようになった。


エルマ城の最上階の広間にある国主が座る大きな木の椅子にリーナが座り、魔獣エギオラと六腕の魔剣士ソウダがリーナと向かい合うように地面に座る。

「これだけの力を得た今。何が足りぬと思う?」

「……」
ソウダは無言だ。

「グゥルル」
エギオラは歯を出して唸る。

「知性。知性が足りないソウダは物を考えられない。エギオラは獣の類。私1人では次の戦いの指揮はできないわ」

リーナはため息を吐いて、胸元から取り出したガラスの小瓶に入った黒い液体を眺めた。

「魔王の血はあと数滴……エギオラにする為にエモイに一滴。ソウダに寄生した魔物に一滴。魔の実に一滴。知性を持ち合わせる強い魔物はどうすれば生まれるのかしら?」


「……」

リーナはソウダを見た。
そしてハッと気付いてソウダを連れてエルマ城を出た。

エルマ城下の魔物の巣窟最下層36階の部屋の扉を開けた。
そこには冒険者から奪い取った戦利品が雑に置かれている。
ある賢者が残した世界転移の鏡の前にソウダを立たせるとリーナはソウダの腕を軽く切って鏡にソウダの血を飲ませた。


鏡は光った。

「これは記憶に残る地を行き来できる転移の鏡。ソウダの記憶にある異世界から知性のある者を連れてくるわ」

ソウダが鏡に近づく。

「貴方は駄目よ。私1人で行くから」

リーナは鏡の中に入った。
すると光は消えた。
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