異世界転生ナメてました！異世界ニート生活始めます

逸材

「申し上げます！中央、第1騎兵部隊、崩壊寸前のところ復活し態勢を持ち直しました！」

「申し上げます！2名の民兵により中央前線の魔物300体が消滅！士気が上がっています！」

「申し上げます。民兵2人に続き、中央の歩兵部隊ゴッズ隊の快進撃が止まりません！」


「戦場の中央で何が起きているのだ……」

司令本部に駆け込む伝令に司令本部長は中央部の異変に気付いた。
特に民兵2人の活躍は凄まじい。

「快進撃の民兵2人の名は？」

「エントの街に住んでいたソウダとフィアリという剣士と弓使いです」

「聞いたことがない名だな」

「街の民曰く、ソウダは街で1番強い剣豪でフィアリは1番の弓使いだそうです」

司令本部長はまだ隠れた逸材に笑みが溢れた。




フィアリが弓の弦を思っ切り引いて矢を放った。矢はゴブリンの腹を貫通して、後ろにいたゴブリンの腹に刺さった。

「同時に2体仕留めた」

思わず見惚れる兵士に上級兵が頭を叩いた。
「見惚れていないで、お前も戦え」

「はっ！」


一撃で同時に3体なぎ払うソウダ。
ソウダの隣でゴッズも負けじと技を繰り出して3体同時に倒す。

「若さでは負けるが、拳では負けてはいない！」

「ゴッズさんの拳には負けません！」


フィアリが矢を複数番え、弓を天空に構えて放った。
矢は大きく弧を描き、矢の雨が降り注ぐ。魔物が10体倒れるとソウダとゴッズは顔を見合わせた。

「弓には敵わない」

「そうだな」


ソウダ・ゴッズ・フィアリの3人の活躍の裏で魔物は一斉にソウダに集中し群がり始めた。

「エルフの弓使い！ソウダの援護を！」

ゴッズが叫んだのが最後、ソウダは魔物の大群に飲み込まれて姿が見えなくなった。
しばらくして魔物の大群は森の中に引いていき、エントの街から離れていった。

多数の犠牲はでたものの、エントの街を守ることができた。
歓喜に沸く兵士とエントの民達だがフィアリは悲しみに暮れた。

ソウダは姿なく消えた。フィアリは疑問に感じ先の戦いの状況を振り返ると
魔物はソウダに集中していた。
ソウダの死体はないことから魔物に連れ去られた可能性がある。
それをゴッズに話すと「何の為に？」という疑問だけが残った。