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狩りの後の酒場

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ギルドで解体したドギアラの角と肉片を届けると報酬として金貨2枚を受け取った。
そのまま街の酒場に入るとムギールという酒を2つ注文。

「おつかれー」
木樽ジョッキの口と口をカチンと合わせた。フィアリはムギールを一気に飲み干す。
仕事終わった後の居酒屋みたいだ……異世界転生しても何だか前の世界と変わらないなとソウダは思った。

「あーもうこの辺の巨大魔獣は狩り尽くしたがエギオラが現れたのは後にも先にもソウダを助けた2年前だけだぁあぁぁぁ!」

一杯を飲み干して既にへべれけになる程、エルフ族のフィアリは酒に弱かった。

「そうだな。幻夢の悪魔リーナもいない」

2人は行き詰まっていた。


「今、エギオラがなんだとか言ってなかったか?」

筋肉隆々の男がフィアリとソウダの席に座る。

「申し遅れた。我が名はゴッズ。ドワーフ族と人族のハーフだ」

「ドアホ?」
フィアリは眉尻を上げながら聞き返した。

「ドワーフだ!」
大声で返事をしたゴッズとフィアリは睨み合った。

「エギオラを知っているのか?」

「エギオラか分からないが、エギオラ級の魔獣が多く生息する棲家がある」

「それは何処だ?」

「鉱物資源が豊富な東の果て、エルマ領中央部に位置するエルマ城の城外近くの丘だ」

「エルマ城?」

「その丘から大量の鉱石が発掘され、坑夫達は地下深く掘り進め地下36階層の地下坑道を掘り上げ、鉱石が取れなくなると坑夫達は地下坑道を放棄し各地に離散した。坑道は暗く奥深く人も寄り付かず、魔物の巣窟となった」

ゴッズは続けた。

「魔物は地下で繁殖し夜になると近隣の村を襲い始め、エルマ領の王は魔物討伐の為に各地から冒険者を集め討伐に向かわせたが地下は深く迷路のように複雑で冒険者は次々に命を落としている。そこで頼む。我と一緒にエルマ城の地下に行っていただきたい」

「どうする?」
ソウダはフィアリを見た。

「もちろん行くに決まってるでしょう!お酒が沢山飲めるって言うからには命掛けてもいい!」

ゴッズはフィアリの酔い様に顔が引き吊りながらも快諾したことに安堵した。

「また申し遅れてすまないが、我はエルマ領第1歩兵部隊の隊長をしているゴッズだ」

「そういうことか」

「すまない。少しでも戦力が欲しい。改めて力を貸してほしい」

「エルフに二言はない!行くと行ったら行く!」
フィアリはテーブルに片足を乗せて木樽ジョッキを高らかに掲げ大声で宣言した。

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