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異世界再戦誕生
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「エモイ討伐クエスト完了だ」
「さぁ帰ろう」
4人は振り返って街に向かって草原の中を歩き始めた。
反射的にエッジが剣を抜いて振り返り様に斬った。
強烈な怒りのオーラを放ち、全身の毛を焼かれた魔獣エギオラの姿があった。
「倒したのに」
俺は狼狽した。
「魔王の血を飲んだ災い。魔獣、エギオラだ!私達で食い止める。逃げろ、ソウダ」
と、フィアリが言ってる間にエギオラの拳をまともに受けたエッジは吹き飛ばされた。
フィアリが矢を連射し、ジダは投げナイフで攻撃する。
攻撃を無視して一直線に俺を目指して歩みを止めない。
「やるしかない」
俺は決めた。立ち向かうことを。
剣を構えた。
「剣技、シャイニングソード!」
閃光というべき速さで剣を振り抜き一撃を与えた。エギオラの腕に当たった。
エギオラは無傷だ。
一瞬で巨大な拳が顔面まで迫っていた。間一髪、木の盾で防御したが、木の盾は粉砕し、衝撃で吹き飛ばされた。
「ソウダ!ソウダ……」
フィアリの声が最後、意識を失った。
腕の痛みと、頭痛で目覚めた。
「ここは……」
真っ暗な世界。俺は地面に倒れた状態で体が痺れて動こうとするが全く動けない。
しばらく試行錯誤して仰向けに寝返ることができた。
木々の間から星空が広がる。
林か森の中か。どうして此処にいるのか分からない。皆はどうした?
痺れが切れ始めると激痛が全身に広がる。
「くそ!痛すぎる!」
頭上で木の枝を踏む足音がした。
地面の草木を踏む音が徐々に近づいてくる。
綺麗な星空の景色が一変。目の前が真っ黒な影で覆われ、その影の中に丸々として赤く光る目が浮かび上がった。
「うわっ!」
大声で叫ぶと、歯が浮かび上がった。
笑っているのか、嬉しそうな顔は俺を覗き込んでいた。
目を逸らして、逃げようと足掻いた。
ほとんど動けず、ジタバタともがく。
そのうちに手に冷たい感触が残った。
顔を向けると、エッジとフィアリが無残な姿で横たわる姿があった。
奥にはジダの動かなくなった姿も。
エギオラに倒されたと分かった。
俺の顔を覗いたエギオラは足首を掴み宙吊りにした。そして腹に一撃。
重い殴打に吐血すると、何度目かで気絶した。
目を覚ました。
エギオラの赤い瞳が俺に向いた。
また殴られる。痛ぶって遊んでやがる。容赦ない殴打に耐えるしかない。
涙は枯れた。
4日、いやそれ以上の日が経ったに違いない。
エギオラは俺に興味がなくなったのか、姿が見えない機会が増えた。
逃れる。しかし、全身殴打され、全身の至る所が骨折して動けない。
もう逃げる気力すら失っていた。
「大丈夫か?息はあるのか?」
「あ……」
靴が見えた。
「もう大丈夫だ」
灰色の肩まで伸びた髪に筋の通った鼻。細い目に目尻のシワ。まるぶち眼鏡を掛けた男は俺に回復薬を飲ませ、回復魔法で全身の痛みと傷を癒した。
「もう起き上がれる」
俺は上半身を起こすことが出来た。
「ありがとう」
年老いているようで若い中年の男は笑顔で答えた。
「さぁ、起きて此処を出よう」
エッジ、フィアリ、ジダの骸を横目に、立ち上がってエギオラの寝床を出た。
「じきにエギオラ討伐隊が来る。私が3人の死体を埋葬するよう伝えておく。君は街に帰りなさい」
「ソウダです。貴方の名前は?」
「バルバトス」
一礼してバルバトスの元を去る。歩けるまで回復した足で森を抜け草原に出た。
草原に出た先に平家の朽ちた家があった。
見覚えがある。間違いない。
ケトロと最初に出会った家だ。
朽ちた平家のドアを開いた。
腐敗した異臭が鼻を襲い、
息絶えたケトロの姿があった。
「さぁ帰ろう」
4人は振り返って街に向かって草原の中を歩き始めた。
反射的にエッジが剣を抜いて振り返り様に斬った。
強烈な怒りのオーラを放ち、全身の毛を焼かれた魔獣エギオラの姿があった。
「倒したのに」
俺は狼狽した。
「魔王の血を飲んだ災い。魔獣、エギオラだ!私達で食い止める。逃げろ、ソウダ」
と、フィアリが言ってる間にエギオラの拳をまともに受けたエッジは吹き飛ばされた。
フィアリが矢を連射し、ジダは投げナイフで攻撃する。
攻撃を無視して一直線に俺を目指して歩みを止めない。
「やるしかない」
俺は決めた。立ち向かうことを。
剣を構えた。
「剣技、シャイニングソード!」
閃光というべき速さで剣を振り抜き一撃を与えた。エギオラの腕に当たった。
エギオラは無傷だ。
一瞬で巨大な拳が顔面まで迫っていた。間一髪、木の盾で防御したが、木の盾は粉砕し、衝撃で吹き飛ばされた。
「ソウダ!ソウダ……」
フィアリの声が最後、意識を失った。
腕の痛みと、頭痛で目覚めた。
「ここは……」
真っ暗な世界。俺は地面に倒れた状態で体が痺れて動こうとするが全く動けない。
しばらく試行錯誤して仰向けに寝返ることができた。
木々の間から星空が広がる。
林か森の中か。どうして此処にいるのか分からない。皆はどうした?
痺れが切れ始めると激痛が全身に広がる。
「くそ!痛すぎる!」
頭上で木の枝を踏む足音がした。
地面の草木を踏む音が徐々に近づいてくる。
綺麗な星空の景色が一変。目の前が真っ黒な影で覆われ、その影の中に丸々として赤く光る目が浮かび上がった。
「うわっ!」
大声で叫ぶと、歯が浮かび上がった。
笑っているのか、嬉しそうな顔は俺を覗き込んでいた。
目を逸らして、逃げようと足掻いた。
ほとんど動けず、ジタバタともがく。
そのうちに手に冷たい感触が残った。
顔を向けると、エッジとフィアリが無残な姿で横たわる姿があった。
奥にはジダの動かなくなった姿も。
エギオラに倒されたと分かった。
俺の顔を覗いたエギオラは足首を掴み宙吊りにした。そして腹に一撃。
重い殴打に吐血すると、何度目かで気絶した。
目を覚ました。
エギオラの赤い瞳が俺に向いた。
また殴られる。痛ぶって遊んでやがる。容赦ない殴打に耐えるしかない。
涙は枯れた。
4日、いやそれ以上の日が経ったに違いない。
エギオラは俺に興味がなくなったのか、姿が見えない機会が増えた。
逃れる。しかし、全身殴打され、全身の至る所が骨折して動けない。
もう逃げる気力すら失っていた。
「大丈夫か?息はあるのか?」
「あ……」
靴が見えた。
「もう大丈夫だ」
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「もう起き上がれる」
俺は上半身を起こすことが出来た。
「ありがとう」
年老いているようで若い中年の男は笑顔で答えた。
「さぁ、起きて此処を出よう」
エッジ、フィアリ、ジダの骸を横目に、立ち上がってエギオラの寝床を出た。
「じきにエギオラ討伐隊が来る。私が3人の死体を埋葬するよう伝えておく。君は街に帰りなさい」
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