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異世界別次元誕生
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図書館で国の歴史を調べた。
ある分厚い歴史書には
『ユリウム暦1600年。ゴモラ王国とゴモラ王国特別区フィアリ領で反乱。フィアリ領の半獣の活躍により、フィアリ領は独立。フィアリ国となる』
俺を助け、俺から王座を奪った弓使いのエルフ、フィアリ……覚えている。
ゴモラ王国も聞いたことがある。
ということは、俺は異世界転生して、死にかけて……いや、死んで異世界の未来に飛ばされたということか?
さらに歴史書には
『ユリウム暦1610年。フィアリ国内の半獣・魔獣の人口が人族に迫る勢いになり、ゴモラ王国とリベリア皇国の連合軍はフィアリ国内に侵攻。フィアリ王国の圧勝に終わり、半獣・魔獣の生活圏の保護と権利の保護を獲得。ここにフィアリ・ゴモラ・リベリアを統一した新国家フィアリストリア王国が誕生する』
(フィアリストリア王国?)
「何を熱心に見ておる?若造が」
図書館にいた白髪の爺さんが声を掛けてきた。
「通路で立ち読みせんでほしいのぉ。通れんわ」
「すみません」
「ほぉ。フィアリストリア王国の歴史書ではないか。もう建国400余年か」
「400年も?」
「ああ。もうこの日本は……いや、間違えた」
「今、なんて!?」
爺さんは確かに『日本』という事を口にした。
俺が知ってる世界。俺が異世界転生前にいた国だ。
「今、日本って。俺もそこにいたんだ!」
「あまり大きな声で騒ぐでない。こっちにこい」
爺さんと俺は図書館を出て『コメダッタコーシー』という喫茶店に来た。
テーブル席に向かい合って座ると爺さんは静かに喋り始めた。
「若造も異世界転生したのだな?若造でこの世界に来て3人目になる。わしも元は日本にいて、異世界転生してこの国で50年を過ごした」
「俺はたぶん……この国の歴史でいうユリウム暦1600年に転生して色々あってまた転生……いや未来に飛ばされた」
「ほぉ。興味深い。若造、名は?」
「ソウダです」
突然、爺さんの目が見開いて椅子いっぱいに仰け反った。
「ここを出てワシに付いて来い!」
爺さんは喫茶店を出て歩き始めた。
ビル群のオフィス街と図書館のある街を少し抜けると朽ちかけた家々が並ぶ一画に入った。
「ここは?」
「人のスラム街だ。今や人よりも半獣や魔獣の方が身分が高い」
俺が異世界転生してフィアリが王なった結果か……とんでもないことした。
スラム街の外れの平屋の家に入る。
本が山積みにされた室内は薄暗く、爺さんは電球のスイッチをつけた。
「ソウダ。お主をフィアリ国の旧代の王として崇める一派があってな、ケトロ派は今もフィアリに対抗しておる」
ケトロ……俺が助けたチーターみたいな魔獣か。
「ワシもケトロ派だ。この世界は表向きは平等だが、今もスラム街が増え続け、貧困と格差は止まらない。ケトロ派は真の平等と国の安寧を旧代の王ソウダに誓い活動している。つまり、お主が本当の王であり、王になる資格を持つ者だ」
俺は異世界の残酷さに逃げて、たまたまケトロを助けて一瞬王になっただけだ。
資格なんてない。
「俺に王の資格はない」
「何故だ?」
「エギオラという魔獣が現れた時に俺は逃げることも出来ずジダさんやフィアリに助けてもらった。王になった時は戦が嫌で王を辞退しようと考えていた」
「だから王になれないと?何故王になれないか分かるか?」
爺さんは俺に鋭い目を向けた。
「王になる資格は誰にでもある。しかし、ソウダは選ばれたのだ。王になる者は真の強さがある。弱いから王になれない。つまり己自身の弱さに負けたのだ……」
「強くなりたい!そして皆が平和に暮らす世の中を!国を創りたい!」
爺さんの体の皮がヌルヌルと溶けると爺さんの中から獣が現れた。
「我が王よ。私を覚えていますか?」
「だれ?」
「幼少期に我が命を助けてくれたケトロです」
二足で直立する獣は確かにチーターみたいで昔のケトロの面影がある。
大きく成長し、直立するケトロの背の高さは今では俺と変わらない。
ある分厚い歴史書には
『ユリウム暦1600年。ゴモラ王国とゴモラ王国特別区フィアリ領で反乱。フィアリ領の半獣の活躍により、フィアリ領は独立。フィアリ国となる』
俺を助け、俺から王座を奪った弓使いのエルフ、フィアリ……覚えている。
ゴモラ王国も聞いたことがある。
ということは、俺は異世界転生して、死にかけて……いや、死んで異世界の未来に飛ばされたということか?
さらに歴史書には
『ユリウム暦1610年。フィアリ国内の半獣・魔獣の人口が人族に迫る勢いになり、ゴモラ王国とリベリア皇国の連合軍はフィアリ国内に侵攻。フィアリ王国の圧勝に終わり、半獣・魔獣の生活圏の保護と権利の保護を獲得。ここにフィアリ・ゴモラ・リベリアを統一した新国家フィアリストリア王国が誕生する』
(フィアリストリア王国?)
「何を熱心に見ておる?若造が」
図書館にいた白髪の爺さんが声を掛けてきた。
「通路で立ち読みせんでほしいのぉ。通れんわ」
「すみません」
「ほぉ。フィアリストリア王国の歴史書ではないか。もう建国400余年か」
「400年も?」
「ああ。もうこの日本は……いや、間違えた」
「今、なんて!?」
爺さんは確かに『日本』という事を口にした。
俺が知ってる世界。俺が異世界転生前にいた国だ。
「今、日本って。俺もそこにいたんだ!」
「あまり大きな声で騒ぐでない。こっちにこい」
爺さんと俺は図書館を出て『コメダッタコーシー』という喫茶店に来た。
テーブル席に向かい合って座ると爺さんは静かに喋り始めた。
「若造も異世界転生したのだな?若造でこの世界に来て3人目になる。わしも元は日本にいて、異世界転生してこの国で50年を過ごした」
「俺はたぶん……この国の歴史でいうユリウム暦1600年に転生して色々あってまた転生……いや未来に飛ばされた」
「ほぉ。興味深い。若造、名は?」
「ソウダです」
突然、爺さんの目が見開いて椅子いっぱいに仰け反った。
「ここを出てワシに付いて来い!」
爺さんは喫茶店を出て歩き始めた。
ビル群のオフィス街と図書館のある街を少し抜けると朽ちかけた家々が並ぶ一画に入った。
「ここは?」
「人のスラム街だ。今や人よりも半獣や魔獣の方が身分が高い」
俺が異世界転生してフィアリが王なった結果か……とんでもないことした。
スラム街の外れの平屋の家に入る。
本が山積みにされた室内は薄暗く、爺さんは電球のスイッチをつけた。
「ソウダ。お主をフィアリ国の旧代の王として崇める一派があってな、ケトロ派は今もフィアリに対抗しておる」
ケトロ……俺が助けたチーターみたいな魔獣か。
「ワシもケトロ派だ。この世界は表向きは平等だが、今もスラム街が増え続け、貧困と格差は止まらない。ケトロ派は真の平等と国の安寧を旧代の王ソウダに誓い活動している。つまり、お主が本当の王であり、王になる資格を持つ者だ」
俺は異世界の残酷さに逃げて、たまたまケトロを助けて一瞬王になっただけだ。
資格なんてない。
「俺に王の資格はない」
「何故だ?」
「エギオラという魔獣が現れた時に俺は逃げることも出来ずジダさんやフィアリに助けてもらった。王になった時は戦が嫌で王を辞退しようと考えていた」
「だから王になれないと?何故王になれないか分かるか?」
爺さんは俺に鋭い目を向けた。
「王になる資格は誰にでもある。しかし、ソウダは選ばれたのだ。王になる者は真の強さがある。弱いから王になれない。つまり己自身の弱さに負けたのだ……」
「強くなりたい!そして皆が平和に暮らす世の中を!国を創りたい!」
爺さんの体の皮がヌルヌルと溶けると爺さんの中から獣が現れた。
「我が王よ。私を覚えていますか?」
「だれ?」
「幼少期に我が命を助けてくれたケトロです」
二足で直立する獣は確かにチーターみたいで昔のケトロの面影がある。
大きく成長し、直立するケトロの背の高さは今では俺と変わらない。
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