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西方編
強者を求めて
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悟は各地を巡り土地に眠る霊魂を呼び起こし、次々と体に憑依させた。
繰り返し憑依させると、悟の自我が芽生え自我を保てるまで成長した。そして憑依させた状態で自由に動けるようになった。
さらに一度憑依させた御霊、霊魂の構えや形、動きは徐々に体に染み込み、忘れることなく体に浸透して覚えていった。
道場に響く木刀が交わる音。
「うおー!」
権野寺の気迫に見学している道着を着た訓練兵達は圧倒されていた。
それに対して権野寺の相手をしている悟は涼しい顔だ。
権野寺が突く。悟は軽々と弾いて手首に一撃。さらに内股に蹴りで権野寺の体勢を崩し、権野寺の頭の上で寸止めした。
「「おーすごい!」」
訓練兵から思わず感嘆の声が漏れる。
「参りました」
権野寺は頭を下げた。
「30戦2勝28敗。最初今坂に来た時に比べて随分と強くなった。勝てたのは最初の2戦だけじゃわい」
権野寺は悔しそうに青空を見上げた。
「いえ、俺が強くなれたのは権野寺様が俺の能力開花のことを気付き教えてくれたお陰です」
「うむ。悟よ、お主はもう侍の格だ。強くなった。して、これからどうする?」
「俺はもっと強くなりたい!強者と共に平和な世にしたいです!」
「わかった!今までよく働いてくれた。ならば褒美を取れ」
権野寺は金貨の大判と馬、それに道場の奥に飾っていた刀を悟に渡した。
「この刀はこの世に5振りしかない名工が仕上げた業物の刀『鬼切丸紫電八千』。刀と共に諸国を巡り強者を集めよ。また機会があれば今坂にも寄るといい。力になる。権野寺が城を守り待っておるぞ」
「権野寺様、今まで育て上げてありがとうございます!」
悟は泣いた。その光景を見ていた訓練兵達も下を向き涙を流した。
悟と風花は今坂を出て、五條という町の茶屋に入った。
悟は懐から権野寺が書いた『強者五選』を取り出して、眺めた。
「権野寺様が強者が何処にいるか書いてくれたけど、正確な場所が分からないな」
「どれ?」
風花に渡す。
「五條の山中に住む草深甚右衛門って書いてる」
「五條の山中って言って五條は山で囲まれて、山ばっかりだよ」
お茶を出した店主が茶団子と共に
「甚右衛門先生でしたら、町の道場に下りて来てます」と教えてくれた。
悟は茶屋で聞いた道場を訪ねた。
道場の前で薪割りをする男がいる。
優しそうで覇気が全くない男だが、次々に薪を綺麗に割っていく。
「ここに草深甚右衛門って方いますか?」
「私が草深です。道場破りですか?諸派の勧誘ですか?」
「どちらでもないです。一度、戦ってみたいと思って訪ねました」
一瞬で目の前から消えた。学よりも速い。
気付いた時には悟の首元寸前に斧の刃が向けられていた。
繰り返し憑依させると、悟の自我が芽生え自我を保てるまで成長した。そして憑依させた状態で自由に動けるようになった。
さらに一度憑依させた御霊、霊魂の構えや形、動きは徐々に体に染み込み、忘れることなく体に浸透して覚えていった。
道場に響く木刀が交わる音。
「うおー!」
権野寺の気迫に見学している道着を着た訓練兵達は圧倒されていた。
それに対して権野寺の相手をしている悟は涼しい顔だ。
権野寺が突く。悟は軽々と弾いて手首に一撃。さらに内股に蹴りで権野寺の体勢を崩し、権野寺の頭の上で寸止めした。
「「おーすごい!」」
訓練兵から思わず感嘆の声が漏れる。
「参りました」
権野寺は頭を下げた。
「30戦2勝28敗。最初今坂に来た時に比べて随分と強くなった。勝てたのは最初の2戦だけじゃわい」
権野寺は悔しそうに青空を見上げた。
「いえ、俺が強くなれたのは権野寺様が俺の能力開花のことを気付き教えてくれたお陰です」
「うむ。悟よ、お主はもう侍の格だ。強くなった。して、これからどうする?」
「俺はもっと強くなりたい!強者と共に平和な世にしたいです!」
「わかった!今までよく働いてくれた。ならば褒美を取れ」
権野寺は金貨の大判と馬、それに道場の奥に飾っていた刀を悟に渡した。
「この刀はこの世に5振りしかない名工が仕上げた業物の刀『鬼切丸紫電八千』。刀と共に諸国を巡り強者を集めよ。また機会があれば今坂にも寄るといい。力になる。権野寺が城を守り待っておるぞ」
「権野寺様、今まで育て上げてありがとうございます!」
悟は泣いた。その光景を見ていた訓練兵達も下を向き涙を流した。
悟と風花は今坂を出て、五條という町の茶屋に入った。
悟は懐から権野寺が書いた『強者五選』を取り出して、眺めた。
「権野寺様が強者が何処にいるか書いてくれたけど、正確な場所が分からないな」
「どれ?」
風花に渡す。
「五條の山中に住む草深甚右衛門って書いてる」
「五條の山中って言って五條は山で囲まれて、山ばっかりだよ」
お茶を出した店主が茶団子と共に
「甚右衛門先生でしたら、町の道場に下りて来てます」と教えてくれた。
悟は茶屋で聞いた道場を訪ねた。
道場の前で薪割りをする男がいる。
優しそうで覇気が全くない男だが、次々に薪を綺麗に割っていく。
「ここに草深甚右衛門って方いますか?」
「私が草深です。道場破りですか?諸派の勧誘ですか?」
「どちらでもないです。一度、戦ってみたいと思って訪ねました」
一瞬で目の前から消えた。学よりも速い。
気付いた時には悟の首元寸前に斧の刃が向けられていた。
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